ASEAN各国での建設工事現場事務所への課税

東南アジア諸国のうち、外国企業が駐在員事務所の形態で建設工事を請け負うことが可能な国はありますか。また、税務上の留意点について教えてください。

多くの国では建設工事の請負は、現地法人あるいは支店の形態に限定されていますが、インドネシア、ベトナムでは、駐在員事務所の形態で建築工事を請け負うことが可能です。以下に、両国の制度の概要と、税務上の留意点について解説します。

I. インドネシア

  1. 外国建設会社駐在員事務所
    インドネシアには、駐在員事務所の形態の一つとして、外国建設会社駐在員事務所があります。当該事務所は、一定の条件のもと、駐在員事務所でありながら、建設プロジェクトの事前審査や、入札に参加し、契約締結・建設工事の実施などの事業主体となることができます。
  2. 手続き・条件
    1. 手続き
      建設業振興委員会(LPJK)の規則に従って資格審査を受け、大規模・建設事業者としての格付認定を得た上で、「2014年公共事業大臣規則第10号16」に基づく公共事業大臣の許可を受けたのち、建設業駐在員事務所を設置することになります。
    2. ジョイント・オペレーション(JO)
      インドネシアで建設工事を請け負うためには、インドネシア国内の建設会社と案件ごとにジョイント・オペレーション(JO)を組むことが必要となります(公共事業大臣規定2014年第10号)。また、JOはジョイント・ベンチャー(JV)と異なるもので、一時的な共同事業体であり、インドネシアの法規に基づく新たな法人ではないと定義されています(2014年公共事業大臣規則第1018号)。
      1. パートナー
        JOのパートナー企業は、LPJKから大規模・建設工事事業者に認定されている必要があります(公共事業大臣規定2014年第10号)。
      2. 外国建設事務所が行うことのできる事業の制限
        当該事務所が行う事業については1,000億ルピア以上の建設工事、あるいは100億ルピア以上の建設設計、監督業務に限定されています(公共事業大臣規定2014年第10号)。
      3. 報告書・監査
        JOの事業活動について、プロジェクトのデータ、現地企業のデータ、JOの契約書コ ピー他を含めた報告書を公共事業大臣宛てに提出する必要があります。また公共事業省による監査も行われます(2014年公共事業大臣規則第10号)。
    3. 課税
      据え付け等の工事期間が6カ月を超える等により、税務当局から恒久的施設(Permanent Establishment: PE)を保有していると認定された場合、海外企業が支払いを受ける工事代金につき、源泉徴収所得税が課されます。

II. ベトナム

  1. プロジェクトオフィス
    ベトナムにおいても、一定の条件のもと、駐在外国企業が法人(独資、合弁)を設立せずに建設工事を請け負うことが可能です。
  2. 手続き
    外国企業は、工事を請け負う際に、建設契約者許可(Construction Contractor Permission: CCP)を得たうえで、プロジェクトの実施場所を登録し、認可を受ける必要があります。この登録地のことを、プロジェクトオフィスと呼びます。CCPの申請先は、プロジェクト全体の事業の金額で異なります。1兆5000億VND(ベトナムドン)以上である場合は建設省に、当該金額未満の場合は、同省の地方局に申請することになります。また、プロジェクト所轄の税務局へ税籍登録し、納税番号を取得する必要があります。
  3. 課税
    プロジェクトオフィスの継続期間が6カ月を超える等により、税務当局からPEを保有していると認定された場合、外国契約者税として法人税・付加価値税が課されます(Circular60/2012/TT-BTC)。外国契約者税とは、外国人または外国法人がベトナムの個人または内国法人との間で契約を交わし、ベトナム国内でサービスの提供を行った結果として得られる所得に対して課せられる、ベトナム特有の税金のことです。
    Circular60/2012/TT-BTCは原則、PEの有無にかかわらず、外国契約者税が課されるとしながら、国内税法が租税条約と相反する場合は、租税条約の規定が優先されるとも規定しています。
    したがって、日越租税協定第7条の日本法人の事業活動から生じる所得は、当該法人がベトナムにPEを有していない場合、ベトナムで課税することができないという規定が優先されるように思われます。しかし、実務上、PEが有していないのにも関わらず、外国契約者税が課せられることがあるため、留意する必要があります。

関係法令

インドネシア

公共事業大臣規定2014年第10号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(190KB)

ベトナム

Decision No.87/2004/QD-TTg(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Circular No.05/2004/TT-BXD(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Circular60/2012/TT-BTC(外国契約者税に関する法令)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Circular60/2012/TT-BTC(外国契約者税に関する法令)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(274KB)

調査時点:2017/1

記事番号: J-010438

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