VAT登録番号提示が必要な理由:EU域内取引の場合

質問

ドイツに進出しているメーカーです。製品組み立てに必要な部品をフランスから購入するにあたり、フランスの売り手から当社(在独法人)のVAT登録番号を要求されました。売り手にVAT登録番号を知らせる理由を教えてください。

回答

1993年1月1日に、EC域内の国境通関が撤廃されました。以降、EU域内供給、および域内購入に輸出入という概念はなくなり、関税賦課はなくなりました。
一方、VAT(Value Added Tax)は加盟各国が独自の税率を設定し、各国の税率に基づいて課税されます(例、ドイツ19%、フランス20%、イタリア22%)。ただし、一定の条件下では、VATは免税になります。売り手側の免税手続きのため、買い手のVAT登録番号が求められます。

I. 一般的なVATの取り扱い

EU域内のVAT登録業者間での商品売買では、通常、買い手が商品を取得した時点でVATが課税されます。買い手がVAT未登録業者の場合、および登録事業者が売り手国で購入する場合は、売り手国でVATが課税されます。VAT登録事業者間の取引で、買い手国で売買が成立したと見なされる場合は、買い手国での税率が課税されます。

II. 質問のケースでのVATの取り扱い

  1. 買い手(在独法人)がドイツ国内でフランスの売り手から商品を受け取った時点を売買の成立と見なすのであれば、買い手はドイツ税務当局にドイツの税率でVATを支払います。
  2. このとき、フランスでもVATが課税されると二重課税になります。ただし、以下の2つの条件を満たせば、売り手はVATを付加しない請求書を発行できます(売り手の仕入税額控除権確保)。
    1. 商品がEU加盟国から他の加盟国に実際に輸送されること(商品が売り手の居住国から他国へ輸送された事実を請求書、送り状、受領書等で証明できること)
    2. 買い手がVAT登録番号を取得していること(買い手が居住国内の課税業者として識別できること)
  3. この取引に伴う仕入税額控除を確実に受けるために、フランスの売り手は買い手のVAT登録番号と商品の販売価格(EC Sales List)をフランスの税務当局に提示する必要があります。

フランスの売り手がVATナンバーを要求したのは、こうした手続きのためです。EU域内取引では、VATの仕入税額控除を受けるため、VAT登録番号の確認が日常的に行われています。

関係法令

Eur-lex:
第6号欧州理事会指令2006/112/ECPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(475KB)

参考情報

EU加盟国のVAT税率一覧表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(685KB)

調査時点:2015年12月
最終更新:2024年6月

記事番号: J-010015

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