シンガポール、香港等を経由してACFTAに基づく特恵関税を適用する際の留意点

シンガポールや香港を経由して中国に産品を輸出する際に、ASEAN中国FTA(ACFTA)に基づく特恵関税の適用を受けるための留意点を教えてください。

ASEAN加盟国から産品を中国に輸出し、中国側でASEAN中国FTA(ACFTA)に基づく特恵関税の適用を受けるためには、ASEANの加盟国政府が発給する原産地説明書(FORM E)を中国税関に提出する必要があります。また積送基準を満たす必要があります。

I. 原産地証明書と原産地規則

ASEAN加盟国から中国に輸出する際に、中国側で、中国ASEAN自由貿易協定(ACFTA)に基づいた特恵関税を受けるには、ASEAN加盟国政府が、当該輸出品がACFTA締約国・地域の原産品であることを認定して発給する原産地説明書(FORM E)を中国税関に提出する必要があります。FORM EがないとACFTA特恵関税の適用は受けられません。 輸出品が、ACFTA加盟国・地域の原産と認定されるのは以下の基準を満たす場合です。この認定基準を原産地規則といいます。

  1. 完全生産品(Wholly Obtained Products)
    次のものは輸出締約国内で完全に生産され、得られたものとして、ACFTA加盟国・地域の原産であると認定します。
    1. 締約国内で収穫され、採取され、摘み取られた植物と植物生成物(果実、花、野菜、樹木、海草、キノコ類、生鮮植物など全ての植物性生物を含む)
    2. 締約国で生まれ、飼育された生きた動物(哺乳類、鳥類、魚類、甲殻類、軟体動物、爬虫類、細菌及びウィルス等生きている全ての動物)
    3. 締約国内で生きた動物から入手した物品(ミルク、卵、天然蜜、頭毛、羊毛、精液、糞を含む更なる加工工程を経ないで生きた動物から得られる物)
    4. 締約国内で狩猟、わなの仕掛け、漁、水産養殖、採取又は捕獲によって入手した物品
    5. 締約国内の土壌、水域、海底又は海底の下から抽出又は採取され、本条のa~dに含まれていない鉱物、又はその他の天然物質
    6. その締約国の領海外の水域、海底又は海底の下から採取された生産物。ただし、この締約国が国際法に従ってその海域、海底及び海底の下の資源を採取する権利を有する場合に限る
    7. 締約国に登録されていて、同国の国旗を掲げる資格を有する船舶によって公海で採取された海洋漁業生産物及びその他の海洋生産物
    8. 締約国に登録されていて、同国の国旗を掲げる資格を有する工船によって、専ら本条gに述べる生産物を使用して船上で加工された及び/又は作られた生産品
    9. 締約国で収集された品目で、もはや当初の目的の遂行も、原状回復もしくは修復も不可能で、廃却もしくは原料の一部の回復またはリサイクル目的にしか適合しないもの
    10. 上記aからiに述べる生産品から入手又は生産される物品
  2. 非完全生産品(Not Wholly Produced or Obtained)
    1. 一般規則(General Rule)
      40%以上の付加価値基準:輸出貨物の船上納品価額(FOB)から、当該貨物の製造過程における当該加盟国・地域の非原産材料価額を控除した後の残余金額が、輸出貨物の船上納品価額(FOB)の40%に達すること。
      計算式
      (非原産材料価額 + 原産不明の材料費)/ FOB価格 X 100% < 60%
      すなわち、100% - 非原産材料価額 = 40%以上
    2. 品目別規則(Product Specific Rules)
      aの一般規則とは別に品目別に原産地規則を定めたものです。これらのうち、”Exclusive Rule”(排他的規則)と記載された品目では品目別の原産地規則に従い、”Alternative Rules”(選択的規則)と記載された品目では一般規則か品目別規則のいずれかを選択することができます。

II. 積送(直送)基準(Direct Consignment)

積送(直送)基準とは、協定に基づく輸入産品が、当該協定の一方の締約国・地域からもう一方の締約国・地域に直接輸送され、途中でそれ以外の国・地域を経由しないものをいいます。
締約国・地域以外の国・地域を経由して輸送された場合であっても、次の条件を満たした場合は、積送基準を満たすものとされます。

  1. 当該産品が締約国・地域以外の国・地域を経由した際に、積み下ろしまたは産品を良好な状態に保つために必要な処理以外の処理がされていないこと
  2. 当該産品の締約国・地域以外の国・地域における停留期間が相応の期間を超えないこと。なお、ACFTAでは、具体的な期間に関する規定はありません。ただし、原則として、合理的期間内の停留であり、かつこの停留について合理的に説明できなければなりません。
  3. 当該産品が締約国・地域以外の国・地域において臨時的に保管される際、当該国・地域の税関の監督管理下にあること、これらの国・地域に入って売買または消費をしていないこと
  4. 当該産品がこれらの国・地域を経由した理由が、地理的な原因または運送上の必要性のみであること
    具体的には、次の条件のいずれかに合致するときは積送基準を満たすものとされます。
    1. 自由貿易協定加盟国発送後、別の輸送手段に積み替え、中国に至るまでの全行程の船荷証券(運送状)があること
    2. 自由貿易協定の非加盟国(または地域)において輸送手段を変更し、協定優遇を受けて輸入した産品は、税関申告時に、当該国(または地域)の税関が発行した未再加工証明文書 (香港、マカオ経由で中継輸送する場合、中国検験(香港)有限公司またはマカオ中国検験有限公司が発行した「未再加工証明」)があること

関係機関

中国税関総署外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

中国税関総署:
中華人民共和国税関輸出入貨物優遇原産地管理規定(中国税関総署2009年第181号令、2009年3月1日施行) 中国- ASEAN全面経済協力枠組協議貨物貿易協議(中国語版) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中華人民共和国税関「中華人民共和国政府及びシンガポール共和国政府自由貿易協定」における輸出入貨物原産地管理弁法(税関総署2008年第178号、2009年1月1日施行)(中国語版)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料

ジェトロ「ASEAN-中国自由貿易協定(ACFTA)の物品貿易協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2017/3

記事番号: C-131201

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