外国人の納付済み社会保険料の処理方法:中国

会社が外国籍従業員の社会保険料を納付(同時に社会保険料納付のための費用も会社が負担)しているケースで、この従業員が退職して他の会社に移った場合、その社会保険はどのように処理されるのでしょう。もし、同従業員が完全に帰国して、以後中国に戻ってこないとしたら、どうなりますか。従業員の社会保険料を会社がすべて負担しているため、同従業員の帰国後、その個人社会保険口座内の残金を会社が引き出したいのですが、どのように処理すればいいのでしょうか。

I. 外国籍従業員の社会保険の転出
中国人従業員と同様、外国籍の従業員が退職したとき、会社はその所在地の社会保険センタ−に申請して社会保険転出手続きを行う必要があります。同従業員が新たに他の会社に就職したときは、その会社が社会保険転入手続きをすることになります。


II. 外国籍従業員帰国時の社会保険の取扱い
外国籍従業員は規定の養老金受給年齢(男性は満60歳、女性(一般労働者)は満50歳、女性(幹部)は満55歳)に達する前に中国を離れた場合、その社会保険個人口座を留保することが可能であり、再び中国に来て就業を続ける場合納付年限を累計して計算することができます(「中国国内で就業する外国人の社会保険加入暫定弁法」(以下、「暫定弁法」))。中国に戻らない場合、本人による社会保険関係終止に関する書面申請を経て、社会保険個人口座の積立残高の一括払いを求めることができます。
上海市の現状規定によれば、会社が外国籍従業員のために社会保険を納付する場合、養老保険、医療保険、労災保険の3種の保険を納付すればよいことになっています。外国籍従業員が任期終了等により帰国するにあたっては、会社または従業員個人は同従業員が、最後に社会保険に加入した事業所所在地の社会保険取扱機関に申請して基本養老保険の終了手続きを行うことができます。同時に、市の医療保険取扱機関に申請して個人医療保険口座の抹消手続きを行うことができます。従業員本人が希望すれば、社会保険口座を留保することも可能で、中国再赴任時に社会保険料を継続納付することができます。なお、労災保険は企業が全額負担するものであり、全額が社会保険の統一運営口座に振り込まれるため、将来的に口座の残額が返還されることはありません。


III. 外国籍従業員の社会保険口座に対する所有権
現行法律規定に厳格に従えば、従業員の個人社会保険口座に対する所有権は従業員個人に帰属します。従って、会社が従業員にこれらの口座内積立金を返還してほしければ、従業員との協議とその同意が必要になります。さらに、従業員が返還に同意した場合、これらの費用を財務上どう処理するかが問題になります(一般的には、従業員の個人財産を会社に贈与するとして処理されると思われますが、その場合会社には所得税の支払義務が生じます)。また、口座内金額の確定については、従業員個人は社会保険と医療保険の各取扱機関を通して、それぞれその個人養老保険口座の積立金額と個人医療保険口座残高を確認することができます。会社がこの調査を行うときは、通常従業員から代理権を授与してもらう必要があります。各地方の取り扱いが異なるため、事前に当地の社会保険部門に確認しておく必要があります。


IV.上海市およびその他主要都市における外国人社会保険の納付状況
「暫定弁法」が実施されて以降も、上海市は当該暫定弁法に基づいてはおらず、従来の規定「上海市で就職する外国籍従業員、外国永久(長期)居留権を獲得した人員および台湾、香港、マカオの居民による城鎮職員社会保険に加入する若干問題に関する通知」に従い、使用者は外国籍従業員のために3種(養老保険、医療保険、失業保険)の保険のみを納付することができます。また、国内のいくつかの主要都市を選び、外国人の社会保険納付の取扱いについて調査を行った結果によると、使用者は外国籍従業員のために5種(養老保険、医療保険、失業保険、労災保険、生育保険)の保険の納付を求められています(調査対象の都市は、北京、深セン、広州、蘇州、杭州、南京、武漢、大連、長春、天津、青島、重慶および成都)。
また、今後、中国が外国と社会保険に関する二国間協定または多国間協定を締結した場合、中国国内で就業する外国籍従業員の社会保険加入については、当該協定の規定に従い、手続きを行うことになります。


そのほか、各地方によって、外国人の社会保険料納付規定の実施、運用面で差異があり、外国人の社会保険料納付が強制されていない都市もありますので、今後の動向に留意する必要があります。以上は調査時点(2014年10月)の規定に基づく実務上の取り扱い方法です。


関連法令
中国中央人民政府:
社会保険法(主席令第35号、2011年7月1日施行)
中国国内で就業する外国人の社会保険加入暫定弁法(人的資源および社会保障部令第16号、2011年10月15日施行)
中国国内で就業する外国人の社会保険加入作業関連事項を貫徹することに関する人的資源および社会保障部の通知(人社庁発〔2011〕113号、2011年10月15日施行)
上海市で就職する外国籍従業員、外国永久(長期)居留権を獲得した人員および台湾、香港、マカオの居民による城鎮職員社会保険に加入する若干問題に関する上海市人的資源および社会保障局の通知(滬人社養発[2009]38号、2009年10月10日施行)


調査時点:2014/10

記事番号: C-130307

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