クレーム対処代金を中国子会社から日本本社へ送金することの可否

中国に100%出資で自動車部品メーカーを設立し、製品を中国から北米・アジア諸国へ輸出していますが、不良品のクレームが発生しました。不良品の検品のために日本の本社から社員をエンドユーザーの工場に出張させており、この費用をクレーム代金として中国側に負担させ、日本へ送金させたいのですが可能ですか。

輸出に関するクレームの賠償金を中国から海外に送金することは、要件が整えば可能です。本件の場合は、以下2つのケースが考えられます。
1.製品を中国子会社から日本本社がいったん輸入して、エンドユーザー向けに輸出した結果としてのクレームを日本本社として処理します。この場合、中国子会社はクレーム代金を貨物貿易に伴う外貨返金の名目で送金することになります。
2.日本本社が製品の輸出入に絡んでいない状況下で、中国子会社から委託を受けたクレーム処理のために、日本の本社社員がエンドユーザーの工場に出張します。この場合、外貨支払いの必要から、通常、日本本社は中国子会社と業務委託契約を締結する必要があり、中国子会社はクレーム代金を業務委託料の名目で送金することになります。


ケース1では、返金日と日本本社への輸出の代金受取日の間が180日以内(180日を含む)の場合、直接外貨指定銀行で申請をすることができます。この期間を超えた場合は、外貨管理局へ申請しなければなりません。その支払金額が真正かつ妥当なものであることを証明するため、通常、中国子会社は以下の書類を外貨指定銀行(外貨管理局)に提出しなければなりません(「貨物貿易外貨管理実施細則第16条」)。
a. 収入申告書類
中国子会社が日本本社の支払った代金を受け取った際の申告証明(輸出通関書類、外貨受取申告書などを含む)。
b. 輸出契約書
中国子会社と日本本社が関連商品について締結した輸出契約書。
c. 書面申請
外貨返金の原因および返金と同時に商品の返品が行われるかに関する具体的説明。
d. その他の証明資料(外貨指定銀行(外貨管理局)の要求に基づく)
ほかの有効な証憑(例えば、示談書、関連商品検査機関の発行した商品品質問題に関する証明書)、商業書類など。


ケース2では、日本本社と中国子会社との間で、「中国子会社の輸出品にかかわるクレーム処理業務を本社が有償で請け負う」という業務委託契約を締結した上で、中国子会社が出張経費を含む業務委託料を日本本社へ送金する必要があります。なお、業務委託契約の真実性が認められず、最終的に業務委託料の送金に支障が出るような事態を避けるには、業務委託契約の内容設定(委託内容、費用金額)が重要となるため、法律事務所などの専門機関による確認を行うようお勧めします。


この場合、日本本社向けに送金する業務委託料に対しては、中国子会社側で営業税5%(日本本社のために源泉徴収する)が営業税付加費と併せて徴収されますが、今回は中国国外でのサービスの提供となり、中国国内を源泉とする所得ではないため、通常、企業所得税(源泉税)10%は課税されません。中国子会社が日本本社へ業務委託料を支払う際、業務委託契約、本社が発行するインボイス(支払請求書)、「税務届出書」を外貨指定銀行に提出する必要があります。


「税務届出」については、1件当たりの送金額が5万米ドル相当額を超える(5万米ドル相当額は含まない)サービス貿易(技術指導、コンサルティング、ソフトウエアなど)の外貨送金を行う際に、国家税務機関で申請し、同機関が「サービス貿易などの項目の対外支払税務届出書」(以下、「届出書」)に捺印することを指します。
(2013年9月1日に施行「サービス貿易などの項目の対外支払税務届出関連問題についての公告」(以下、「公告」))
税務届出をしなければならない場合、中国子会社は、上記公告に基づき、以下の書類を準備します。

  1. 記入済みの「届出書」
  2. 契約書、協議書あるいは係る取引証明のコピー(外国語文書の場合、中国語の訳文を添付しなければならない)
  3. 税務機関が提出を求めるその他の書類


送金額が5万米ドル相当額以下(5万米ドル相当額を含む)の場合、対外支払いの際、「届出書」の提出は不要ですが、上述した営業税および関連付加費の納税が税務上免除されるわけではありません。


このほか、サービス貿易項目下の外貨支払いに「国際賠償金」項目がありますが、外貨指定銀行に下記の書類を提出しなければなりません。(1)取引原始契約、賠償協議書(賠償条項)および賠償経緯全体の関連説明資料または証明材料、あるいは(2)裁判所の判決書や仲裁機関の裁定書または調停機関の調停書。実務上、(2)があれば外貨指定銀行の審査において認められやすく、(1)を提出した場合は外貨指定銀行に対し必要な証明材料につき個別に確認しなければなりません。


関係機関
中国人民銀行
中国国家外貨管理局
中国国家税務総局


関係法令
中国国家外貨管理局:
貨物貿易外貨管理法規の公布に関する国家外貨管理局による通知およびその別紙1貨物貿易外貨管理手引きと別紙2貨物貿易外貨管理手引き実施細則(匯発[2012]38号、2012年8月1日施行)
サービス貿易外貨管理法規の公布に関する国家外貨管理局による通知およびその別紙1サービス貿易外貨管理手引きと別紙2サービス貿易外貨管理手引き実施細則(匯発[2013]30号、2013年9月1日施行)
中国国家税務総局:
サービス貿易などの項目の対外支払税務届出関連問題についての公告(国家税務総局、国家外貨管理局公告2013年第40号、2013年9月1日施行)


調査時点:2014/10

記事番号: A-A21236

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