原産地表示:マレーシア

質問

マレーシアに輸出する際に求められる原産地表示について教えてください。

回答

マレーシアの輸入製品に義務付けられる表示は各種法律によって規定されています。

I. 1967年関税法(Customs Act 1967)

申告の際に正しい原産地を申告することを求められますが、原産地の表示義務の規定はありません。
関税法では、「原産地申告」とは、「輸入業者、生産者または輸出業者が、コマーシャル・インボイスまたは製品に関する書類に記載する、製品の輸入または輸出に関する原産地に関する適切に記載されたもの」と定義しています。
また、「製品の原産地」とは、「特恵関税措置との関係では、有効な国際協定又は地域協定の枠内で採用された適用可能な原産地規則に従って、製品が完全に入手され、生産され、又は生産されたとみなされる国」及び「非特恵関税措置との関係では、マレーシアで採用された規則に従って、製品が完全に入手され、生産され、または生産されたとみなされるマレーシア」と定義しています。
輸入者は、輸入される製品の申告において、真実かつ正確な原産地を記載しなければならず、これに違反した場合には、50万リンギ以下の罰金もしくは7年以下の禁錮、またはその両方が科されるおそれがあります。

II. 流通する際に求められる表示

  1. 2011年取引表示法(Trade Descriptions Act 2011)
    取引表示法では、ラベル表示を含む取引表示について下記の項目を定めています。
    1. 特質又は名称
    2. 数量、大きさ、寸法など
    3. 製法、生産方法、加工方法、整備方法
    4. 成分構成
    5. 目的適合性、強度、性能、習性または精度
    6. 貴金属製品の適合基準
    7. その他物理的、技術的特徴
    8. 製品の有効期限
    9. 第三者による検査と結果
    10. その他の品質
    11. 第三者による承認や適合評価
    12. 製造地、製造日、生産地、生産日、整備地、整備した日
    13. 製造者、加工業者、生産者、整備した者
    14. 元の所有者や使用履歴を含む過去の記録

    マレーシア国外の製品に虚偽の取引表示がなされ、その虚偽の表示または虚偽の表示の1つが、製品または製品の一部の製造、生産、加工または再調整の場所の表示である場合には、担当大臣は、マレーシアへの製品の輸入を禁止する命令を下すことができると定めています。

  2. 1999年消費者保護法(Consumer Protection Act 1999)
    消費者保護法では、ラベリングを含む安全要求事項を規定しており、罰則も定められています。
    消費者保護法では、製品の原産地に関する虚偽または誤解を招く表示を禁止しています。これに違反した場合には、法人に対しては、初犯は25万リンギ以下、再犯は50万リンギ以下の罰金が科されるおそれがあります。個人に対しては、初犯は10万リンギ以下もしくは3年以下の禁錮またはその両方、再犯は25万リンギ以下もしくは6年以下の禁錮またはその両方が科されるおそれがあります。
  3. 商品ごとの表示規制の例
    1. 化粧品
      マレーシアにおける化粧品の取り扱いは、ASEAN加盟国によって採択された化粧品の管理に関する統一規則である「ASEAN化粧品指令(ASEAN Cosmetic Directive: ACD)」に基づく「マレーシアでの化粧品の管理のためのガイドライン(Guidelines for Control of Cosmetic Products in Malaysia)」で規定されています。
      ラベル表示については、このガイドラインのAnnex I, Part 7(Cosmetic Labeling Requirements)で規定されており、その概要は、品名、機能、使用方法の説明、成分表、生産国、化粧品通知保有者(販売会社)名および住所、内容量、生産者バッチ番号、生産時期もしくは使用期限(年月)、注意を要する成分が含まれている場合の使用上の警告などの表示が義務づけられています。
      以前は、1984年薬物・化粧品管理規則(Control of Drugs and Cosmetics Regulations 1984)のみ存在したため、同規則によって薬物と化粧品は一元管理されていましたが、現在では、各々異なるガイドラインが策定され、各々同規則および各ガイドラインによって管理されています。
    2. 医薬品
      薬物登録指導書(Drug Registration Guidance Document)に諸事項と共に「生産者名と住所および製品登録者(販売権者)名と住所」などを表示することが規定されています。
    3. 食品
      1983年食品法(Food Act 1983)および1985年食品規則、規則11(Food Regulations 1985 Regulation 11)は、食品の製造または輸入食品に関する原産国表示事項等を規定しています。
      食品法および同規則に基づき、食品には、原産地とともに、製造者または包装者、もしくは製造または包装の権利保有者もしくは代理人の社名、事業所住所および輸入者の名前と事業所住所の表示が必要です。
      食品法は、食品の表示について虚偽、誤解を招くまたは欺まん的な表示を禁止しており、これに違反した場合には、3年以下の禁錮もしくは罰金、またはその両方が科されるおそれがあります。

関係機関

関係法令

マレーシア税関:
1967年関税法(Customs Act 1967)PDFファイル(1.48MB)
マレーシア国内取引・生活費省:
2011年取引表示法(Trade Descriptions Act 2011)PDFファイル(619KB)
1999年消費者保護法(Consumer Protection Act 1999)PDFファイル(1.37MB)
マレーシア保健省:
1983年食品法(Food Act 1983)PDFファイル(396KB)
1985年食品規則(Food Regulations 1985 Regulation)PDFファイル(1.79MB)
国立医薬品規制庁:
化粧品ラベル表示要件(Cosmetic Labeling Requirements)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(681KB)
薬物登録指導書(Drug Registration Guidance Document)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.25MB)

参考資料・情報

日本機械輸出組合:
アジア諸国の原産地表示およびラベリング外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2017年3月
最終更新:2024年2月

※本記事は、日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所が中小企業海外展開現地支援プラットフォーム事業による調査として、TNY Consulting (Malaysia) Sdn Bhdに委託し、2024年2月に入手した情報に基づき作成した物です。 掲載した情報は作成委託先の判断によるものですが、一般的な情報・解釈がこのとおりであることを保証するものではありません。また、本記事はあくまでも参考情報の提供を目的としたものであって、法的助言を構成するものではなく、法的助言として依拠すべきものでもありません。本記事で提供する情報に基づいて行為をされる場合には、必ず個別の事案に沿った具体的な法的助言を別途お求めください。 ジェトロおよびTNY Consulting (Malaysia) Sdn Bhdは、本記事の記載内容に関して生じた直接的、間接的、派生的、特別の、付随的、あるいは懲罰的損害および利益の喪失については、それが契約、不法行為、無過失責任、あるいはその他の原因に基づき生じたか否かにかかわらず、一切の責任を負いません。これは、たとえジェトロおよびTNY Consulting (Malaysia) Sdn Bhdがかかる損害の可能性を知らされていても同様とします。

記事番号: A-091104

ご質問・お問い合わせ

記載内容に関するお問い合わせ

貿易投資相談Q&Aの記載内容に関するお問い合わせは、オンラインまたはお電話でご相談を受け付けています。こちらのページをご覧ください。