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外資系独資生産企業の生産業務終了と販売業務の付加

上海市の日系独資製造業です。業況低迷のため、製造設備の売却と生産の終了を検討しています。ただ、日本の親会社が生産する製品の中国での販売を維持できればと思っています。どのように進めていけばよいのか、関連規制・手続きなどを教えてください。

このような状況下では、経営範囲を既存の生産企業から商業(卸売り)企業に変更するとともに、会社の登記場所を商業企業として必要な人員規模に見合った事務所に移転させることが必要です。

会社登記場所の移転については、同一行政管轄内(同一市内)での移転であっても、税務管轄(区)が異なる地域へ移転する場合は、税収が減る転出側税務局の協力をなかなか得られずに、増値税発票の発行に2カ月前後の空白期間が生じることがあります。行政管轄が異なる地域への移転が不可能、または困難な場合の対策として、新たに商業企業を設立して、既存の生産企業を清算する方法もあります。

上海市では、市内の他の区へ移転する際に上述の状況を防ぐために、2009年3月、市内各区の税務局が積極的に協力しない場合には処罰する旨の通達が出され、事態の改善が図られました。しかし、企業形態の変更と会社移転に伴い必要となる製造設備などの固定資産の売却、従業員の整理・解雇、過去に享受した外資生産企業に対する特恵税制の返納などの準備作業に十分な手間と時間をかける必要があります。また、行政「手続き」を極力簡単に済ませられるよう、移転先は同一税務管轄内で探した方が有用です。その前提で以下をご説明します。

I. 主な移転準備作業と留意点
1. 製造設備の売却(中国国内での売却の場合)

  1. 2008年12月31日以前(当日を含む)に購入した設備の売却は、4%の約半分の税率で増値税が課税され(実際の税率は約1.92%)、普通発票が発行されます。設備購入側は、仕入増値税としての税額控除ができません。
  2. 2009年1月1日以降(当日を含む)に購入した設備の売却は、17%の増値税が課税され、増値税専用発票が発行されます。設備購入側は、仕入増値税として税額控除ができます。

2. 工場リース契約の解約と新登記場所の賃貸借契約の締結

  1. 現工場のリース契約解約に当たっては、保証金の没収や違約金などの解約条件をよく確認する必要がありま
  2. 新会社は商業(卸売り)企業なので、「産権証」(不動産所有権証)上の用途が「商用」または「事務用」となったオフィス物件を契約する必要があります。

3. その他の経営契約の解除
生産企業から商業(卸売り)企業に変更する場合、経営契約(注文書)の解除に絡む可能性が高く、違約金など解約条件の確認が必要となるほか、設備リース、貨物(完成品/半製品)、サンプル、材料、図面の引き渡し、返還、廃棄などの処理も関係します。

4. 従業員の整理解雇
「労働契約法」第41条の規定に基づき経済性リストラを実施する場合の手順は以下のとおりです。

  1. 会社側でのリストラ方案(従業員への経済補償案を含む)の策定
  2. 労働組合または全従業員への情況説明と意見聴取。遅くとも下記f.の30日前までに実施すること。
  3. b.を踏まえたリストラ方案の修正
  4. b.とc.を何度か繰り返してリストラ方案を最終確定
  5. 地元労働行政管理部門へのリストラ方案の届出
  6. 対象者への解雇通知と経済補償金の支給

従業員の整理解雇の過程では、発生するおそれのある群衆事件、労働仲裁、訴訟などに注意する必要があります。

5. 税務変更手続き
A. 特恵税制の返納

  1. 生産企業が操業してから10年未満の場合、過去に享受した「二免三減」を全額返納しなければなりません。
  2. 外資奨励類として製造設備の輸入免税措置を享受している場合、各設備の輸入通関より5年間は税関の監督管理期間にあります。よって、この間に免税輸入設備を中国国内で売却する場合、当初納付が免除された関税額について、5年のうちの未経過年数分に対応する関税額を税関に追納しなければなりません(以下の計算式参照)。中国国外向けに設備を輸出する場合には返納不要です。

<計算式>
要追納額=関税免税額×税関監督管理期間の残余月数/60カ月

B. 税務清算
移転過程において元の税務主管部門は通常、企業の過去の税務行為を調査します。もし過去に、企業に税務上の違法行為などがあることが発見された場合、税金追納、過料などが求められます。

II. 経営範囲と会社登記場所の移転手続き(同一税務管轄内での移転の場合)
1. 企業名称(変更)の仮登記手続き

2. 会社董事会での経営範囲と会社登記場所、企業名称の変更およびこれに伴う定款条項の変更に関する方案の株主決議への上程

3. 上記2.に対する株主承認の取り付け

4. 所在地の商務委員会に対する申請および返答書と新批准証書の取得(所要期間約1カ月)

5. 所在地の工商行政管理局での変更登記を行い、新営業許可証の取得(所要期間約2週間)


III. その他
1. 新設する商業企業の経営範囲は、「***の卸売り、輸出入、コミッション代理(競売を除く)および上述関連付帯業務の提供」となります。「***」の部分に具体的な取扱い商品名(または商品群)を記載します。危険化学品や食品、医療機器などの個別経営許可にかかわる場合は、上記II-4.の前に対応する経営許可証を取得しなければなりません。

2. 企業形態を生産企業から商業企業に変更することに伴って、企業名称も変更する必要があります。商業企業の場合、企業名称中の業界名には通常「商貿」や「貿易」を使います。

3. 分公司がある場合、分公司の名称と経営範囲も変更する必要があります。

4. 商業企業の場合の経営期間は一般的に最長30年です。

5. 本変更手続きによっても企業の法人格自体は不変です。

6. 行政管轄区を跨る移転の場合、転出側の商務、工商などの部門の手続きだけでなく、転入側の商務、工商などの部門の手続きにも関係します。

関係機関
中国国家税務総局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国商務部外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国国家工商行政管理総局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国人的資源・社会保障部外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令
中国商務部:
外商投資商業領域管理弁法(中国商務部2004年8号令、2004年6月1日施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
外商投資非商業企業が仕入販売の経営範囲を追加することにかかる問題に関する商務部の通知(商資函[2005]第9号、2005年4月2日施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
上海市商務委員会:
外商投資企業の地域を跨っての移転および商業企業の分支機構設立の審査許可業務をさらに貫徹することに関する市商務委員会の通知(滬商項目[2009]185号、2009年3月25日施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国国家税務総局:
一部の貨物に増値税低税率と増値税徴収の簡易方法の政策を適用することに関する財政部と国家税務総局の通知(財税[2009]9号、2009年1月1日施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
外商投資企業および外国企業を対象とした従来の若干の税収優遇政策廃止後の関連事項処理に関する国家税務総局の通知(国税発[2008]23号、2008年2月27日施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
輸入免税設備の税関監督管理を解除する際に追納する輸入段階における増値税の控除に関する国家税務総局の返答書(国税函[2009]158号、2009年3月30日施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
中国中央人民政府:
中国労働契約法(中華人民共和国主席令第65号、2008年1月1日施行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報
ジェトロ:
中国進出企業の事業再編等 実務に関する調査(2009年3月)PDFファイル(1.5MB)
外商投資商業小売、卸売企業の設立PDFファイル(121KB)

調査時点:2015/09

記事番号: A-090918

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