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アルコール飲料の現地輸入規則および留意点:EU向け輸出

質問

EUにアルコール飲料を輸出します。現地での輸入規則や輸出者として留意すべき事項があれば教えてください。

回答

EU域内への日本酒・焼酎の輸入は、行政機関から特別な許認可を取得する必要はありません。通常の食品輸入と同様の手続きで輸入できます。ただし、ワインについては、EU共通農業政策(Common Agricultural Policy: CAP)で保護対象とされている農産物・食品「農産物由来のエチルアルコール」に該当するため、EU域外からの輸入にはライセンスが必要です(欧州委員会規則(EC)No376/2008、 No 514/2008)。

I. 輸入ライセンス等規制

  1. 輸入ライセンス
    EU域外国から3,000リットルあるいは3,000キログラムを超えるワインを輸入する場合、輸入ライセンスが必要です。各国の農水産物管轄機関にライセンスを申請します。
  2. 販売許可・資格要件
    輸入された日本酒・焼酎をEU加盟各国内で販売するための許可や資格要件は、各国の規則に従います。

II. ラベル表示

    1. 容器ラベルの表示
      2014年12月から「消費者への食品情報提供に関する欧州議会・理事会規則(EU)No 1169/2011」が適用され、ラベル表示が義務付けられました。主な項目は、次のとおりです。表示に使用する言語は、EUの公用語であれば複数の記載も可能ですが、当該製品を販売する国の公用語を必ず使用する必要があります。
      1. 販売製品の名称(品名):
        ワイン、ビール、酒など。商標やブランド名は名称として使用できませんが、付記することは可能です。
      2. アレルギー成分
      3. 正味容量:
        日本酒、焼酎などは体積単位で、通常「ミリリットル」、「センチリットル」、「リットル」のいずれかで表示します。
      4. 賞味期限:
        「(Best before〜)」と記載します。ワインおよびアルコール度数が10%以上のものは賞味期限を記載する必要はありません。
      5. 保存・使用条件:
        特別な方法が必要な場合は、明記しなければなりません。
      6. 製造者、ボトリング業者またはEU域内に居住する販売者のいずれかの名称、あるいは会社名と住所
      7. 原産地または発送地
      8. アルコール度数:
        重量比で1.2%超のアルコールを含む飲料のアルコール強度。小数点第一位まで明記します。
      9. ロット番号:
        Lの次に番号表示
        (最低限、賞味期限あるいは使用期限が明確に月日まで表示されている場合は、ロット表示はなくても可)
    2. その他表示
      2016年12月から栄養表示が義務付けされましたが、アルコール飲料は栄養表示義務の対象外です。
      アルコール度数1.2%以上の飲料は、アレルギー表示規則が適用されます。
      EU規則に加え国別の規則がある場合がありますので、輸出する国ごとに確認が必要です。
      ラベル表示に関する詳細は文末の調査レポート「EUにおける食品ラベル表示に関する規制」をご参照ください。

III. 規格・基準

  1. 残留農薬基準
    EUではEC規則No 396/2005で使用可能な農薬についてポジティブリスト制で各食品に対する残留農薬の上限量を示す残留農薬基準(Maximum Residue Limit: MRL)を規定しています。残留農薬基準の設定がない農薬については一律0.01mg/kgが適用されます。
    EC 規則No 396/2005外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    EU 農薬データベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  2. 重金属および汚染物質
    EUでは食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の残留濃度の上限値を規定しています。清酒を含むその他発酵酒は鉛、スズ等に留意する必要があります。
    EC 規則No 1881/2006外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    EC 規則No 2015/1006外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  3. 食品添加物
    EUでは食品添加物についてポジティブリスト形式での規制をしています。認可を得た食品添加物のみ使用が認められます。
    EC規則No 1333/2008外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

IV.容量規制

製品の自由移動の原則に基づいて、2007年10月、EUでは消費者向け製品の容量およびサイズの規制緩和に関する欧州議会・理事会指令2007/45/ECが発効されました。これにより、製品の容量・サイズ規制は、ワインおよび蒸留酒を除く事前包装されたすべての製品で廃止されました。 規制の残るワインおよび蒸留酒の定格容量(ml)は次のとおりです。

  1. 非発泡性ワイン:100、187、250、375、500、750、1,000、1,500の8種
  2. 発泡性ワイン:125、200、375、750、1,500の5種
  3. リキュールワイン:100、200、375、500、750、1,000、1,500の7種
  4. 混成ワイン:100、200、375、500、750、1,000、1,500の7種
  5. 蒸留酒飲料:100、200、350、500、700、1,000、1,500、1,750、2,000の9種

2018年10月9日開催の環境理事会において、「日本で瓶詰めされ、単式蒸留器(pot still)で生産される単式蒸留焼酎のEU市場への上市のための名目容量に関し規則(EC)no.110/2008を修正する欧州議会・理事会規則」が採択されました。これにより、日本で瓶詰めされた日本産の720ml及び1800mlの容器の単式蒸留焼酎は、日EU経済連携協定の発効日(2019年2月1日)からEU域内で販売することが可能となります。

V.諸税

  1. 関税
    EU各国の関税率はEU共通関税に準拠します。CNコード(合同関税品目、上6桁まではHSコードと同じ)分類上では、容器の容量が2リットル以下と2リットル超により分けて記載されており、関税が異なります。 また、EUの輸入統計には「清酒」という区分がないため、該当する品目番号には清酒以外の酒類が含まれています。そのため、吟醸酒を始めとした非アルコール添加の清酒は「蜂蜜酒、発酵飲料、混合発酵飲料、非発泡」の品目(CN2206.00)に該当し、アルコール添加の清酒は「未変性エチルアルコール、アルコール度数80度以下」の品目(CN2208.90)に該当するので、関税を調べる際は注意が必要です。
  2. その他の税金
    酒税(物品税)や付加価値税(VAT)の種類と税率は、EU加盟各国の規定によります。

VI. 原発事故に伴う規制

2011年3月11日に発生した原子力発電所事故により、アルコール飲料を含む日本産食品の輸入には産地証明や放射線検査証明書の添付などの規制が課せられていましたが、欧州委員会はすべてのアルコール飲料を規制対象から除外するEU規則改正を正式に採択し、2012年10月30日に発効しました。この改正により、日本産アルコール飲料をEU加盟国へ輸出する際に求められていた産地証明書および放射性物質の検査証明書の添付が不要となりました。

関係機関

欧州委員会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 税制・関税同盟総局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

欧州委員会規則(EC)No376/2008:「輸出入ライセンスの適用について」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会規則(EC)No.514/2008:「No. 376/2008の改定」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州議会・理事会規則(EU)No 1169/2011:「消費者への食品情報提供に関する規則」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
EUの包装容量規制(欧州議会・理事会指令2007/45/EC)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
「日本で瓶詰めされ、単式蒸留器(pot still)で生産される単式蒸留焼酎のEU市場への上市のための名目容量に関し規則(EC)no.110/2008を修正する欧州議会・理事会規則」PDFファイル(336KB)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考情報・資料

ジェトロ:
調査レポート「EUにおける食品ラベル表示に関する規制(2014年3月)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
EU食品輸出ガイドブック(2018年2月)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会:
「たばこ、アルコール、エネルギー製品などの物品税」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税検索サイト「TARIC Consultation」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省:
原発事故に伴う各国・地域の輸入規制外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2017年3月
最終更新:2018年12月

記事番号: A-061109

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