小口貨物の通関制度:EU

質問

EUの小口通関制度について教えてください。

回答

EUでは個人用の貨物や旅行者の携行品など、小口貨物については輸入関税が免除されます。理事会規則(EC)No.1186/2009などで関税の免除のための諸条件が規定されています。

I. 理事会規則(EC)No.1186/2009による免税対象品目(一部)

  1. EU域外国からEU域内へ住居を移す個人の引越し貨物(第一章)
    住居移転前にEU域外国に12カ月以上連続して居住し、かつ最低6カ月間所有あるいは使用していた物品は免税になります。ただしアルコール類、タバコ又はタバコ製品、商用車、職業用の物品は除きます。免税の期限はEU域内への転居後12カ月以内とされ、その間は有償無償を問わず、当局の事前承認なく貸与、担保供出、抵当設定、賃貸など出来ません。
  2. 婚姻の際に輸入される衣類・家財道具および贈答品(第二章)
    新品中古品は問わず、下記の条件をクリアすれば免税されます。
    1. 贈答品は一品あたり1,000ユーロ以下
    2. 婚姻前に連続して12カ月以上EU域外に居住していたこと
    3. 結婚証明書を提出できること
    4. アルコール類、タバコおよびタバコ製品は除く
    5. 結婚2カ月前から結婚後4カ月以内の期間に輸入されること
  3. EU域内の居住者が相続する個人資産(第三章)
    相続人が遺産を最終的に相続することになった日から2年未満に相続した物品のみが免税対象となります。 ただし、アルコール類、タバコ又はタバコ製品、商用車、事業活動ないし職業活動に使用される特定品目、原料および完成品ないしは半完成品の在庫、家族の生活必要量を超える農畜産品を除きます。
  4. EU域内への留学生の衣類、学習用品および家具(第四章)
    留学のためEU域内に滞在する学生が所有する衣類や学習用品、家具は免税です。
  5. 無視できる額の発送品(第五章)
    第三国からEU域内に直送される合計150ユーロに満たない価値の物品は免税です。ただし、アルコール類、香水・オードトワレ、タバコまたはタバコ製品は除きます。
  6. 個人から別の個人宛の貨物(第六章)
    第三国の個人からEU域内の個人宛に送付される物品で商業的価値が無いもの(発送が定期的でなく、受取人あるいはその家族のみの使用に供せられる商業的意図を含まない、発送者から受取人にいかなる支払いも要求されない、総額45ユーロを超えないもの)は免税です。ただし、タバコ製品、アルコールおよびアルコール飲料、香水、オードトワレについては免税適用の上限量の定めがあります。
  7. EU域内での販売促進のために輸入される見本品による規定(第二十一章)
    無視できる額(上記I.5.参照)のもので、当該商品のEU域内への輸入のための注文取り集めの為にのみ使用される商品見本は輸入関税を免除されます。また見本市あるいは同種イベントで使用あるいは消費される製品についても同様です。ただし見本としての性質を損なわない範囲で穴を開ける、消えないマークを付ける等の方法により商品の恒常的使用を不可能にさせる等の条件が付くことがあります。

II. 理事会指令2007/74/EC(旅具通関)

EU域外から域内に入る旅行者の個人用、あるいは贈答用の商業的性質を持たない携行品に対し、航空機あるいは船(海路)利用旅行者は430ユーロ(その他の場合は上限300ユーロ)まで免税となります。15歳未満の旅行者には加盟国の裁量により150ユーロまで上限額が引き下げられます。

  1. タバコ製品 (17歳以上に限る):
    紙巻タバコ200本あるいは40本、小型葉巻100本あるいは20本、葉巻50本あるいは10本、刻みタバコ250グラムあるいは50グラム(加盟国の裁量による上限設定範囲)
  2. アルコール飲料(17歳以上に限る):
    度数22%以上の蒸留酒または度数80%以上の非変性エチルアルコール1リットルまたは度数22%未満のアルコール飲料2リットルに加え、非発泡性ワイン4リットルおよびビール16リットル

III. 小口でも扱えない輸入禁止品目

一部の例外を除き、原則的に個人消費用あるいはペット用の動物性製品(肉、肉製品、牛乳、乳製品)、魚製品(鮮魚、干物、塩漬け、燻製)を旅行者が域内に持ち込むこと、あるいは域外から域内の個人宛に小包で送付すること、通信販売で域外から購入することは、動物の感染症の域内への流入を防ぐ目的で禁止されています。
なお、麻薬、医薬品、武器、爆発物、ポルノ類は、輸入禁止あるいは輸入制限の対象品目ですが、EUレベルではなく、各国の法規により規制されています。

IV. その他、諸税について、以下確認が必要です。

  1. 関税、付加価値税(VAT)以外に物品税が課される製品があります。また、VAT税率は加盟国によって異なります。
  2. EUレベルでの規定があっても加盟国によって運用が異なるケースがあるため、通関国の法規を確認してください。
  3. マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ防止等のため、1万ユーロ 相当額以上の現金(または同等価値の現金化可能な有価証券、旅行小切手等)を携行して出入国する場合、税関申告が必要です(2018/1672)。

関係機関

関係法令

参考資料・情報

欧州委員会・関税同盟:
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調査時点:2016年10月
最終更新:2024年06月

記事番号: A-051023

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