医療機器の現地輸入規則および留意点:カナダ向け輸出
質問
カナダ向け医療機器輸出の際の現地輸入規則および留意点について教えてください。
回答
カナダで医療機器を輸入する際には、医療機器規則(Medical Devices Regulations)に基づき、ライセンスの取得および適切な表示を行う必要があります。
I. カナダにおける医療機器管理制度
- 医療機器のclass分類
カナダにおいて医療機器は、その使用に伴うリスクの度合いによりclass IからIVまでの4段階に分類されています。輸出する医療機器がどのclassに該当するかは、文末の参考資料・情報に掲載されている「保健省:医療機器のclass確認のためのキーワード・インデックス」でご確認ください。 - 医療機器製品ライセンス
class IIからIVに該当する医療機器を輸入、あるいはカナダ国内で販売するためには、当該機器の製造業者(同人の名義または商標などで、カナダ国内で機器を販売し、医療機器に関する責任を有する者;医療機器規則paragraph 1参照)が、事前に、医療機器ごとの製品ライセンス(Medical Device License)を取得する必要があります。ただし、個人輸入の場合や、リスクが最も低いclass Iに該当する製品の輸入の場合は、本ライセンスの取得は免除されます。
製品ライセンスは、各classに応じた申請書様式に必要な情報および資料を添えて、保健省に申請します。申請は、製造業者が直接行う、または適切な申請代理人を選任し、委託することもできます。申請に際して要求される具体的な情報・資料については、医療機器規則paragraph 32(Application for a Medical Device License)で規定されています。申請様式および申請ガイダンスは、文末の参考資料・情報に掲載されている「保健省:製品ライセンス申請のガイダンス」でご確認ください。
保健省は申請に基づき、医療機器規則paragraph 10から20に定める安全性と有効性を審査し、基準に適合すると判断すれば当該医療機器の製品ライセンスを付与します。製品ライセンス取得後は、毎年確認・報告を行い(医療機器規則paragraph 43〔Obligation to Inform〕)、申請内容に変更があった場合は、変更申請をします(同規則paragraph 34〔Application for a Medical Device License Amendment〕)。 - 品質マネジメントシステム認証書
class IIからIVに該当する医療機器製造業者は、製品ライセンス申請の際に、医療機器規則のparagraph 32.1から32.7(Quality Management System Certificate)に従って認定されたレジスタラーが発行した、カナダ向けISO13485の認証書の写しを提出する必要があります。なお、提出は認証書の写し発行後30日以内に、保健省に対して行わなければなりません(同規則paragraph 43.1)。認定レジスタラーのリストは、保健省のウェブページで公表されています。文末の参考資料・情報に掲載されている「保健省:認定されたレジスタラーのリスト」をご確認ください。レジスタラーの中には、日本に提携先をもっているところがあり、認証審査を日本語で受けることも可能です。文末の関係機関「日本でカナダISO13485の認証可能な検査会社」にお問い合わせください。
- 表示事項
医療機器を輸入、または販売するためには、以下の事項が製品パッケージの外部に表示されていなければなりません(医療機器規則paragraph 21〔Labeling requirements〕)。
- 医療機器名
- 製造業者名およびその住所
- 当該医療機器の識別(例:装置の一部、テストキット、ある製品グループに属するなど)
- 管理番号 (classIIIまたはIVの医療機器の場合)
- パッケージの内容物が外から見てすぐに分からない場合は、寸法、重量、長さ、容量、単位数など当該製品に適した表示
- 滅菌状態で販売される製品の場合は、「滅菌(Sterile)」の表示
- 当該医療機器に使用期限がある場合は、当該機器の中で最も耐用寿命が短いと想定される構成物に基づく使用期限
- ユーザーにとって、当該医療機器の効能、使用方法が自明でない場合、適応症、使用目的、また適切な使用のために必要な場合は、性能仕様書
- 当該医療機器が安全かつ効果的に使用されるために必要とされる利用方法説明(特に必要なければ省略可)
- 医療機器に適した特別な保管条件
なお、表示言語は、当該医療機器が一般消費者向けではない場合には、すべての表示事項において、英語またはフランス語のどちらかで構いませんが、一般消費者向けに販売される場合には、上述の表示事項のうち少なくともaおよびe~jは、英語およびフランス語の両言語で表示されなければなりません(医療機器規則paragraph 23)。
- 医療機器事業者ライセンス
カナダでは医療機器事業者ライセンス取得者でなければ医療機器を輸入し販売できません。事業者ライセンスを取得するためには、所定の申請書をカナダ保健大臣(Minister of Health)に提出します。申請書の具体的な記載事項については、医療機器規則paragraph 45 (Application)で規定されています。文末の参考資料・情報に掲載されている「保健省:医療機器事業者ライセンス申請のガイダンス」でご確認ください。
II. 輸入関税・その他税
医療機器関連のHSコードの多くは9018から9022で、当該製品の日本からの輸入に対する関税は、無税です。しかし、輸入時に、連邦物品・サービス税(Goods and services tax: GST)が、輸入価格(関税支払い後の価格)の5%課税されます。また、州によっては、別途、州税を課税する場合があります。文末の参考資料・情報の「ジェトロ:世界各国の関税率」でご確認ください。
関係機関
- カナダ連邦保健省(英語)
日本におけるカナダの認証可能な検査会社:
関係法令
参考資料・情報
- 保健省:
- 医療機器のクラス確認のためのキーワード・インデックス(英語)
- 製品ライセンス申請のガイダンス(英語)
- 認定されたレジスタラーのリスト(英語)
- 医療機器事業者ライセンス申請のガイダンス(英語)
- ジェトロ:
- 世界各国の関税率
調査時点:2016年1月
最終更新:2024年4月
記事番号: A-051001
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