中古車の現地輸入規則および留意点:ナイジェリア向け輸出
ナイジェリア向けに中古車を輸出する際の現地での輸入規則および留意点について教えてください。
I. ナイジェリアの中古車規制概要
- 左ハンドル車のみ輸入可能です。
- 車齢15年以上経過した自動車は輸入禁止です。ただし、バスやトラックは年式に関係なく、輸入可能です。
- 当該車両は所有者が継続的に使用したものであって、転売、改造車でないこと。
II. 輸出手続き
- 2006年1月1日から従来の船積み前検査(Pre-shipment Inspection: PSI)に代えて揚げ地検査(または仕向地検査、Destination Inspection: DI)が導入されています。これにより従来は船積み地でのPSIを経て発行されていた検査報告書(Clean Report of Inspection: CRI)がナイジェリアでの検査を経て発行されることになりました。また、中古車はSON(Standards of Nigeria: ナイジェリア標準規格)の対象外です。
- Form Mの取扱いについて
Form MナンバーをB/LまたはAWB面上に記載する必要があります。記載方法について船社または航空会社に確認ください。Form Mの手続きは輸入者が行いますが、その際に輸出者が必要な情報を輸入者から入手して、B/LやAWBなどの運送書類への記載を運送業者に指示します。 - 事前貨物申請(Advance Cargo Declaration / Cargo Tracking Note)
2016年1月1日より輸出者またはフォワーダーは、貨物がナイジェリアに入港する前に、事前貨物申請(Advance Cargo Declaration / Cargo Tracking Note)を行う必要があります。事前貨物申請には、ナイジェリア輸出者協議会(Nigerian Shipper's Council)のウェブサイトからEntry Summary Number(ENS)を登録する必要があります。一方、船会社はMovement Reference Number(MRN)を登録する必要があります。ENSとMRNの両方が必要となります。登録は無料です。
III. 輸入通関手続き
- 輸入業資格
全ての輸入業者は財務省に輸入業務を行う旨を申請して許可を受け、同時に過去3年間の納税証明書を提出しなければなりません。輸入者は企業である必要があります。 - Form Mの手続き
全ての輸入者は銀行を経由して、最初にForm M(注:成約の時点で輸入者があらかじめ銀行へ外貨手当ての申請を行うもの)を提出しなければなりません。同時に輸入者は、次に掲げる書類を取り揃える必要があります。
Form Mは輸入金額や支払い手段に関係なく、全ての取引に適用されます。有効期間は6カ月間で、延長が可能です。 - 必要書類(b, c, e, h は商工会議所の認証が必要です。)
- 検査報告書(Clear Report of Inspection: CRI)
- 最終送り状(Final Invoice)
- 価格・原産地証明書(Combined Certificate of Value and Origin: CCVO)
- 梱包明細書(Packing List)
- 船荷証券(B/L)または航空運送状(AWB)またはウェイビル(Waybill)
- 運送業者からの証明書
- 保険証明書
- 製造元からの規格が明記された製造証明書(Manufacturer's Certificate of Production)
- その他必要な検査機関によるテスト合格証明書(Certificate of Conformity: CoC)
- Form M
IV. 関税・その他諸税
- 関税
- 中古トラクター(HS番号8701): 35%
- 中古バス(HS番号8702): 35%
- 中古乗用車(HS番号8703): 35%
- 中古トラック(HS番号8704): 35%梱包明細書(Packing List)
- その他諸税
- VAT: 5%(課税基準はCIF +関税)。ただし、CKD(コンプリート・ノックダウン) は免税
- ETLS(ECOWAS 自由貿易スキーム): 0.5%(課税基準はCIF価格)。ただし、ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)メンバー国からの輸入は免税。
- 空港利用税(The Federal Airports Authority of Nigeria charges): 7%(航空貨物のみ対象、課税基準はCIF価格)
- チャーターフィー: 5ナイジェリア・ナイラ(NGN)/kg(航空貨物のみ対象、ミニマム750.00 NGN/AWB)
- 統一輸入監督税(Comprehensive Import Supervision Scheme): 1%(課税基準はFOB価格、全輸入貨物が対象)
V. 車両登録手続き
管轄官庁の官署は国立内国歳入局(States Internal Revenue Department)および自動車検査事務所(Vehicle Inspection Office for FCT)です。必要書類は通関証(Customs Clearance Certificate)と自動車関税証(Motor Vehicle Duty Certificate)、ライセンス登録料が必要です。
VI. 留意点
- 支払い条件はB/C(Bill for Collection: 取立扱い)またはL/C決済が可能ですが、事前に輸入者と十分に取決めておくことが重要です。
- B/L面上のConsigneeの明記について
B/L面上のConsigneeの欄に、荷受人の名前と住所を明記することになっています。また、L/C条件で、“To order“または”To order of(L/C issuing Bank)の場合には、Notify Party(着荷通知先)の欄に名前と住所を明記します。
関係機関:
駐日ナイジェリア連邦共和国大使館
日本ナイジェリア商工会議所
商工業省(Federal Ministry of Commerce and Industry)
財務省(Federal Ministry of Finance)
運輸省(Federal Ministry of Transport)
ナイジェリア税関(Nigerian Customs Service: NCS)
ナイジェリア港湾局(Nigerian Port Authority: NPA)
ナイジェリア中央銀行(Central Bank of Nigeria: CBN)
SON日本事務所(c/o INTERTEK TESTING SERVICES (JAPAN)K.K. )
調査時点:2016/01
記事番号: A-041101
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