輸入における税関の書類審査と現物検査:日本

質問

輸入の際、税関は書類の審査と貨物の検査を行いますが、それぞれどういう視点から行うのか教えてください。

回答

現在輸出入手続きのほとんどはNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)により処理されています。NACCSで輸入申告した場合は、以下のように3つの区分で判定がなされます。

  • 区分1. 簡易審査扱い: 輸入(納税)申告後直ちに輸入許可されます。
  • 区分2. 書類審査扱い: 税関に通関書類を提出して審査を受けます。
  • 区分3. 検査扱い: 税関職員が現物検査を行います。

申告時に区分2または区分3の指定を受けた場合は、管轄税関の指示に従い、書類審査または現物検査が必要となります。

なお、区分2. 書類審査扱いであっても税関職員が必要と判断した場合は検査扱いとなる場合があります。
それぞれ実施する目的および具体的な内容については以下のとおりです。

I. 書類審査

書類審査の観点は、当該輸入(納税)申告について、品目分類、課税価格、関税率、関税額が正しく、申告内容に間違い、矛盾点がないか、また輸入が禁止されている品目に該当しないか、関税関係法令以外の他の法令(他法令)による規制をクリアしているかなどを確認することにあります。審査に要する日数は案件によりますが、審査により問題がなければ輸入許可となります。ただし品目分類や課税価格で疑義が生じた場合は、追加書類あるいは、検査が必要になります。

II. 現物検査

現物検査も書類審査と同様に、商品が輸入(納税)申告書の内容に合致しているか、貨物が法律で定められた基準に適しているか、輸入してはならない貨物(麻薬やけん銃等)が紛れていないかなどを確認することを目的に行われます。具体的には、次のような観点から、輸入(納税)申告の内容と現品との同一性の確認が行われます。

  1. 検査の観点
      1. 覚せい剤・麻薬、けん銃やコピー商品等の「輸入してはならないもの」がないか
      2. 虚偽の原産地が表示されていたり、誤認を生じさせる原産地が表示されていないか
      3. 適切な納税申告がされているか
      4. 食品衛生法、植物防疫法等の他法令の規制に基づいた手続きがとられているか

    なお、他法令による規定は関税法70条で次のように規定されています。

    1. 他の法令で当該貨物の輸入に関して許可、承認その他の行政機関の処分、またはこれに準ずるものを必要とする条件があるものについて、当該許可、承認等を受けている旨を税関に証明すること
    2. 輸入に際して検査または条件の具備を必要とする貨物で、当該法令の規定による検査の完了または条件の具備を税関に証明し、確認を受けること
  2. 検査方法
    1. 見本確認:輸入貨物のうち数量の確認を必要としない貨物につき、その一部を見本として税関が指定した場所で検査すること
    2. 一部指定検査:性質および数量の確認を必要とする貨物のうち、均質等量に包装されたものの一部を検査すること
    3. 全部検査:輸入貨物の全てを検査すること
  3. 検査が行われる場所

    検査が行われる場所は以下のような場所です。

    1. 検査場検査:税関の検査場において検査が行われる(通常は、この場所で検査が行われる)
    2. 現場検査:貨物が置いてある現場にて検査が行われる(大型機械など税関検査場への持ち込みが困難な貨物の場合)
    3. 艀中検査:あらかじめ税関から「ふ中扱い」の承認を受け、艀(はしけ)に積んだままの状態で検査が行われる(木材、化学薬品など)
    4. 本船検査:あらかじめ税関から「本船扱い」の承認を受け、外国貿易船舶に積載したままの状態で検査が行われる(小麦、木材など)
    5. 指定地外検査:あらかじめ税関の許可を受けることにより、税関に指定された場所以外の場所で検査が行われる
  4. 検査の立会いについて

    輸入貨物の検査に際しては、必ず検査立会人(主に通関業者)を立ち会わせることとしています。

関係機関

関係法令

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調査時点:2014年11月
最終更新:2024年11月

記事番号: A-020107

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