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「パイオニア・ステータス」の概要と取得方法:マレーシア

マレーシアに現地法人設立を検討中ですが、投資認可取得にあたり「パイオニア・ステータス(Pioneer Status)」の資格を取得するよう、薦められました。「パイオニア・ステータス」の概要と取得方法を教えてください 

「パイオニア・ステータス」は、1986年投資促進法およびその他の法律で定められた一定条件を満たした企業に対して、直接税・間接税の一部、または全部の免除を認める税制優遇措置の1つです。

類似の優遇措置として後述する「投資税額控除(Investment Tax Allowance:ITA)」もあります。

I. パイオニア・ステータスの概要
1. 認可基準
「パイオニア・ステータス」が認められる製造業の認可基準は、「付加価値のレベル、使用される技術の高さ、産業間の提携強化への寄与」など特定の優先事項に基づいています。

その対象となり得る「奨励事業および奨励製品」一覧表は、文末の関係機関に記載のマレーシア投資開発庁(Malaysian Industrial Development Agency:MIDA) のウェブサイトよりご確認ください。

2. 具体的な優遇措置
「パイオニア・ステータス」を認められた製造業は、法人税の一部免除を5年間受けることができます。

この場合、「生産開始日」(生産レベルが生産能力の30%に達したと認められた日)から5年間、「法定所得」(総収益から収益的支出と資本控除を差し引いた後に算出される)の30%に対してのみ課税されます。

ただし、この70%免税の措置は、免税所得から分配された配当金にも適用されること、さらに国家的・戦略的に重要なプロジェクトの場合には所得税の全額免除が認められるケースもあります。

パイオニア・ステータス期間内に発生する未控除の資本控除と累積損失は、繰り越してパイオニア・ステータス期間後の企業の収益から差し引くことができます。

なお従来、追加的な優遇措置として「奨励地域」(カリマンタン島のサバ州、サラワク州およびマレーシア半島西側のペルリス州、「東海岸投資奨励地域」であるクランタン州、トレンガヌ州、パハン州、ジョホール州メルシン地域)で投資設立された製造業は、「法定所得」が5年間、全額免税となる時限的な優遇制度が存在していましたが、2010年12月31日以降への制度延長は行われなかったため、この制度は2015年末を以て全廃になります。

3. 中小企業等への優遇措置
製造業のうち、「小規模製造企業」、および「小企業(SME)」には、それぞれに法人税の減免制度があるなど、企業規模に基づく税制優遇措置が図られるほか、「機械機器製造」「自動車産業用の高付加価値の部品・コンポーネント製造」など個別製造品別に、企業への税制優遇が、各々パイオニア・ステータス資格によって与えられるなど、パイオニア・ステータスの制度は、かなり複雑・多岐に進化しています。

関係機関などに積極的にコンタクトして、貴社の利用に一番ふさわしいパイオニア・ステータスを見出す努力が求められます。

II. 投資税額控除(Investment Tax Allowance:ITA)
初期投資額が大きく操業開始後の数年間は設備償却費等がかさみ、所得額が僅少あるいは赤字が続くような企業の場合、パイオニア・ステータスの「当初5年間の法人税の一部免除」等々の恩恵は、事実上ほとんど享受できない結果になります。

そのような企業は、「パイオニア・ステータス」でなく、「投資税額控除(ITA)」を選ぶ方が賢明なケースがあります。

ITAを認められた一般製造企業は、「適格資本的支出」(認可プロジェクトで使用される工場、プラント、機械、その他の設備への支出)が最初に発生した日から5年以内に発生した「適格資本的支出」の総額の60%に相当する税控除枠が与えられ、この控除枠を毎年の法定所得の70%と相殺できます。未利用の控除枠は、全額が利用されきるまで、翌年以降に繰越して使用することができ、企業はその間、控除枠で相殺された残りに対してだけ、法人税を払えばよいという措置です。

また製造業の中でも、ハイテク企業や戦略的プロジェクトに対しては、パイオニア・ステータスおよび投資税額控除の免税の割合・期間や優遇措置の拡大のほか、再投資控除などの追加的優遇措置があります。詳細は下記のジェトロウェブサイトやマレーシアの所管機関にお問い合わせください。

III. その他の優遇策
1.ハイテク産業優遇措置(Incentives for High Technology Companies)
先端技術分野の奨励事業および奨励商品の製造業に従事する企業は、5年間法定所得が全額免除となるパイオニア・ステータス、または5年以内に発生した資本的支出に対して60%の投資税額控除枠(各賦課年度の法定所得と制限なしで相殺できる)が与えられます。

2. 再投資控除(RA)
既存の製造業および農業に従事する企業のうち、設備近代化、製品多角化、自動化等を行った企業(設立後最低36カ月操業)に対し、資本的支出の60%が控除枠として認められ、毎年の法定所得の70%を限度に引当て控除でき、翌年以降に繰り越しできます。

3. マルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)投資への優遇措置
マレーシア国内のMSC特別地区に設立されたマルティメディア関連の生産およびサービス企業に対し、法定所得の100%相当額の免税を5年間認め、資本的支出に対して100%の投資税額控除を認めています。

4. 経営統括本部(OHQ)に対する奨励措置
適格基準を満たした経営統括本部(OHQ)と認められた企業は、以下の所得および収入について、10年間にわたり所得税の免除対象となります。

  1. マレーシア国外にある関連事務所や関連会社に提供したサービスによる営業所得
  2. マレーシア国外にある関連事務所や関連会社に貸し付けた外貨ローンの利息から得た所得
  3. マレーシア国外にある関連事務所や関連企業に代わって経営統括本部(OHQ)がマレーシアで実施した研究開発活動から得たロイヤルティー収入

5. その他
地方・特別地域での立地、省エネルギー活動、戦略プロジェクト、輸出企業、研究開発、新エネルギー開発、訓練、有毒・危険物の処理、国際調達センター、農業の一部、観光、通信・輸送等のサービスプロジェクト等に対する、税減免・控除・融資等の優遇措置があります。

関係機関
マレーシア投資開発庁(Malaysian Industrial Development Agency:MIDA) :
MIDA東京・大阪事務所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令
1975年工業調整法(Industrial Coordination Act:ICA)
1986年投資促進法(Promotion of Investment Act:PIA)
1967年所得税法(Income Tax Act:ITA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1967年関税法(Customs Act:CA)

参考資料・情報
ジェトロ:
マレーシア:投資促進機関
マレーシア:外資に関する奨励
法人に対する優遇税制(PS・ITA・RA)PDFファイル(1.7MB)
「マレーシア・ビジネス・ガイド(第2版)」手島恵美編著JETRO2015年6月発行PDFファイル

調査時点:2015/09

記事番号: A-011165

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