デビット・ノート方式による代金請求方法:日本
質問
デビット・ノート方式による代金請求について教えてください。
回答
デビット(debit)とは、簿記の借方、借方伝票を意味します。デビット・ノート(debit note)とは、発行者側が相手側に対して受け取るべき債権が発生した場合に、相手側勘定の借方(debit side)にその金額を計上して、その債権の内容と金額等を相手側に通知する支払請求書または伝票のことです。勘定借記通知書とも言います。これにより代金を請求する方式を、デビット・ノート方式と呼んでいます。
I. デビット・ノートの用途
デビット・ノート方式による決済はその都度する場合と、まとめてする場合があります。そのフォームは特に決まったものはなく、会社により異なるフォームが使われています。デビット・ノートは主に、見本品の代金、宣伝や見本市費用の立替金、インボイス金額に誤りがあった時に使用されますが、それ以外の場合についても使用されることがあります。
- 信用状なしの取引
信用状なしの取引の場合、輸出者は代金の請求にあたり、請求書(Invoice)を商品に添付して輸入者へ送り、輸入者はこのインボイスに基づいて、送金等により代金の支払いをします。しかし、継続的に取引がある場合やお互いに輸出入がある場合など、その都度決済をすると余分な手間や費用あるいはリスクを負うことになります。デビット・ノート方式はこのように継続的な取引があり、債権・債務を決済する際、ある一定期間(この期間のことを交互計算期間といいます)を定めて差額分だけを支払う場合によく利用されます。 - 返品、値引きが発生した場合
返品、値引きなどが発生した時には、発行者側は相手側に対してクレジット・ノートを発行します。その明細には、先に発行したデビット・ノートのどれに該当するものかを明記しておきます。このようにして、ある一定期間での貸借残高の差額を決済します。差額を決済することを相殺(ネッティング)と呼びます。この方法は、実際に支払う金額が減り、送金手数料、為替手数料、為替リスクなどが軽減されるという利点があります。
II. 留意点
相手先の国によっては、為替管理上、相殺(ネッティング)が認められない国がありますので、事前に確認する必要があります。わが国でもかつては、相殺(ネッテイング)は特殊決済方法にあたり、事前の許可が必要でしたが、今では自由にすることができます。ただし、相殺金額が3千万円相当額を超える場合は、相殺を実行した日の翌月20日までに「支払または支払の受領に関する報告書(銀行等または資金移動業者を経由しない支払または支払の受領)」(様式1)を日本銀行国際局国際収支課国際収支統計グループへ提出することが必要です。
なお、相殺の対象となる取引のすべてが貿易(輸出入通関)分の場合は、報告は不要です。
関係機関
財務省国際局調査課外国為替室(TEL 03-3581-4111)
日本銀行:
支払等に関する報告(「銀行等または資金移動業者を経由する支払等」と「銀行等または資金移動業者を経由しない支払等」)
報告書に関する照会先 日本銀行国際局国際収支課国際収支統計グループ(TEL 03-3277-2102)
関係法令
外国為替の取引等の報告に関する省令
調査時点:2011年8月
最終更新:2017年9月
記事番号: A-010820
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