展示品を保税・免税扱いで搬入・輸入するための手続きおよび販売手続き:日本

質問

日本で開催される展示会に外国業者を出展させるよう準備中です。展示品を保税または免税扱いで日本に搬入・輸入するには、どのような手続きが必要でしょうか。また、保税・免税扱いの展示品を販売する場合はどのような手続きが必要でしょうか。

回答

展示品を日本へ保税扱いで搬入する手続きについて、3つのケースを説明します。

I.保税展示場の活用

当該展示会場が関税法62条の2(保税展示場の許可)によって、所轄税関長から保税展示場の許可を得ていれば、船舶や航空機から荷卸しした展示品を保税品として、関税法62条の3(保税展示場に入れる外国貨物に係る手続き)により、当該展示場に搬入できます。搬入のためには、展示等申告書(税関様式C第3340号)を税関長に提出して承認を受ける必要があります。ここでいう保税展示場とは、特定の博覧会、見本市やこれらに類するもので、外国製品を展示、使用する場所として申請され、税関長が許可したものです。

II. 再輸出免税制度の活用

展示会場が、保税展示場の許可を受けていない場合は、関税定率法第17条第1項第9号(1年以内に再輸出の条件付き輸入で、博覧会、展覧会、共進会、品評会、その他これらに類するものに出品するための物品)により、必要に応じ、展示する外国貨物の免税額に見合う担保を所轄税関長に差し入れることで、展示会場に免税で輸入することができます。申告には、再輸出貨物減免税明細書(税関様式T第1340号)を使用します。

III. ATAカルネの活用

出展する外国業者がATAカルネを取得していれば、関税納付や担保の差し入れなしで、出展物を免税で一時的に日本国内に輸入することができます。 ATAカルネとは、物品の一時輸入のための通関に関するATA条約に基づく通関手帳のことです。税関は、手帳に閉じこまれている用紙を輸入申告書、または物品明細書として使用し、物品の一時輸入を許可します。日本でのATAカルネの発給は、一般社団法人日本商事仲裁協会が行っています。

IV. 展示品を販売することとなった場合の手続き

保税展示場では、原則として展示品を販売することはできません。
保税展示場に搬入した展示品について、販売する必要が生じた場合には、次のいずれかの方法を採ります。

  1. 保税運送により他の保税地域に移動した後販売を行う方法
    当該展示品を、保税運送(関税法第63条)の方法により、保税展示場以外の他の保税地域(保税蔵置場等)に移動させた上で、当該他の保税地域において輸入(納税)申告を行い、必要な関税、消費税を支払った後、販売および国内への引取りを行います。
  2. 当該保税展示場内で販売の予約を行った上で会期終了後に販売を行う方法
    当該保税展示場において販売の予約のみを行った上で、保税展示の会期終了後に輸入(納税)申告を行い、必要な関税、消費税を支払った後、販売および国内への引取りを行います。

なお、税関は、保税展示場に入れられた外国貨物のうち、販売され、使用され、若しくは消費される貨物又はこれらの見込みがある貨物につき、必要があると認めるときは、保税展示場内で当該貨物を蔵置する場所を制限し、又は保税展示場に入れられた外国貨物で性質若しくは形状に変更が加えられるものにつき、その使用状況の報告を求めることができるとしています(関税法第62条の4第1項)。

関係機関

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一般社団法人 日本商事仲裁協会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

関税法
物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)の実施に伴う関税法等の特例に関する法律

調査時点:2012年7月
最終更新:2023年9月

記事番号: A-010816

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