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大型建設工事での労働者雇用における留意点:台湾

質問

台湾の大型建設工事で一定期間労働者を雇用する場合の留意点について教えてください。

回答

台湾で労働者を雇用する場合、台湾の労働関係の法律に従わなければなりません。全ての労働者を対象とする労働基準法(1984年公布、2016年12月改正)、同法の運用のための労働基準法施行細則(1985年公布、2016年10月改正)を基本として労工休暇規則、労働者福利金条例、労工保険条例、労働者退職金条例や両性工作平等法、就業服務法、就業服務法施行細則などの関係法律があります。

I. 労働契約について

労働契約は、定期契約と不定期契約とに分けられます。定期契約は、臨時的、短期的、季節的期間の種別があり、基本的に、労働基準法の適用対象となります。解雇については下記の規定があります。

  1. 予告後に労働者を解雇できる主な理由
    1. 営業譲渡や事業の内容変更の場合
    2. 操業短縮や不可抗力による営業停止が1ヵ月以上のとき
    3. 職務能力の不足
  2. 予告なしに労働者を解雇できる主な理由
    1. 正当な理由なく連続3日間欠勤、または1ケ月以内に6日間欠勤した者
    2. 契約時に虚偽の意思を表した者
    3. 故意に雇用主に損害を与えた者
    4. 実刑判決を受けた者
  3. 解雇の予告期間について
    1. 勤続3カ月以上1年未満の者は、10日前
    2. 勤続1年以上3年未満の者は、20日前
    3. 勤続3年以上の者は、30日前
  4. 解雇手当について

    雇用主の都合による解雇の場合、解雇手当として、支給勤務期間1年につき1カ月分の平均賃金が支給されます。

II. 賃金について

  1. 残業代は、延長労働時間が2時間以内の場合、平日1時間あたりの賃金の3分の1以上を加算支給します。再延長時間が2時間以内の場合は、平日1時間あたりの賃金の3分の2以上を加算支給します。不測の事態により労働時間をさらに延長した場合、平日の1時間あたりの賃金の2倍を支払います。
  2. 1週間における少なくとも2日の定期的な休日、国定休日、特別休暇に、雇用主が労働者の同意を得て労働させる場合、通常賃金の2倍を加算支給します。

III. 労働時間、休息及び休暇について

  1. 労働時間は1日8時間、週40時間を超過してはいけません。
  2. 通常の労働時間において、雇用主は組合から同意を得るか、組合がない場合は労使会議の同意を得て、2週間の内2日の通常労働時間数を、他の労働日に1日2時間まで配分することができます。ただし、1週間の労働総時間数は48時間を上限とします。
  3. 残業時間について

    通常の労働時間と残業時間を合わせて、1日につき12時間を超えてはならないと規定されています。延長労働総時間は、1カ月について46時間が上限です。規定された労働時間数を超える場合、雇用主は延長の開始から24時間以内に組合に通知、または該当地の主務期間に届出をし審査を受けなければなりません。さらに、雇用主は後日、労働者に対し適当な休暇を供与することを義務付けられています。これに違反すると、2,000台湾元以上2万台湾元以下の罰金が科せられます。

  4. 年次有給休暇について
    1. 勤続年数6カ月以上1年未満の者 3日
    2. 勤続年数1年以上2年未満の者 7日
    3. 勤続年数2年以上3年未満の者 10日
    4. 勤続年数3年以上5年未満の者 毎年14日
    5. 勤続年数5年以上10年未満の者 毎年15日
    6. 勤続年数10年以上の者毎年1日追加する。追加の有給日数が30日に達すると、以降は追加支給がなくなる
  5. 結婚休暇と忌引きについて

    結婚休暇は8日間です。忌引きの場合、配偶者と父母は8日間、子や祖父母などは6日間、兄弟姉妹などは3日間の休暇が付与されます。

IV. 普通傷害休暇について

入院する場合は2年につき1年間、入院しない場合は1年につき30日間の休暇が付与されます。さらに、当該期間内においては年間30日まで賃金の半額が支給されます。

V. 年少者および女子労働者について

15歳以上16歳未満の年少労働者は、労働時間は1日8時間、週40時間を超過してはならず、休日に労働させてはいけません。また、労働時間帯も規定されており、午後8時から翌朝午前6時までの労働は認められていません。女子労働者は原則、午後10時から午前6時まで労働させてはいけません。ただし、組合または労使会議の同意を得て、必要な安全衛生設備や交通手段の提供、又は女子寮の備えがある場合は、深夜労働が可能です。

VI. 退職について

  1. 自ら退職の申請が可能な場合
    1. 在職15年以上で、満55歳に達した者
    2. 在職25年以上の者
    3. 在職10年以上で満60歳に達した者
  2. 雇用主が定年退職を強制できない場合
    1. 満65歳に達した者
    2. 心神喪失や身体障害などのため、業務に耐えられない者

VII. 労働保険について

  1. 外国人を含む従業員5人以上の事業所では強制加入で、5名未満の場合も任意加入できる。
  2. 養育、障害、死亡、老齢,葬祭などへ現金の給付がある。
  3. 保険料率と保険料の負担
    1. 保険料率は10.5%(2017年1月1日より施行)
    2. 保険料は、雇用主は70%、被雇用者は20%、政府が10%負担する

VIII. 就業規則について

常時雇用者が30人以上の場合は、雇用主は就業規則を作成しなければなりません。就業規則は関係機関に申請し、許可後に事業所内に掲示し、労働者にも配布しなければならないと定められています。

IX. 労働災害の防止について

  1. 建設事業をはじめとする労働者の安全と健康を確保するため、職業安全衛生法において、安全な設備の設置、労働者の安全管理、事業者の安全衛生規定の作成と監督機関への報告義務などが規定されています。建設業の労働者に直接かかわる規定の一部として、下記があげられます。
    1. 高温な場所で作業する労働者は1日6時間を超過してはならない。
    2. 異常気圧における作業、高所作業、重筋力作業、その他労働者に特殊な危害を与える作業については、労働時間を短縮し、労働時間中に適切な休憩時間を設けなければならない。
    3. 事業所は事業下請けの募集をする際、応募する側に、そのプロジェクトについて労働安全衛生法の定める事業者の責任を負わせなければならない。また、募集する事業所は労働災害の補償について、事業の請負業者と連帯責任を負う。
    4. 事業所、請負業者と二次請負業者がそれぞれ労働者を雇い、混在して作業を行う場合、元請負業者は衛生教育の指導や職場の巡視などを行う。

    さらに、職業安全衛生施設規則において、労働安全衛生法の項目に含まれる安全設備の基準や各事業者が果たすべき役割を詳細に定めています。

  2. 労働基準法における労働者災害補償について

    労働者が職業災害により死亡、身体障害、障害あるいは疾病を被った場合、雇用主から補償費用が支払われます。

    1. 負傷または疾病の治療に伴う医療費用の補償
    2. 治療中で労働者が労働できない場合の本来受領すべきである賃金の補償(補償責任免除条件もある)
    3. 治療後も身体に障害が残ると診断された場合、平均賃金及び障害の程度に応じた障害補償

    また、労働者が職業障害又は職業病に罹患して死亡した場合、雇用主は平均賃金5カ月分の賃金を葬祭費として支払わなくてはなりません。遺族に対しては、平均賃金40カ月分の賃金を死亡保障として一括支払うことも規定されています。
    労災に関する補償内容及び労災認定手続きについては、労工保険条例などに記載されています。

X. 労働者派遣について

近年労働者派遣は盛んに行われており、台湾行政院の統計によると臨時雇用労働者及び派遣労働者の総数は、既に50万人を超えています。労働者派遣は一般雇用と異なり、労務費の節減、法的責任とリスクの軽減ができると考えられ、労働者を自社で雇用せず人材派遣会社に雇用させる企業が多数です。このように、膨大な数の労働者が派遣という形で働いていますが、現在のところ台湾には労働者派遣に関する法律(例えば労働者派遣法等)はなく、また労働基準法にも労働者派遣についての明確な規定がありません。従って、労働基準法の範囲内で、労働者の派遣がなされているのが実態です。

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調査時点:2017/03

記事番号: A-001065

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