インドネシアにおける移転価格税制

インドネシアにおける移転価格税制について教えてください。

移転価格税制とは、海外の関連企業との間の取引を通じた所得の海外移転を防止するための税制です。インドネシア特有の事情について、以下で紹介します。

I. 移転価格税制

企業が関連企業との取引価格(移転価格)(Transfer Pricing)を、通常の価格と異なる金額に設定した場合、一方が本来得るはずだった利益が、他方に移転することになります。 移転価格税制とは、企業が海外の関連企業との取引を通じて、課税可能な企業の所得を海外に移転することを防止するために、移転価格と、関連企業ではない第三者との取引価格(独立企業間価格)(Arm’s Length Price)が異なる場合、取引が独立企業間価格で行われたものとみなして所得を計算し、課税する制度です。

II. インドネシアにおける移転価格税制

インドネシアにおける移転価格税制の根拠法は、インドネシア所得税法第18条第3項であり、租税総局長には、特殊関連者取引から発生する課税所得または税務上の控除費用を独立企業間価格の原則に基づいて再計算する権限が与えられています。
また、インドネシアにおける移転価格税制の施行規則であるPER-32/PJ/2011によると、国内取引においても、互いの取引企業の実効税率が異なる場合には、取引価格は、独立企業間価格に訂正されることになります。

  1. 特殊関連者
    インドネシア所得税法第18条第4項では、移転価格税制の対象となる関連者として次のものを挙げています。
    1. 一方の法人が他方の法人の株式を直接又は間接に25%以上を保有する関係および2つの法人が同一の者によってそれぞれの株式の25%以上を直接又は関節に保有される関係
    2. 管理・技術を通じて実質的に支配している関係
    3. 一定の血縁・姻戚関係
      なお、インドネシアが各国と締結している租税条約の条文にも、関連規定があります。例えば、日本インドネシア租税条約第9条は特殊関連者に係る利得についての規定です。
  2. 独立企業間価格算定方法
    2010年版OECD移転価格ガイドラインに準拠する改訂版移転価格規則(PER 32/PJ/2011)が制定されました。同規則によると、独立企業間価格の算定方法には独立価格比準法(CUP法)、再販売価格基準法(RP法)、原価基準法(CP法)、取引単位営業利益法(TNMN)、利益分割法(PS法)が利用可能です。ベスト・メソッド・ルールを採用しているため、以上の計算方法から最も適切なものを選ぶことになります。

III. 申告

  1. 法人税申告時
    年次の法人税申告書において移転価格文書の有無、関連会社間取引の概要について記載する必要があります。ただし、移転価格文書を添付する必要はありません。
  2. 移転価格文書
    2008年に発効したGR-80/2007により、特殊関係にある企業との取引の合計額が100億ルピア以上の企業は、法人税申告時までに当期の移転価格文書を作成、保持することが義務づけられました。資料提出期限は、当局からの要請があってから7日後ですが、最大30日まで期限を延長することが可能です。なお、移転価格文書に記載する必要のある事項は以下のとおりです。
    1. 納税者および納税者の行う事業の概要、背景
    2. 関連者間取引価格の決定方法
    3. 比較性の分析(機能・リスク分析を含む)
    4. 比較対象取引・企業の選定
    5. 独立企業間価格算定方法の選定
    6. 独立企業間価格の決定に関する説明

IV. インドネシアによる移転価格税制関連の法整備の状況

2008年 移転価格文書作成保持を義務付ける規定(GR-80/2007)が発効され、移転価格文書化義務を規定
2008年 所得税法改正を行い、OECD移転価格ガイドラインに沿った独立企業間価格の算定方法を明記
2010年 1995年版OECD移転価格ガイドラインに準拠する移転価格規則(国税総局移転価格規則:PER-43/PJ/2010)にて詳細な移転価格税制の施行規則を、相互協議手続きガイドライン(国税総局規則:PER-48/PJ/2010)にて相互協議規則を、事前承認ガイドライン(国税総局規則:PER-69/PJ/2010)にて事前確認制度としてのAPA規則を制定
2011年 2010年版OECD移転価格ガイドラインに準拠する移転価格規則(PER-32/PJ/2011)にて、PER-43/PJ/2010を修正。GR-74/2011にて相互協議、APAを含む税務上の権利と義務に関する実施手続を制定
2013年 移転価格調査ガイドライン(PER-22/PJ/2013)にて特殊な関係を有する納税者に対する税務調査ガイドラインを、その細則(SE-50/PJ/2013)にて特殊な納税者に対するテクニカル調査ガイドラインを制定
2014年 相互協議手続運営指針(PMK-240/2014)が財務省から公表され、相互協議手続の運営方針を制定
2015年 財務省から事前確認の形成と実施に係る指針(PMK-07/2015)が公表され、事前確認の形成・及び実施の際の指針を制定
2016年 財務大臣規定(No.213 PMK-03/2016)「OECD対応移転価格文書化義務」が発行

関係機関

租税総局(インドネシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

インドネシア 所得税法2008年No.36(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(306KB)
特殊関連企業間取引に正常な商慣習の原則を適用させる国税総局長規則No. PER-32/PJ/2011(インドネシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

外務省:
日イ租税条約(和文)_1PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1,158KB)
日イ租税条約(和文)_2PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1,168KB)

調査時点:2017/1

記事番号: A-001055

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