レストランを開業する場合の手続き:インド
質問
インドでレストランを開業したいのですが、必要な手続きについて教えてください。
回答
レストランは、インド準備銀行(Reserve Bank of India: RBI)の産業別リストで「ホテル・観光関連産業(Hotel/Tourism Related Industries)」に属し、外資規制はなく、自動認可の対象です。RBIへの事後の届け出のみで自動的に投資が認可されます。
会社の設立は、基本的に、2013年インド会社法(The Companies Act, 2013)に従って、手続きを行います。また、レストラン開業のためには、インド食品安全基準局から食品安全許可、警察署から食堂許可、物品税局から酒類販売許可など、それぞれ管轄の機関からライセンスを取得する必要があります。外国人が個人事業としてレストラン開業をする場合も、会社設立、各種許認可の取得、納税が義務づけられています。
I. 法人設立の手続き
- 納税者番号(Permanent Account Number:PAN)と電子署名(Digital Signature Certificate:DSC)の取得
インド所得税法上、全ての取締役は納税者番号(Permanent Account Number:PAN)の取得が義務付けられています。PANと、法人設立の手続きでオンラインでの書類提出の際に必要となる取締役の電子署名(Digital Signature Certificate: DSC)は紐付けが必要となっており、登記準備として、同時に取得します。DSCとPAN取得のための必要提出書類には、公証・認証取得が必要です。 - 会社名の承認
会社名の申請は、企業省中央登録局(Central Registration Center:CRC)のウェブベースのフォーム 「SPICe+(Simplified Proforma for Incorporating a Company Electronically Plus)」 を通して、オンラインで手続きを行います。既にインドにある会社名は承認されません。SPICe+で取締役識別番号(Director Identification Number: DIN)の申請も行います。取締役を3名以上おく場合のDIN取得は、SPICe+提出以前に、別途申請が必要となります。 - 会社設立証明書(Certificate of Incorporation: COI)の取得
進出地域(州)の企業登録局に、基本定款および付属定款、所在地届(住所が決定していない場合は、州のみの登録で登記が可能です。この場合、COI発行後15日以内のSPICe+における住所登記が必要となります)、DSCを提出し、登記手続きを完了させます。授権資本額が150万ルピー以下の会社設立の場合は、手数料は無料です。州の企業登録局での手続きが完了すると、CRCよりCOIが取得できます。 - 第一回取締役開催・銀行口座開設および資本金の払込
CRCから会社設立証明書(COI)を取得後、30日以内の第一回取締役会の開催が義務づけられています。銀行口座を開設し資本金を払い込みます。設立後180日以内の株式発行および企業登録局(Registrar of Companies、ROC)への発行済み登録、会社登記時に登記住所を登録しなかった場合はSPICe+での15日以内の住所登録完了後、事業開始が可能となります。
II. レストラン開業のために必要なライセンス
インドでレストランを開業する場合には、各州政府の関係諸庁などから様々なライセンスを取得するための手続きを踏む必要があります。下記は取得が義務づけられているライセンスの一覧で、これら以外にも必要となる場合もあります。
レストラン開業後は、各州政府が施行するレストラン等において雇用される労働者の労働条件を規律する店舗および施設法(Shop And Establishment Act)の遵守、法定計量局が規律する法定計量法(The Legal Metrology (Packaged Commodities)Rules ,2011)の遵守、従業員保険の加入が義務となっています。
ライセンス名 | 管轄機関 | 詳細 |
---|---|---|
食品安全許可取得 | インド食品安全基準局 | |
健康・取引許可 | 自治体 | 各自治体により異なる |
食堂許可 | 警察 | 各警察署により異なる |
酒類販売許可 | 物品局 | 各州により異なる |
レストラン承認 | 観光省(2.6MB) | |
音楽演奏許可 | 著作権管理機関 | |
環境衛生許可(水) | 州汚染管理局 | 各州により異なる |
環境衛生許可(大気) | 州汚染管理局 | 各州により異なる |
消防許可 | 消防局 | 各州により異なる |
エレベーター許可 | 電気管理委員会、労働委員会 | 各州によって異なる、ただしエレベーターが設置されているレストランのみ必要 |
各種保険(公的責任、製造物責任、火災保険など) | 保険会社 | 各保険会社による |
看板許可 | 自治体 | 各自治体により異なる |
関係機関
- インド準備銀行(Reserve Bank of India: RBI)
- インド企業省(Ministry of Corporate Affairs: MCA)
- インドレストラン協会(The National Restaurant Association of India: NRAI)
- インド食品安全基準局(The Food Standards and Safety Authority of India)
- インド観光省(Ministry of Tourism)
- インド著作権協会(Phonographic Performance Limited India)
- インド芸能権協会(The Indian Performing Right Society)
- インド消費者食糧公共配給省(Minister of Consumer Affairs, Food and Public. Distribution)
参考資料・情報
- ジェトロ:
- 外国企業の会社設立手続き・必要書類
- 外資に関する規制
- インドにおける店舗および施設法(504KB)
- インド商工省:
- Consolidated FDI Policy, 2015
- インド企業省:
- SPICe
- NRAI:
- 取得が必要なライセンス一覧
調査時点:2015年9月
最終更新:2021年2月
記事番号: A-001054
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