1. サイトトップ
  2. 国・地域別に見る
  3. 貿易・投資相談Q&A
  4. ワッセナー・アレンジメントにかかわるコンピュータ輸出手続き:日本

ワッセナー・アレンジメントにかかわるコンピュータ輸出手続き:日本

質問

ワッセナー・アレンジメントにかかわるコンピュータの輸出手続きについて教えてください。

回答

ワッセナー・アレンジメントは通常兵器や関連汎用品・技術について責任ある輸出管理を実施することにより、地域の安定を損なうおそれのある通常兵器等の過度の移転と蓄積を防止し、またテロリストグループ等、非国家主体による取得を防止することを目的とする国際的輸出管理体制(レジーム)です。コンピュータはその仕様によっては輸出管理の対象となり経済産業大臣の許可を受けなければ輸出できません。

I. 安全保障貿易管理

日本では、国際条約や、ワッセナー・アレンジメント(Wassenaar Arrangement: WA)(注1)を含む4つの国際輸出管理レジーム(注2)の規制内容を反映して、外為法等の下で、貨物の輸出や技術(プログラムを含む)の提供等についての規制を行っています。WAは、戦略物資の共産圏諸国への移転防止を目的としたココム (COCOM)体制終了後、米国、欧州、旧東欧諸国、ロシア等、日本を含む33カ国によって、新たな輸出管理体制として1996年7月にオランダのワッセナー市で成立しました(2017年11月現在、41カ国が参加)。WAで規制すべき内容については、参加国すべての合意が必要ですが、輸出許可・不許可の判断は各国の裁量に任されています。

II. リスト規制

コンピュータの輸出には、外為法に基づき「リスト規制」が適用されます。リスト規制の対象は、「輸出貿易管理令(輸出令)別表第1」の1項から15項に記載されている品目で、仕向地は全地域です。コンピュータは8項に「電子計算機若しくはその附属装置又はこれらの部分品」として記載されています。特に、ハイパーコンピュータ(High Performance Computer: HPC)やコンピュータの加重最高性能(Adjusted Peak Performance: APP)などはその仕様によっては経済産業大臣の許可を受けなければ輸出できません。規制内容の詳細については、経済産業省令(「貨物等省令」第7条など)に仕様(スペック)等が規定されています。暗号機能(注3)など高度な機能を持ち、武器製造に転用されるおそれのあるものは輸出許可が必要となります。また、「電子計算機の設計・製造・使用に係る技術・プログラム」等を「特定国」(外国)で提供したり、外国の非居住者等に提供しようとする場合には「外国為替令(外為令)別表」の8項や「貨物等省令」第20条の該当項目について、役務取引許可等の必要なものがあります。

なお、電子計算機の規制については、ミサイル関連資機材の輸出令別表第1の4項、外為令別表4の項にも規制がありますので、その審査も必要です。例えばロケットまたは無人航空機搭載用電子計算機は規制の対象です。

III. キャッチオール規制

リスト規制品目以外の全品目(食料や木材等を除く)について、2002年4月に導入された「キャッチオール規制(補完的輸出規制)」に基づき、一般に許可が不要な貨物(例えば、リスト規制対象外のコンピュータ)の輸出や技術の提供であっても、輸入者(需要者)等や技術の利用者が大量破壊兵器等の開発・製造・使用・貯蔵のために用いるおそれがあると輸出者が判断した場合、または利用者が開発等を行う予定もしくは行ったとの情報が輸入者等からある場合や、経済産業省から「貨物や技術の輸出許可申請が必要である」との通知(インフォーム要件)を受けた場合には、「輸出令別表第1の16項」「外為令別表の16項」により、輸出許可が必要となります(規制地域:ホワイト国以外の全地域)(注4)。 さらに、2008年11月に導入された「通常兵器に係る補完的輸出規制」(通称:通常兵器キャッチオール規制)の下で、非リスト該当品(貨物・技術)であっても、通常兵器の開発等に用いられるおそれがある場合には、輸出許可等が必要です(規制地域:国連武器禁輸国・地域や非ホワイト国)。

IV. 個人使用の場合の例外

海外出張や旅行の際に、一般市場で広く販売されているノート型パソコン(暗号プログラム搭載)を海外に持ち出そうとする場合は、通常、輸出許可・役務取引許可申請は不要とされています。ただし、海外出張先のホテル等で自己の業務やメール受発信に使用したり、展示会等で本人だけが操作したりするなど、あくまでも「個人使用」の場合に限定されます。

V. 経済産業省への輸出許可申請手続き

経済産業省への輸出許可申請手続きは直接窓口でも行えますが、インターネット上で「NACCS貿易管理サブシステム」を利用し、電子申請することも可能です。コンピュータの輸出や役務取引に関しては、規制内容の見直しも随時行われますので、経済産業省の相談窓口に確認してください。なお、輸出許可申請が不要と判断された場合であっても、輸出者は、輸出規制に該当するか否かの「該非判定書」(項目別対比表、パラメータシート)を作成しておく必要があります。

安全保障上、機微な(sensitive)貨物や技術については、WAを含む4つの国際レジームの会合で規制対象が決定され、それを受けて、国内法令等も随時見直しが行われますので、最新の法令等を参照することが必要です。

注1:Wassenaar Arrangement on Export Controls for Conventional Arms and Dual-Use Goods and Technologies

注2:WA以外の3つの国際輸出管理レジーム

  1. 原子力供給国グループ(Nuclear Suppliers Group: NSG)
  2. オーストラリアグループ(Australia Group: AG、生物・化学兵器関連)
  3. ミサイル技術関連グループ(Missile Technology Group: MTCR)

注3:「暗号装置又は暗号機能を実現するための部分品」については、輸出令別表第1の9の項(通信関連)、貨物等省令第8条などに規定されている。

注4:ホワイト国
4つの国際レジームに参加し、キャッチオール規制を含む安全保障貿易管理法令の整備が行われ、日本において「不拡散政策遵守国」と位置付けられ、輸出管理が適正に行われている国・地域(2017年11月現在、27カ国)。 アイルランド、米国、アルゼンチン、イタリア、英国、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、韓国、チェコ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、ルクセンブルク

関係機関

関係法令

参考資料・情報

調査時点:2015/11
最終更新:2018/02

記事番号: A-001001

ご質問・お問い合わせ

記載内容に関するお問い合わせ

貿易投資相談Q&Aの記載内容に関するお問い合わせは、オンラインまたはお電話でご相談を受け付けています。こちらのページをご覧ください。