化粧品の現地輸入規則および留意点:マレーシア向け輸出
質問
マレーシアにおける化粧品の輸入規制について教えてください。
回答
マレーシア側の輸入規制には、1984年薬物および化粧品管理規則(Control of Drugs and Cosmetics Regulations 1984)やASEAN化粧品指令などがあります。
I. 化粧品規則
ASEAN化粧品統一規則に関する枠組み(ASEAN Harmonized Cosmetic Regulatory Scheme: AHCRS)では、2008年1月1日までにすべてのASEAN加盟国は化粧品の製造、輸入、販売に関する法制度をASEAN化粧品指令(ASEAN Cosmetic Directive: ACD)に準拠するよう要求しました。マレーシアではACDに従い、2008年1月1日にマレーシアにおける化粧品管理のガイドライン(Guideline for Control of Cosmetic Products in Malaysia: GCCPM)が発効しました。このガイドラインでは所管の政府機関、通知手続き、販売後の監視、成分、表示義務、クレーム、推奨製造方法、製品のリコールや罰則、広告規制など多岐にわたる規則が定められました。その後、2017年2月1日にGCCPMが改訂され、2022年8月1日にGCCPM第2版が発効しました。
第2版のGCCPMは下記をご参照ください。
マレーシアにおける化粧品規制に関するガイドライン(Guidelines for Control of Cosmetic Products in Malaysia: GCCPM)(975KB)
II. 輸入手続き
- 医薬品サービスダイレクター(Director of Pharmaceutical Services: DPS)への通知
マレーシアで化粧品規則を管轄する政府機関は、マレーシア保健省管理下の医薬品規制庁(National Pharmaceutical Regulatory Agency: NPRA)です。輸入業者は事前にNPRAを通じて、DPSへ新たに輸入する化粧品に関する通知を行います。通知はマレーシア企業委員会(Syarikat Suruhanjaya Malaysia :SSM)に登録された企業によってのみ可能なため、日本の輸出者はSSMに登録されたマレーシアの企業に通知手続を依頼する必要があります。その際、委任状が必要です。通知は、NPRAのウェブサイトからNPRA Questシステムを通じてオンラインで行います。輸入業者は、通知に先立ち、NPRA Questシステムに登録をする必要があります。化粧品1品に付き50リンギの手数料がかかります。手数料が支払われてから1~3日後に通知書(Notification Note)が発行されます。通知書の有効期間は2年間です。更新手続は、有効期間満了の1カ月前までに行う必要があります。
NPRA Questシステムについては、下記NPRAのウェブサイトをご確認ください。
Industry & QUEST3+システムメインページ - 輸入関税
化粧品(HSコード: 3303、3304、3305)の関税率は0%、売上税(Sales Tax)は10%です。上記以外の関税は、「世界各国の関税率」でご確認ください。
III. 販売の要件
販売にあたっては、化粧品の適正製造基準に関するガイドライン(Guideline for Cosmetic GoodManufacturing Practice: GMP)(733KB)、 適正販売基準に関するガイドライン(Guideline on Good Distribution Practice: GDP)
(176KB)などの基準を遵守する必要があり、また、 化粧品の安全評価に関するガイドライン(Guideline for the Safety Assessment of Cosmetic Products)
(544KB) に定められた「化粧品の安全評価」を行う必要があります。さらに、化粧品販売業者は、 製品情報ファイルに関するガイドライン(Guideline for Product Information File)
(689KB)に基づき、化粧品に関する技術情報および安全情報を含む書類一式を製品情報ファイル(Product Information File: PIF)としてマレー語または英語にて整備し、最新の情報となるように適時に更新します。PIFは、NPRAが必要とする時にアクセスできるように保管しなければなりません。また、重大な有害事象が発生した場合にはNPRAに報告する義務があります。
IV. 化粧品の成分規制
化粧品の使用原材料に関しては、ネガティブリストとポジティブリストで管理されています。詳細については下記をご参照ください。
ネガティブリスト:
1952年毒物法(Poisons Act 1952)の毒物一覧表(Poisons List)(1.52MB)
GCCPMのAnnex II(配合禁止成分) (1.72MB)、Annex III(配合制限成分)
(1.61MB)
ポジティブリスト:
GCCPMのAnnex IV(着色剤) (975KB)、Annex VI(防腐剤)
(374KB)、 Annex VII(紫外線吸収剤)
(443KB)
V. 表示、ラベル
化粧品販売にあたっては、化粧品ラベル表示要件(Cosmetic Labeling Requirements)(681KB)に基づき、英語および/またはマレー語にて、化粧品の外箱、または容器・包装に製品に関する下記の事項を表示します。
- 製品名
- 用途
- 使用方法
- 全成分表示
- 製造国
- 化粧品通知保有者(Cosmetic Notification Holder)の氏名(社名)及び住所
- 内容量(重量または容量)
- 製造者バッチ番号
- 製造日または使用期限(最低耐久期間が30カ月未満の場合は使用期限を記載)
- 使用上の注意(特にAnnex III、 VI、 VIIにおいてラベルに使用条件および警告文を印字する必要があるとしてリスト掲載されている成分に関連している場合)
VI. その他
その他の化粧品に関するガイドラインなどについては、下記NPRAのウェブサイトをご参照ください。
化粧品ガイドライン(Annex I-VII)
関係機関
-
マレーシア税関(Royal Malaysian Customs)
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マレーシア保健省医薬品規制庁(National Pharmaceutical Regulatory Agency: NPRA)
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マレーシア投資貿易産業省(Ministry of Investment, Trade and Industry)
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日本化粧品工業連合会
-
マレーシア保健省(Ministry of Health)
関係法令
-
1984年薬物および化粧品管理規則(Control of Drugs and Cosmetics Regulations 1984)
(284KB)
-
マレーシアにおける化粧品規制に関するガイドライン(Guidelines for Control of Cosmetic Products in Malaysia: GCCPM)
(975KB)
-
適正製造基準に関するガイドライン(Guideline on Good Manufacturing Practice: GMP)
(733KB)
-
適正販売基準に関するガイドライン(Guideline on Good Distribution Practice: GDP)
(176KB)
-
化粧品の安全評価に関するガイドライン(Guideline for the Safety Assessment of Cosmetic Products)
(544KB)
-
製品情報ファイルに関するガイドライン(Guideline for Product Information File)
(689KB)
-
1952年毒物法(Poisons Act 1952)の毒物一覧表(Poisons List)
(1.52MB)
-
化粧品ラベル表示要件(Cosmetic Labeling Requirements)
(681KB)
参考資料・情報
- ジェトロ:
- 世界各国の関税率
調査時点: 2016年05月
最終更新: 2023年12月
※本記事は、日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所が中小企業海外展開現地支援プラットフォーム事業による調査として、TNY Consulting (Malaysia) Sdn Bhdに委託し、2023年12月に入手した情報に基づき作成した物です。
掲載した情報は作成委託先の判断によるものですが、一般的な情報・解釈がこのとおりであることを保証するものではありません。また、本記事はあくまでも参考情報の提供を目的としたものであって、法的助言を構成するものではなく、法的助言として依拠すべきものでもありません。本記事で提供する情報に基づいて行為をされる場合には、必ず個別の事案に沿った具体的な法的助言を別途お求めください。 ジェトロおよびTNY Consulting (Malaysia) Sdn Bhdは、本記事の記載内容に関して生じた直接的、間接的、派生的、特別の、付随的、あるいは懲罰的損害および利益の喪失については、それが契約、不法行為、無過失責任、あるいはその他の原因に基づき生じたか否かにかかわらず、一切の責任を負いません。これは、たとえジェトロおよびTNY Consulting (Malaysia) Sdn Bhdがかかる損害の可能性を知らされていても同様とします。
記事番号: A-000967
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