電子機器輸出におけるEMCの規則をクリアしていることを証明する書類:韓国向け輸出

質問

韓国に電子機器を輸出する際、EMCの基準をクリアしていることを証明する書類を用意するよう求められました。EMCの詳細について教えてください。

回答

電子機器が他の電子機器に影響を与えず、かつ他の電子機器からの電磁ノイズの影響を受けずに正常に動作することを「電磁適合性または電磁両立性がある(electromagnetic compatibility: EMC)」といいます。放送通信機器等を製造、販売又は輸入しようとするには、電波法に基づいた放送通信設備の適合性評価制度の3つのタイプの認証のいずれかを取得している必要があり、その規則を通称EMC規則と言います。

Ⅰ. EMC規則についての概要

  1. EMC規則について
    韓国では、科学技術情報通信部(MSIT)直下の機関、国立電波研究所(RRA)が管轄している電波法58条に基づいた放送及び通信機資材等の適合性評価制度があります。この制度では、分野別に技術基準があり、共通適用基準として電磁波適合性EMC基準があります。
  2. 個別適用基準について
    個別適用基準として、a.無線分野(放送分野を含む)基準、b.有線分野基準、c.電磁波身体保護分野基準があり、適合性評価対象機資材は、各分野の技術基準に適合しなければなりません。
    1. 無線分野技術基準
      人命安全に関連する適合認証対象無線機資材(Wi-Fi、Bluetooth、RFID、またはその他の無線通信技術などの無線技術を搭載した機資材)、および適合登録対象となる機資材の技術的な条件です。
    2. 有線分野技術基準
      電気通信網に接続される設備に対する電気的、機械的な危険を防止するための電気通信機資材の技術的条件です。
    3. 電磁波分野基準
      携帯電話や電子機資材などの放送・通信機資材から発生する不要な電磁波が放送や通信サービスに支障をきたすことや、他機資材の誤動作の誘発することを防止し、外部電磁波に対する耐性を持つようにするための技術要件であり、携帯電話、基地局、家電製品など、日常生活における電磁波から人体を保護するための技術的要件です。
  3. 適合性評価制度について
    適合性評価制度は、電波障害、人命安全、人体に有害な影響を与える等のリスクの大きさにより、a.適合認証、b.適合登録および c.自己適合確認(セルフ適合登録から自己適合確認に改正(「放送及び通信機資材等の適合性評価に関する通知」一部改正 国立電波研究院(RRA)告示第2024-12号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、施行日2024年7月24日))の三つに分類されています。適合評価ごとの対象となる製品は以下の通りです。
    1. 適合認証
      船舶局用レーダー、簡易無線局用無線設備機資材、LTE移動通信用無線設備機資材、生活無線局用無線設備機資材、IPカメラなどのインターネットプロトコルベースの映像情報処理デバイス、IPTVセットトップボックスなどが対象となります。
    2. 適合登録
      微弱電界強度無線機資材、ファクシミリ、ルーター、電気掃除機、電気洗濯機、電気マット、電動工具など、コンピュータ、モニタ、バーコードスキャナ、その他の情報機資材、移動式または固定式ロボットデバイスなどのデジタル機資材などが対象となります。
    3. 自己適合確認
      USBまたはバッテリーで駆動する家電製品(充電式バッテリーを含む)、照明器具、測定、検査、計測用機資材などが対象となります。

Ⅱ. 国立電波研究所(RRA)が管轄しているKC(EMC(無線、有線を含む))認証機関

国立電波研究所(Radio Research Agency: RRA)です。なお、認証マークとして、KCマークの表示が義務付けられています。放送及び通信機器海外製造者は、KC認証を直接または韓国の認証機関と業務提携関係にある第三者試験機関(認証代行機関)を通じて申請することができます。

Ⅲ. 適合性評価結果の表示内容について

適合性評価を満たした製品は下記の情報を当該基材の表面又は包装にわかりやすく印刷又は刻印するなどの方法で表示しなければなりません。

  1. 国家統合認証マーク(KCマーク)
  2. 機資材のモデル名
  3. 機資材の認証番号または登録番号
  4. 適合性評価を受けた者の商号
  5. 機資材名(または製品名)
  6. 機資材の製造時期(例:製造年月、製造年月組み合わせからなるロット番号、製造年月組合が含まれ、製造業者が製造年月を立証できる表示など)
  7. 機資材の製造者及び製造国

ただし、下記の場合は例外的な対応が認められています。

  1. 断面積最大400mm2以下の小型製品は認証マークまたは識別符号のみを表示する形でもよい。
  2. 適合性評価申請時に記載した製品のモデル名と製品の販売・広報時に使用するモデル名が同じである場合には、国家統合認証マークとモデル名のみを表示する形でもよい。
  3. 体内移植型心臓ペースメーカーなどのように、製品のデザイン上、製品や包装への表示が困難と判断される場合、取扱説明書に表示するか、表示を省略する形でもよい。

Ⅳ. 適合性評価申請時の必要書類

適合性評価申請のために必要な主な書類は下記のとおりです。

  1. 営業許可書
  2. 試験報告書
  3. 技術書類(回路図、部品配置図等)
  4. 部品の証明書(該当の場合)
  5. 取扱説明書(韓国語)
  6. 銘板(定格ラベル)
  7. 製品写真など

関係法令・資料

関係機関

日本国内における製品EMC試験・認証取得代行機関
テュフ ラインランド ジャパン(株)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
(株)UL JAPAN外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
一般財団法人日本品質保証機構外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
(株)キューセス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

※上記機関は、本記事作成にあたり収集した情報にもとづき例示したものですが、ジェトロが利用を推奨するものではありません。各機関にはお客様から直接ご連絡をお願いします。

参考資料・情報

ジェトロ
貿易・投資相談Q&A「KCマーク制度の概要」
MTEP(広域首都圏製品技術支援センター)
国別規格 韓国編 2020年3月PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.7MB)

調査時点:2017年3月
最終更新:2024年9月

記事番号: A-000937

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