外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用

最終更新日:2023年11月01日

外国人就業規制

現地人の雇用を優先させることが定められているため、外国人の長期雇用は所定の手続きをする必要がある。

在留許可

外国人の在留には、目的や滞在期間により、就労ビザ、学生ビザ、訪問者ビザ、居住ビザなどのさまざまな形態がある。
入国やビザ申請の条件は頻繁に変更されるため、移民局で最新の情報を得ることが望ましい。

管轄官庁

ニュージーランド移民局(Immigration New Zealand:INZ)

移民局は次の業務を管轄。「投資促進機関」参照。

  1. ビザ申請の審査
  2. 移民技術と労働力の誘致
  3. 雇用主の要求に合った移民観察
  4. 人々の移動をめぐる国境安全管理
  5. 移民の定着と定住サポート
  6. 政府の難民定数計画実施
  7. 移民法と政策準拠の監視

ビザ取得の必要要件に関しては、移民局のウェブサイトもしくは移民アドバイザーに確認すること。

永住権取得

ニュージーランドは、優秀な技術や専門的な資格を持つ人、ニュージーランドでビジネスを設立できる能力を持つ人、金融資産を投資できる人などの移民を歓迎している。
ニュージーランドで永住権を得るためのカテゴリーは次のとおりである。各々のカテゴリーの要件、審査が認められると、該当するビザが附与される。

  1. 技術移民カテゴリー
  2. 起業家カテゴリー
  3. 投資移民カテゴリー
  4. 一時的退職者訪問者ビザ
  5. グリーンリストカテゴリー
技術移民カテゴリー(Skilled Migrant Category

技術移民カテゴリーは、技術や資格のある人にニュージーランドで永住する機会を与える。審査はポイント制で、年齢、就労経験、資格、ニュージーランドでの仕事(専門性のある)のオファーの有無などでポイントが決まる。

技術移民カテゴリーの申請に必要な要件は次のとおり。

  1. 55歳以下。
  2. 健康である。
  3. 善良な性格である。
  4. 英語能力がある。
起業家カテゴリー(Entrepreneur Residence Category

起業家カテゴリーは高成長、革新的でニュージーランドの輸出に貢献する可能性のあるビジネスを設立する人に永住する機会を与える。事業開始後の期間の長さにより申請に必要な条件が異なる。
起業家居住ビザ(Entrepreneur Resident Visa)申請に必要な主な要件は次のとおり(ニュージーランドでの事業開始からの期間が6カ月以上2年未満の場合と、2年以上の場合で必要な要件が異なる)。

  1. ニュージーランドでビジネスを新設もしくは既存のビジネスを買収する。
  2. ニュージーランドで6カ月以上自営事業を行っている。
  3. 移民局に提出したビジネスプランに見合う投資を行っている。
  4. ビジネスで利益を上げており、法令を遵守している。
  5. ビジネスがニュージーランドに大きく貢献している。
  6. 英語能力がある。
  7. 健康である。
  8. 善良な性格である。
  9. 事業開始が6カ月以上2年未満の場合、以下の追加要件を満たす必要がある。
    1. 3.の最低投資額は50万NZドル以上(例外あり)。
    2. 最低3人のフルタイムの労働者(ニュージーランド市民または居住者)を雇う。
    3. 現在有効な「起業家就労ビザ(Entrepreneur Work Visa)」を保持している。
  • 移民局:起業家居住ビザ(Entrepreneur Resident Visa外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    ※永住権が申請できる起業家居住ビザとは別に、前段階として最長3年間有効な起業家就労ビザ(Entrepreneur Work Visa)が存在する。
  • 移民局:起業家就労ビザ(Entrepreneur Work Visa外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
投資移民カテゴリー(Migrant Investment Categories

ニュージーランドに投資をすることにより永住権を得ることができる。
※2022年7月、政府は投資家1および投資家2の居住ビザの申請は、2022年7月27日をもって終了し、新たに9月19日よりアクティブ投資家プラスビザ(Active Investor Plus visa)を導入することを発表した。新たなビザの申請要件は移民局のウェブサイトを参照。投資金額要件の他、語学力(英語)に関する要件なども設けられた。

一時的退職者訪問者ビザカテゴリー

最大2年間のビザだが、2年経過後もニュージーランド当局が定める条件を満たしていれば、更新申請が可能。申請に必要な要件は次のとおり。

  1. 66歳以上。
  2. 全ニュージーランド滞在期間をカバーする総合旅行健康保険に加入している。
  3. 75万NZドル以上の基金もしくは資産があり、それを2年間継続してニュージーランドに投資する。
  4. 50万NZドルの生活維持資産があり、申請時に年収が6万NZドル以上。
グリーンリストカテゴリー(Straight to Residence / Work to Residence Category

対象となる特定の雇用者(Accredited Employer)の元でグリーンリストの所定職業に就労しているか、雇用オファ―を受けている者が申請できる。
グリーンリストにはTier1Tier2の2グループ別に対象職業をリストアップされており、Tier1の場合は直接永住権を取得できる「Straight to Residence」ビザ、Tier2の場合は一定期間の就労を経てから永住権を取得できる「Work to Residence」ビザを申請できる。

就労ビザ

卒業生就労ビザ(対象コースと関連職種での就労限定)、スペシャルワークビザ(対象国、対象職業限定)、ワーキングホリデービザ(対象国限定)に大別される。

卒業生就労ビザ

ニュージーランドの教育機関で所定の専門・職業に関する1年以上のコースを修了した卒業生は、教育内容によって関連する職業に1~3年間就労できるビザ(Post Study Work Visa)を申請できる。
*2022年5月11日以前に同種ビザを申請した者は職業の制限なしに任意の雇用者の元で就労できる。

スペシャルワークビザ
  1. ASEAN‐オーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定(AANZFTA)を基に、フィリピン、ベトナム、インドネシアの市民権を持つ対象者(特定のスキルなどが要求される)には、スペシャルワーク・カテゴリーが適用される。このカテゴリーに含まれる就労ビザは、原則として特定職業の資格とフルタイムの雇用オファ―が条件であり、またビザタイプ(対象国ごとに)年間上限人数が規定されている。
  2. 中国:ニュージーランド‐中国自由貿易協定(NZCFTA)に基くスペシャルワークビザとワーキングホリデービザが適用される。
  3. 韓国:スペシャルワークビザとワーキングホリデービザが適用される。
  4. タイ:スペシャルワークビザとワーキングホリデービザが適用される。
  5. ベトナム:スペシャルワークビザとワーキングホリデービザが適用される。
ワーキングホリデースキーム

前述以外にも日本を含む多数の対象国に、ワーキングホリデースキームが適用される。

  • 移民局:日本・ワーキングホリデービザ(Japan Working Holiday Visa外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    18~30歳の日本国籍保有者が対象、年間上限人数なし。
  • 移民局:日本人通訳者ワークビザ(Japanese Interpreters Work Visa外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    所定の資格を有する日本国籍の通訳者で、ニュージーランド国内での観光業関連産業のフルタイム雇用オファ―が出ている場合、日本人通訳者ワークビザも適用される。

現地人の雇用義務

現地人の雇用を優先させることが定められているので、外国人の長期雇用は所定の手続きが必要。人種、性別、年齢、宗教、障害の有無、婚姻状況などによる雇用差別は違法。

雇用に関係する代表的な法律は、次のとおりである。

  1. 雇用関係法(Employment Relations Act 2000
  2. 同一賃金法(Equal Pay Act 1972
  3. 最低賃金法(Minimum Wage Act 1983
  4. 休日法(Holidays Act 2003
  5. 労働安全衛生法(Health and Safety at Work Act 2015
  6. 育児休暇および雇用保護法(Parental Leave and Employment Protection Act 1987
  7. プライバシー法(Privacy Act 1993
  8. 事故補償法(Accident Compensation Act 2001

最低賃金

2023年4月1日より、法定最低賃金は時給22.70NZドル(職業訓練中および16~19歳の職業開始時期は最低賃金の80%である時給18.16NZドル)。

医療システム

ニュージーランドには税金によって賄われる質の高い公的医療制度がある。公立医療施設での治療のほとんどが無料である。他の多くの医療サービス、医薬品への補助金制度もある。

一部補助を受けられる成人の一般開業医の診察料金は、通常50NZドル程度である。13歳以下の子供の診察料金と処方薬代は全額補助を受けられる。

ニュージーランドでは、基本的な歯科衛生サービスを、18歳未満の子供の場合は無料で受けられる。低所得者の緊急歯科治療は政府より補助金がある。

一般開業医(General Practitioner)の紹介で専門医にかかった場合や緊急でない手術は通常無料となる。民間健康保険に加入すれば、緊急治療を要しない病状の場合、(公立病院での場合のように)順番待ちすることなく、私立病院治療を受けることができる。民間健康保険に加入している人でも公的医療制度は利用できる。

ニュージーランド永住権保有者、ニュージーランドに2年以上の居住歴がある、または同期間以上居住する意思があるオーストラリア市民権または永住権保有者、2年以上のワークビザ所持者はニュージーランド市民と同一の公的医療保健のカバーを受けられる。
それ以外のビザ所有者は事故補償制度(ACC)の対象となるが、医療保険を自ら別途購入する必要がある。

事故補償制度(Accident Compensation Corporation:ACC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

事故補償制度(ACC)はニュージーランド居住者、短期訪問者へ適用される、過失に関係なく個人の傷害を補償する包括的な制度のことである。本制度は雇用者、被雇用者ならびに個人事業者から納められるACC徴収料で成り立っている。ACC徴収料は職種などにより異なり、毎年見直されている。職場での事故補償は、会社と自営業者が支払うACC徴収料によって、職場外での事故補償は、源泉徴収(PAYE制度)として個人と被雇用者の給与から差し引かれるACC徴収料によってカバーされている。雇用者は従業員のために安全な職場を提供し、仕事に関連した傷害を補償するACCに加入する義務がある。

  1. すべてのビジネスは、従業員のためのACC個人補償費用を支払う必要がある。
  2. ACC徴収料は徴収対象となる収入額(Liable earnings)、ビジネスの業種(Classification unit)に基づき計算される。
  3. ACCは従業員からも強制的に納付金を徴収する(被雇用者の給料から差し引かれる)。
  4. 従業員の支払額は給料に基づく。2022~2023年度の納付金は100NZドルの収入ごとに1.46NZドル。従業員最大の支払は1,993.54NZドル。

キウイセーバー

「税制:その他税制(キウイセーバー)」参照。

その他

新型コロナウイルス関連の国境規制は撤廃されているが、入国やビザ申請の条件は頻繁に変更されるため、移民局で最新の情報を得ることが望ましい。