税制

最終更新日:2023年11月01日

法人税

ニュージーランドの企業は、利益に対して法人税28%を支払う(内資、外資とも同じ税率)。

二国間租税条約

日本など主要貿易投資相手40カ国・地域と二重課税防止条約を締結。

ニュージーランド・日本二国間租税条約(Japan/NZ Double Tax Agreement:DTA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

日本の税居住者へ次の支払が行われる場合、源泉徴収税率は次のとおりとなる。

  1. 利息(利子所得):10%
  2. 特許権使用料(ロイヤルティー所得):5%
  3. 配当金:10%以上の所有権をもつ非居住者へ、税引き後収入からの配当金が支払われる場合は0%。
  4. 配当金:その他の場合15%

なお、税務については、複雑で専門的な分野となるため、専門家にアドバイスを求めることが望ましい。

多国籍構成が使用される場合、条約の恩恵適用を制限する各種「恩恵制限」条項がある。
本条約には、ある個人が、ニュージーランドに永住の拠点を持たない非居住者である雇用者にサービスを提供した際に適用される183日ルールと、特定自然資源探査/搾取タイプの活動に適用される90日ルールなどの「安全圏(Safe harbors)ルール」が含まれる。

個人がニュージーランドと日本両国の税務居住者となる場合、二国間租税条約に伴い「タイブレーカー(Tie-breaker)」テストが適用される。この場合、1つの国においてのみ全世界所得に対する税金を支払うことになる。しかし、もう一方の国での源泉所得にも課税される。

2017年、ニュージーランドと日本は、他の約100カ国とともに、各国が締結しているDTAの改定につながる多国間条約(Multilateral Instrument:MLI)に署名した。ニュージーランドと日本間のDTAに適用される本条約は2019年1月1日に発効した。
MLIにより、ハイブリッド事業体の利用制限や恒久的施設帰属所得の計上を含む「税源侵食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting:BEPS)」に関して影響が出るが、大半の事業にとっては限定的な適用となる。

その他税制

所得税、物品・サービス税(GST)、居住者源泉徴収税(RWT)、付加給付税(FTB)、強制労働保険(ACC)、固定資産税、その他の税がある。不動産購入税、相続税、印紙税はない。

所得税(Income Tax

課税対象:賃金、自営業所得、国民年金、投資所得、家賃収入、固定資産売却益(個人資産の売却を不動産業者が行った場合、もしくは居住用不動産を2年以内もしくは5年以内に売却した場合(以下キャピタルゲイン税参照)、海外から得た所得。

ニュージーランドでの税務居住者は、通常全世界からの収入に対し、所得税が課税される。

税務居住者とは、ニュージーランドに連続12カ月のうち183日以上滞在しているか、もしくは「永住の拠点」があるとみなされた個人である。「永住の拠点」とは、個人がニュージーランドに家や家族を持っていたり、社会との繋がりがある場合を言う。ただし、税務居住者とみなされる判断基準は、必ずしも明確ではない場合がある。

新しい移住者には一時的税務免除期間があり、税務居住者となってから49カ月以内は、外国からの不労所得は課税対象とはならない。

個人所得の税率:2021年4月1日から適用
(ニュージーランド・ドルを「NZドル」と略す)
年間所得 税率
14,000NZドルまで 10.5%
14,000超~48,000NZドルまで 17.5%
48,000超~70,000NZドルまで 30.0%
70,000超~180,000NZドルまで 33.0%
180,000NZドルを超える所得 39.0%

国内取引・資産等への課税

物品・サービス税(Goods and Services Tax:GST)

一般の商品・サービス価格には通常、物品・サービス税(GST)が含まれている。

  1. 税率:15%
  2. 居住用家屋の家賃、銀行ならびに他の金融機関の手数料は対象外。
  3. 輸出品はゼロレート(0%)のGST対象。

年間売上高6万NZドル以上の事業者はGST登録の必要があり、同6万NZドル未満の場合も登録は可能。ニュージーランドの消費者にリモートサービスを提供する非居住者事業者は、事業者ではないニュージーランド顧客への年間売上高が6万NZドル以上の場合、もしくは6万NZドル以上と予想される場合、GST登録する必要がある。リモートサービスの例には、電子書籍、オンライン映画、オンライン新聞購読、海外より行われるコンサルティング業等が含まれる。

条件が満たされた場合、ニュージーランドで事業を行っていない非居住者業者もGST登録が可能な場合もある。GST登録を行うことにより非居住者業者はGSTの還付を受けることができる(例としてニュージーランドにて開催された会議費用)。

ニュージーランド消費者へ物理的な商品を販売する非居住者事業者は、GST登録を行っていないニュージーランド消費者への年間売上高が6万NZドル以上の場合、もしくは6万NZドル以上と予想される場合、GST登録を行う必要がある。GST登録を行う義務のある非居住者事業者は、1,000NZドル未満の商品に15%のGST課税が義務付けられる。1,000NZドル以上の商品には、引き続きニュージーランド税関によりGSTが課せられ、商品受取人が支払い義務を負う。本改定は2019年12月1日に施行された。なお、税務については、複雑で専門的な分野となるため、専門家にアドバイスを求めることが望ましい。

  • 歳入庁:物品・サービス税(GST(Goods and services tax)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  • 歳入庁:GST登録(Registering for GST外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  • 歳入庁:海外企業のGST登録(GST for overseas businesses外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  • 歳入庁:プラットフォーム経済とクロスボーダー従業員に関する新規立法(Taxation (Annual Rates for 2022–23, Platform Economy, and Remedial Matters) Bill (No 2)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    2022年9月に新しい税法が制定された。主な新しい規定は次のとおり。

    1. UberやAirBnBなどのプラットフォーム経済を対象とする電子プラットフォームを通じて提供する交通輸送と宿泊サービスへのGST課税が明白化された。
    2. クロスボーダー従業員の申告義務の明確化:海外従業員が短期的にニュージーランド国内で得た収入または海外からリモートでニュージーランド国内へ源泉徴収されていない収入は、支払い日の20日後に発生した収入として課税対象となり、本人による申告義務が発生する。
  • ニュージーランド法規サイト:1985年物品・サービス税法(Goods and Services Tax Act 1985外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

源泉徴収税

  1. 居住者源泉徴収税(Resident Withholding Tax:RWT)

    配当金、利子所得は、通常、居住者源泉徴収税(RWT)として源泉徴収された金額となっており、ニュージーランドでの確定申告の際、税額控除として申告できる。源泉徴収の税率は、個人の所得額によって選択できる。法人の場合は利息の支払元にIRD番号と法人である旨を伝えている場合は、28%、33%、39% のいずれかの税率を選択できるが、特に申告がない場合は28%の税率が適用される。

  2. 非居住者源泉徴収税(Non-Resident Withholding Tax:NRWT)

    非居住者に支払われる配当金、利子所得に対するNRWTは、二国間租税条約に基づき、税率が異なる。
    日本の居住者に対するNRWTは、利子所得10%、ロイヤルティー所得5%。

    非居住者の貸し手とニュージーランドの借り手が関連していない場合、借り手はNRWTを0%に引き下げ、代わりに2%の認定発行者徴収金(AIL)の適用を申請することができる。

    配当金に対するNRWTは通常15%。ただし、会社の10%以上の所有権をもつ非居住者へ、税支払が行われた収入から配当金が支払われた場合は0%。

  3. 居住用土地源泉徴収税(Residential Land Withholding Tax:RLWT)

    非居住者が2015年10月1日以降に取得した居住物件を購入後2~10年以内に売却する場合、RLWTが差し引かれる。売却価格の10%か、利益の28%(法人の場合)もしくは利益の39%(トラストと個人の場合)かのどちらか低い方が課税される。次のブライトライン・テスト参照。

非居住請負人税(Non-resident contractors’ tax:NRCT)

非居住請負人税とは、ニュージーランド税非居住者(個人、会社、その他の団体)がニュージーランドにて契約業務を請け負って働いている場合に課せられる税。税の支払いは、請負契約上の支払者が支払金額から税額分を差し引き、請負人の代わりに税を歳入庁へ支払う。支払者は、ニュージーランド非居住者により記入された「請負業者に対する税率通知(IR330C)」を保管し、税率通知の税率にて非居住請負人税を差引く必要がある。税率通知を保持していない場合、非居住請負人の場合1NZドルにつき45セント(非居住請負人が企業の場合は20セント)の税を差引く必要がある。租税条約のもと税金控除項目が存在し、非居住請負人が税務局へ免除証明書の申告後、免除を取得している場合、支払者は非居住請負人税を差引く必要がなくなる。

キャピタルゲイン税

キャピタルゲイン税は通常適用されないが、次の場合、利益は税の対象となる。

  1. 資産(土地と建物を含む)の再販売を目的に購入した場合
  2. 特定の資産を事業活動の一環で購入した場合
  3. ブライトライン・テストの対象となる、住宅不動産のキャピタルゲイン

個人が所有する現金や資産には、通常、課税されない。
外貨の場合、為替差益は、課税対象となる場合がある。

ブライトライン・テスト(Bright-line test

2021年3月27日以降に居住不動産の購入契約を締結し、10年以内(新築の場合は5年以内)に売却して得られたキャピタルゲインは、例外が適用されない場合、課税対象となる。
ただし、住居不動産購入者がメインホームとして居住、または相続の1つとして名義変更が行われた場合等は免除となる。

贈与税

現在、贈与税制度はない。

付加給付税(Fringe Benefit Tax:FBT)

企業から従業員(役員も含む)に供与された経済的利益は、付加給付税(FBT)の対象となる。以下はその例である。

  1. 社有車の供与
  2. 無料もしくは市場価格より安価での商品・サービスの提供
  3. 低利の貸付、保険料

付加給付税率計算は金額ベースの累進課税から63.93%の単一税率を基本とするものへ改定されたが、各四半期で異なる税率を適用できるオプションなどがあり、詳細は会計士へ相談することが望ましい。

住宅補助の供与は、通常、付加給付税ではなく、従業員の所得税の対象となる。短期の異動に伴う住宅補助に関しては、一定の控除が適用される場合もある。

固定資産税

固定資産税には地方税的要素(上下水道・公園・道路・ごみ処理等)があり、税率は収入にかかわらず、不動産の価値によって決定される。

不動産売却税

一般的に不動産売却税はないが、一定の土地売却は居住用土地源泉徴収税の対象となる。前述「居住用土地源泉徴収税」参照。

海外投資、海外取引への課税

海外投資税(Foreign Investment Funds Tax

次の海外投資が5万NZドル以上の場合、海外投資税の対象となる。

  1. 株式保有率10%以下の株投資。ただし、オーストラリア上場会社への株投資のほとんどは、課税免除。
  2. 10%以下のユニット型投資信託
  3. 海外生命保険スキーム

新移住者の一時的免除期間内であれば、課税免除。なお、税務については、複雑で専門的な分野となるため、専門家にアドバイスを求めることが望ましい。

外国年金受給者への税金
  1. 外国からの年金または一括受取金の受給者に対し、税金支払義務が発生する。課税率はニュージーランドでの居住期間により変わる。
  2. 「移行期間居住者」ルールにより、新居住者には4年間これらの税金が免除される。
    つまり、移行期間居住者は、最初の4年間は、外国の年金をニュージーランドで課税されることなく、ニュージーランドに移動することができる。
  • ニュージーランド法規サイト:2007年所得税法(Income Tax Act 2007外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    ※セクションCF3に、年金に対する納税義務の規定(Withdrawals from foreign superannuation scheme)あり。
  • 歳入庁:外国年金受給者への課税(Foreign superannuation外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

移転価格税制(Transfer pricing

移転価格はOECDの原則に基づいたルールとなり、異なる2カ国で事業をしている関連会社間での取引は、第三者と同等の条件(Arm’s length)で行われる必要がある。これに違反した場合には、歳入庁は移転価格税制のルールを適用し、ニュージーランド側の当事者の収入や経費を調整することがある。
日本を含む他の多くの国においても、同様のルールが適用されている。
また、ニュージーランドでは、ハイブリッド事業体の利用制限や恒久的施設帰属所得の計上を含む「税源侵食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting:BEPS)」に関する通常のプロトコルも制定している。

過少資本ルール(Thin capitalisation rules

過小資本ルールとは、非居住者がニュージーランド会社の50%以上の株式と会社の純資産の60%以上にあたる有利子負債を保有している場合、利息控除を制限するものである。
過小資本ルールは、支店を介して営業している非居住者にも適用される。

その他

減価償却

減価償却は、事業活動で使用、保持するほとんどの資産で歳入庁が定めた率を適用できる。耐用年数が50年以上の居住用建物については、減価償却が認められていない。耐用年数が50年以上の商業用建物や工業用建物については、2021税年度から減価償却が認められる。

混合使用資産 (Mixed-use assets

混合使用資産とは、個人使用目的と同時に、レンタル収入などを得る目的に使用する資産で、5万NZドル以上のレジャー用船舶(Boat)、飛行機・ヘリコプター(air craft)、すべての休暇用住宅が該当。

当該資産の税控除は、その資産が個人使用・ビジネス使用にかかわらず、使用日数に基づき割当てられる。一定の状況下では、損失は制限され、控除は資産が収益を出している場合にのみ適用される。また、利息控除で特別な規則が適用される場合もある。なお、税務については、複雑で専門的な分野となるため、専門家にアドバイスを求めることが望ましい。

  • 歳入庁:混合使用資産の解説(Income tax:Mixed-use assets外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  • ニュージーランド法規サイト:2007年所得税法(Income Tax Act 2007外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    ※サブパートDGに関連規定(Expenditure related to use of certain assets)あり。

交際費(Entertainment

一般的に交際費は3つのタイプに分けられ、税務上の扱いが異なる。

  1. 完全に事業に関連するもの(従業員の出張に伴う旅費や食事など)
    100%費用計上可、付加給付税(Fringe Benefit Tax:FBT)課税対象外。
  2. 部分的に事業に関連するもの(通常の業務時間外や就業場所以外で行われ、プライバシーな要素を相当程度含むもの。例:会社主催のスポット、文化イベント、会社による別荘、保養地、ヨットなどの利用など)。
    一律50%費用計上可(実際のプライバシー要素の割合に関わらず)、付加給付税(FBT)課税対象外。
  3. 業績に対する奨励(食事券や旅行など)
    100%費用計上可、付加給付税(FBT)課税対象。

住宅賃貸物件の損失へのリングフェンシング(Ring-Fencing Residential Rental Property Losses

2020会計年度以降、該当物件の売却に対して、既にブライトライン・テストその他の規則に基づいて課税されている場合、または該当物件が混合使用資産の場合を除き、住宅賃貸物件より発生した損失は、その他の収入(給与、事業所得等)と相殺ができない。

研究開発税制優遇措置(R&D Tax Incentive

ニュージーランド政府は、2027年までに研究開発費をGDPの2%までに引き上げる目標を発表した。政府は研究開発税制優遇措置を導入することにより達成を目指している。主な優遇措置は次のとおりとなる。

  • 15%の税額控除(例として、経費は控除可能で、かつ15%の税額控除)
  • 最大1億2,000万NZドルまでの費用が優遇措置対象
  • 優遇措置を受けるための費用の最低額は年間5万NZドル
  • テクノロジー分野を含め、広い分野にて待遇が受けられるよう研究開発の定義設定

15%の税額控除は、2019税年度以降から有効。

  • 企業・革新技術・雇用省:研究開発税制優遇措置(R&D Tax Incentive外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

不動産売買に関する税務登録、情報開示義務

ニュージーランド国内不動産の購入、販売時に、ニュージーランドの税務番号を提出する必要がある。非居住者が税務番号を取得する際には、通常、ニュージーランドの銀行口座を開設する必要がある。ただし、歳入庁(IRD)が本人の身元に満足している場合、IRDの裁量でIRD番号が発行される。不動産取引では現在、不動産業者および弁護士は身元調査の実施が義務付けられているため、実際にはこのオプションは一般的となっている。

情報の自動交換

共通報告基準(CRS)に基づき、2017年7月1日より、ニュージーランドの金融機関は(免除がない限り)、非居住者が所有、もしくは(ある状況下で)運用している口座のレビューと情報を収集して、歳入庁に報告しなければならない。必要に応じて、歳入庁は日本を含む特定諸国の税務当局とその情報を共有する。

事故補償制度(Accident Compensation Corporation:ACC

事故補償制度はニュージーランド居住者、短期訪問者へ適用される、過失に関係なく個人の傷害を補償する包括的な制度のことである。本制度は雇用者、従業員ならびに個人事業者から納められるACC徴収料で成り立っている。ACC徴収料は職種などにより異なり、毎年見直されている。
補償対象:ニュージーランド国民、長期滞在者、短期訪問者。

  • ニュージーランド政府:事故補償公社(ACC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

詳細は「外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用」を参照。

キウイセーバー(Kiwi Saver

ニュージーランドでは、政府が提供する確定給付年金制度があり、一定条件(主にビザ条件とニュージーランドでの居住期間)を満たす65歳以上の人に年金が支給される。その他に、任意の確定拠出年金制度のキウイセーバーもある。
従業員がキウイセーバーに加入した場合、賃金および給与の年間所得の3%、4%、6%、8%ないし10%が天引きおよび積み立てされる。
民間の投資管理会社(Scheme Provider)は、加入者が選択したプランに基づき資金を運用する。
加入者である雇用者は、加入者の年間所得(税引き前)の最低3%分を負担することが義務付けられている。新採用の従業員はキウイセーバー加入が自動に行われるが、従業員は2~8週間以内に脱退する事ができる。
従業員が加入しない場合、または従業員がキウイセーバーを一時的にストップしている期間は、雇用主に3%の負担義務は発生しない。
他方、加入した場合は、加入者が満65歳になるまで、積立額の引出しは通常認められない。ただし、最初の家を買う場合や海外に永住する場合は例外。また、一時的な措置として新型コロナウイルスの影響による経済的困窮を証明した場合、拠出額の変更や一時停止、引出しなどが認められている。

欠損金(Tax Losses

欠損金は、49%の株主に変更がない限り、損失の発生時から控除の適用を受けるまで繰越が可能で、繰越には特に期限はない。
新型コロナウイルスの影響を受けた企業への救済措置として、2020年度と2021年度(事業年度)限定で、1年度分の欠損金を繰り戻し、前年度の納税額の還付を受けることが可能になっていた。また、納税者は、赤字決済が見込まれる年度の確定申告を待たずに赤字決算を見込んで申請できる。また、2021年度からは、赤字企業を買収した場合に、同一または類似事業を継続するのであれば、会社はその欠損金を保持することができる。

小規模企業向け融資制度(Small Business Cashflow Scheme:SBCS)

ニュージーランド政府は、新型コロナウイルスの影響を受けた企業への救済措置として、2020年5月に小規模企業向け融資制度(Small Business Cashflow Scheme)の申請受付を開始した。本制度により、フルタイム換算した従業員数が50人以下の企業および組織は、最大1万NZドル(2022年3月21日以降は、最大2万NZドルに上限引き上げ)およびフルタイムに換算した従業員1人当たり1,800NZドルの融資が利用可能。申請の受付は2023年12月31日まで。