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市場・トレンド情報

日本食品の輸入動向:拡大する緑茶の輸入

高付加価値な日本産

2011年2月
分野:食品・農林水産物

オーストラリア農業研究開発公社(RIRDC)が2009年に発表したアジア加工食品に関する報告書によると、2002~2007年の5年間に緑茶輸入量は32.4%、輸入額は27.8%増加した。日本産は輸入量、輸入額ともに中国産に次いで2位(2007年)だが、小売市場では付加価値の高い商品として認識されている。

輸入量・輸入額は10年間で2倍以上に

オーストラリア国内では、日本の大手飲料メーカーがビクトリア州北部で1990年代に輸出に特化した茶園をつくり、2004年から荒茶の工場を稼動させている。その他の日本のメーカーが、ニューサウスウェールズ州で試験的な栽培を行っている例はあるものの、現時点では国内の緑茶需要はほぼ全てを輸入に依存している。輸入量・輸入額は年によってばらつきはあるが、おおむね拡大傾向にある。

RIRDCが2009年に発表した同報告書によると、オーストラリアの2007年の緑茶輸入量は339トン、輸入額は230万オーストラリア・ドル(豪ドル)である。同年までの5年間の年平均の伸び率は、輸入量が6.5%、輸入額が5.6%となっている。

表:オーストラリアの緑茶輸入量・輸入額の推移
輸入量
(トン)
輸入額
(100万豪ドル)
2002年 256 1.8
2005年 502 2.4
2006年 387 2.5
2007年 339 2.3

出所:オーストラリア農業研究開発公社

国別の輸入量・輸入額(2007年)はともに、中国、日本、インドネシアの順に多い。輸入量のシェアは200トン弱の中国産が5割強、約60トンの日本産が約2割弱。輸入額で見ると約100万豪ドルの中国産4割強、約80万豪ドルの日本産が4割弱となっており、日本産の単価が高いことが分かる。

一方、財務省貿易統計によると、2010年の日本産緑茶(「緑茶(発酵していないもので、正味重量が3キログラム以下の直接包装したものに限る)=HSコード090210000」、および「その他の緑茶(発酵していないものに限る)=HSコード090220000」の合計)のオーストラリア向け輸出量は3万153トンと10年前の2001年と比較して128.3%増、輸出額は5,495万9,000円と同100.7%増と、いずれも2倍以上に伸びている。

図1:日本産緑茶のオーストラリア向け輸出の推移

出所:財務省貿易統計

日本産は単価の高さが際立つ

緑茶は一般的な欧州系オーストラリア人の家庭に広く浸透するまでには至っていないが、日本食レストランやアジア系移民を中心に一定の需要がある。日本料理店では、日本と異なり、緑茶を注文すると料金が加算されるケースが多い。

小売店の販売状況を見ると、茶葉よりもティーバッグの取扱いが圧倒的に多いことが特徴である。大手スーパー(コールズ、ウールワース)では中国産など、日本以外のアジア圏から輸出されたものが圧倒的に多く、日本産は殆ど販売されていない。一方、都市部に多いアジア食料品店では日本産緑茶も、中国産緑茶などとともに流通している。

シドニー市内中心部にあるアジア食料品店の売場を2010年2月下旬に調査したところ、緑茶のティーバッグでは、中国産(20袋入り=40g)は1.45豪ドル、日本産は伊藤園の「お~いお茶」(20袋入り=40g)が6.99豪ドル、福寿園の「伊右衛門」(20袋入り=40g)が8.55豪ドルで販売されている。葉だけを詰めた商品では、中国産(100g)が1.45豪ドル、日本産は「お~いお茶」(100g)が13.8豪ドル、「伊右衛門」(100g)が15.15豪ドルと、価格差が際立っている。

こうしたアジア食料品店では、オーストラリア在住の日本人顧客の割合は全体から見ると非常に限られているが、中国人などアジア系移民や滞在者の間でも日本産の高付加価値商品は需要がある。

主に外食店やアジア食料品店に日本食材を卸している日系卸売業者の幹部に取材したところ、「中国産緑茶は、ほとんどが需要のないジャスミン・ティーであるため、現時点では日本産緑茶しか扱っていない」とコメントした。しかし、中国産緑茶でも良い商品の引き合いがあれば検討するという。

また、シドニー北部にある小売店の経営者は「茶葉では日本産のみを扱っている。日本人だけではなく中国人も、中国産は衛生面や農薬の不安があると言って買わない」と述べている。緑茶を売り込むため昨年オーストラリアに出張した日本の緑茶老舗メーカーの幹部は「オーストラリア人には、高額でも、品質の高い商品の価値を理解してもらうのが課題だ」と話していた。

数量で上回る安い中国産に対して、日本産は高い付加価値を確保している。しかし、さらなる輸入拡大を図るには、一般的な欧州系オーストラリア人に対して啓蒙活動を行い、販路の主流である大手スーパーやコンビニエンスストアにティーバッグや缶入り緑茶飲料を売り込む必要があると言えそうだ。

減少する日本産のりの輸入 ‐ すし需要拡大も中国・韓国産の代替進む

オーストラリアでは過去10年ほどでテイクアウトの巻きずしや回転ずしの需要が急拡大しており、のりの消費量も大幅に伸びている。しかし、日本産のりのオーストラリア向け輸出量・輸出額は大幅に落ち込んでいる。緑茶とは対照的に、高価格な日本産ののりは低価格な中国産などに対して、あまり優位性がないようだ。

日本産は10年前の約10分の1に

国内ではオーストラリア農業研究開発公社(RIRDC)が中心となって海藻・海草類養殖の基礎研究を行ってはいるが、現時点ではのりは全量が輸入されている。

財務省貿易統計によると、日本産のり(焼きのり及び味付けのり=HSコード210690100)のオーストラリア向け輸出量は2001年の1万3,519kgから10年は1,222kg、輸出額も2001年の5,321万8,000円から2010年は533万7,000円といずれも10年前のおよそ10分の1の水準まで減少している。原因として、中国産、韓国産による日本産のりの代替が進んできていることがあげられる。

図2:日本産のりのオーストラリア向け輸出の推移

出所:財務省貿易統計

なお、RIRDCは、2009年のアジア加工食品に関する報告書の中で、食用の海草・海藻類(こんぶ、わかめ、のり)輸入について記載している。これによると、2003年には493トンであった同輸入量が、2007年には693トンとなり、4年間で40.6%増えた。輸入額は全体で2003年の690万豪ドルから2007年は910万豪ドルと31.9%増となっている。のりだけの輸入に関する国内統計はないが、すしの需要が伸びていることから、のりの輸入も拡大していると推察できる。なお、国別の海草・海藻類の輸入量・輸入額(2007年)はともに中国、韓国、日本の順に多い。日本のシェアは輸入量で約15%、輸入額で20%弱となっている。

日本人でも「違いは分からない」

日本産のりの市場性について日系食品卸業者の担当者にインタビューしたところ、「のりは日本、中国、韓国産を取り扱っている。小売店向けは日本産が主力だが、業務用は中国産が多い。業務用で中国産を使用しても、日本人が食べても(日本産との)味の違いは分からない。より安価な中国産を使って巻きずしなどを作っている外食店が多い」と話した。韓国産はすし用ではなく味付けのりだけを扱っており、スナック感覚でそのまま食べる人が多いという。

また、小売店の担当者は「日本産は仕入れ値が高いので販売していない。中国産の中にも高価で品質の高いものがあり売れている。安価な商品も需要がある」と語った。同店も韓国産はやはり味付けのりだけを扱っており「脂分が多く濃い味付けがアジア人だけではなく欧州系オーストラリア人にもスナックとして人気がある」としている。

1990年代の初めは、のりを巻いたおにぎりは、欧州系オーストラリア人に奇異な目で見られていた。食文化として黒い食べ物が異質(例外にイタリア料理のいかすみパスタが挙げられる)であることと、ビーチの波打ち際に打ち上げられている海草の腐った匂いの印象に強いことが背景にあった。

現在ではすしなどの日本食の普及に伴ってのりは市民権を得て、のりの輸入は増加している。しかし日本産ののりは、外食市場のすし用では中国産に、小売市場の味付けのりでは韓国産にそれぞれ圧倒されているのが現状だ。

(シドニー・センター)

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