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外食産業の動向:外食激戦区の日本食競合店を探る

新しいタイプのアジア系繁盛店が台頭

2011年1月
分野:食品・農林水産物

シドニーの中心街(CBD=Central Business District)の南部一帯は、中華料理を筆頭に東・東南アジアの料理店が軒を連ねる外食産業の激戦区だ。日本食レストランも密集している。この地区で日本料理店と直接競合する新しいタイプの繁盛店のコンセプトに焦点を当て、その成功パターンを検証した。

アジア各国の料理が食べられる地域

CBDを南北に貫く目抜き通りのジョージ・ストリートを北から南に歩いていくと、タウンホール(市庁舎)を過ぎた辺りから風景が一変する。次第に欧州系オーストラリア人の姿が少なくなるとともにアジア系が多くなり、リバプール・ストリートと交わる交差点まで来ると、通行人の大半がアジア系の若者になっている。

週末の夜になるとまっすぐに歩けないほど歩道は混雑しており、まるでアジアの大都市の雑踏のようだ。周辺の路地や雑居ビルにはアジアで流行している最新のファッションや化粧品、携帯電話、日本の人気ドラマや映画の海賊版DVDなどを売る商店が並び、日本や韓国の歌謡曲が流れている。

ジョージ・ストリートを中心に東西約500メートル、南北約1.5キロの長方形に囲まれたCBD南部のこの狭いエリアは、国内最大の中華街もあり、巨大な東アジア文化圏を形成している。1990年代に首相を務めたポール・キーティング氏はかつて「オーストラリアはアジアの一部だ」と言い切ったが、ここにあるのは一般的な欧州系オーストラリア人にとっては明らかに異質な空間だ。

フード・ビジネスも活気づいている。広東、四川、北京など各地の中華料理をはじめ、日本、韓国、台湾、マレーシア、シンガポール、タイ、インドネシアなどのあらゆる東・東南アジアの料理店が狭いエリアにひしめいている。

富裕層の若者に人気の日本料理

この地区の事情に詳しい外食業界関係者は「オーストラリア最大の外食激戦区だ。日本食はアジアの留学生に人気がある。学生といっても富裕層が多く、気に入れば頻繁に通ってお金を落としてくれる」と話す。この地域には日本人や韓国人の留学生やワーキング・ホリデーで来ている若者も多く住んでいるが、日本料理店の顧客の主流は、本土の中国人や東南アジアの中国系の富裕層の子どもだという。

グーグル・マップやレストラン批評サイトの検索結果によると、タウンホールから中華街までの地区内で営業する日本食レストラン数は少なくとも30軒。オーストラリア国内でも日本料理店が密集している地域とみられる。

成功している日本のラーメン店や回転ずし店の中には、毎日行列が絶えず1日中フル回転している店もある。北部郊外やCBD北部には高級日本食店が多いが、このエリアは客単価が昼食で15豪ドル前後、夕食で25~50豪ドル程度の低・中価格帯が主流となっており、いかに回転率を上げるかが課題となる。

前述の関係者によると、「同じアジア人でも食事のスタイルは異なる。中国人客は酒を飲まずにグループで大皿料理を取り分けて食べるため客単価が低いが、原価率の低いデザートを好み、酒を飲まないので回転率が高い、といった利点がある。一方、日本人客や韓国人客は酒を飲むので単価は高いが、長居するので回転率が低くなる」という。

外からキッチンが見える店が繁盛

この地区では、突出して繁盛している日本食店がいくつかある一方で、日本食以外の業態でも、行列のできる店が出てきている。こうした新手の店は料理の種類は異なるものの、洗練されたインテリアやメニュー、手ごろな料金といったコンセプトで日本食の人気店と共通する部分が多く、競合相手となっている。

待ちながら調理の様子が見物できるママック

「ママック(Mamak)」は中華街の中心に近いゴールバーン・ストリートにあるマレーシア料理店で、曜日に関係なく開店前から行列ができる超繁盛店となっている。通りに面したガラスの向こう側はキッチンになっていて、順番が来るのを待ちながら、店員が巧みな手さばきでロティ(東南アジア版のクレープ生地)を作るのを目の前で見物できる。メニューはロティにさまざまな具を巻いて食べるクレープ風の食べ物やアヤム・ゴレン(東南アジア風の鶏のから揚げ)、鶏のサテーなどがあり、前菜で5豪ドルから、主菜で7.5豪ドルから、と安価であるのも魅力となっている。

サービスのスピードが早く、長居できる雰囲気ではないため回転が早く、待ち時間は意外と短い。インテリアは現代風で清潔感があり、中華街にありながら欧州系のオーストラリア人も少なくない。オーストラリア人にとってレストランは予約をしてワインと一緒にゆっくり食事を楽しむ所であり、かつては店の前で行列を作って待つという習慣はなかった。しかし、日本人のように行列に並ぶこと自体を楽しむような若い世代も現れてきているようだ。

遅くまで客足が耐えないチャット・タイ

「チャット・タイ(Chat Thai)」は、中華街からジョージ・ストリートを渡った東側のタイ人街にあるタイ料理店。この店も待たずに着席できることはまずない。ママックと同様に入口にオープン・キッチンがあり、調理の様子が外からのぞけるようになっている。正面は全面ガラスで店内は明るく、天井の高いレンガむき出しの壁もワンランク上のイメージを打ち出している。しかし、客単価は25~30豪ドル程度と割安感がある。タイ料理は一般に広く普及しており、オーストラリア人の味覚に合わせて現地化が進んでいるが、同店は、かに肉の春巻きなど、ほかにない独自メニューで差別化している。たいていの料理店が午後9~10時ごろに閉店するオーストラリアで午前2時まで営業しているのも人気の秘密だろう。

揚げ物がずらりと並ぶホーム・タイのオープン・キッチン

洗練されたインテリアとオープン・キッチン、独創的なメニューといった同様のコンセプトは、中華街の北側のサセックス・ストリートのタイ料理店「ホーム・タイ(Home Thai)」も採り入れており、2009年末のオープン直後から行列ができる人気店となっている。

一方、「ディン・タイ・フォン(Ding Tai Fung)」は、ジョージ・ストリート東側の複合商業施設ワールド・スクエア内にオープンした台湾系大手中華料理のオーストラリア1号店である(同社ウェブサイトによると日本国内にも11店舗を展開)。看板メニューの小龍包など点心類が売りのこの店は、席数120ながら数十分待ちは当たり前という繁盛ぶり。ここも店内で大勢のスタッフが黙々とギョウザや点心を包む様子を外から見ることができる。

これらの行列ができる店はここ数年以内にオープンした新しい店ばかりだ。いずれも共通点が多く、ハード面では、(1)店の外から見える清潔なオープン・キッチン、(2)洗練された内装デザイン。ソフト面では、(3)これまでにない斬新なメニュー、(4)手ごろな料金。経営面では、(5)客に長居をさせず回転率を上げる工夫をしている、といった特徴がある。

また、アジアのフード・ビジネスの最新トレンドをオーストラリアに積極的に導入して奏功している側面もある。ディン・タイ・フォンのように、これまでオーストラリアでは不振続きだった海外の大手外食産業の進出にも成功例が出てきている。行列のできる繁盛店では先行していた日本勢も、勢いのある新手のアジア料理店の台頭を静観してはいられないようだ。

(シドニー・センター)

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