技術・工業および知的財産権供与に関わる制度
最終更新日:2023年12月28日
- 最近の制度変更
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2024年8月16日
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技術・工業および知的財産権供与に関わる制度
WTO加盟国間の協定に準拠。特許は出願日から20年有効。
米国でビジネスを行う際、特許や著作権、商標登録等の知的財産権に関する法規に留意することは重要。制度的にはWTO加盟国間の協定に準拠している。特許権、著作権、商標権それぞれに関するWTOルール概要は、次のとおり。
WTO "TRIPS(Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights)"
- 特許(Patent)
特許の有効期間は、特許出願日から20年。ただし、連邦機関の審査の遅れなどにより特許付与が遅れた場合には、特許期間の延長が認められることがある。
2011年9月のオバマ大統領の署名を経て、「特許改革法(America Invents Act of 2011)」が成立した。これにより、特許権はこれまでの先発明主義(先に発明した者に付与)を廃止、先願主義(先に出願した者を優先して付与)に移行することが決まり、2013年3月16日以降の出願から適用されている。
- 著作権(Copyright)
著作権の有効期間は、著作物が創作された時期、著作物の種類などによって異なる。- 1978年1月1日以降に創作された著作物については、次のとおり。
- 原則は、著作者の生存期間およびその著作者の死後70年。
- 共同著作物は、もっとも長く生存した著作者の生存期間およびその著作者の死後70年。
- 無名著作物、変名著作物および職務著作物は、最初の発行の年から95年、または、創作の年から120年のいずれか短い期間。
- 1978年1月1日より前に創作された著作物の保護期間は、1978年1月1日より前に発行されていたか否か、著作権登録の有無などによって異なる。
U.S. Copyright Office(USCO) "How Long Does Copyright Protection Last?"
- 1978年1月1日以降に創作された著作物については、次のとおり。
- 商標権(Trademark/Service Mark)
商標権の有効期間は、商標登録の日から10年。更新可能。
米国特許商標庁(USPTO) "Trademark Electronic Application System (TEAS) - Basics"
- 独占禁止法(Anti-Trust Law)
これらの知的財産のライセンシングについては、独占禁止法(Anti-Trust Law)との関係に注意する必要がある。詳細は、連邦司法省発行の「知的財産権のライセンシングのためのアンチ・トラスト・ガイドライン」 を参照。
参考:「知的財産権のライセンシングのためのアンチ・トラスト・ガイドライン」
司法省 "Antitrust Guidelines for the Licensing of Intellectual Property"- 水平的取引制限は、合理性(行為の判断は、市場に与える反競争的効果の有無により判断する原則)に基づき、違法かどうか判断される。
- 再販価格維持の条件付帯はケースバイケースで、その行為の垂直的価格制限の分析に基づき、違法かどうか判断される。
- 抱き合わせ販売の条件付帯は、反競争的側面と合理的側面のバランスから、違法かどうか判断される。
- 競合技術の取扱禁止の条件付帯は、ライセンサーの技術の利用促進の観点と競合技術の排除の観点を考慮して、違法かどうか判断される。
- クロス・ライセンシング(特許権者相互の許諾)およびパテント・プール(複数の特許を一元的に集め、合理的に活用すること)は、反競争的な条件付帯がなければ可能。
- グラント・バック(ライセンシーが特許の改良を行った場合に、その改良技術を特許権者に譲渡する、または実施権を与えること)は、合理性に基づき、違法かどうか判断される。
各種知的財産権に関する詳細情報:
税関・国境警備局(CBP)ウェブサイト "Intellectual Property Rights Search:IPRS"
既に認められた特許や申請中の特許、それらの詳細内容も閲覧できる。 - 知的財産権の電子記録オンライン・システム
税関・国境警備局(CBP)は、知的財産権(Intellectual Property Rights:IPR)を侵害する商品の取引摘発や没収を可能にするIPR保護プログラムを積極的に推進している。
CBPは、その骨子であるIPRR(Intellectual Property Rights e-Recordation)オンライン・システムを開発し、IPR所有者がIPRを電子申請できる環境を整備した。IPRRとは、IPRの所有権を証明する書類を、IPR所有者が電子的に登録・申請するシステムである。それによって、申請から登録完了までの時間を大幅に短縮できるようになった。IPRRを利用すると、例えば、紙による申請書や関連書類の提出が省略でき、クレジットカードでの支払いや商標図柄の同時アップロードも可能である。
IPRR処理は、CBPが受領した順番に行う。電子登録申請費は190ドル。その際、関連書類も一緒に送信しなければならない。登録に必要な書類に関する説明は、商標の場合は19 CFR 133.3に、著作権の場合は19 CFR 133.33に規定されている。CBPに必要書類がすべて受領されるまで、登録は保留となる。
知的財産権のCBPへの登録の有無は、CBPウェブサイト(IPRS)で検索が可能。同ウェブサイトのデータベース「IPR data」は以前、CEBB(Customs Electronic Bulletin Board)で管理されていたが、IPRS(Intellectual Property Rights Search)に移管された。
また、CBPはIPRを保護するために、IPR違反物の割出しや摘発に役立てるようIPRに違反した商品やそれらの取引に関する資料や統計を整理し、ウェブサイトに掲載している。
年度 |
米国内における押収物の価値総額 (製造業者提示価値ベース、100万ドル) |
米国内における押収件数 (件) |
---|---|---|
2009 | 2,065 | 14,841 |
2010 | 1,413 | 19,959 |
2011 | 1,110 | 24,792 |
2012 | 1,262 | 22,848 |
2013 | 1,744 | 24,361 |
2014 | 1,226 | 23,140 |
2015 | 1,352 | 28,865 |
2016 | 1,383 | 31,560 |
2017 | 1,206 | 34,143 |
2018 | 1,400 | 33,810 |
2019 | 1,555 | 27,599 |
2020 | 1,309 | 26,503 |
2021 | 3,330 | 27,115 |
出所:IPR Annual Seizure Statistics(CBP)
参考:
米国特許商標庁(U.S. Patent and Trademark Office:USPTO)
"Trademark"
※ジェトロ「知的財産に関する情報」ページ、および調査レポート「米国における事業進出マニュアル」内の「特許権、意匠権、著作権、営業秘密」も参照のこと。