1. サイトトップ
  2. 国・地域別に見る
  3. 北米
  4. 米国
  5. マーケティング情報
  6. 日本産および日系企業現地生産品の小売での販売動向 ‐ 可能性ある緑茶や地方名産品
市場・トレンド情報

日本産および日系企業現地生産品の小売での販売動向 ‐ 可能性ある緑茶や地方名産品

2011年2月
分野:食品・農林水産物

ここでは、まず、米国の景気動向と食品の売り上げを概観し、日本食品の販売動向を、主にニューヨークを中心とした日本食品の商社および小売店からの聞き取り調査、店頭調査、マスコミ報道、インターネットでの一般公開情報のリサーチをもとに報告する。輸出増が期待できる商品としては緑茶を取り上げた。また、日本食品の輸出拡大につながる試みとして、日本の地方の名産品の販売を促進すること、あるいは日本産食品のブランドを普及確立するといったアイデアも取り上げている。

米国の景気回復で食品の売り上げ好調

2010年11月にダウ平均株価がリーマンショック前の水準を回復して以降、米国の株価は順調に上昇してきている。2011年2月に入って、ダウ平均の終値が1万2,000ドルを上回るなど、米国景気の回復傾向が鮮明になりつつある。米国労働省による雇用統計でも、2011年1月の失業率は9%で依然として高い水準ではあるものの、2010年の月平均失業率の9.63%より下がっている。

一方で、1月に発表された米国国勢調査局による、食料品店の売り上げ予想額は、494億ドル(9月)、497億ドル(10月)、500億ドル(11月)と3カ月連続で上昇している。ちなみに、2009年12月から2010年11月までの1年間の食料品店の修正済み売り上げ予想額の月平均は490億ドルで、2008年12月から2009年11月までの食料品店の修正済み売り上げ予想額の月平均479億ドルと比べて、2.3%増加した。同期間における食料品の消費者物価指数が1.7%の上昇であることを考慮しても、食料品の売り上げは伸びているといえる。

円高の影響−年末から店頭価格がさらに上昇

聞き取り調査によると、引き続く円高の影響で、日系小売店における日本産食品の店頭価格は、年末から1~2割、上がっていることが分かった。

2010年末から2011年2月までの売り上げ状況を日系小売店に聞いたところ以下の通り。

  • 2割ほど値上げした当初は売り上げが落ちたが、価格が下がる気配がないので、客足が戻った。
  • 店頭価格は2割ほど上がっているが、総売り上げはそれほど変わっていないので、購買品数が減っているようだ。
  • 仕入れ値が10~15%上がったが、店の利益を削っても店頭価格は10%以内の値上げに抑えるようにしている。
  • 店頭価格は、年末から1割ほど上がっている。2011年に入ってからは、客数は減っているが売り上げが伸びているので、客単価は上がっている。
  • 仕入れ価格が1割弱上がり、それに応じて店頭価格も1割弱値上げした。しかし、年末は売り上げが伸びて、春から夏にかけておちるというパターンどおりに、年末から売り上げは伸びている。

全体的に総売り上げは横ばいか、若干伸びている。しかし、価格の上昇を考慮すると、販売量が減っているか同量程度といえ、日本産食品の輸出という面で見た場合は、依然として厳しい状況が続いているようだ。

値上がりの影響をできるだけ抑えるために接客を良くし、店内をきれいに保つなどの努力をしている店もあった。

また今冬、ニューヨークは大雪に何度も見舞われたため、雪の影響が大きかったが、雪の予報が出るたびに、その前日に客足が伸びることもあり、売り上げ面では結果的に、それほど深刻な影響はなかったようだ。

日本食品の小売動向−日系商社・小売業者への聞き取り調査結果

本調査では、3社(4営業所)の日系商社(※1)、6軒の日系小売店(ニューヨーク市内3店、郊外3店)(※2)、日本食品も扱っている2軒の中国系小売店(※3)、1軒の韓国系小売店(※4)(すべてニューヨーク市内)から協力を得た。米系の小売店に関しては、一部の協力しか得られなかったため、6店舗(すべてニューヨーク市内)に出向いて、販売状況を調査した。米系の内訳は、3社4店舗の一般スーパーマーケット(以降、米系普通店)(※5)と、ナチュラル系スーパーマーケット(以降、ホールフーズ)(※6)1店舗、グルメ系スーパーマーケット(以降、フェアウェイ)(※7)1店舗である。

日系商社の取引先は、大きく小売店とレストランに分かれる。小売店は日系、韓国系、中国系が中心で、レストランはほとんどが日本食レストランであった。

日系の小売店では、日本人客の割合は平均50%、米国人、アジア系他が平均50%だった。中国系では、中国人50%、米国人他が50%だった。韓国系では、日本人30%、韓国人60%、その他10%だった。米系では、店舗からの聞き取りはできなかったが、観察の結果では、地元の米国人がほとんどであった。

日系移民の人口が減少していることを考えると、日本食品の売り上げを伸ばすためには、非日本人のマーケットを拡大することが重要となる。その点から見ると、米国人ほかの客層が5割の日系および中国系の小売店の動向が、市場での先端の動きを観察するのには適していると考えられ、日本食品の浸透度を見るには、米系のスーパーの動向を観察するのが適していると考えられる。韓国系小売店は、客層が偏っているため参考程度にとどめた。他にマスコミ報道、インターネットでの一般公開情報のリサーチも加えて、前回取り上げなかった食品およびレストラン向けの食品を取り上げて、本報告書を作成した。

※1, Daiei Trading Co., Inc.(ダイエートレーディング社)、JFC International Inc. Los Angeles Branch(JFC インターナショナル ロサンゼルス支店)、JFC International Inc. New York Branch(JFC インターナショナル ニューヨーク支店)、New York Mutual Trading, Inc.(ニューヨーク共同貿易社)
※2, Family Market(ファミリーマーケット アストリア店)、JAS Mart(ジャスマート)、Katagiri(片桐商会)、Mitsuwa Marketplace(ミツワマーケットプレイス)、Nara Japanese Foods(ナラジャパニーズフーズ)、Shin Nippon Do(新日本堂)
※3, Kam Man Foods Products(金門食品公司)、Tokyo Mart(東京市場)
※4, Hanahreum Asian Mart(ハンナルウムエイジアンマート マンハッタン店)
※5, D’Agostino(ダゴスティーノ)、The Food Emporium(フードエンポリアム)、Key Food(キーフード)。ニューヨーク市内の代表的なスーパーマーケットチェーンである。調査対象店は、キーフード(86St/アッパーウエストサイド)、ダゴスティーノ(76Stと83St/アッパーイーストサイド)、フードエンポリアム(82St/アッパーイーストサイド、および本部)
※6, Whole Foods Market(ホールフーズマーケット ユニオンスクエア店)。テキサスを本拠地とするオーガニック系のマーケット。ヘルシー志向を受けて、最近急成長している。全米に279店舗を展開。
※7, Fairway Market(フェアウェイマーケット アッパーウエスト店)。グルメ系でありながらリーズナブルな価格で人気のある店。ニューヨークを中心に7店舗を展開。

日本産食品で、人気がある商品

日系商社、日系小売店はもちろんのこと、中国系、韓国系小売店も日本産食品を幅広く扱っているため、人気がある食品は多岐にわたっている。

(めん類)

日系商社、小売店からの回答で共通してあがった、安定した売れ行きの商品は、そば、うどん(乾めんと冷凍めん)、インスタントラーメン(袋入りとカップめん)のめん類であった。

そば・うどんに関しては、日本からのそうめんも含めた2010年の対米輸出量が約4,500トン、輸出額が約11億2,000万円だった。20年前の1990年と比べて数量で1.9倍、金額では1.6倍だった。2000年との比較では、量・額ともに10%増、前年比では横ばいとなっており、この10年間は、輸出量・額ともに、ほぼ横ばいで推移している。伸びが鈍化している理由として、韓国産のうどんが参入したこと、また米国人一般がうどんやそばに特別な関心を寄せてはいないということを考えると、輸出量・額が今後大幅に伸びる要因は今のところは見当たらない。

インスタントラーメンに関しては、依然人気はあるものの、2009年にFSIS(米国農務省食品安全検査局)による食肉含有製品の輸入規制が強化されたことを受けて(※8)、それまで輸出できていた食肉エキスを含んだ製品の輸出が困難となり、2008年までは順調に増加していた輸出量・額は、2010年に、2008年の数量で6割、金額で7割にまで落ち込んだ。食肉エキスを含まないラーメンも輸出されてはいるものの、規制強化の影響は非常に大きいといわざるをえない。

※8,米国農務省食品安全検査局(FSIS/Food Safety and Inspection Service)によって、2009年6月22日以降、食肉製品(牛肉、豚肉、鶏肉等、および食肉エキスを含む製品)に対する規制が強化された。それまで日本から輸出できていた製品も、輸出が困難となった。

表1:日本のインスタントラーメンその他即席めんの対米輸出量と輸出額推移
1990年 2000年 2008年 2009年 2010年
輸出(トン) 1,437 2,074 3,352 2,057 1,940
輸出額(百万円) 705 951 1,217 930 846

出所:日本財務省貿易統計

めん類以外では、下記のような食品があげられた。

(パン粉)
米国には、日本のパン粉を細かく砕いたような「Bread crumb」はあるが、歯ざわり等が全く違い、日本のパン粉の方がおいしいと人気がある。Pankoはすでに英語になりつつあり、日系小売店のみならず、中国系、米系一般スーパーやフェアウェイ、ホールフーズでも売られている。ただし、日本産だけではなく、外国産のものも売られている。

(しらたき)
ノーカロリーでダイエットにいいスーパーヌードルとして、雑誌で取り上げられたらしく、米国人女性がよく買っていくとのことだった。サラダに加えて食べたりしているようである。

(季節物食材)
鍋物、おでん種、寄せ鍋の素、ぽん酢など。

(酒かす)
日本のテレビ番組で酒かすが取り上げられた模様で、米国で再放送された同番組を見たり、番組内容をインターネットで読んだりした日本人を中心に、最近よく売れているとのことである。

健康・安全志向

「みんな長生きしたいと思っているので、健康的なイメージの日本食に米国人は関心がある」との、ある米系一般スーパーのマネージャーの言葉どおり、日本食はヘルシーだとの印象は定着している。かつては、ヘルシーな食品に関心を示す米国人は少数だったが、2001年にホールフーズのマンハッタン1号店が開店したころから、健康に気を遣い、オーガニックなものを求める人が増えてきている。

ある日系小売店主によると、最近は、健康に良いと聞くと、食べ方がわからなくても試してみようとする米国人が増えており、そういった米国人が買っていく食品が、みそ、納豆(主に日本産)、豆腐、とうふしらたき(米国産、ハウス食品製造)、枝豆(主に中国産)あたりで、ごく最近は、梅干しを買っていく米国人も少数ながら増えてきているとのことである。また、日本産のものは中国産よりもはるかに値段が高いが、食の安全を考えて、例えば、のり、しいたけなども、日本産を求める客が日本人のみならず、米国人、また中国人にも少なからずいるとのことである。日本産のうなぎも、安全面と柔らかくておいしいとの理由から、売れているとの店があった。

レストラン向けの売れ筋食品

日系商社が日本食レストラン向けに卸している売れ筋食品は、えびシューマイ、かきフライ、ロブスターサラダ、めん類、冷やしワカメ、海草類、こんぶ、けずり節、西京みそ、しょうゆ、米酢、ゆず酢、ゆずジュース、ゆず胡椒、七味、八丁みそソース、とんかつソース、蒲焼のタレ、キューピーマヨネーズ、笹の葉、カニカマ、はまち、さんま、さばなどであった。

上記日系商社では、レストラン顧客の多くが日本食レストランとの回答であったが、その日本食レストランのオーナーは、日本人が約2割、中国人が5割、韓国人が3割と言われている。つまり、8割が中国人と韓国人で占められている現状であり、それらのオーナーが日本人オーナーほど日本産の食材にこだわりを持っていないことを考えると、今後さらに、日本産食材と外国産食材(米国産を含む)の価格競争が促され、米国での現地生産化、調達化が進むだろうとの意見が聞かれた。

非日本食レストラン向けの売れ筋食品としては、ゆずジュース、ゆず胡椒、黒豆枝豆、たまりしょうゆ、玉あられ、花かつお、こんぶ、とんぶりなどがあがった。

日本産食材の販路拡大のためには、非日本食レストランに食材を売っていくことも重要となる。その点に関して、ある日系商社の回答によれば、ここのところずっと続いている日本食ブームで、ゆずやみそなどを使う非日本食レストランが増えているが、実際に日本の食材に対する知識と技術があるシェフは、ニューヨークでもごく少数に過ぎない。そのため、例えば、常に新しいものを求めているレストランは、食材が無料で提供されれば試しに使うが、基本的な技術がないので、継続してその食材を使うことには、なかなか繋がらないのが実情であるとのことだった。また、非日本食のレストランがゆずやみそを使うといっても、隠し味程度のものが多く、例えば、みそ500gを使うのに1カ月かかったりするので、日系商社側としては、非日本食レストランをビジネスの取引相手として考えた場合は、なかなか難しい部分があるとのことであった。

日系企業の現地生産品で人気がある商品

豆腐のように柔軟な発想を

日系、中国系、韓国系小売店はもちろんのこと、米系小売店にも必ず置かれていて、 米国人の食生活に定着している商品は、しょうゆと共に、豆腐が挙げられるだろう。ただし、しょうゆは日本産と米国産が売られていたが、豆腐はその製品特質から、現地産のみとなっている。豆腐を米国で生産する主な企業は、日系のハウス食品とMorinaga Nutritional Foods(以下、Mori-Nu)、中国系のVitasoy(NasoyaとAzumayaブランドで豆腐を販売)である。現在、健康食品としての豆腐は米国で完全に定着しており、さらに豆腐および大豆に対する知識が普及したことにより、ヘルシー志向の米国人を中心に、豆乳や大豆ベースの代用肉、大豆スナックにも関心が向けられている状況である。

Mori-Nuの雲田康夫氏によれば、1980年代後半、米国人の嫌いな食べ物第一位として豆腐があげられており、販売を始めて非常な苦戦を強いられていた。しかし、米国人の老婦人から豆腐をミキサーにかけて、トーフ・シェイクにして食べるという話を聞いたことで、発想が転換されたと言う。豆腐は四角で白く、食べ方は日本式にならうというそれまでの固定観念からの脱却が、豆腐販売に活路を開いた。

こういった柔軟な発想は、豆腐に限らず、日本の食材を外国で販売する場合には必ず持たなければならないものである。したがって、米国人の生活に豆腐が定着し、大豆という食材に対する知識が普及するとともに、豆腐以外の大豆製品に対する関心が増している現在、さらに自由な発想のもと、米国人の好みに合うような大豆関連の食品を開発するということも、検討の価値があると思われる。

豆腐以外では、下記のような食品があがった。

伊藤園のフルーツティー(りんご、マンゴ、ピーチ、ブルーベリー、なし味など)、ビール(カナダ産)、インスタントラーメン、ガリ、日本の野菜(日本人の農家が栽培している)。

レストラン向けの売れ筋食品

日系商社が日本食レストラン向けに卸している売れ筋食品で、日本産食材と競合する製品として挙がったものは、天ぷら粉、しょうゆ、酢、西京みそ、ゆずジュース、豆乳、うなぎのタレなどで、非日本食レストラン向けでは、前記のうなぎのタレの代わりにみりんが加わったものが回答として寄せられた。

日本産と競合する外国産品や非日系企業の現地産品

前回および前々回で取り上げたのり(2010年10月参照)やみそ(2010年12月参照)のほかにも、日本産と競合する製品は数多くあるが、枝豆(中国、台湾、タイ産)やわかめ中国、韓国産)は、小売店、商社から共通してあげられた食品であった。

枝豆は、日系、中国系、韓国系小売店のみならず、米系の小売店でも販売されており、完全に米国人の生活に定着している。ただし、米国で販売されている枝豆は、「Edamame」という表示ではあるものの、大部分が中国産、台湾産である。これは、日本産の枝豆が中国産や台湾産の枝豆に取って代わられた結果ではない。

20数年前にEdamameビジネスを始め、苦戦の末、米国市場での販売を成功させた日本人ブローカーK氏によれば、当時、米国に輸入されていた枝豆は、台湾産、中国産しかなかったとのことだ。これらの枝豆は、品質、味、香り、サイズが整っていて、しかも価格が当時も現在も、米国産の5分の1とのことで、もちろん価格面では、日本産もかなわない。枝豆に関しては、日本産ののりが後発組の中国産に取って代わられた状況とは違い、当初から中国産や台湾産が米国市場でシェアを握っていたのである。

K氏によれば、数年前には、中国産食品の安全性に対する懸念が高まり、例えば、トレーダージョーズ(※9)では、中国産の枝豆の販売が中止され、現在は代わりに、タイ産の枝豆が販売されているようである。一方、オーガニック食品を数多く扱うホールフーズでは、中国産と米国産の枝豆(共に、通常の商品とオーガニックの商品)を販売しているが、米国産は価格が高いため、ほとんど売れていない模様である。

このような状況を考えると、日本産の枝豆は、その安全性、おいしさを前面に出しても、価格が高いことから、中国産、台湾産、タイ産の枝豆と競合することは、難しいと言えそうだ。

わかめに関しては、韓国は、もともとわかめを常食とし、養殖技術を持っている国だが、中国産のわかめは、約20年前に日本から養殖技術が導入されて、大連周辺の海域で生産が始まったものである。しかし、価格が安いため、米国で販売されているわかめの大半は中国産、そこに韓国産が加わっているような状況だ。わかめの栄養価に関しては、健康に関心のある米国人にはよく知られており、Wakameという言葉も英語として定着しつつある。

のりのおいしさがわかる米国人はまだまだ少ないが、わかめに関しては、さらにその数は下回ることだろう。従って、日本産わかめのおいしさをアピールして販路を拡大することは、現状では難しいと思われる。

枝豆、わかめ以外では、次のような回答が寄せられた。

うどん(韓国産)、練り物(タイ産)、冷凍おでん(台湾産)、スナック(台湾産)、カリフォルニア米、魚(メキシコ、スペイン産)、韓国の大手食品会社農心の製品(例:辛ラーメン)等。

※9, Trader Joe's (トレーダージョーズ)カリフォルニアを本拠地とするグルメ・マーケット。中間流通を省くことで、低価格を実現している。全米で353店舗を展開。

レストラン向けで、日本産と競合する食材

日本食レストランに卸している日本産食品と競合する外国産品に関しては、下記のような回答が寄せられた。

冷凍そば・うどん(中国産)、シュウマイ(中国産)、枝豆(中国、台湾産)、わかめサラダ(中国、タイ産)、冷やしわかめ(中国産)、漬け物(中国産)、カニカマ(中国産)、うなぎ(中国、台湾産)、さば(ノルウェー産)、たこ(中国、スペイン産)、いずみ鯛(中国産)

輸出増が期待できる食品は

緑茶の可能性

日本からの輸出増が期待できる製品としては、日本酒(2010年12月報告書を参照)と緑茶という回答が、多く挙がった。緑茶の対米輸出量・額を見ると、最近はその増加率が落ちているようだが、健康志向で牽引されてきた緑茶ブームをそこで終わらせずに、ヘルシーと同時に、おいしい緑茶というイメージを確立していくことが重要との意見が聞かれた。

表2:日本の緑茶の対米輸出量と輸出額推移
1990年 2000年 2005年 2009年 2010年
輸出(トン) 169 205 353 1,063 1,136
輸出額(百万円) 157 321 664 1,626 1,963

出所:日本財務省貿易統計

緑茶(ティーバッグ、茶葉)の販売先としては、小売店とレストランが考えられる。まず、小売店を見てみると、緑茶のティーバッグは、ホールフーズやフェアウェイのみならず、米系普通店でも数多く販売されていることがわかった。例えば、ダゴスティーノでは米国や英国の企業の9つのブランド、フードエンポリアムでは、7つのブランドが置かれていた。それら製品のほとんどは、パッケージの宣伝文句で抗酸化作用をうたっており、緑茶が健康によいというイメージが米国では定着していることがよくわかる。また、フレーバー付きの緑茶も多い。逆に言えば、緑茶本来の味が人気を呼んでいるというよりは、健康志向と合致した形で飲まれていると言ってもよいだろう。

これらのティーバッグは、米国産の表示があるものもあるが、多くはブレンドした国、パッケージした国の表示はあっても、茶葉の原産地の表示がない製品が多いため、どこの茶葉が使用されているのか不明な製品が多かった。ただ、新しいブランドの参入という点で考えた場合、米系小売店の棚取りの熾烈さから、すでに数多くの緑茶ブランドが並んでいる米系一般スーパーの店頭に新たに割り込んでいくことは、困難を伴うと言える。

フードエンポリアムに並ぶ緑茶のティーバッグ

レストラン向けの緑茶の輸出増大の可能性に関して、複数の流通業者と共同貿易のN氏に話を聞いた。

まず、一般の日本食レストランでは、現地産の低価格の緑茶を無料で提供しているところが圧倒的に多いとのことである。したがって、この現地産のお茶の価格に対抗できる、安価で質の良い日本産の緑茶があれば、輸出ニーズは確実にあるとのこと。

一方で、最近、高級日本食レストランなどでは、日本産の緑茶の葉を見せたり、匂いを嗅いでもらったりしながら緑茶を選んでもらい、紅茶や珈琲と同じように、有料で提供する店が出始めてきているとのことだ。この方向がもっと進んでいけば、輸出の増大につながっていくはずである。ただし、このような高級日本食レストランは、全体から見ればごく一部であるため、大幅な輸出増をすぐに期待することは難しいかもしれない。しかし、緑茶の味と高品質を訴えていくことで、最終的には日本産の緑茶のブランドを確立することにつながっていくはずである。

また、米国人で緑茶の味がわかる消費者は、まだ圧倒的に少なく、現在は、裾野をどれだけ広げることができるかという段階だと言ってもいい。例えば、日本食レストラン以外のレストランで緑茶を有料で飲んでもらうためには、緑茶単体ではなく、紅茶やハーブティー、フルーツティーなど、様々な種類のメニューの一つとして緑茶を用意し、それらのティーバッグを実際に客に見せて選んでもらうやり方が効果的ではないかとの意見が聞かれた。緑茶は通常、有料なので、日本食レストランでは無料の緑茶を期待する客も、日本食以外のほかのレストランでは、有料の飲み物と並んで緑茶があれば、お金を払うことに対する抵抗は少なくなると思われるからだ。

なお、米国内の緑茶の流通に関しては、緑茶だけを扱う専門の流通業者が数多く存在するために、通常の流通業者が入っていくことはかなり難しいとのことだった。

ボトル・缶入り飲料に関しては、米国では、コーラなどの炭酸飲料が主流を占め、茶系飲料の人気は低い。その中で、伊藤園が2002年に、無糖の緑茶ボトルの販売を開始したが、米国人の健康志向と緑茶に対するヘルシーなイメージが合致し、着実に売り上げを伸ばしている。米系一般スーパーなどでは、リプトンなどの砂糖入りの緑茶のボトルが、依然として主流を占めてはいるが、肥満と甘い炭酸飲料の関係が問題となっている最近の米国では、今後も、無糖茶の人気は続いていくと思われる。

また、2005年にスターバックスが、抹茶ドリンクの販売を始めたことで、抹茶の輸出量が増加している。ここでも、抹茶の抗酸化作用の高さが注目されて、抹茶はグリーンティー・ラテなど飲料に使うだけではなく、菓子や料理の材料としても使われているようだ。トーフ・シェイクによって、豆腐が米国人に受け入れられたことを考えると、抹茶も米国人の嗜好に合わせた使い方を提案していくことが、輸出増につながっていくと思われる。

なお、米国では健康に関心のある人は特に、オーガニックにこだわる傾向がますます強くなっている。緑茶や抹茶もオーガニックの製品を開発していくことが、今後の輸出増大に向けて、重要になると思われる。

HACCP(※10)対応をしている水産物および加工品

日本食レストランでは、日本から仕入れた鮮魚を食材にしている店がかなりある。また、旬の魚や魚介類の加工品が手頃な値段で入手できるならば、ぜひ買いたいという店もあり、それなりの需要がある食材である。しかし一方で、日系商社からの聞き取りでは、HACCPそのものに対する知識がない日本の企業が少なくないとのことであった。輸出を考える前に、まず基本的な知識の徹底が望まれるところである。

※10, HACCP: Hazard Analysis and Critical Control Point) 。危害分析重要管理点のことでハセップと読む。食品の安全性を確保するため、製造工程から消費にいたる段階で、発生する可能性のある危害(HA)を予測し、その危害を防止する管理ポイント(CCP)を特定し、そこを重点的に監視する一連のシステムをいう。FDA(米食品医薬品局)は、魚介類およびその加工品の米国への輸出に関しては、FDAの要件を満たすHACCPの適用を義務付けている。

地方の名産品の可能性

共同貿易のN氏は、中小企業にとっての輸出ニーズとして、地域的な特産物の可能性を次のように指摘している。

「今後の日本産食材のニーズを考えると、それは他では真似できない日本の伝統に基づいた歴史的、地域的特産物になると思われる。日本に古くから伝わる技術やその土地の人の労力を一心に込めた商品は、現地生産では賄えないものである。従って、それらの商品の価値を理解してもらえるシェフや、その地域に縁のあるシェフには、興味を持って使ってもらえるのではないかと思う。しかし、このように特徴のある商品に関しては、造り手のサポートなしでは販売は難しい。造り手が販売者といっしょに現地に入り、市場を回り、直接、商品の使い手に思いを伝えていくことが、販売につながると考えている」。

また、全国共通の食品ではなく、通常の流通業者の眼から漏れてしまうような、地方の名産品の販売を提案しているのが、郷土料理レストランのO氏である。「日本の地方に行けば行くほど、米国人にとって斬新なものがあるはずである。例えば、米国人は辛いものが好きなので、ゆず胡椒などは、絶対に受けると思う。ただし、食べ方がわからなければ売れないので、米国人向けの食べ方を工夫し、それをメディアで取り上げてもらえるように働きかけるといった、いろいろなアプローチが必要だろう」という。

日本の食材を日本食に使うのではなくて、米国人にとってなじみのある料理に、うまく適応させるレシピを考えていくことが、新しい食材を売っていく際には、必要だとの意見も聞かれた。地方の名産品を、日本料理の食材としてではなく、米国料理の食材として売り込んでいくというやり方も、効果があるかもしれない。

(ニューヨーク・センター)

  1. サイトトップ
  2. 国・地域別に見る
  3. 北米
  4. 米国
  5. マーケティング情報
  6. 日本産および日系企業現地生産品の小売での販売動向 ‐ 可能性ある緑茶や地方名産品

マイリスト マイリストを開く 追加

閉じる

マイリスト
マイリスト機能を使ってみませんか?
ジェトロ・ウェブサイトのお好きなページをブックマークできる機能です。
ブックマークするにはお好きなページで追加ボタンを押してください。