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市場・トレンド情報

外国産品の先行事例分析 ‐ イタリア産食材の米国市場への浸透と現状

2010年12月
分野:食品・農林水産物

米国では、19~20世紀初頭のイタリア移民の大量流入時期を経て、100年以上にわたってイタリア料理の米国化が進むと同時に、食材も現地生産されてきた。こうした歴史的経緯を踏まえて、イタリア料理の食材の浸透と現状について報告する。

米国市場におけるイタリア食材の歴史的背景

イタリア移民の歴史

米国のイタリア移民は1880年代から1890年代にかけて増加し、その人口は第一次世界大戦前までに数百万人に膨れ上がった。出稼ぎ労働者も多かったが、多くは定住し、ニューヨークやボストンなど東部を中心にリトルイタリー(イタリア系住民が多く暮らす地区)が形成された。レストランと食材関連企業を経営する移民も多く、米国におけるイタリア料理の大衆化につながった。現在も米国では20都市以上にリトルイタリーが存在する。

2008年の米国国勢調査局発表(※1)によると、イタリア系米国人は1,784万人で、全人口の約6%を占め、ドイツ系、アイルランド系、英国系に次いで多い。

※1, “Population by Selected Ancestry Group and Region: 2008” The 2010 Statistical Abstract - Population(米国国勢調査局)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

イタリア食材の現地化
パスタ類

イタリアがルーツであるパスタやピザ、ミートボール、ラビオリ、ラザニアなどは、今では一般的な米国家庭料理となっている。中でもパスタ料理は輸入食材に依存せず現地化されたインスタント食品として普及し、ピザやハンバーガーとともに米国料理の地位を築いた。安価で手間のかからない主菜として、20世紀初頭にはすでに大量生産化の傾向も見られた。米国人の嗜好に合ったこと、パスタ、パスタソース、チーズなどの素材は現地調達が簡単であったこともパスタ類が普及した要因である。パスタの1種であるマカロニを使ったマカロニ・アンド・チーズは、イタリア料理ではないが米国では長い歴史があり、1937年にはすでにクラフト社が「クラフト・ディナー」としてインスタント食品化している。その他の、パスタ料理がインスタント食品化した2例を挙げると以下の通り。

  1. Chef Boyardeeパスタ缶詰
    イタリア移民でレストラン料理人であったエトーレ・ボイアルディ(Ettore Boiardi、BoyardeeはBoiardiの英語読み)は、自分のレシピを利用したパスタ料理の缶詰をChef Boyardeeブランドとして立ち上げ、1928年に工場生産を開始した。同氏が興した企業は第二次世界大戦後も成長を続け、何度かの買収を経て、現在はConAgra社の食品ブランドのひとつとなっている。現在もChef Boyardeeブランドで、ミートソースパスタやラビオリなどのパスタ缶詰をはじめ、レンジ調理食品、ピザミックス・キットなどの商品がスーパーで売られている。

  2. RAGUパスタソース
    イタリア食材店を営むイタリア移民のジョバンニとアスンタ・カンティサノ夫妻(Giovanni & Assunta Cantisano)は1937年、自家製造したパスタソースの店頭販売や、近所を回っての訪問販売を開始した。同夫妻のソースはその後RAGUブランド製品として人気を集め、1946年にはニューヨーク州ロチェスター工場で生産が開始され、本格的に商業化が始まった。夫妻が設立したRAGU Packing Companyは、息子ラルフの代だった1960年代に年商2,200万ドルの企業に成長した。ラルフは1969年に同社をChesebrough-Ponds社に売却した。1986年、Chesebrough-Ponds社が多国籍企業Unilever社に買収されたことを受け、RAGUブランドも同社に引き渡された。RAGUブランド製品は、現在も米国パスタソース市場で確固たる地位を保っている。

オリーブオイル、バルサミコ酢、チーズなど

パスタと違い、オリーブオイルとバルサミコ酢については、米国において現地生産が伸びた経緯はない。オリーブオイルは天候条件などから米国での生産は限られており、イタリアやスペイン、ギリシャなどからの輸入に依存している。バルサミコ酢については、米国で需要が伸びてきたのは2000年代に入ってからである。一方、チーズに関しては、パスタ料理やピザにも使うモッツェレラ、パルメザンなどは米国でも浸透しており、米国での生産の歴史も長い。

米国におけるイタリア産食材の消費の現状

2009年における米国のイタリアからの輸入総額(全産業を含む)は、264億ドルだった。そのうち食品類(加工食品、農産物、水産物を含む)と飲料(酒類を含む)は、輸入総額の約12%を占め、うち加工食品は5.7%を占める。2005年から輸入総額が減少する中で、ワインを中心とする飲料と食品は増加傾向にある。

表1:米国のイタリアからの食品・飲料輸入額推移(単位:100万ドル)
2005 2006 2007 2008 2009
総額(全産業) 31,009 32,655 35,028 36,135 26,430
飲料
(3121—BEVERAGES)
1,278 1,394 1,550 1,599 1,502
加工食品
(311—FOOD MANUFACTURES)
1,394 1,505 1,606 1,746 1,498
農産物
(111—AGRICULTURAL PRODUCTS)
59 68 101 1,134 97
水産物
(114—FISH, FRESH/CHILLED/FROZEN & OTHER MARINE PRODUCTS)
1.1 1.3 2 1.9 1.3

出所:米国商務省統計

乾燥パスタ

1914年にパスタの乾燥技術がイタリアで確立すると、輸出が本格的になり、米国への輸出も増大した。そのころ、イタリアではパスタ輸出量(全世界向け)がすでに70トンを記録し、パスタ輸出大国の道を歩み始めていた。

米国におけるパスタ消費量は2009年、14億ポンド(約63.5万トン)に達した(※2)。米国はイタリアに次いでパスタ生産量が多く、国全体の消費量は世界最大である。しかし一人当たり消費量でみると、イタリア人の26キロに対し、米国人は9キロとその3分の1程度である。
※2, 米国パスタ協会(NPA:National Pasta Association)による。

表2:世界主要国のパスタ生産量と消費量(上位10カ国)

国名 2010年推定生産量(トン)
イタリア 3,194,152
米国 2,532,809
ブラジル 1,300,000
ロシア 858,400
エジプト 400,000
メキシコ 325,000
ベネズエラ 324,261
ドイツ 301,000
アルゼンチン 291,300
ペルー 252,841
日本 144,500
国名 一人当たり年間消費量(kg)
イタリア 26.0
ベネズエラ 12.0
チュニジア 11.7
ギリシャ 10.4
スイス 9.7
米国 9.0
スウェーデン 9.0
チリ 8.3
ペルー 8.3
フランス 8.1
日本 1.7

出所:欧州パスタ製造業界団体(UN.A.F.P.A.: Union of Organizations of Manufactures of Pasta Products of the E.U.)

一方、イタリア産パスタの対米輸出量は、2008年は世界的な景気低迷が影響し、前年同期比でマイナスに転じている。2009年にイタリアはパスタ生産量の約半分(165万8,491トン)を世界に向け輸出している。同年の米国向け輸出量は、ドイツ向け(33万2,425トン)、フランス向け(25万7,623トン)、英国向け(24万1,479トン)に次いで多い。

表3:イタリアの対米パスタ輸出量推移
2005 2006 2007 2008 2009
輸出量(トン) 155,565 157,327 160,886 114,406 121,155

出所:イタリアパスタ製造業界団体(UN.I.P.I.:L'Unione degli Industriali Pastai Italiani)

オリーブオイル

オリーブオイルの国別生産量は、スペインが世界1位で全生産量の36%、2位がイタリアで同25%となっている。消費量ではイタリアが1位で、それにスペイン、ギリシャと続く。イタリアはオリーブオイルの輸入国でもあり、スペイン、ギリシャ、チュニジアなどから輸入している。

北米オリーブオイル協会(North American Olive Oil Association)によると、2008年の米国のオリーブオイル消費量は7,900ガロン(約25万トン)、年間消費額は7億2,000万ドルにのぼる。米国のオリーブオイル国内生産量は90万ガロン(約3万トン)と非常に少なく、消費のほとんどは輸入に依存する。北米オリーブオイル協会によると、米国のオリーブオイル輸入量は1995年からの10年で倍増した。

表4:米国の食用オリーブオイル輸入量推移

輸入量(千トン)
1990 97
1995 122
2000 204
2004 246
2005 256
2006 242

出所:北米オリーブオイル協会

年度(9月末期) 輸入量(千トン)
2007 250
2008 245
2009(推定) 254
2010(予想) 260

出所:国際オリーブ評議会

(北米オリーブオイル協会では2007年以降の米国輸入量を発表していないため、国際オリーブ評議会のデータを参照値と付け加えた。正確には、両者は統計の期間が異なるため連続しない。)

米国によるオリーブオイル輸入量は2004年ごろから25万トン前後で安定しており、この市場をオリーブオイル輸出国が互いに奪い合う形となっている。報道(※3)によると、イタリアからの輸入は2000年までは全輸入量の7割近くを占め、2003年は63%だったが、2009年に56%まで縮小した。一方、チュニジアからの輸入は同期間に伸びており、2003年の7%から2009年には16%に拡大した。スペインもこの数年、米国向け販売促進策を強化しており、対米輸出を増やしているという。
※3, Olive Oil Times外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます (オンライン業界誌)

バルサミコ酢

米国では2002年以降、バルサミコ酢や赤ワイン酢、フレーバー付きの各種酢商品が数多く市場に投入された。業界団体である酢インスティテュート(The Vinegar Institute)の統計では、米国の酢の小売総売上高(年間売り上げ200万ドル以上のスーパーのみ)(2006年)は2億2,000万ドルを超えた。なかでもバルサミコ酢や赤ワイン酢を含むスペシャリティー酢(オーガニック酢を含む)は2005~2006年の伸び率が高く、売上高のシェアも約45%を占めた。しかし、これは同カテゴリーの製品単価が高いためであり、米国の酢販売量に占める割合は約12%に過ぎない。残り88%は安価な穀物を原料とする白酢(white distilled)、またはリンゴ酢である。特に白酢の販売量は大きく、食用よりも家庭での掃除や殺菌の用途に使われることが多い。スペシャリティー酢やオーガニック酢は単価が高いにもかかわらず、高級食用酢の需要拡大の波に乗り、2000年代半ばから伸び率が増加している。

米国では、イタリアのバルサミコ酢生産地以外で作られた製品も、Balsamic Vinegarの名称で販売されている。酢インスティテュートによると、Balsamic Vinegar of Modenaとして、イタリアのモデナの地名入り名称で販売されているものは、イタリアからの輸入品と考えてほぼ間違いないという。それ以外の製品は、米国産バルサミコ酢も数多いという。イタリア産バルサミコ酢の販売量は全体から見ると少ないと推定される。

EU規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます では、バルサミコ酢の認定を受けられる製品は、イタリアの産地であるModena とReggio Emiliaで厳格な基準とプロセスに基づき生産されたものに限られているが、米国ではそのような規制はない。従って、ラベルだけではイタリア産と判断することはできない。イタリア産バルサミコ酢の米国における市場規模は不明だが、同製品は米国ではいわゆるイタリア食材を豊富に扱うスペシャリティーストアを中心としたルートで販売されており、販売量は高級嗜好品の域を出ないと推測される。

政府機関と業界団体による食材促進と主要マーケティング活動

イタリア政府団体

米国へのイタリア食材の輸出促進とマーケティング活動を担当するのは、イタリア貿易振興会(Istituto nazionale Commercio Estero)である。食材によってはイタリア貿易振興会とともに、イタリア農林水産省(Ministero delle Politiche Agricole Alimentari e Forestali)なども販促企画に参画することもある。イタリア貿易振興会は世界87カ国に117事務所を有し、米国にはニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、ヒューストン、マイアミに事務所があり、事務所ごとに担当する貿易促進産業分野が割り当てられている。食品とワインの促進事業を所管するのはニューヨーク事務所であり、主な活動は食文化の情報発信、食品やワイン紹介キャンペーンやイベント、料理・試食会の企画と実施である。

イタリア貿易振興会の最近の食材キャンペーン
  • イタリアワイン・ウィーク
    2009年に続き、2010年は2月にイタリアワイン週を設定し、ニューヨークのホテルでワイン展示会とセミナーを開催するキャンペーン「 VINO2010外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 」を実施した。VINO2010はイタリアのトスカーナ、カラブリアなどの地方自治体と、イタリア経済開発省(Ministero dello Sviluppo Economico)が共催した。

  • イタリアEXPO外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 開催
    2008年からシカゴ、2009年からはシカゴとヒューストンの2都市でもイタリア製品と食材、ファッションなどを対象としたイタリアEXPOを週末のイベントとして開催している。2010年9月17~19日に行われたシカゴEXPOでは、150以上の展示ブースが設けられ、3万人近くが来場した。2009年のヒューストンEXPOでは、110の展示ブースを2万1,000人が訪問した。地元の商工会議所や米国イタリア友好協会、イタリア系米国人協会などが協賛している。

  • イタリア、ヴェネト(VENETO)地方の食材イベント
    2010年10月11~25日、ヴェネト地方の食品とワイン紹介キャンペーンイベントをニューヨークで開催した。ヴェネト地方自治体との共催で、イタリア経済開発省が協賛した。キャンペーン対象となった主要食品は、ワイン、チーズ、パスタ、米、オリーブオイルなどだった。ニューヨークの有名なイタリア食材デリカテッセン4店舗において、店内特別展示会や料理実演と試食会などを行った。
    “NEW YORK SPECIALTY FOOD RETAILERS ROLL OUT SPECIAL PROMOTIONS FOR FOOD & WINE FROM THE VENETO REGION OF ITALY”外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    ヴェネト地方の食材イベント会場のひとつとなったイタリア食材店Di Palo's Fine Foods。
    同店は、ニューヨークのリトルイタリーで100年以上営業している。

イタリア貿易振興会による食材キャンペーンの焦点

イタリア食文化紹介ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます では、ワイン、パスタ、米、オリーブオイル、酢、チーズ、コーヒー、肉加工品などの紹介に力点が置かれている。

少し古いが 米国農務省(USDA)が行った1998~2001年の調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます (※4)によると、イタリア政府による農作物と加工食品の輸出促進予算(1998年、約3,000万ドル)のうち、約4分の1(約750万ドル)が米国での活動に充てられたという。当時は特にオリーブオイルと赤ワインの健康面のメリットをアピールし、メイド・イン・イタリーのイメージ向上を目的に、レストラン向けにイタリア輸入食材の促進イベントや、大型スーパー向けに取り扱い奨励イベントなどが企画された。イタリア政府承認の特定産地食材とオーガニック食品にも焦点が置かれたが、米国市場向け予算の約3分の1がワインのプロモーションに充てられたという。これらのことからイタリア食材に関しては、米国における大規模な促進活動が十数年以上前から続いていることがうかがえる。
※4, 当該調査以降に同様の調査は公表されていない。

業界団体
パスタ

炭水化物の摂りすぎと、それが健康に与える影響が問題視されてきたことを受け、業界団体では、パスタの健康面でのメリットや健康的なレシピの紹介を通じ、パスタの消費促進とマーケティングのメッセージを広報している。

  • EUパスタ製造業団体連合外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    Union des Associations de Fabricants de Pates Alimentaires de l'U.E. (Union of Organizations of Manufactures of Pasta Products of the E.U.)
    Via Po, 102 - 000198 Rome – Italy
    Tel:+39 06 8543291 、+39 06 8416473 / Fax:+39 06 8415132
    概要:EU各国のパスタ製造業者団体のEUレベルでの業界団体。EU全体でのパスタ生産、消費、輸出入の課題などを協議する場となっている。全米パスタ協会が準会員として参画。

  • 全米パスタ協会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    National Pasta Association
    1156 Fifteenth Street N.W., Suite 900 Washington, DC 20005
    Tel:202-637-5888 / Fax:202-223-9741
    概要:米国のパスタ製造業者と製造機械・器具業者などの業界団体。米国におけるパスタの消費増加とイメージ向上、パスタが関係する行政政策などへのロビー活動、パスタに関する情報発信を行う。

  • イタリアパスタ製造業界団体外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    Unione Industriali Pastai Italiani
    Via Po, 102 I - 00198 ROMA
    Tel:+39-06-8543291 / Fax:+39-06-8415132
    概要:イタリアのパスタ製造業者による業界団体。イタリア政府や関連業界に対し、また国際的にも会員の声を伝えることを目的とし、パスタに関する情報発信を行う。

ワールド・パスタデー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます :10月25日
EUパスタ製造業団体連合が提唱し、1995年に始まったパスタの販促イベント。各国のパスタ業界団体によってイベントやキャンペーンが計画、実施される。米国では2009年パスタデーに合わせ、全米パスタ協会とEUパスタ製造者団体連合が共同でニューヨークにて国際会議とイベントを開催した。パスタの栄養と健康に関する研究発表やセミナー、著名シェフによる健康的なパスタレシピ紹介と試食会などが実施された。

オリーブオイル

「バージンオイル」の中にオリーブポマース・オイル(Olive-Pomace Oil:絞り糟からの精製品)が混じっている、あるいはイタリア製と表示されながら中身にトルコ産やギリシャ産が混じっていることを指摘する報道が、1990年代半ばごろから各地で散見された。米国でも2000年代半ばになって有力メディアが報道し(※5)、注目を集めた。イタリア本国での品質問題と外国製混入問題の表面化を受けて、EUは品質規制を強化し、イタリア政府も取り締りに乗り出した。
※5, ”SLIPPERY BUSINESS”外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます (ニューヨーカー誌 2007年8月13日付)

米国では北米オリーブ協会がそうした問題に対し声明を発表し、世界の品質グレード基準(エクストラ・バージン、バージンなどのグレードの基準)の米国での適用を啓蒙するなどしている。米国政府は国際オリーブ評議会(組織の説明は後述)に参加していないため、同評議会で決定される品質グレード基準の適用を業界に求め、業界が自主的に同基準を採用することに対しても関与していない。

一方、カリフォルニア・オリーブオイル評議会(California Olive Oil Council)は米農務省に対し、米国における品質基準規則の改定を数年前から求めていた。これを受けて米農務省は、 新規則(2010年10月25日発効)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます を発表した。これにより、メーカーは自主的に米国基準の認証を受けられるようになった。しかし農務省は、米国で販売されるオリーブオイルの品質グレードに関し、法的強制力を持たせていない。また、複数国からの輸入オリーブオイルが米国で混合され、「バージンオイル」として販売されていることについても、新規則は言及していない。実際、米国のスーパーでは必ずといっていいほど売られているBertolli(現在はUnileverのブランド)やFilippo Berioのバージンオイルは、ボトルのイラストを見るかぎりイタリア産だが、ボトルの裏の表示を見ると、イタリア、スペイン、さらにギリシャやチュニジア産のオリーブオイルのミックスであることが分かる。

北米オリーブオイル協会では、米国でのイタリア産オリーブオイルのイメージ向上活動は行っていない。イタリアオイル協会による米国での販売促進活動も特段の記録は見つからなかった。

  • 北米オリーブオイル協会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    North American Olive Oil Association
    3301 Route 66, Suite 205, Bldg. C, Neptune, NJ 07753
    Tel:732-922-3008 / Fax:732-922-3590
    概要:オリーブオイルの北米輸入販売業者が中心の業界団体。オリーブオイルの栄養価や健康面のメリット、美味しさ、使い方などの広報活動を通じて消費を促進するとともに、オリーブオイル品質グレード表示の国際的基準の利用理解促進や、品質検査認証ラベル(国際オリーブ評議会による基準を適用)の発行サービスなどを行う。

  • 国際オリーブ評議会
    International Olive Council
    Principe de Vergara, 154
    28002 Madrid, Spain
    Tel:34 91 590 36 38 / Fax:34 91 563 12 63
    概要:オリーブ生産国の政府代表からなる国際機関。オリーブオイルの生産や開発技術の研究、品質グレード基準の公布、生産・貿易統計の作成、経済分析などを行う。

  • イタリアオイル協会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    Associazione Italiana Dell'Industria Olearia(ASSITOL)
    Piazza di Campitelli, 3 00186 - Roma
    Tel:06–699-40-058 / Fax:06-699-40-118
    概要:イタリアのオリーブオイル、種油、マーガリンなどの製造業者が中心の業界団体。各業界の代表として国内および国際的なリエゾン業務を行う。生産、販売などの統計と経済的分析も手がける。

バルサミコ酢

イタリアのバルサミコ酢製造業者が会員となっている米国の業界団体としては、酢インスティテュート(The Vinegar Institute)がある。しかし、イタリアのバルサミコ酢製造業者が中心となって米国で実施したキャンペーンは、特段の記録は見つからなかった。

  • 酢インスティテュート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    The Vinegar Institute
    1100 Johnson Ferry Road, Suite 300, Atlanta , GA 30342
    Tel:404-252-3663 / Fax:404-252-0774
    概要:米国で販売される酢の製造および販売業者による業界団体。行政機関とのリエゾンをはじめ、酢の利用(掃除や殺菌用途を含む)に関する情報発信や啓蒙活動、食酢の品質や健康に関する研究などのモニター、情報提供などを行う。

米国におけるイタリア輸入食材のブランディングとマーケティングの特徴

イタリア政府の活動:イタリア食材の健康イメージ訴求、メイド・イン・イタリーのイメージ向上

前述のように、イタリア貿易振興会と農林水産省、地方自治体などによるイタリア食材の推進活動は、十数年以上も前から活発に行われている。現在も引き続きイタリア政府機関や業界団体は、ワインや食材の販促イベントを全米各地で実施している。

イタリアからの飲料・食品輸入額は1998年の約15億ドルから2009年は約30億ドルと倍増しており、歴史的にも飲料・食品が総輸入額に占める割合が高い。日本からの飲料・食品関係の輸入額(2009年約6.9億ドル)に比べて、イタリアからの飲料・食品輸入額は明らかに大きい。イタリア政府が、米国における販促予算の確保と取り組みを1990年代から始めたこともイメージ向上に寄与してきたと思われる。

イタリア食材と食の伝統と文化にこだわるイタリア系米国人カリスマシェフ

現在、ピザやパスタは米国各地のどこにでもあり、スーパーで売られる冷凍ピザやパスタソースも酒類が豊富だ。このようにイタリアの料理は身近ではあるが、本当のイタリアの家庭料理の味とは違う、という視点でレシピを紹介するイタリア系米国人シェフの料理番組が、2000年ごろから人気を集めている。

公共テレビ(PBS)の料理番組、 Lidia's Italy外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます はそのひとつである。イタリア生まれのLidia Bastianichは、90年代からイタリアの家庭料理を紹介する本の出版や番組出演を通じて、本物志向のイタリア料理の作り方をわかりやすく紹介してきた。現在は全米各地にレストランを持ち、Lidiaブランドのトマトソースの販売やイタリアワインの生産、販売に至る各方面で事業を拡大しているが、今でも土曜日夕方には公共テレビでLidia's Italyが放映されている。かつてはJulia ChildやJacque Pepinといった著名シェフも登場し、本物志向のフランス料理の米国浸透に貢献するなど、公共テレビの料理番組は今でも根強い人気がある。

もうひとりは Mario Batali外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます である。料理や食関係の番組に特化したケーブルテレビ局、フードネットワークで1990年代後半からMolto MarioとCiao Americaといったイタリア料理番組でホストを務め、イタリア食材もしばしば紹介した。現在は、レストラン経営やMarioブランドのキッチン用品販売などの事業を手広く展開するかたわら、イタリアの食を文化として紹介する視点で本やDVDなどの出版も続ける。同氏のウェブサイトでは、イタリア各地の案内や、特徴ある食文化や食材、同氏が食した地元レストランの印象などが紹介されている。Lidia Bastianichと共同でワイン生産と販売も手掛ける。

Eataly:イタリア食文化を提供する新コンセプトビジネス

アメリカ化されたイタリア食品は米国中のスーパーにあふれているが、本物(authenticity)を求めるニーズも着実に増えている。本物を入手するには、前述のDi Palo's Fine Foodsのような古くからあるイタリア輸入食品を扱うデリカテッセンやスペシャリティーストアを利用する方法があるが、店舗が小さく、扱い商品にも限りがある。

そんな中で2010年夏、イタリア食材店とレストランを集めた大型テーマパークのような商業施設、Eatalyがニューヨークにオープンした。Michael Bloomberg市長をはじめとした著名人が初日に招待された5万平方フィートの大型プロジェクトは大きな話題となり、今も連日多くの人で賑わっている。イタリアのあらゆる地方の食材が入手できるだけでなく、ショッピングの途中でワインと軽食がとれるカフェやカジュアル・レストラン(立食またはスツール席スタイル)とともに、着席してゆっくり食事ができるタイプのレストランが全部で5店ある。単なる食材店ではなく、イタリア食文化と食を通じたよりよい生き方を提唱する場を目指している。

Eataly外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます はイタリア、トリノ本拠のグルメ食材店(※6)で、ニューヨークでは前述のMario Batali、Lidia Bastianichとその息子のJoe Bastianichが共同出資している。プレスリリースなどによるとニューヨーク店のコンセプトは、「レストランで口にしたものを買って、自宅でもそれをおいしく食べる経験を提供する」(Mario)、「イタリアの食の考え方を肌で感じてもらえる場所であり、それはそのまま、よりよく生きること(living well)でもあることを伝えたい」(Lidia)という。生産者の顔の見える食材を選りすぐり、いずれも高級食品価格帯で販売されている。

なお、Eatalyはスローフード協会をコンサルタントに迎えている。イタリアはスローライフの発祥地でもあることから、スローフードとの相乗効果で、食にこだわる国で作られるイタリア食材のイメージが向上することも一部では期待されている。

※6, 日本にも支店がある。

いずれもニューヨークEatalyの店内(2010年9月末)

(ニューヨーク・センター)

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