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市場・トレンド情報

米国のアニメ配信ビジネス動向

2011年12月
分野:コンテンツ(コミックス・アニメ)

市場概況

米国の動画配信業者は、コンピューター、テレビ、スマートフォン、タブレットという端末にまたがって実に20社以上が乱立しており、各社の業種も、端末機器メーカー、インターネットサービス、Amazonなどの小売から、ケーブルテレビオペレーターなど、インフラ、アニメチャンネルと多種多様である。多くのサービスにおいて米国製作のAnimationと日本アニメと定義されるAnimeの両方を配信しているが、その参入目的は各社の業種により異なり、純粋に動画配信業のみを収入源としている企業はごく僅かである。市場が依然発展途上段階にある一方で競争環境は激しい為、将来は淘汰が進み、1.コンテンツ、2.資本力、3.ユーザビリティーを兼ね備えたサービスのみが生き残ると考えられる。

視聴デバイス別サービス

下記表は、アニメを視聴する為に使用するデバイス別にサービスを分類したものである(サービスは複数のデバイスにまたがるものがあるが、主として展開しているデバイス別にサービスを分類した)。

デバイス サービス
PC iTunes、Netflix、Hulu、Amazon VOD、CinemaNow、VUDU、ANIME Network、Crunchroll、アニメチャンネル( Cartoon Network、Adult Swim、Nickelodeon、Disney Channel、Hub、PBS Kids Sprout)
TV CATV:Comcast、Time Warner Cable、Bright House、Shaw、etc
衛星:DIREC TV、Dish Network
通信:Verizon、AT&T
ゲーム PlayStation、XBOX
Smartphone, Tablet iTunes、Hulu、Crunchroll

上記の分類から分かる通り、視聴者の目線から見れば、アニメ配信サービスの選択肢が最も多いデバイスはPCとなる。iTunesやNetflix等実写からアニメまで広範囲の映像コンテンツを扱うサービスもあれば、ANIME NetworkやCrunchrollといったアニメに特化したサービスもある。

他方、TVのサービスは大きくCATV業者、衛星放送業者、通信業者、ゲーム機メーカーに分類され、視聴者が選ぶサービスには限りがある。またサービスの選択に当たっては、CATV、衛星、通信はインターネットや固定電話といった家庭内インフラとセットでの契約となる為、視聴者にとって動画配信サービスが契約の決め手となる要素は低くどちらかと言えば付随のサービスと見做される。

また、通信環境、スペック、操作性の向上によりスマートフォン、タブレットでも動画配信サービスが広がっている。現状はiPhoneと連動して高いシェアを有するiTunesのプレゼンスが高いが、Android端末の普及によりPCにおいて動画配信サービスを提供している各社がスマートフォンにおいてもアプリを通じてサービスの提供を開始する見込みである。

主業種別サービス

下記表は、アニメ動画配信サービスを提供する企業を業種別に分類したものである。本分類により、各社が動画配信ビジネスに参入した思惑がうかがえる。

主業種 サービス
デバイスメーカー iTunes、PlayStation、XBOX(Zune)
インターネットサービス Netflix、Hulu 、ANIME Network、Crunchroll
小売店 Amazon VOD、CinemaNow(Best Buy)、VUDU(Wall Mart)
インフラ業者 CATV:Comcast、Time Warner Cable、Bright House、Shaw、etc
衛星:DIREC TV、Dish Network
通信:Verizon、AT&T
アニメチャンネル Cartoon Network、Adult Swim、Nickelodeon、Disney Channel、Hub、PBS Kids Sprout

デバイスメーカーは、主たる収入源であるデバイスを売る為の付属サービスとしてアニメ動画配信を行っている。とりわけゲーム機器メーカーにおいては、その目的が如実である一方で消費者にとってのメインコンテンツは動画配信ではなくゲームである。

かたやAppleにおけるiTunesはMac book、iPhoneを繋ぐ総合的なコンテンツ配信サービスとして確立されており、音楽に続き2008年にサービスを開始した動画配信においても既に大きな市場シェアを獲得している。

インターネットサービス業者は正に動画配信を生業としている企業である。表に列挙した4社の内、Netflixの主業種はDVD宅配レンタルであるが、同社の隆盛がDVDレンタル店のBlockbusterを破産に追い込んだように、DVD宅配レンタル業も次は動画配信業に取って代わられるとの危機感から、Netflixにとっての動画配信は最注力分野である。また、Huluは、2007年にNBC Universal、Fox Entertainment、Disney-ABC Television Groupの出資により設立された米メディアコングロマリットが手懸ける唯一の動画配信企業であり、コンテンツホルダーがインターネット流通チャネルを確保する為の布石である。

小売店による市場への参入目的は、DVD市場が縮小する中、店頭の売上減を動画配信で補うことにあり、Amazon、Best Buy、Wall MartというDVDの3大小売業者が何れも動画配信サービスを行っている。

インフラ事業者は電話、テレビ、インターネットに続いてのサービスとして、契約者数を増やすことを目的としている。

アニメチャンネルは無料での「見逃し視聴」が中心であり、インターネット上のプロモーションと割り切り、本放送の視聴者を増やすことが目的と見受けられる。

以上から、動画配信を本商品またはサービスを売り込む為の販促サービスと位置付けるデバイスメーカー、インフラ業者、アニメチャンネルにおいては、今後もサービス提供が続くことが見込まれるが、動画配信が主たる収入源となるインターネットサービス、小売店においては競争環境が激しい為、今後淘汰が進むものと考えられる。

アニメ配信数

上記で分類したサービスの内、2011年12月時点において、デバイスメーカー、インターネットサービス、小売店が、PCデバイスにおける配信サービスで各社が配信するアニメタイトルの本数を、米国アニメと日本アニメ別で調査した。下記グラフ(1)、(2)参照。(CATV、衛星、通信といったインフラ業者が配信するアニメタイトル数は対象外)。

グラフ(1)米国アニメタイトルの取扱い数

グラフ(2)日本アニメタイトルの取扱い数

(コーディネーターによる調査)

上記グラフから、米国アニメと日本アニメの両方において最も配信タイトルが多いのは意外にもAmazonだということが分かる。Amazon以外のサービスでは概ね配信しているタイトルは重複しているが、Amazonではマニア向けの日本アニメやクラシックな米国アニメ等、他サービスでは扱いの無いタイトルが多くあった。また、iTunesは米国アニメの取扱いが多いが、日本アニメは他サービスに比べて少ないことも分かる。これは、iTunesがPixar設立に係わったSteve Jobs氏が経営するAppleによるサービスであることから、他サービスに比べてPixarのアニメが多いからである。どの作品も高い興行収入実績があるPixarアニメを多く取り扱えることは大きな差別化要因になるものと思われる。日本アニメに関しては、Naruto等のビッグタイトルは配信していたが、マニア向けのタイトルは殆ど配信していない。これはAppleによるiTunesのブランディングの影響も関係しているものと思われる。一方、Netflixは日本アニメの配信数は多いが、米国アニメの配信数は少ないということが見て取れる。その他特徴としては、ゲームデバイスメーカーにおいてはX Boxの方がPlay Stationより配信タイトルが多いことや、後発参入したYou Tubeは配信タイトルが未だ少ないことも分かる。全般的に言えるのは、どのサービスにおいても日本アニメは米国アニメに比べて無料や廉価で配信されていることであり、いわゆるマニアを引き寄せる為のプロモーションツールとして日本アニメが扱われているように見受けられる。

最新動向

NetflixのDVD宅配レンタルとストリーミング配信サービス
2010年9月、米国最大手のDVDレンタルストア/Blockbusterが破産に追い込まれた。この背景にあったのはNetflixの隆盛である。
Netflixは1997年にDVD宅配レンタルをビジネスモデルの核として創業された。車社会の米国では、日本のように通学・通勤の途中で駅前のDVDレンタル店でDVDを借りて返却するというような消費行動は無く、Netflixがサービスを開始するまでは、DVDを借りるないしは返却する為に都度車を運転して店舗まで行かなければならなかった。この手間を省くという消費者ニーズに対し、インターネットでのオーダーとDVD宅配システムによって応えたのがNetflixのDVD宅配レンタルサービスである。創業から業績は伸び続け、2010年の決算では課金ユーザー数/20百万人、売上/2,163百万ドル、営業利益/284百万ドル、税後利益/161百万ドルを計上した。また、同社は1999年からオンラインでのストリーミング配信も開始し、ユーザーの大半は月額7.99ドルでDVD宅配レンタルとストリーミング配信両方のサービスを享受することが出来た。
以上のように成長を続けたNetflixであったが、2011年はiTunes等競合他社の台頭もあり大きな転換を図った年であった。
まず2011年9月からDVD宅配レンタルとストリーミング配信のサービスを切り分け、それぞれの課金を月額7.99ドルに設定した。引き続き両方のサービスを受ける際の料金設定は月額15.98ドルとした。これはユーザーにとっては60%値上げされる上に利便性が低下することになり、ユーザーから大きな反発を招いた。この失策によりNetflixは僅か3カ月間程度で約4百万人ものユーザーを失ったとされる。
次の施策は海外進出である。同社は9月から南米43カ国向けに順次サービスを開始することを発表した。具体的な国名とスケジュール、価格設定は下記の通りである。また、スペインを皮切りに欧州への進出も検討中である。
国名 サービス開始日 価格
Brazil Sep 5, 2011 BR $14.99
Argentina Sep 7, 2011 AR $39.00
Paraguay Sep 7, 2011 US$7.99
Uruguay Sep 7, 2011 US$7.99
Bolivia Sep 8, 2011 US$7.99
Chile Sep 8, 2011 CLP 3,790
Colombia Sep 9, 2011 COP 14,000
Ecuador Sep 9, 2011 US$7.99
Peru Sep 9, 2011 US$7.99
Venezuela Sep 9, 2011 US$7.99
Mexico Sep 12, 2011 MX$99
Central America Sep 12, 2011 US$7.99
Caribbean Sep 12, 2011 US$7.99
国内市場が少しずつ成熟化し且つ競争激しい中、同社にとって海外市場の開拓は新たな成長戦略の一手である。しかし、AppleがiPhone、iPadといったエンターテイメントデバイスを既に世界中に展開しており、またAmazonがキンドル・ファイアでの動画配信も始める中においては、中長期的にはデバイスメーカーが、1.複数デバイスにまたがるサービスによるユーザーの囲い込み2.資本力の2点で、より有利になるものと思われる。Netflix自身がレンタル店から宅配サービスへと消費者行動を変革しBlockbusterに勝利したように、今後消費者がDVD視聴から配信視聴へと嗜好・行動を変化させてゆく場合、Netflixが新たな付加価値を提供しない限り、同社にとっても正念場となる日が近い将来訪れるかも知れない。

(ロサンゼルス事務所)

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