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市場・トレンド情報

米国における電子漫画配信ビジネス動向

2011年11月
分野:コンテンツ(その他)

市場概況

電子漫画の閲読環境は昨今のスマートフォン、タブレット端末の普及により向上しており、電子漫画市場は米国コンテンツ市場においても成長が期待される分野である。2010年の米国電子漫画市場規模は8 百万ドルであり、プリント版も含む漫画の総市場規模6億6,400万ドルの1%に過ぎないが、プリント版が直近3年間でマイナス3%の減少傾向にあるのに対し電子漫画の市場規模は直近3年間で152%増の上昇傾向にある。

2011年11月現在、PC、スマートフォン、タブレット、電子書籍専用端末にまたがるサービス数は米国Comics(アメコミ)と日本漫画の合計で15を超え、競争が激しい市場である。価格帯はページ数の違いから、米国Comicsの0.99-5.99ドル/冊に対し、日本漫画は4.99-5.99ドル/冊と高い。決済手段はクレジットカードが主だが、ポイント購入制(事前に一定のポイントを購入し、そのポイントを使って漫画を閲読する)を導入しているサービスも幾つかある。

主業種別サービス

下記表は、電子書籍サービスを提供する企業を業種別に分類したものである。また各業種内のサービスを、米国Comicsを提供するサービスと日本漫画を提供するサービスに分類した。

主業種 サービス
総合ポータル 米国Comics:comiXology、Graphicly、Comics+、Wowio
日本漫画:J-Manga、Sugoi Books
出版社 米国Comics:Marvel Digital Comics、Dark Horse Digital、iTunes IDW Publishing
日本漫画:VIZ Manga、Kodansha Comics、Square Enix Manga、eManga、YEN Plus
端末メーカー 米国Comics:Kindle、Nook

総合ポータルは、複数の出版社のタイトルをPC、スマートフォン、タブレット向けに取り扱う業者である。

米国Comicsを取り扱う企業は何れも独立系のベンチャー企業である。中でも、元々Comicsに特化したコミュニティサイトとしてスタートしたComiXologyがタイトル数の面で抜きん出ており、米国の中堅・大手出版社をほぼカバーし計16,000タイトルを取り扱っている(米国Comics2番手の出版社/DC Comicsは同サービスのみにタイトルを独占許諾している)。また、2011年1月には累計ダウンロード数が1百万を超えたとのプレスリリースを発表した。

他方、日本漫画に関しては、J-Mangaは2011年8月に株式会社ビットウェイが日本の出版社39社で構成される業界団体/デジタルコミック協議会の支援・協賛を受けて開始したサービスである。またSugoi Booksは、NECビッグローブ株式会社がAndroid端末向けの電子漫画配信として2011年4月に開始したサービスである。

米国出版社においては、Marvel、Dark Horse 、IDWといった大手がそれぞれ自社サービスを展開している。各社の特徴として、Marvelは上記総合ポータル企業にもComicsをライセンスし全方位にComicsを配信しているのに対し、DCは上記ComiXology以外での配信は行っていない。またIDWは現状iTunesのアプリとしてiPhone、iPad向けへの配信に留まる。

日本漫画に関しては、小学館と集英社子会社のVIZ Mediaが2011年7月に電子漫画配信サービスをVIZ Manga名で開始。また講談社も10月からiPhone、iPad向けのアプリとして配信サービスを開始することをリリースした。その他ではフランスの最大手出版社/Hachette Book Group子会社のYEN Pressが2008年より日本漫画の電子配信を行っている。

端末メーカーではAmazonがKindle、最大手書店のBarns & NobleがNookを介しそれぞれサービスを行っているが、現状米国Comicsのタイトル数は少ない。

最新動向

VIZ Manga、Weekly Shonen Jump AlphaとBLの配信を開始
VIZ Mangaを手懸けるVIZ Mediaは2011年10月14日付のプレスリリースにて2012年1月30日からWeekly Shonen Jump Alphaを電子週刊誌として米国独占で配信開始することを発表した。また同時に現在紙媒体として発刊しているWeekly Shonen Jumpは2012年3月を目処に廃刊することを決定した。Weekly Shone Jump AlphaはNaruto、Bleach、One Pieceといった人気タイトルを含み、日本の週刊少年ジャンプが発刊されてから2週間後に配信されることとなる(これまで同社が米国にて発刊してきたWeekly Shonen Jump は数カ月から1年遅れであった)。また、価格は年間購読で25.99ドル、1誌当たり4週間のレンタルで0.99ドルと低い設定である。Weekly Shonen Jumpをプリント誌から電子週刊誌へ全面転換するというこのセンセーショナルな施策は、1.日本との発刊時差を減らし、且つ価格を低く設定することで、これまで海賊版を読んでいたコアユーザーを囲い込むこと、2.コストを抑えること、が目的と考えられる。
また2011年10月22日付のプレスリリースではSuBLimeというブランド名でBL Imprintを開始することを発表した。12月から全世界向けに電子漫画を配信開始しており、当面の日本の出版パートナーはアニメイトとリブレである。価格は5.99ドルでダウンロードが可能。また、2012年6月からはプリント版も12.99ドルで出版予定である。
更には2011年12月20日付のプレスリリースにおいて、同社は米国最大手書店のバーンズ&ノーブルが手懸ける電子書籍端末/Nook向けに「Naruto」や「Bleach」といった人気漫画の配信を開始することを発表した。当面18シリーズ、100タイトル以上の漫画を4.99ドルから9.99ドルという価格帯で配信する予定。同社としては、自社の配信サイトのVIZ MangaやiTunesのアプリ以外でのプラットフォームに配信するのはこれが初めてとなる。
YEN PlusがSoul Eaterの日米同時出版を発表
2011年10月にNYで開催されたComic Conにおいて、YEN Plusを手懸けるYEN Pressが全世界向けにSoul Eaterの日本語/英語の同時出版を行うことを発表した。上記VIZ MangaのWeekly Shonen Jump Alpha同様、同時出版は海賊版問題への措置であり、今後業界においてこの流れが加速するものと見られる。
アメコミ配信総合ポータルサイトの大手comiXology
米国Comics配信の総合ポータルサイト/comiXologyは、契約出版社数45社、配信シリーズ数約3,000、配信タイトル数は16,000を超える米国電子漫画アグリゲーターのリーダーであり、配信プラットフォームもPC、iPhone、iPad、Adroidと多岐にわたる。
同社はCEO/David SteinbergerとCTO/John Roberts、Peter JaffeがNew York大学のビジネスプランコンテストにて優勝したビジネスモデルを基に2007年に設立した独立系のベンチャー企業である。設立当初のビジネスモデルは、コミックファンと書店を繋ぐオンラインコミュニティサイトの運営であった。コミュニティ内でユーザーは漫画の書評を書いたり、これからリリースされる漫画リストを詳細に見ることが出来、また同サイト内で漫画の事前予約が可能であった。2009年には書店に対し同サイトを活用したマーケティングツールを月額30-80ドルの範囲で提供するサービスを開始し、漫画市場の事前予約において2%のシェアを得た。こうしたマーケティング機能を書店を通じて出版社にも提供出来た為、競合他社に比べ出版社との関係もいち早く構築することが出来、同年内には電子漫画配信ポータルのサービスを開始、Marvel、DC Comics、Image、IDWといった漫画専門の大手出版社から独立系の小規模出版社までの作品を多数取り扱うまでに成長し、2011年1月には累計百万ダウンロードを達成した。
下記グラフ(1)はcomiXologyの出版社別漫画シリーズの配信数である。価格帯はページ数に応じて0.99-9.99ドルの範囲である。VIZ Mangaが取り扱うシリーズ数が約50であることから、comiXologyの配信数が米国市場において圧倒的であることが分かる。
グラフ(1):comiXologyの出版社別漫画シリーズ配信数

出所:Wowmax Media調べ
中でも注目すべきは、comiXologyがDC Comicsの漫画を独占的に配信していることである。漫画出版社最大手のMarvelは自社サイトでの配信に加え、競合他社のGraphicly等ほぼ全方位に配信しているのに対し、2番手のDC Comicsが配信許諾しているのはcomiXologyのみである。故にcomiXologyのサイト内ではDC Comics専用のタブやDC Storeというページを設け他出版社との差別化を図っている。一方DC Comicsは、下記グラフ(2)の通り、DC Comics、DC Universe、Vertigoという既存3レーベルに加え、新レーベルとして既存/新規のキャラクターを用いて電子漫画用に新たに書き起こしたDC- The New 52を同サイトを通じて提供している。
グラフ(2):DC Comics配信漫画のレーベル別シェア

出所:Wowmax Media調べ
またcomiXologyは自社出版も開始しており、現状2タイトルを同社Web上で配信している。
Kodansha、電子漫画閲覧用アプリをiTunes Storeからリリース
講談社は2009年に米国における漫画出版許諾をTokyo Popからベルテルスマングループの中堅出版社/Random Houseに切り替えてから、同社との提携を深化させている。2011年10月15日からRandom Houseの開発によりiTunes Storeにおける講談社の電子漫画閲覧用アプリを、4シリーズ、34タイトルのラインナップでサービスインした。価格は大半が4.99ドルでありVIZ Mangaの価格水準と同一である。これで日本の大手出版社のほぼ全てが、米国市場における電子漫画配信を開始したことになる。日本のプリント版漫画がマニア以外に普及し難かった米国市場において、電子配信を通じてより多くの人に届けることで、日本国内同様の市場規模を創出することが期待される。

(ロサンゼルス事務所)

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