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市場・トレンド情報

2011年上半期米国における日本コンテンツ

2011年11月
分野:コンテンツ(コミックス・アニメ)

放映状況

テレビアニメ
2011年11月現在、下記表の通り米国において日本TVアニメは計18本が放送されている。表1から読み取れる特徴を二点列挙したい。
第一に、放送中の日本TVアニメはマス市場向けアニメとコア市場向けアニメがそれぞれ9本ずつで構成されている。表内No 1から9は子供及び一般視聴者向けのアニメであり、いずれも玩具やゲーム等の2次利用が大々的に展開されるキャラクターフランチャイズプロパティである。他方、表内No 10から 18は全てCartoon Network土曜深夜のAdult Swim枠で放送中のアニメで、コアファン向けにDVDやフィギュアを販売する映像パブリッシングモデルで成り立っている。 タイトルベースで厳密にカウントすると、No 1から9にはDragonball Z KaiとYu-Gi-Oh!が重複している為、マス向けアニメは7本、コア向けアニメは9本となる。
第二に、大半が過去からのロングヒットタイトル(フランチャイズ作品)、もしくは過去ヒット作品の再放送で占められるということが挙げられる。各タイトルの米国放送開始年を参照すれば一目瞭然だが、2011年に新たに放送が開始されたアニメはDurarara!!の1本のみであり、大半は2000年前後から放送が続いているアニメである(1998年-2005年に放送が開始されたアニメは12本、2006年-2008年は3本、2009年以降は3本)。この実績から新規タイトルの放送枠を獲得することのハードルが如何に高いかがうかがえる。
表1 米国で放送されている日本TVアニメ(2011年11月現在)

出所:Wowmax Media調べ
※放送開始年は当該チャンネルでの開始年ではなく他チャンネルを含む米国史上のTVシリーズ放送開始年
映画
米国映画情報サイトのBoxoffice Mojoによれば2011年中に米国内で商業公開された日本映画は下記アニメ2タイトルのみであり、実写映画の公開は無い。
表2 2011年に米国公開された日本映画(2011年11月現在)
No タイトル 興行収入 公開日 公開期間 公開館数 配給会社
1 Evangelion 2.0: You Can (Not) Advance $133,640 1/21/2011 9週間 15 Eleven Arts
2/th> Trigun: Badlands Rumble $62,027 7/8/2011 7.4週間 12 Eleven Arts
出所:Box Office Mojo

最新情報、業界動向

CWネットワーク4Kids Entertainmentの破産と再建
毎週土曜の朝8時から10時の放送枠を運営する4 Kids Entertainmentは、かつてはポケモンのライセンシーとして売上100億円以上を計上する、言わば米国におけるマス向け日本アニメ配給会社の象徴的存在であったが、1.ポケモンライセンスの終了、2.地上波放送枠のコスト負担、3.自社製作アニメの低迷等の要因により、2006年以降は5期連続で売上が減少し毎期税後損失を計上、2011年4月に連邦破産法第11章を申請、現在会社再建中である。また同社の屋台骨であるYu-Gi-Oh!に関して、ライセンサーのテレビ東京及びADKとライセンス料未払いについて係争中であり、更には同2社からライセンス停止も宣告されている。このような状況から4 Kids Entertainmentの経営状況と将来性は明るくなく、場合によってはCW4Kids枠の運営にも影響を及ぼす可能性がある。米国内で放送中の日本アニメ全18本の内、CW4Kids枠は5本を占めており、万一同枠での日本アニメ放送が無くなる場合、日本のアニメ業界にとって米国地上波の唯一かつ大きな露出先を失うこととなる為、同社の今後の動向が注目される。
Nicktoonsで新作アニメ「Monsuno」を放送
表1の放送状況から見て取れるように、米国の放送枠を確保するためには、1.ファイナンス、2.スポンサー、3.パートナー、4.チャンネルの嗜好、5.放送枠の空き状況等の諸条件を複合的に合致させることが必要であり、かなりハードルが高い。このような中、電通エンターテイメントUSAが米国中堅玩具会社のJAKKS Pacific、欧州最大手の番組配給会社/Freemantle Media Enterpriseと共同製作する新規アニメ「Monsuno」が、2012年春から子供向けメジャーチャンネル/NickelodeonブランドのNicktoons(http://nicktoons.nick.com/)にて放送開始されるとのニュースが7月に発表された。「Monsuno」は6-11歳の男児をターゲットにしたアクションアドベンチャーであり、JAKKS Pacificによる玩具展開が予定されている。米国玩具会社との共同製作という観点では、2008年からCartoon Networkにて放送開始された「Bakugan」とスキームが類似している(「Bakugan」はカナダの中堅玩具会社/Spin Masterとセガトイズ、トムス・エンタテイメントの共同製作作品)。新規アニメを日本企業が単独で米国に売り込むことが困難な中、米国玩具会社を企画初期段階から巻き込みファイナンス、スポンサー、商品展開を固めた上で大手放送局に持ち込むことが近年の実績から見る有効策であることが分かる。
日本漫画専門出版社Tokyo Pop、オペレーションを停止
2011年4月15日、米国における日本漫画専門の中堅出版社/Tokyo Popが5月31日を以て全ての米国内オペレーションを停止することを発表した。
Tokyo Popは1997年にロサンゼルスに設立され、「美少女戦士セーラームーン」等の日本の少女漫画ヒットタイトルを始めとし韓国人作家や米国人作家含め合計340タイトル以上の漫画を米国向けに編集・出版し、日本漫画の米国市場開拓に貢献した(ピーク時の売上は35百万ドル)。下記グラフ1の通り、同社出版タイトルの75%は日本漫画であり、中でも講談社、角川書店からのライセンスが主力を占める。
また、1.左から右に読む、2.カラー印刷、3.少ないページ数で高価格というそれまでの米国コミックの特徴を覆し、2001年に初めて右から左に読む白黒印刷の日本式漫画を10ドルで発売し、日本式の購読スタイルを米国に浸透させた。更に2004年には、ドイツに支社を設立し日本漫画の出版を開始、2006年には集英社と戦略的パートナシップを構築し同社の「デスノート」や「ブリーチ」といったヒットタイトルを現地で出版し、同事業をドイツの日本漫画業界で2番手の規模に成長させた。
しかし違法コピーのネット露出等により米国事業の売上が低迷、2008年には大規模リストラを実施、米国人社員の35-40%を削減した。2009年には同社売上の大半を占めていたタイトルのライセンサーである講談社から突如ライセンスが打ち切られた。
2011年3月には同社の最大顧客である小売店/Bordersが破産し、これが大きな引き金となり、米国における日本漫画出版事業の停止へと至った。
グラフ1:Tokyo Pop出版タイトルのライセンサー別シェア

出所:Wikipediaを基にWowmaxmMedia作成
Navarre、日本アニメ配給会社FUNimationを売却
2011年4月4日、パッケージソフトウェア流通企業のNavarreが、同社が保有する米国最大手の日本アニメ配給会社/FUNimationの全株式をFUNimationの創業者でありCEOであるGen Fukunaga氏を含む投資家グループに24 百万ドルで売却することを発表した。
Navarreは2005年にFUNimationを買収したものの、PCソフトやIT備品の流通という本業とのシナジー効果が見られず、同社資金繰りを勘案した上で2010年5月にFUNimationを非中核事業として売却する方針を発表した。2010年秋口には6社から買収の引き合いがあったが、各社との価格交渉が折り合わず今回の経緯に至ったものである。他方、投資家グループの詳細は不明だが、買収側に立つGen Fukunaga氏のインセンティブは、Navarreとの資本関係が無くなることでより経営の自由度を高め意思決定を迅速化させることだと思われ、事実、本プレスリリース後はニコニコ動画との提携、オンラインゲーム会社の社長就任、有料配信サービス開始と同社の動きが活発化しているように見受けられる。また、Navarreは売却後も引き続きFUNimationタイトルの流通を行うとの発表もあり、流通を担保させた上で経営のスピード感を高めるという意味では24百万ドルという買収価格は決して高値ではないように考えられる。
FUNimationは1994年にGen Fukunaga氏により設立、「ドラゴンボール」、「アフロサムライ」や「鋼の錬金術師」といったヒットタイトルのDVD出版及び流通により米国最大手の日本アニメ配給会社にまで成長した(2011年3月期決算で売上高28億円、税後利益3億円)。
FUNimationはこれまで260タイトル以上の日本アニメDVDの出版を行っており、その79%がTV作品、17%が映画、4%がOriginal Video Animationである(出所:Wikipedia)。
またグラフ2が示す通り、同社取扱いアニメの制作プロダクションが制作するアニメの特徴から同社取扱いアニメの大半がマニア層向けのカッティングエッジタイトルであることが分かる。
グラフ2:FUNimation取扱い日本アニメのプロダクション別シェア

出所:Wikipediaを基にWowmax Media作成
尚、東映アニメーションが高いシェアを占めるのは、FUNimationが長年ライセンスを受けているロングヒットシリーズの「ドラゴンボール」のタイトルが多く、またGonzoタイトルが多いのは、かつてFUNimationがGonzoと事業提携し同社作品を包括的に購入したり共同製作を行ったという背景がある。
グラフ3からは、FUNimaitonがライセンス購入しているアニメタイトルが、日本国内のどの放送局で放送されたかがシェアとして分かり、下記特徴が読み取れる。
  1. 地上波キー局において最もアニメ枠を有するテレビ東京が最も高いシェアを持つこと
  2. マニア向けタイトルの地方局での露出が増えている背景から地方局も高いシェアを持つこと
  3. フジテレビからはゴールデンタイムにおける東映アニメーション作品に加えて、2007年から新設された深夜帯アニメ枠「ノイタミナ」作品の購入が増えていること
グラフ3:FUNimation取扱い日本アニメの放送局別シェア

出所:Wikipediaを基にWowmax Media作成
米国の日本アニメDVDの配給市場は、かつては競合他社が乱立していたが、2007年に業界3位のGeneon Entertainment USAが撤退、2009年にAD Visionが事業停止した後はFUNimationが支配的なプレーヤーであることは間違いなく、4 Kids Entertainment やTokyo Popといった同時期に一世を風靡した米国の日本コンテンツ配給会社が倒れ行く中、日本のアニメ業界にとって唯一にして最大の米国配給会社としてもFUNimationの今後の動向が益々注目される。

(ロサンゼルス事務所)

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