1. サイトトップ
  2. 国・地域別に見る
  3. 北米
  4. 米国
  5. マーケティング情報
  6. 米国のコンテンツ製作に関するトレンド-コミックの映像化-
市場・トレンド情報

米国のコンテンツ製作に関するトレンド-コミックの映像化-

2010年9月
分野:コンテンツ(コミックス・アニメ)

ハリウッド映画で常道のひとつがアメリカン・コミックスの映像化だ。近年日本のアニメやマンガのハリウッド映画化の話題も多いが、もともと米国映画産業は全世界から小説、映画、舞台、歴史的事件などのストーリー権を買付け、ハリウッドスタイルに映画化して全世界で配給するという手法をとっており、ハリウッドでは普通の企画開発作業の一環である。特に2008年のリーマンショック以降、ファンドや金融機関からの資金調達が厳しくなったこともあり、世界観やストーリーライン開発、キャラクター開発が比較的安価にできるコミックなどの映画化はハリウッドプロデューサーにとって魅力的になった。

アメリカン・コミックとは

Wikipediaの定義を引用すれば「アメリカン・コミックは、アメリカの漫画作品の総称である。アメコミとも略される。アメリカン・コミックという名称は、アメリカの漫画と他国の漫画を区別するための呼び方であり、アメリカ国内では「コミック・ブック(Comic book)」あるいは単純に「コミック(Comic)」と呼ばれる。通常の場合、アメリカン・コミックは連続した物語の形式で綴られ、薄い月刊誌に連載される。「コミック(滑稽)」という英語での呼び名に反し、扱われる主題は必ずしもユーモラスな物であるとは限らない。実際は、ドラマティックでシリアスな作品がアメリカン・コミックの多くを占めている。」という事になる。

アメコミ原作ハリウッド映画

映画情報専門サイト Box Office Mojo.com外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます によれば、過去10年間(2000年-2009年)に製作・公開されたアメコミ原作のハリウッド実写映画は48本。その前の10年間と比べて約1.5倍に増えている。

図1:ハリウッド映画で製作・公開されたアメコミ原作映画本数

出所:Box Office Mojo

このようにアメコミの映画化が増えている背景には、ゼロから開発するオリジナル作品に比べて開発費用がかからないということの他、アメコミキャラクターとして認知されていれば、興行的ヒットが見込めリスクが回避できるという思惑もある。図2はアメコミ原作ハリウッド映画の興行収入歴代50位だが「バットマン」や「スパイダーマン」など日本でも有名なアメコミキャラクター映画がシリーズ化されていることがわかる。

表1:アメコミ原作ハリウッド映画、興行収入上位50作品
順位 タイトル 配給 興行収入 公開年
1 The Dark Knight WB $533,345,358 2008
2 Spider-Man Sony $403,706,375 2005
3 Spider-Man 2 Sony $373,585,825 2004
4 Spider-Man 3 Sony $336,530,303 2007
5 Iron Man Par. $318,412,101 2008
6 Iron Man 2 Par. $312,128,345 2010
7 Batman WB $251,188,924 1989
8 Men in Black Sony $250,690,539 1997
9 X-Men: The Last Stand Fox $234,362,462 2006
10 X2: X-Men United Fox $214,949,694 2003
11 300 WB $210,614,939 2007
12 Batman Begins WB $205,343,774 2005
13 Superman Returns WB $200,081,192 2006
14 Men in Black II Sony $190,418,803 2002
15 Batman Forever WB $184,031,112 1995
16 X-Men Origins: Wolverine Fox $179,883,157 2009
17 Batman Returns WB $162,831,698 1992
18 X-Men Fox $157,299,717 2000
19 Fantasic Four Fox $154,696,080 2005
20 Teenage Mutant Ninja Turtles NL $135,265,915 1990
21 The Incredible Hulk Uni. $134,806,913 2008
22 Wanted Uni. $134,508,551 2008
23 Superman WB $134,218,018 1978
24 Hulk Uni. $132,177,234 2003
25 Fantasic Four: Rise of the Silver Surfer Fox $131,921,738 2007
26 The Mask NL $119,938,730 1994
27 Chost Rider Sony $115,802,596 2007
28 Superman II WB $108,185,706 1981
29 Watchmen WB $107,509,799 2009
30 Batman and Robin WB $107,325,195 1997
31 Road to Perdition DW $104,454,762 2002
32 Dick Tracy BV $103,738,726 1990
33 Daredevil Fox $102,543,518 2003
34 Casper Uni. $100,328,194 1995
35 Blade II NL $82,348,319 2002
36 Teenage Mutant Ninja Turtles II NL $78,656,813 1991
37 Hellboy II: The Golden Army Uni. $75,986,503 2008
38 Constntine WB $75,976,178 2005
39 Sin City Dim. $74,103,820 2005
40 V for Vendetta WB $70,511,035 2006
41 Blade NL $70,087,718 1998
42 The Langue of Extraordinary Genglemen Fox $66,465,204 2003
43 Superman III WB $59,950,623 1983
44 Hellboy SonR $59,623,958 2004
45 Annie Col $57,059,003 1982
46 Spawn NL $54,870,175 1997
47 TMNT WB $54,149,098 2007
48 Blade: Trinity NL $52,411,906 2004
49 Dennis the Menace WB $51,270,765 1993
50 The Crow Mira. $50,693,129 1994

出所:Box Office Mojo

ハリウッド映画化のインパクト

ハリウッド映画化は原作のアメコミ販売部数にもポジティブなインパクトを与え、相乗効果が期待できる。例えばIcv2が発表した2010年第2四半期(4月~6月)の「フィクション&リアリティ」分野の販売部数上位コミックの第1位「Scott Pilgrim」はユニバーサルが映画化し「Scott Pilgrim VS The World」として2010年8月に全米2820館で公開している。原作の「Scott Pilgrim」はカナダ人コミック作家による、カナダのコミックだが、ハリウッド映画化による効果で販売部数を増やしている。

表2:「フィクション&リアリティ」分野の販売部数上位コミック(2010年第2四半期)
順位 タイトル 出版社
1 Scott Pilgrim Oni Press
2 Book of Genesis W.W. Norton
3 LogiComix: An Epic Search for Truth Bloomsbury USA
4 Wilson Drawn & Quarterly
5 Asterios Polyp Pantheon
6 American Born Chinese First Second
7 Footnotes in Gaza MacMillan
8 Fun Home Houghon Mifflin
9 Troublemakers Fantagraphics Books
10 The U.S. Constitution: A Graphic Adaptation Hill & Wang

出所:Icv2

同発表で「スーパーヒーロー」分野の販売部数第1位になった作品は「Kick-Ass」である。これは「スパイダーマン」「X-メン」など数多くのスーパーヒーローコミックを出版しているマーベルコミックのタイトルだが、比較的マニアに受けているニッチタイトルである。ところが「バットマン」「スーパーマン」などのメジャーなスーパーヒーローを押しのけての第1位となったのは、映画との相乗効果である。

表3:「スーパーヒーロー」分野の販売部数上位コミック(2010年第2四半期)
順位 タイトル 出版社
1 Kick-Ass Marvel Comics
2 Batman DC Comics
3 Watchmen DC Comics
4 X-Men/Wolverine Marvel Comics
5 Superman DC Comics
6 Green Lantern DC Comics
7 Spider-Man Marvel Comics
8 Iron Man Marvel Comics
9 Avengers Marvel Comics
10 Thor Marvel Comics
11 Flash DC Comics
12 Captain America Marvel Comics
13 Invincible Image Comics
14 Hulk Marvel Comics
15 Ex machina Wildstorm

出所:Icv2

アメコミではないが、米国女流作家ステファニー・メイヤーのベストセラー小説で2008年にハリウッド映画化され大ヒットした「トワイライト」のコミック化(コミカライズ)版も「ジャンルもの」分野で販売部数第1位となっている。

表4:「ジャンル」分野の販売部数上位コミック(2010年第2四半期)
順位 タイトル 出版社
1 Twilight Yen Press
2 The Walking Dead Image Comics
3 Buffy the Vampire Slayer Dark Horse
4 Fables Vertigo
5 Star Wars Dark Horse
6 Dark Tower Marvel Comics
7 Sandman Vertigo
8 Halo Marvel Comics
9 The Boys Dynamite Entertainment
10 Y: The Last Man Vertigo

出所:Icv2

マーベル・エンタテインメントのハリウッドビジネス

日本の映画やアニメ、マンガなどの映画化権をハリウッドが買ったというニュースを度々目にするが、実際にスクリーンに登場するまでには、複雑なプロセスと長い時間が必要とされる。参考までに、一般的なハリウッド映画製作スケジュールをまとめた。もっともこの通りに進めばかなり早い方である。

図2:

出所:Wowmax Media作成

表5:ハリウッド映画のサンプルスケジュール
1年目 8月 ショッピング契約締結
9月
10月 プリプロダクション期間
11月
12月 ハリウッド・プロデューサー決定
2年目 1月
2月 脚本家決定
3月
4月
5月 脚本第一稿完成
6月 スタジオ交渉開始
7月 ファイナンシング交渉開始
8月 脚本完成
9月
10月 監督決定
11月
12月
3年目 1月
2月 米国スタジオ(配給会社)契約締結
3月 ファイナンシング契約終了 プロダクション期間
4月 撮影台本完成
5月
6月
7月 主演キャスト決定
8月
9月
10月 プリプロダクション終了
11月
12月
4年目 1月
2月 プロダクション(撮影)終了
3月 ポストプロダクション期間
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月 ポストプロダクション終了
11月 全米公開
12月
5年目 1月
2月

出所:Wowmax Media

※ショッピング契約とは、プロデューサーが、権利元から数カ月間映画化の企画を構想する権利を無償で得る契約のこと。プロデューサーは、映画化の見通しが立てば改めて権利元と交渉し権利購入の契約を交わす。
原作権獲得の交渉が順調にいったとして丸3年である。実際は、もっと時間がかかる。このスケジュール表では資金調達(ファイナンシング)を8カ月で完了と見積もっているが、なかなかそうは行かない。ところが、この部分を自社負担にして映画の製作期間や公開時期までもコントロールしようという出版社が現れた。マーベル・エンタテインメントである。

マーベル・エンタテインメントはアメリカを代表するコミック出版社のひとつで「スパイダーマン」や「X-メン」「超人ハルク」「ファンタスティック・フォー」等をハリウッドで実写映画化してきた。もともとFOXやソニーピクチャーズなどのメジャー映画スタジオに映画化権をライセンスし、スタジオのファイナンスで完成させてきた。資金を出していないため、マーベルはクリエイティブやマーケティングをコントロールできない。そこで2006年、マーベルは新しい戦略として自社製作(Self-Financed Film)を打ち出している。自社で製作資金を調達・負担することでクリエイティブとマーケティング、公開時期などもコントロールするというものだ。第1号映画は「アイアンマン」で興行的にも大成功となった。

日本のアニメ、マンガコミックのハリウッド映画化

テレビアニメ「マッハGo!Go!Go!」を原作とする「Speed Racer」、マンガ「ドラゴンボール」原作の「Dragon Ball」、アニメ「鉄腕アトム」原作の「Astroboy」などが続いて公開された。いずれも興行的には必ずしも振るわなかったが、ハリウッド映画産業の原作獲得需要は少しも衰えていない。

コミックではないが、日本のライトノベルから書き起こされた映画脚本が7桁の高額でハリウッド映画スタジオに売られている。作品は桜坂洋(著)、安倍吉俊(イラスト)の「All You Need Is Kill」。集英社のスーパーダッシュ文庫のタイトルで、同社米国系列出版社であるVIZ Mediaから英語翻訳版も出版されているSF小説だ。この作品の映像オプション権をVIZが取得し、映画製作会社3 Arts Entertainmentと共同で映画脚本として完成させ、その脚本をハリウッド映画スタジオのWarner Brothers が買取ったという。情報サイトdeadline.comによれば12カ月以内に撮影が開始されるという。

米国でベストセラーであった「トワイライト」と違い、知名度やブランド力が高い原作という訳では無い。これは脚本の出来もさることながら、そのもととなったストーリーやコンセプトが魅力的だったと言える。

表6:ハリウッドで映画化が発表されている日本のマンガ、アニメ原作作品
タイトル 制作
アキラ ワーナー
獣兵衛忍風帖 ワーナー
攻殻機動隊 ドリームワークス
ロボテック(超時空要塞マクロス) ワーナー
ボルトロン(百獣王ゴライオン、機甲艦隊ダイラガーXV) モザイクメディア

出所:Wowmax Media作成

(ロサンゼルスセンター)

  1. サイトトップ
  2. 国・地域別に見る
  3. 北米
  4. 米国
  5. マーケティング情報
  6. 米国のコンテンツ製作に関するトレンド-コミックの映像化-

マイリスト マイリスト一覧を開く マイリストに追加する

閉じる

マイリスト
マイリスト機能を使ってみませんか?
ジェトロ・ウェブサイトのお好きなページをブックマークできる機能です。
ブックマークするにはお好きなページで+ボタンを押してください。