貿易管理制度
最終更新日:2024年12月11日
- 最近の制度変更
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2024年2月6日
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2022年6月13日
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2021年7月8日
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2020年2月7日
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2019年4月24日
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管轄官庁
商業省(原産地証明、規格等)、ザカート・税・税関庁(通関、関税等)
商業省(原産地証明、規格等)
Ministry of Commerce
King Abdul Aziz Rd,
Riyadh 11162
Tel:2944444(Unified Call Center)
E-mail:CS@mci.gov.sa
ザカート・税・税関庁(通関、関税等)
Zakat, Tax and Customs Authority
Prince Abdulrahman Bin Abdulaziz St
Riyadh 12628
Tel:+966-11-204-8998(海外から)
Tel:19993(Local Call)
E-mail:info@zatca.gov.sa
輸入品目規制
輸入には、禁止品目および規制品目がある。
輸入禁止品目
イスラム文化に反する物、禁忌または違法な物質、生きた動物および昆虫、ギャンブル機器およびその付属品、ポルノ、アルコール類全般、承認を受けていない医療機器、爆発物・燃料・毒物などの危険物、偽造品、銃器およびその部品、蒸留設備、豚肉・豚製品、古着、中古タイヤ、など。なお、5年以上経過した車両、中古車(パトカー、タクシー、レンタカー)の輸入は許可していない。
使用可能電圧が110~120Vのみの電気製品・機器の輸入、国内での製造は禁止
2012年5月22日、使用可能電圧が110~120Vのみの電気製品・機器の輸入および国内製造を禁止する旨の発表がなされたが、その背景には、サウジアラビア国内における電圧基準統一の動きがある。サウジアラビア政府は、2010年8月の省令においてサウジアラビア王国の住宅地および商業地域の配電電圧(127V/220V)から国際電圧(230V/400V)に変更する計画を承認、国内の電圧を国際基準の230V/400Vに統一する意向を示した。新築のビル・住宅については、230V/400Vでなければならない。本発表から15年経過後には、127Vの電圧の機器も輸入・販売ともに禁止され、25年経過後には、既存のビル・住宅についても230V/400Vで統一する予定である。
非省エネ・エアコンの輸入、国内製造および販売は禁止
省エネルギー推進の一環として、サウジアラビア政府は、エアコンに関する新たな規制を発表している。
- 国際的な最低エネルギー消費効率基準(MEPS)フェーズ1に適合し、SASO(サウジアラビア標準化公団)のCoC(適合証明書)を取得したもの以外のエアコンは、2013年9月7日以降、輸入・国内製造が禁止された。2014年1月1日以降は国内販売も禁止。
- 2015年1月1日以降は、MEPSフェーズ2に適合し、SASOのCoCを取得したもの以外のエアコンは、輸入・国内製造が禁止された。
輸入規制品目(輸入許可制)
植物種、生きている動物、肉(生鮮)、肉(冷凍)、本、雑誌、映画テープ、宗教本・テープ、化学品、危険品、医薬品、無線機、馬、アルコールを含んだもの(香料)など。
輸入地域規制
アラブ連盟の規約であるイスラエル・ボイコットにより、イスラエルとの直接貿易は不可。ただし、2020年8月にアラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルの国交正常化に伴い、UAEがイスラエルとの取引を禁止する法律を無効化したことを皮切りに、アラブ諸国とイスラエルとの国交正常化が進んだ。
- イスラエル・ボイコット
イスラエル・ボイコットとは、イスラエルの軍事・経済的影響力の拡大を阻止する目的をもって、サウジアラビアが加盟するアラブ連盟のイスラエル・ボイコット事務局(1951年結成、本部:ダマスカス)が取り決めた規約であるが、同規約には拘束力はなく、実施は加盟国の判断に任されている。
ボイコットの内容は、「イスラエル政府または市民との直接取引(売買、ビジネス契約)の禁止」、「イスラエルの軍事的、経済的発展に寄与している外国企業との取引」、「ブラックリストに掲載されている企業との取引」があるとされるが、サウジアラビアでは2005年11月のWTO加盟以降、直接取引のみ禁止している。
商業省内にイスラエル・ボイコット事務局サウジ支部(The Saudi Regional Office for Israel Boycott)が置かれているとされる。
また、規制ではないが、政治情勢によっては、消費者による輸入品への国別ボイコットが発生する可能性もある。なお、直接取引の禁止に加え、サウジ財務省は2021年7月の省令により、これまではGCCのオンショア製造品はすべて「GCC産」として扱い、関税優遇措置を適用してきたが、今後、同措置の適用を受けるには以下の条件を満たすことが必要とした。
- GCC域内での付加価値(Value addition)比率が工場価格の40%以上であること。
- 製造企業の現地人雇用比率が全従業員の25%以上であること。
- イスラエルに関連する要素が含まれないこと(イスラエルから供給された部品などが含まれないこと、あるいは製造企業にイスラエル資本およびアラブボイコット・リストに記載されている企業の資本が入っていないことなど)。
原油などのGCC産の原料を使用した加工品や、動物性加工製品などは対象外。また、パッキングや詰め替え、ラベリング、洗浄、製品補完・組み立てなどの工程は付加価値として認められていない。a.とb.の条件については、省令では双方を組み合わせて補完できるなど、その計算方法などを含めて詳細に設定している。ただし、省令に記載されている定義などに曖昧な部分もあるため、対象となり得る製品の確認については、サウジアラビアのザカート・税・税関庁への個別の問い合わせが必要となる。
2021年7月8日付ジェトロの記事「サウジアラビア、GCC産製品の関税優遇条件を厳格化」を参照。
- イラン
2016年1月、サウジアラビアはシーア派指導者の処刑以降、テヘランのサウジアラビア大使館襲撃が続いたことを受けて、サウジアラビア外務大臣はイランとの国交断絶を発表。以来、イランとの貿易取引は停止されていたが、2023年3月10日、中国の仲介により、7年ぶりに外交関係の正常化に合意。外交使節団の再開ならびに大使館業務を再開した。
2023年3月13日付ジェトロの記事「サウジアラビアがイランと国交再開へ、サウジアラビアの反応」、2023年9月7日付ジェトロの記事「駐イラン・サウジアラビア新大使がイランに到着」を参照。
- カタール
2017年6月には、カタールをテロ・過激派支援国家として国交を断絶し、陸・海・空の同国との国境通路を封鎖されていたが、2021年1月にカタールとは国交正常化した。
しかし、2023年10月のイスラム原理主義組織ハマスによるイスラエルへの攻撃を発端とする両勢力間の武力衝突により、アラブ諸国とイスラエルの関係は悪化。サウジアラビアはパレスチナ国民の支持を表明している。
2023年10月10日付ジェトロの記事「サウジアラビア、イスラエルとハマスの暴力の激化を止めるよう呼びかけ」を参照。
輸入関連法
GCC統一関税法
GCC統一関税法
輸入通関に関する基本事項は、GCC統一関税法(2003年1月発効)によって定められている。
【参考】湾岸協力会議:GCC統一関税法(Common Customs Law of the GCC States, 2003(421KB))
2003年1月1日にGCC関税同盟が発足し、GCC統一関税法によって、GCC諸国からの輸入品の関税は免除されることになった。対外共通税率は5%と定められたが、GCC統一関税には例外もある。
- 動物、魚類、野菜、穀物、書籍、貴金属、航空機、船舶等(関税率0%)
- タバコ・同製品(関税率100%)、一部の酒類(酒類の輸入が可能なGCC加盟国には関税率50%が適用)
- サウジアラビア国内で調達困難な原材料(サウジアラビア国内の製造業向け資本財、原材料・部品として使用され、かつサウジアラビア国内での調達が困難な品目については、商業省・免税委員会に申請して許可が出た場合、支払った関税は後から還付される)
なお、サウジアラビアでは数量割当は実施されていない。
GCC産品に対する関税免除の優遇措置適用を受ける条件は次のとおり。
- 公認会計士によりアラビア語で発行された原産地証明書の取得。
公認会計士は製品輸出国において会計・監査業務の免許の保持、かつサウジアラビアに支店、事務所等を有し、サウジアラビア公認会計士機構の認定を受けている自然人または法人を指す。
原産地報告書の発行・取得方法の詳細に関しては、原産地報告書発行手続きガイドライン(Guideline to Procedures to issue Origin Reports(754KB))を参照。
- 商品は製造国から直接サウジアラビアに商品を輸送される必要がある。
- 製造工程では少なくとも40%の現地付加価値を占める必要がある。
- 製造事業体は労働力の現地化率を25%以上にする必要がある。
輸入管理その他
サウジアラビアへ輸入されるすべての品目は、専用のオンラインプラットフォーム(Saberプラットフォーム)に事前登録する必要がある。
Saberプラットフォームへの登録
サウジアラビア政府は、2018年度以降、通関手続きを簡素化する等の目的のためのオンラインプラットフォーム“Saberプラットフォーム”を導入し、順次、対象品目が同制度の下での手続きに移行していたが、2020年1月以降は、輸出前に全輸入品がSaberプラットフォームに事前登録対象となった。詳細は、Saberプラットフォームのウェブサイト(Saber platform)を参照。
輸入規制等の有無や条件については、Saberプラットフォームに輸入品を登録する過程で判明する。
輸入品登録の流れは以下のとおり。
- サウジアラビアの輸入者が、Saberプラットフォームにログインして、製品情報などの必要情報を入力、登録審査を申請する。
- 入力内容に基づき、システム上で輸入可否や輸入規制・条件、船積前検査の要否が判定される。
- 船積前検査が必要な場合は、あらかじめサウジアラビア政府指定の検査会社に対し、日本の輸出者が検査を依頼する。
- 検査会社は書類の評価および船積前検査を実施し、SASOが定める製品規格および要求事項を満たしていることを確認して、輸入者へ適合証明書を発行する。
船積前検査の要否確認は(Saudi Arabia TR)を参照。
指定検査会社は以下のとおり。
その他指定検査会社はSASOのウェブサイト(Acceptance of Conformity Assessment Bodies(2.2MB))参照。
輸出品目規制
輸出には禁止品目、規制品目がある。
輸出禁止品目
あらゆる家畜・馬、ベビー用粉ミルク、動物用飼料(干草・スーダン産モロコシ、青刈飼料)、家禽用飼料(イエローコーン・大豆)、砂、GASCO仕様のガスシリンダー、ザムザム・ウォーター(聖水)、木材、水(瓶詰かそうでないかに関わらず)、氷、骨董品、考古学的・歴史的品目。
輸出規制品目(輸出許可制)
馬(純血種)、小麦・小麦粉、大豆、とうもろこし、ミルクを使用した乳幼児食、砂・砂利、大理石、石材、石灰岩、アスファルト、原油、燃料、ガス(液化ガスを含む)、ガスシリンダー、放射性物質、オゾン層を減少させる物質(フロンガスなど)、医薬品、農業用機械、電池・バッテリーくず、野生動物種
サウジ輸出促進庁(Saudi Export Development Authority)
【参考】輸出ガイド(2017年版、アラビア語のみ)(12MB)
輸出地域規制
許可された商品であれば、イスラエルを除くすべての地域に輸出できる。
「輸入規制地域」の項を参照。
輸出関連法
GCC統一関税法
輸出業者は輸出に際し、輸出許可が明記された商業登記書のコピーおよび商業省が発行するサウジアラビア産品に関する原産地証明書を、税関に提示しなければならない。
輸出管理その他
特になし。