外国企業の会社設立手続き・必要書類
最終更新日:2024年12月11日
外国企業の会社設立手続き・必要書類
会社設立のためには、投資省の各拠点に設置されたビジネス・センターに投資申請書を提出し、投資ライセンスを取得。Eサービス化が進められており、オンラインでの申請も可能となっている。その後、商業省において商業登記(Commercial Registration:CR)を行う。
会社設立の種類
外資の会社設立の主な形態は次のとおり。
-
Joint Stock Company:株式会社
公開、非公開、いずれの形態も可。 -
Limited Liability Company(LLC):有限責任会社
※1人以上の株主(法人、個人のいずれも可)出資による設立も可。 -
Foreign Company Branch:外国企業の支店
事業内容が親会社の事業内容に限定される。本社の100%出資。 -
Scientific and Technical Office:いわゆる駐在員事務所
商業活動を行うことができず、収益を得ることができない。 -
Temporary License for the Performance of a Government /Semi-Government Contract:商業仮登記
政府/政府関係機関からの受注に対して、同契約期間限定の投資ライセンス。 -
Simplified Joint Stock Companies:簡易株式会社
SJSCは最低1人での法人設立や複数の種類株式の発行、統治に関して1人や複数人、または取締役会によって管理される。
会社設立手続きの手順
外資の会社設立手続きには、投資省と商業省への申請が必要となる。まず投資省で該当業種の投資ライセンス(費用:2,000リヤル)を取得した後、商業登記(CR)を行う必要がある。投資ライセンスの請求書の発行日から30日以内に支払わなければならない。商業登記(CR)の手続きに関しては、商業省ウェブサイト(Ministry of Commerce)を参照。
かつては投資省ライセンスの取得後、次に代表者(General Manager:GM)のイカーマ(住民登録証)を取得した後、商業省に商業登記(CR)を行うという順番だったが、最近はCRを先行することが要求される。イカ―マを取得した後CRを取得せず、実際にはビジネスを行っていない不正企業を取り締まることが背景にある。
- 主な手続き
主な手続きには、次のような手続きがある。会社設立までに、法律事務所など専業企業に依頼するケースも多い。- MISAの投資ライセンス取得
- 商業省に商業登記
- 人材・社会開発省(旧労働・社会発展省)のアカウント開設
- 社会保険庁(GOSI)のアカウント開設
- 内務省のアカウント開設
- 立地する地域の商工会議所へのメンバー登録およびGMのサイン登録
- 公金口座の開設
- オフィスが立地する自治体からのライセンス取得
- ライセンス発行手続き
投資省:Services Manual 11th Edition(1.5MB) の次の項目を参照。
03.01 Services License
03.02 Industrial License
03.03 License for a Scientific and Technical Office - 主な投資ライセンスが求める追加要件
- 産業ライセンス(Industrial License)
産業・鉱物資源省(Ministry of Industry and Mineral Resources)に産業ライセンスを取得する必要がある。また、サウジアラビア気象環境総局にも申請し、環境認可を取得しなければならない。 - 駐在員事務所ライセンス
駐在員事務所は、企業の活動に準じる調査を行い、その調査報告書をメインセンターに提出し、投資省に年次活動報告書を提出しなければならない。また、直接・間接を問わず、国内でいかなる契約、商業活動、投資を行うことを禁じる。また、サウジアラビア技術者の訓練するための報酬を得ることも禁止する。 - 卸売業および小売業(輸入業、代理店等を含む)
2008年末に外資の出資比率上限が75%に引き上げられ、2016年6月には小売・輸入・流通業を外資に100%開放する閣議決定がなされ、小売・輸入・流通業の参入について、3カ国以上に拠点があること、最低資本金3,000万リヤルなど、条件付きで100%の外資出資が認められているが、最初の5年間は人材・社会開発省が定める現地化率を達成するなどの条件が課せられる。 - エンジニアリング事業
10年以上の実績と4カ国以上に拠点があり、10年以上の経験を有するなどの条件付きで、100%の外資出資が認められている。
- 産業ライセンス(Industrial License)
投資ライセンスの更新
投資ライセンスは、原則1年ごとに更新しなければならない。オンライン上での更新が可能。ライセンスの更新手数料は、新規取得と同じく2,000リヤル。なお、投資省による格付け上位に評価されている場合は、2年の更新が可能などの事例もある。請求書の発行日から15日以内に支払わなければならない。この期間内に支払いがない場合、ライセンスは失効し、再申請を行う必要がある。
投資省ライセンス更新
投資省:Services Manual 11th Edition(1.5MB) の「05.00 RENEWAL OF LICENSES」参照。
ビジネス形態によって、必要書類が異なる場合がある。
- 投資ライセンスのコピー
- 商業登記のコピーおよび(もしあれば)支店の商業登記のコピー(ライセンスが失効している場合も)
- 納税証明書のコピー
- 社会保険証明書(GOSI)のコピー
- ニタカート・プログラム評価証明書のコピー
- 従事する事業を管轄する省庁のライセンス・許可書
- 前年の会計報告書
- 更新手数料(2,000リヤル)
サービス利用料(Subscription fees)
初年度は年間1万リヤル、その後年間6万リヤル(一部例外あり)となる。
投資事業の質の重視
投資省では、投資ライセンス取得に必要な提出書類の種類を大幅に削減するとともに、審査期間も短縮するなど、投資手続きの迅速化、簡素化に取り組んできた。他方で、投資の具体的内容、国内産業への貢献度など、投資の質を重視するようになってきている。2012年8月からの「ライセンス申請フォーム」では、投資後5年間の事業計画やサウジアラビア人の雇用計画、サウジアラビアの産業への貢献度(原材料の現地調達比率等)を具体的に問う設問が増えている。
2024年8月7日に閣議決定された投資法の改正により、投資ライセンス制度による事業活動の制限を廃止し、事業範囲を原則自由とする事が明らかになっている。外資参入制限分野に関しては別途規定される。
新投資法は、2025年2月5日ごろに施行予定。2024年8月15日付ジェトロの記事「サウジアラビアで投資法を改正」を参照。
参照:"UPDATED INVESTMENT LAW”(MISA)
外国企業の会社清算手続き・必要書類
投資ライセンスの取り消しについては、投資省のウェブサイトを参照。
ライセンスのキャンセル
投資省:Services Manual 11th Edition(1.5MB) の「08.01 Notification for The Purpose Voluntary Cancellation of the Licenses」参照。
その他
特になし。