関税制度

最終更新日:2024年02月05日

管轄官庁

財務省(Ministry of Finance)

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Tel:+972-2-5317111
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関税率問い合わせ先

Israel Tax Authority

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本ウェブサイトでは、英語での関税率検索が可能。

関税体系

複税制(MFNに基づく一般税制と、FTAによる税制)

イスラエルの関税体系は、WTOの最恵国待遇の原則(MFN)に基づく一般税制と、自由貿易協定締結国に対する税制から成る。日本に対しては、MFNによる税制が適用されている。

品目分類

1988年よりHS分類を適用。

1988年1月よりHS分類を適用。輸入品は、8ケタの番号で分類されている。

関税の種類

従価税と従量税を併用。

従来、従価税(Ad Valorem)と従量税(Specific duties)、あるいはその混合税が併用されてきたが、2000年9月より、多くの品目が従量税から従価税に変更された。

2016年8月、財務相が輸入魚(ボラ、鯉、ティラピア)の関税引き下げ命令に署名して削減予定だったが、2020年5月に財務省、農業省、農業組合、漁業組合が協定書に署名し、鮮魚については関税率を下げないことに合意した。他方、冷凍魚(ボラ、鯉、ティラピア)に対する関税率は、二段階で削減された(詳細は次の表を参照)。

冷凍魚に対する関税率(1キロ当たり、単位:シェケル)
削減時期 冷凍魚(ティラピア、鯉、ボラおよびその他の冷凍魚) その他の冷凍魚の切り身 冷凍ティラピアの切り身 冷凍ティラピアの切り身(加工品)
第一段階(2020年5月即時) 3.3→2.15 5.5→3.25 7.5→4.65 6.91→4.35
第二段階(2022年1月1日から) 2.15→1 3.25→1 4.65→1.8 4.35→1.8(注)

(注)毎年1月1日に、消費者物価指数の変動に応じて調整される。2024年1月には1キロ当たり1.88シェケルに変更された。

課税基準

CIF価格

対日輸入適用税率

日本からの輸入に対しては、MFNを適用。

特恵等特別措置

物価高騰に関する特別減免税措置あり。

2011年に発生した大規模な物価高騰反対運動を受けて、農産品、加工食品、自動車および関連パーツを除くすべての工業製品・消費財を2段階で減免税することが決定された(2011年10月政府決議案No.3783)。

第1段階にあたる2012年には、財務省が指定する消費財が免税となった。

第2段階としては、次のとおり。

  1. 2015年1月1日時点で、イスラエルがFTAを締結していない国の場合
    • 2013年1月以降、関税は2011年10月30日比10%減となった。
    • 2014年1月以降は、同15%減となった。
    • 2015年以降は、財務大臣がさらなる減税の実施について決定する。
  2. 2015年1月1日までにイスラエルとのFTAを締結している国の場合
    • 締結国からの輸入品は、2017年1月まで年率15%(2011年10月30日比)のペースで減税され、最終的には免税となる。
    • 2013年1月より、繊維品(例:下着を除く衣類品)の関税が廃止された。
    • 2013年1月より、これまで課税の対象となっていなかった工業用品および消費財は課税の対象より外された。
    • 2014年より、工業用品の関税が15%減税された。
    • 2012年1月より、個人輸入に対する減税措置が導入された。75ドル未満の商品は輸入関税が免除された。75ドル以上500ドル未満の商品には付加価値税(VAT)のみが適用された。

関連法

Customs Ordinance [New Version]、Customs Order of 1986

関税以外の諸税

物品購入税、付加価値税等。

物品購入税(Purchase Tax

物品購入税は、政府が歳入不足を補うために採用してきた税制の1つで、自動車などほとんどの消費財と一部の中間財、原材料に課せられている。しかし、1980年代末からの経済発展に伴い、段階的に減税措置が講じられてきた。

  1. 車両
    環境対策の一環から、2009年8月から「グリーン車両税」が導入された。2023年1月時点で、通常の自家用車、商用車の物品購入税は83%に設定されているが、ハイブリッド車も83%、プラグインハイブリッド車は55%、電気自動車は20%となっている。
  2. 燃料
    1. ガソリン
      2024年1月時点のガソリン税は、1リットル当たり3.4シェケル。
    2. バイオディーゼル燃料
      再生油もしくは動物油脂(バイオディーゼル)にかかる燃料税を2年間(2015~2017年)1,000リットル当たり28.68シェケルに据え置いたが、その後段階的に引き上げ、2024年1月時点では1,000リットル当たり1,620.59シェケルに設定されている。
  3. たばこ類
    2024年1月時点で紙巻たばこ1,000本当たり850.62シェケル(最低税額)。
  4. アルコール飲料
    2024年1月時点で、ビール(アルコール濃度3.8%以上)の購入税は、1リットル当たり2.61シェケル。アルコール度3.8%未満のビールについては免税。ウオッカ、ウイスキー、ジンなどの購入税は、1リットル当たり94.69シェケル。
  5. 奢侈品
    2013年9月1日より、販売価格が1台当たり30万シェケル以上の自動車について、既存の購入税(83%)に加え、30万シェケルを超えた金額(販売価格-30万)に20%課税されることになった。さらに、オフロード用車両の購入税が30%から50%に引き上げられた。また、内容積が800リットルを超える冷蔵庫については550シェケル、自家用飛行機には15%、ジェットスキー機材、毛皮、アンティーク家具には20%、ジャクジーは19.2%の購入税がそれぞれ追加された。
  6. バイク購入税
    スクーターとバイクは、排気量に応じて課税される。
    • 125cc以下:25%
    • 125cc超~250cc:40%
    • 250cc超~500cc:50%
    • 500cc超~800cc:60%
    • 800cc超:70%

    Purchase Tax and Compulsory Payments 1864 - the Customs Tariff and Exemptions and Purchase Tax Order on Goods 5777-2017.

付加価値税(VAT)

付加価値税(VAT)は、輸入品を含め、ほとんどすべての製品、サービスに対して課せられる。CIF価格に物品購入税を加算した価格に対して、課税される。VATの支払いが免除されているものには、輸出品、国際間の貨物・人の移動(運賃)、外貨で支払われるホテル、レンタカーなど観光サービスの一部、生鮮野菜・果物などがある。
2024年1月時点の付加価値税率は17%。

その他

国内産業保護としてのTAMA(CIF価格にある一定の割合を乗せて価格を上げる独特のシステム)。

TAMA(国内産業保護目的の追加課税措置)

イスラエルは、国内産業を保護することを目的とした「TAMA(追加という意味)」というシステムがある。これは、CIF価格に対して一定の比率を掛けて価格を意図的に上昇させるもので、前述の物品購入税と連動している。TAMAの加算率は、産業界の意向をベースに、最終的に財務省が決定する。
例えば、CIF価格が100ドルの輸入品があり、この製品のTAMAが50%、物品購入税が10%とした場合、TAMAが加算された時点で価格は150ドルになり、さらにこの価格に物品購入税の10%が課税される。