外資に関する奨励

最終更新日:2023年12月12日

奨励業種

業種を特定した奨励措置は見当たらないが、イスラエル政府は、1959年制定の「投資奨励法(The Encouragement of Capital Investment Law)」に基づき、認可を与えた投資案件に対し、以下に示す企業区分に応じて法人税の減税などの優遇措置を提供する他、研究開発に関する補助によって国内投資の促進および外資導入を図っている。

投資奨励法は、優遇地域(後述)でのイノベーション活動を行う企業を優遇することを主な目的として、[1]イスラエル経済の生産能力向上、[2]国際市場における競争力向上、[3]新規かつ持続可能な雇用を実現する基盤の構築などを主眼としている。投資奨励措置を受けるためには、経済産業省・投資発展局(Investment and Development Authority for Industry and Economy)等の管轄当局から認可を受ける必要がある。

なお、「投資奨励法」では、イスラエル中央部(都市部)から離れた地域の開発を進めるため、イスラエル南部のネゲブ地域、北部のガリラヤ地域、エルサレムなどについて投資優遇地域を設けている。

企業区分

  1. 優遇企業
    1. 優遇企業として認定されるためには、毎年度、以下のうち少なくとも1つに該当する必要がある。
      1. 当該企業の主要な活動がバイオテクノロジーあるいはナノテクノロジーに関すること(この判断は、政府当局によってなされる必要がある)。
      2. 課税年度内の収益のうち、特定の1カ国(または関税地域)への売り上げが全体の75%を超えないこと。
      3. 課税年度内の収益のうち、最低1,400万人の人口を有する特定の1カ国(または関税地域)への売り上げが25%以上あること。
    2. 優遇企業として、以下の通り法人税が減税される。
      優遇地域内では7.5%、その他の地域は16%。このような会社から支払われる配当金には20%の源泉徴収が課されるが、租税条約により軽減される場合がある。
      イスラエルと日本の租税条約により、配当金の源泉徴収率は5%または15%に軽減される。
  2. 特別優遇企業
    1. 特別優遇企業として認定されるための主な条件は、以下の通りである。
      当該企業の年間売り上げが10億シェケル以上であること、加えて当該企業が年間売り上げ100億シェケル以上の、当該企業がイスラエル国内で操業するものと同業種の海外企業グループの一員であること。
    2. 特別優遇企業として、以下の通り法人税が減税される。
      優遇地域内では5%、その他の地域では8%(10年間)。10年経過後は、新たに特別優遇企業として認定される新規投資が発生しない限りは、優遇企業としての減税対象となる。
  3. 優遇テクノロジー企業
    1. 優遇テクノロジー企業として認定されるための主な条件は、以下の通りである。
      当該企業がなんらかのテクノロジー分野に従事するとともに、年間売り上げが100億シェケル未満の海外企業グループに属していることに加えて、以下の条件のいずれか1つに該当すること。
      1. 当該企業の研究開発支出が、該当する課税年度の従前3年間総売り上げの7%以上、あるいは1年当たり7,500万シェケル以上であること。加えて、当該企業は以下の条件のいずれか1つを満たしていること。
        • 研究開発に従事する従業員が、全従業員の20%以上あるいは200名以上いること。
        • 当該課税年度の従前3年間において、当該企業の収益が対前年比で25%以上増加していること、ならびに、各年において収益が1,000万シェケル以上であること。
        • 当該課税年度の従前3年間において、当該企業の従業員数が対前年比で25%以上増加していること、ならびに、各年において最低50名の従業員を雇用していること。
        • ベンチャー・キャピタル・ファンドが当該企業に800万シェケル以上を投資し、当該企業はその日以降に事業分野を変更していないこと。
      2. 当該企業が国家技術革新庁の承認を得ていること。
    2. 優遇テクノロジー企業として、以下の通り法人税が減税される。
      優遇地域内では7.5%、その他の地域では12%。ただし、これらの税率はイスラエル国内で発生した知的財産権に基づく収益に限って適用される。配当金は、その会社の株式の90%以上が外国企業によって保有されている場合、4%の軽減税率で源泉徴収されることがある。
  4. 特別優遇テクノロジー企業
    1. 特別優遇テクノロジー企業として認定されるための主な条件は、以下の通りである。
      前記の優遇テクノロジー企業に認定されるための条件に加えて、年間収益が100億シェケル以上の海外企業グループに属していること。
    2. 特別優遇テクノロジー企業として、以下の通り法人税が減税される。
      地域の区別なく6%(10年間)。ただし、この税率はイスラエル国内で発生した知的財産権に基づく収益に限って適用される。配当金は、その会社の株式の90%以上が外国企業によって保有されている場合、4%の軽減税率で源泉徴収されることがある。

各種優遇措置

「産業研究開発奨励法」に基づく研究開発促進のための優遇措置がある。

研究開発促進のための優遇措置

国内の研究開発を促進するため、イスラエルが設けている様々な優遇措置は、1984年制定の「産業研究開発奨励法」を基本とし、経済産業省傘下のIsrael Innovation Authority(IIA=イスラエル・イノベーション庁)によって実施されている。同法の目的は、政府がR&D事業のリスクをシェアし、民間のR&D事業への投資を奨励することにある。イスラエル国内の登記企業は、この法律による恩恵を受けることができる。

分野別の補助事業等優遇措置の詳細はIIAの事業紹介(Israel Innovation AuthorityPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.82MB))を参照。

その他

特になし。