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外国産品の先行事例分析

高所得層を狙うフランス高級食品 ‐ ラファイエット・グルメがドバイモールにオープン

2010年12月
分野:食品・農林水産物

ドバイで今、最も観光客や買い物客を集めている拠点の一つ、ドバイモールには約1,000店舗が入居している。最下層階には世界各国の主要な食材がすべて揃う大規模なイギリス系の高級スーパー・ウエイトローズをはじめ、オーガニック食品専門店等が店を構えている。2010年10月、同モールに新たに参入したのは、フランスを代表する高級デパート、ギャラリー・ラファイエットの食品専門店「ラファイエット・グルメ」である。同店舗では、フランスの主要な食材売り場とレストランを併設し、お洒落で高級な食事と食材普及へのチャレンジが始まった。

デパ地下ならぬモール最上階にフランスの食の拠点を設置

フランスからドバイへの2009年のドバイ税関の輸入統計(直接輸入)をみると、ワイン、チーズ、アイスクリーム、フルーツが主要な商品カテゴリーであり、食品関連(HS code02~24合計額)の輸入金額のシェアを見ると15位、1.9%、約5億UAEディルハムとなっており、国別にみると比較的小規模なシェアである(日本は37位、0.4%、1億2,000万UAEディルハム)。

3年前のドバイ経済が順調に成長していた2006年のフランスからの輸入金額のシェアをみても、16位、2.2%、3億5,000万UAEディルハムと金額は伸びているものの、大きなシェアを占めているわけではなかった(日本は36位、0.3%、5,500万UAEディルハム)。

フランス系の食材を扱う小売りスーパー・マーケットとしては、既にカルフールやジアン等が進出してきており、これら店舗は多様な品ぞろえがなされているが、地域では比較的安い商品を扱うスーパーとして位置付けられている。

これに対して、ギャラリー・ラファイエット・グルメは、高級感を全面に打ち出した店舗構成をしている。商品は食品のみならず、日用生活雑貨などの商品も含まれ、すべてがフランス製品というわけではないが、約4,000点の規模でフランス製品が取りそろえられており、全商品点数は約5,000に上るとみられる。

加工食品等はフランス産も多い品ぞろえではあるが、決してメインの商品というわけではない。しかし、一部には高級感のあるフランス産の各種加工食品やフランスから直送されたシタビラメなどの魚介類、そして日本産のいくら、トビコなどの魚介類・加工製品も並んでいる。野菜や果物類をみるとオランダ産、フランス産から地元産までの幅広い国から輸入され、管理の行き届いた新鮮な野菜・果物が数十点、魚介類・肉類で数十点、肉類ではオーストラリア産を含む輸入牛肉や鶏肉等が取りそろえられている。さらに非ムスリムのためのハラムコーナーも設けられ、フランス、スペイン、イタリアの各種高級ポーク製品のハムなどを数十点取りそろえ、非ムスリムの欧米人を中心とした顧客へ提供している。また、チーズもイタリア、フランス、オランダ産を数十点、こだわりのものを取りそろえており、欧米人やアラブ人のファンの需要に応えている。このように、各国の輸入商品を満遍なく取りそろえ、その中にフランスの高級食材を散りばめて、中級品から高級品まで価格帯の広い商品を提供している。

一番人気はすし・シーフードレストラン

ラファイエット・グルメの魅力は、食材の店舗に併設されている7つのレストランである。10数席から30席程度の規模で、アラビック料理、イタリアン料理、アジア料理(タイ、中華)、インド料理、モロッコ料理、レバノン料理、すし・シーフードを味わうことが出来、買い物後の客などで賑わっている。アジア料理のカテゴリーとは別に設けられたすし・シーフードレストランは一番人気であり、7つのレストランの中心に位置している。「少し高い椅子のカウンター席に座り、買い物客からの視線を背中に浴びつつすしを食べる姿がお洒落」と買い物客に人気を集めている。また、すしやシーフードを並べている売り場のショーケースはディスプレー専門の担当者が料理の盛りつけを工夫し、より購買意欲をかき立てるよう見事な演出がなされている。

ギャラリー・ラファイエットというブランド力のあるフランスの高級デパートが、食の分野に乗り出すにあたっては、店舗の構成にもさまざまな工夫がなされている。モール最上階のデパートの入口には高級感あふれる食器やテーブルウエアがディスプレーされ、中に進むとお洒落なキッチン用品や台所用電気器具が並ぶコーナーがある。そのさらに奥には食材コーナーが設置され、フランスをイメージしたシェフ帽をかぶったマネキンが客を出迎えるなど、人の流れを意識して高級商品を配置し、客の購買意欲を高める展示をしている。そして、一番奥まで進むと併設のレストランコーナーにたどり着き、買ってみたい商品を見た直後に試しにレストランで食べてみることもできるのだ。

このように、客の食欲をその場で満たすことのできる配慮と、ゆったりと落ち着いて買い物や食事が出来る雰囲気を大切にした空間を作り出している。

アブダビで開催された食の展示会SIAL Middle East

中東の食の展示会は、ドバイで開催される世界最大規模のGulfoodが有名だ。フランスは毎年カントリーパビリオンを設置し、多くのフランス食品企業が出展している。しかし、2010年はラファイエット・グルメの開店と時期を同じくして、これらを後押しするかのように、フランスの食の展示会SIALが2010年11月に初めてフランスとつながりの深いUAEの首都アブダビで開催された。

SIALは1964年以来パリにおいて隔年で開催されている世界最大級の食の展示会であり、この度SIAL Middle Eastとして11月22日から24日までの3日間、アブダビ市内のアブダビ・ナショナル・展示会場(ADNEC)で開催された。今後も毎年同時期に開かれるという。初めての開催にあたり、カントリーパビリオンの出展国・地域として、フランスはもとより、アルゼンチン、イラン、トルコ、米国、中国、香港、タイ、UAEを含む全230社が出展。会期中3日間で77カ国から1万人の参加者が訪れた。

SIALは、フランス以外でも1997年以降世界各地で毎年開催され、これまでに中国(上海)、カナダ、アルゼンチンで開催されている。

UAEとフランスは、ソルボンヌ大学の分校の開校、ルーブル美術館の別館の建築、軍事基地の開設など、さまざまな分野で連携がなされており、SIALのフランスパビリオンの担当者によると、UAE政府間とのさらなる連携強化策として食の分野にも進出してきているとのことだ。

ドバイにおけるフランス高級食品の戦略

このように、Gulfood やSIAL Middle Eastなどの展示会開催によるフランス食品のプロモーション、そして、既存の大規模小売りスーパーとは差別化したフランスの高級食材の販売拠点ラファイエット・グルメの開店という、展示会と販売拠点が連携したフランス高級食材の輸出促進戦略が新たに動き出している。

ただし、ラファイエット・グルメの商品として唯一欠けているのは酒類だ。イスラムの戒律のある当地では、酒類の販売が規制されており、フランスの最大の輸出商品で食事には欠かせないワインが店頭やレストランでは提供されていない。ターゲットにしている顧客は、高所得層で昼間、買い物をする女性客であり、基本的にホテルのレストランで食事をする顧客とは異なるが、食事とともに酒を楽しみたい客には少し敬遠されるだろう。こうした、レストランとしては一部制約のある環境の下、ラファイエット・グルメがいかに高級食材の拠点としてのブランドイメージを構築し、ドバイの中・高所得層の信頼を得て、フランス産のみならず世界から輸入される高級食品の市場ができ上がるか、今後の動向が注目される。

写真は最上階の店舗入口

入口には高級な食器やテーブルウエアが並べられている。
クーラーに入っているシャンペンはノンアルコールのもの

食材コーナーの入口にあるマネキン人形

充実したチーズコーナー

一番人気のシーフードコーナーのディスプレー

非ムスリムのためのハラムコーナー。充実したソーセージ群

(ドバイ事務所)

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