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日本産食品の小売販売動向

日本産炭酸飲料類が躍進するドバイ市場 ‐ ドバイの飲料市場は炭酸飲料と果実飲料が人気

2010年10月
分野:食品・農林水産物

中東の乾燥した気候の生活に欠かせないのが水分である。多様な人々が集うドバイにおいては炭酸飲料、ミネラルウォーター、果実飲料が主な売れ筋商品となっている。

日本のドバイ向け食品輸出の主力は飲料であるが、現状では日本の特定メーカーによる市場参入に限定され、炭酸飲料系が中心の市場となっており、ミネラルウォーターや果実飲料はいまだほとんど輸出されていない状況である。今後、これらの飲料分野への参入により、日本ブランドの強みを生かした市場拡大が期待される。

炭酸飲料:日本産ブランドが浸透、低価格、用途に応じた機能性が需要を後押し

ドバイ税関の輸入統計によると、ドバイの炭酸飲料の輸入額は、2010年は前年比で13.8%増と順調な伸びを示している(表1)。このうち、日本がトップシェアの79.5%で、2位オーストリアの6.9%に大きな差をつけている。

日本産飲料は、「オロナミンC」などの炭酸飲料のほか、スポーツドリンクとしての「ポカリスエット(大塚製薬)」や「スポーツウォーター(ポッカコーポレーション)」、エナジードリンクの「リポビタンD(大正製薬)」などスポーツ時の水分補給や、健康志向の消費者向けに各社から販売されている。これらの製品は用途に応じて人工的に作られた機能性飲料と位置付けることができるが、人工的な飲料であっても人気を得て売れ続けている。また、高級スーパーマーケットのウエイトローズでの販売価格をみると、オーストリア産のエナジードリンク「レッドブル」の販売価格の6ディルハム(約138円)に対して、日本産の前述の飲料の相場は5割以上も低価格であるなど価格差がある。さらに、街中でも日本産飲料の広告が浸透しており、味や品質面でも日本産ブランドが受け入れられつつある。

いまだ小さなシェアではあるが、フランスや英国などの西欧諸国や台湾、タイ、バングラデシュなどのアジア諸国からの輸入額の伸びも大きく、さらにシンガポールも着実にシェアを伸ばしており、ドバイの飲料を扱う輸入業者も注目をしている。

表1:ドバイ税関(直接貿易)の炭酸飲料の輸入額の変化(単位:ディルハイム、%)

※炭酸水(HS Code22021029)。2010年数値は1~8月期を12カ月に伸ばした数値。
出所:ドバイ税関

ナチュラルミネラルウォーター:日本の美味しい軟水への需要開発で市場シェア獲得を期待

一方、2009年のドバイ税関のノン・アルコール飲料全体の輸入状況をみると、日本が32.3%でトップシェアを占めており、続くフランスの11.9%に大きな差をつけている( 表2 )。このノン・アルコール飲料のうち、一番大きなシェアを占めるのが炭酸飲料で全体額の36.1%を占め、次いでナチュラルミネラルウォーターが同18.0%を占める( 表3 )。

しかし、ナチュラルミネラルウォーターの市場では日本のシェアはほとんどなく、フランス、イタリア、英国の3カ国で9割近くを占めており、寡占市場となっている。前述3カ国のナチュラルミネラルウォーターはいずれも硬質水系が主体であり、当地で販売されている「アル・アイン」や「マサフィ」といった地元ブランドの軟質水とは異なるタイプの商品である。また、最近では人体に大切なミネラル分を含む機能性水のようにいわれているフィジーの水がドバイでも宣伝・販売されるようになり、軟水で口当たりもよいため次第に人気を得ており、既に日本からの輸入額よりも大きいシェアを占めている。日本のナチュラルミネラルウォーターがシェアを伸ばしていくためには、自然水に含まれる成分など、機能性のセールスポイントを押さえたフィジーのようなPR活動を展開することにより、軟水で口当たりのよい日本の銘水への需要も少なからず開発できると見込まれる。

なお、ドバイの地場のインポーターによると、「飲料は長期間の賞味期限があり、家庭で保存も可能な商品であるため、当地の家庭では消費・保存用に瓶詰めの飲料水商品の人気が高い」ともいわれているなど、パッケージスタイルにもこだわりがあるので留意が必要となる。

表2:2009年ドバイ税関(直接貿易)におけるノン・アルコール飲料全体の上位10カ国からの輸入状況
順位 輸入国 輸入数量
(kg)
輸入額
(AED)
輸入額の割合
1 日本 19,055,417 93,859,082 32.3%
2 フランス 10,931,397 34,455,490 11.9%
3 オランダ 5,470,403 23,908,510 8.2%
4 シンガポール 4,927,636 18,457,967 6.4%
5 オーストリア 2,168,260 14,812,677 5.1%
6 イタリア 5,791,961 14,661,655 5.0%
7 英国 3,434,305 13,111,128 4.5%
8 ドイツ 2,495,986 8,357,788 2.9%
9 中国 2,033,384 6,130,248 2.1%
10 トルコ 4,040,256 6,036,510 2.1%
合計 80,779,039 290,389,877 100.0%

出所:ドバイ税関

表3-a:2009年ドバイ税関(直接貿易)のノン・アルコール飲料のうち、炭酸飲料の上位10カ国および日本からの輸入状況
順位 輸入国 輸入数量
(kg)
輸入額
(AED)
輸入額の割合
1 日本 17,269,510 82,203,026 78.5%
2 オーストリア 1,376,316 9,919,180 9.5%
3 レバノン 847,076 2,601,545 2.5%
4 シンガポール 560,515 1,965,582 1.9%
5 エジプト 540,896 1,630,771 1.6%
6 中国 432,102 1,132,348 1.1%
7 オランダ 197,088 1,085,665 1.0%
8 英国 68,460 940,706 0.9%
9 オーストラリア 61,060 687,721 0.7%
10 米国 92,289 624,500 0.6%
合計 22,111,819 104,686,398 100.0%

出所:ドバイ税関

表3-b:2009年ドバイ税関(直接貿易)のノン・アルコール飲料のうち、ナチュラルミネラルウォーターの上位10カ国および日本からの輸入状況
順位 輸入国 輸入数量
(kg)
輸入額
(AED)
輸入額の割合
1 フランス 17,269,510 82,203,026 78.5%
2 イタリア 1,376,316 9,919,180 9.5%
3 英国 847,076 2,601,545 2.5%
4 トルコ 560,515 1,965,582 1.9%
5 オマーン 540,896 1,630,771 1.6%
6 ニュージーランド 432,102 1,132,348 1.1%
7 マルタ 197,088 1,085,665 1.0%
8 スペイン 68,460 940,706 0.9%
9 フィジー 61,060 687,721 0.7%
10 ドイツ 92,289 624,500 0.6%
23 日本 4,745 23,726 0.0%
合計 22,111,819 104,686,398 100.0%

出所:ドバイ税関

果実飲料:果実成分をコントロールしない自然製法の商品が人気

水とともに消費額の大きいものに、果実飲料がある。大規模小売りスーパーの飲料の棚には輸入外国産のジュースとともに、輸入原料を使った国内産のジュースが並んでいる。輸入されたジュースはホテルレストランやカフェなどで消費されるものも多い。また、ドバイでは至る所にフレッシュジュースバーと呼ばれる果実からジュースを直接絞り提供する形態の出店も年々目立ってきているなど、ジュースの輸入とともに果実からフレッシュ果実飲料を提供する形態の消費が伸びていることが見受けられる。

2009年のドバイ税関における果実飲料の輸入状況をみると、さっぱりとした酸味のあるオレンジジュースが2割以上を占めるなど人気商品となっており、次いで果実・野菜ジュース、ミックスジュース(濃縮)などの順となっている。これら飲料のうち、人気が高いものは自然製法により作られたものが多く、濃縮でも非濃縮でも果実成分を全くコントロールしない自然のものが最も安全な食品で健康にもよいということが消費者の間に浸透している。

表4:各種果実飲料の輸入状況と各国の種類別シェアの状況

各種果実飲料の輸入状況と各国の種類別シェアの状況
輸入ジュース品目 輸入額
(千AED)
割合
(%)
主要輸入先国
(当該ジュースの輸入額全体に占める割合)
上位3カ国
占有率
冷凍オレンジジュース 24,285 20.8% 1位:ブラジル(35%)
2位:米国(22%)
3位:南アフリカ(22%)
79%
非冷凍オレンジジュース 2,159 1.9% 1位:南アフリカ(43%)
2位:米国(29%)
3位:フランス(11%)
83%
その他のオレンジジュース 2,657 2.3% 1位:フランス(35%)
2位:米国(22%)
3位:オランダ(10%)
67%
グレープフルーツジュース
(糖度20度以下)
547 0.5% 1位:南アフリカ(62%)
2位:イタリア(12%)
3位:タイ(6%)
80%
グレープフルーツジュース
(糖度20度以上)
1,285 1.1% 1位:南アフリカ(41%)
2位:米国(38%)
3位:アルゼンチン(10%)
89%
レモンジュース 2,112 1.8% 1位:米国(49%)
2位:イラン(37%)
3位:フィリピン(9%)
95%
パイナップルジュース
(糖度20度以下)
3,635 3.1% 1位:フィリピン(34%)
2位:韓国(28%)
3位:タイ(18%)
80%
パイナップルジュース
(糖度20度以上)
5,735 4.9% 1位:タイ(53%)
2位:キプロス(26%)
3位:ベトナム(7%)
86%
トマトジュース 349 0.3% 1位:フランス(49%)
2位:米国(26%)
3位:香港(10%)
85%
ブドウジュース
(糖度30度以下)
2,455 2.1% 1位:スペイン(38%)
2位:南アフリカ(26%)
3位:英国(13%)
77%
ブドウジュース
(糖度30度以上)
2,351 2.0% 1位:オーストリア(39%)
2位:スペイン(24%)
3位:イタリア(14%)
77%
りんごジュース
(糖度20度以下)
1,881 1.6% 1位:南アフリカ(34%)
2位:マレーシア(12%)
3位:フランス(10%)
56%
りんごジュース
(糖度20度以上)
6,872 5.9% 1位:オーストリア(45%)
2位:ドイツ(17%)
3位:中国(16%)
78%
マンゴージュース(非濃縮) 3,378 2.9% 1位:インド(78%)
2位:フィリピン(6%)
3位:レバノン(5%)
89%
マンゴージュース(濃縮) 1,750 1.5% 1位:インド(74%)
2位:フランス(10%)
3位:オマーン(7%)
91%
グァバジュース(非濃縮) 664 0.6% 1位:南アフリカ(81%)
2位:台湾(10%)
3位:レバノン(7%)
98%
グァバジュース(濃縮) 126 0.1% 1位:レバノン(74%)
2位:ドイツ(14%)
3位:オーストリア(12%)
100%
その他の果実・野菜ジュース 22,180 19.0% 1位:タイ(31%)
2位:米国(12%)
3位:中国(11%)
54%
果実・野菜ミックスジュース
(非濃縮)
6,731 5.8% 1位:オランダ(%)
2位:南アフリカ(%)
3位:フィリピン(12%)
48%
果実・野菜ミックスジュース
(濃縮)
19,769 17.0% 1位:韓国(50%)
2位:オランダ(13%)
3位:ベルギー(9%)
72%
その他 5,631 4.8% - -
合計 116,552 100.0% 1位:南アフリカ(11%)
2位:米国(11%)
3位:タイ(10%)
32%

出所:ドバイ税関

健康志向と新たな日本産飲料への期待

炭酸飲料は人工的に機能性と美味しさを作り出し、消費者に受け入れられてきた。一方で、ナチュラルミネラルウォーターは天然成分の含有などによる自然な味と機能性が健康によいと期待されて消費者に選ばれている。さらに、果実飲料は果実そのものの持つ味や成分、効能が期待され、新鮮で何も加えない安全な果実飲料が多くの消費者に受け入れられている。

上述のトレンドが見受けられる中、Gulfood(中東最大の食品展示会)においてジェトロが地元企業のフード・コーディネーターへインタビューを行った。同氏によると、「最近の健康志向の高まりとともに、新たなトレンドとして、炭酸飲料でもローカロリーなもの、機能性飲料あるいはプロバイオテックス飲料などの需要も起きている」とのこと。「炭酸飲料でも日本の健康に配慮した機能性のある製品と同じく、ミネラルウォーターや果実飲料でも自然派志向の製品のみならず、機能性などの付加価値を打ち出した新たな製品の開発で市場を活性化するよう、日本の飲料業界へ期待している」との声も聞かれた。

(ドバイ事務所)

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