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日本食品の輸入動向

依然堅調な飲料の輸入割合 ‐ 円高影響で漸減傾向の日本産食品・飲料

2010年10月
分野:食品・農林水産物

酷暑の地、ドバイでは日本からの食品の輸出総額の約7割を清涼飲料水が占め、品目によっては世界各国からの輸入シェアの首位を占めているなど、主要な輸出商品となっているも、引き続く円高の影響で輸出は漸減傾向にある。

2008年9月の金融危機以降、2009年1月に日本からの食品輸出は底を打ち、それ以降は漸増傾向にあったが、2010年8月の夏季休暇・ラマダン以降、円高がさらに続くとみられ、日本製品が敬遠されたため、9月以降の食品輸出は漸減傾向にある。

金融危機等の影響から回復基調となるも食品輸入は大幅減少

中東の主要流通ハブとしてのドバイにおける2009年の貿易は、世界金融危機やそれに続いたドバイショックの影響により大きな打撃を受けた。貿易の総額(直接貿易+フリーゾーン貿易+保税倉庫貿易)は、2009年には19.3%減少した。内訳をみると、輸出はわずかに1.3%増えたものの、再輸出は8.6%減少し、輸入は26.7%と大きく減少した。しかしながら2010年の直接貿易額については、2010年の第2四半期でみると前年同期比で22.2%増加し、2008年までの伸びはないものの徐々に回復してきている。内訳をみると、輸出は45.7%、再輸出は25.8%、輸入は17.1%とそれぞれ増加した(表1)。

表1:ドバイの貿易の比較(単位:10億ディルハム)
2009年
第2四半期
2010年
第2四半期
前年同期比
輸入 76.8 89.9 17.10%
輸出 12.3 17.9 45.70%
再輸出 27.7 34.9 25.80%
合計 116.8 142.7 22.20%

※2009年、2010年は第2四半期データ
出所:ドバイ統計センター

しかし、ドバイの食品輸入についてみると、2009年は世界金融危機などの影響による減少幅は、輸入金額ベースで第1部から第4部までの合計額が対前年比8.3%減と比較的小幅な減少にとどまっていたものの、2010年では全分類にわたり20%以上減少し、同合計額の前年比は25.5%減と大幅な減少が推定される(表2)。

米大手調査会社ニールセンの2010年の調査によると、第4四半期のUAEの消費者信頼感指数は、前期比4ポイント減の97となっている。「支出を抑えるようになった」と回答した消費者は約68%、同国経済の現状を「不景気」と回答した人は69%で「今年好転する」と予測している人は3分の1にとどまっているなど、ドバイの物流や観光は戻りつつあるも、金融危機で高所得層が減少したドバイでは、食の消費需要は厳しい状況が続いている。

表2:ドバイにおける世界からの食品類の輸入の推移(単位:トン、100万ディルハム、%)
分類 2008年 2009年 2010年
数量 金額 数量 金額 金額前年比(09/08) 数量 金額 金額前年比(10/09)
第1部 生きた動物 488,279 5,148 580,316 4,948 △3.9% 401,009 3,717 △24.9%
第2部 植物性生産品 5,027,943 15,571 5,442,812 14,856 △4.6% 3,615,024 10,788 △27.4%
第3部 動植物性油脂 299,545 1,487 193,412 700 △52.9% 112,992 441 △37.0%
第4部 調製食料品等 1,382,335 6,924 894,528 6,222 △10.1% 732,330 4,966 △20.2%
合計 7,198,102 29,130 7,111,068 26,726 △8.3% 4,861,355 19,912 △25.5%

※2010年の数値はドバイ税関の1月から8月までの実データを12カ月に延ばした推計値
出所:ドバイ貿易統計

円高で日本産需要の減少続く

2010年の日本産食料についても、ドバイの食品輸入全体の減少傾向と同じく厳しい状況が続いた。2009年から2010年にかけての月別日本食の輸入動向についてみると、2008年9月の金融危機以降、2009年1月に日本からの食品輸出は底を打ち、それ以降2009年8月の夏季休暇・ラマダン、2009年11月のドバイショックまでは顕著な回復が見られなかった。この時期以降の日本からドバイへの輸入は徐々に一進一退を繰り返しながらも漸増傾向にあったものの、2010年8月の夏季休暇・ラマダン以降、円高がさらに続くとみられたためか、9月以降の食品の輸入は漸減傾向にある(図1)。

これらの結果、2010年の日本からの食品輸入はごま油などの油脂類の少額な食品の伸びはあるものの、口蹄疫の影響で肉類や比較的高価格な魚類の輸入額が減少し、その他の分類項目は軒並み減少となり、輸入総額は前年比で4.9%の減少と推定される(表3)。

図1:日本からUAEへの輸出状況(輸出全体、食料全体、うち飲料)
図1を拡大する

表3:ドバイにおける日本からの食品類の輸入の推移(単位:kg、ディルハム、%)
分類 2008年 2009年
数量 金額 数量 金額 金額前年比(09/08)
第1部 生きた動物 54,170 3,777,514 53,838 2,871,452 △24.0%
第2部 植物性生産品 159,299 4,456,734 74,662 2,224,496 △50.1%
第3部 動植物性油脂 292 19,833 2,529 59,301 199.0%
第4部 調製食料品等 20,726,937 110,987,495 22,023,823 108,189,285 △2.5%
合計 20,940,698 119,241,576 22,154,852 113,344,534 △4.9%

日本産飲料も円高で輸出量、単価双方の低下

ドバイには日本食レストランが多く、今も「すし」がブームである。しかし、米や魚などの主要な食材は日本産以外で占められており、2009年までの日本からの食品輸入状況の推移をみると、日本産水産物の輸入割合が前年比で31.2%減少しており、また、2009年の日本産食品の輸入総額に占める、日本産水産物の輸入額の割合も8.2%にとどまっているなど、日本食ブームのドバイではあるが、日本からの輸出の主流を占めているわけではない。これに対し、大塚製薬、大正製薬、ポッカなどの飲料メーカーの清涼飲料水はドバイでは定着しており、2009年では農林水産物・食品の輸出全体の65.7%を占めており、対UAE向けの日本産食品の中では、これまで常にトップシェアを占めている(表4)。

飲料全体の中では、アルコール飲料の輸出割合はいまだ少なく、2009年の清涼飲料水とアルコール飲料の合計に占める割合では数量で0.7%、金額でも1.7%にとどまっている。

飲料の輸入の主流を占めているのは炭酸飲料と加糖飲料であり、2009年のドバイ税関の直接輸入額をみると、炭酸飲料は日本がトップ(78.5%)、加糖飲料は日本は首位オーストラリア(21.2%)に次ぐ2位(13.9%)のシェアを確保している( 表56 )。

飲料についても、2010年後半からの月別輸出量と金額の推移をみると、夏季は記録的な酷暑であったため、この時期までは輸入数量は伸びたものの、その後は漸減傾向が続いている。また、 図2 をみると、数量と金額のグラフの間隔が次第に開いてきており、すなわち価格競争力のある単価の低い製品を供給するメーカーの参入もあることから、輸入される商品の単価の実質低下傾向を読み取ることができる。

2010年に入り、引き続く円高の影響が如実に響いており、食品生産者や輸送費のコスト低減などの国内対策を早急に実施してほしいというインポーターの声が聞かれる。

表4:日本からUAEへの農林水産物・食品輸入の推移

表4を拡大する

表5:炭酸飲料(HS Code22021029)の輸入額とシェア(2009年・直接輸入)
順位 対象国 輸入数量
(kg)
輸入額
(AED)
割合
1 日本 17,269,510 82,203,026 78.5%
2 オーストリア 1,376,316 9,919,180 9.5%
3 レバノン 847,076 2,601,545 2.5%
4 シンガポール 560,515 1,965,582 1.9%
5 エジプト 540,896 1,630,771 1.6%
6 中国 432,102 1,132,348 1.1%
7 オランダ 197,088 1,085,665 1.0%
8 英国 68,460 940,706 0.9%
9 オーストラリア 61,060 687,721 0.7%
10 米国 92,289 624,500 0.6%
11 バングラディシュ 258,352 477,132 0.5%
12 トルコ 82,063 413,513 0.4%
13 ベルギー 87,348 286,893 0.3%
14 マレーシア 123,291 237,635 0.2%
15 オマーン 26,869 195,973 0.2%
16 タイ 41,481 136,582 0.1%
17 ドイツ 17,329 63,859 0.1%
18 フィリピン 7,128 30,626 0.0%
19 サウジアラビア 4,393 25,120 0.0%
20 フランス 17,751 24,839 0.0%
21 イラン 410 2,048 0.0%
22 バーレーン 70 754 0.0%
23 スイス 22 380 0.0%
合計 22,111,819 104,686,398 100.0%

出所:ドバイ税関

表6:加糖飲料(HS Code22021090)の輸入額とシェア(2009年・直接輸入)
順位 対象国 輸入数量
(kg)
輸入額
(AED)
割合
1 オーストラリア 372,558 1,825,189 21.2%
2 日本 177,100 1,198,431 13.9%
3 バーレーン 233,487 855,963 9.9%
4 ドイツ 172,502 601,459 7.0%
5 オーストリア 75,445 550,225 6.4%
6 オランダ 39,727 525,272 6.1%
7 バングラディシュ 210,320 410,291 4.8%
8 トルコ 86,540 395,095 4.6%
9 マレーシア 114,861 350,033 4.1%
10 インドネシア 75,306 300,030 3.5%
11 タイ 272,054 296,911 3.4%
12 中国 64,323 249,791 2.9%
13 インド 112,383 231,313 2.7%
14 英国 21,672 168,813 2.0%
15 シンガポール 35,272 120,266 1.4%
16 ベルギー 21,287 109,224 1.3%
17 フィリピン 29,830 97,477 1.1%
18 米国 34,680 96,197 1.1%
19 オマーン 10,131 92,829 1.1%
20 ジュベルアルFZ(ドバイ) 48,056 56,909 0.7%
21 パキスタン 8,918 38,623 0.4%
22 スイス 16,039 20,218 0.2%
23 イタリア 53 17,431 0.2%
24 イタリア 69 5,320 0.1%
25 南アフリカ 73 1,058 0.0%
合計 2,232,686 8,614,368 100.0%

出所:ドバイ税関

図2:飲料(HS Code220210)の日本からの月別輸出推移(2009-2010年)(炭酸飲料、加糖飲料の合計)

図2を拡大する

(ドバイ事務所)

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