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外食産業の動向

多様化するレストランのサービス形態 ‐ 2011年トレンドの鍵は「手ごろな価格で楽しく食事をすること」

2011年1月
分野:食品・農林水産物

停滞する経済の影響を受け、2011年は食全般において「娯楽性」「手ごろな価格」がキーワードになるようだ。レストランにおいては、時間外ダイニングやテイクアウトが増加しているように、食事に楽しみを求める顧客がリーズナブルかつ自由に利用できるサービス形態の展開が期待されている。

消費行動の背景

英国のレストラン関係者向け月刊業界誌「ビッグホスピタリティ」の2011年1月10日付で発表された「食のトレンド2011」では「依然、人々の財布の紐は固く、商品には、価格に応じた価値が見出せることが求められる」と強調されている。

また、BBC(英国放送協会)が2011年1月11日付で発表した食の月刊誌「オリーブ」の新年のトレンドを予想する「クールリスト2011」のプレスリリースにおいても、「厳しい経済情勢の中で、国民は生活に楽しみを求めている」と社会の流れを読んでいる。

2011年のレストランにまつわるトレンド

前述のオリーブ誌が発表した「クールリスト2011」では、2011年に期待される食にまつわるトレンドを特集した。同記事によると、概して「2011年は、とにかく楽しむことにある」という。同誌の編集者によると、経済の停滞から抜け出せない状況も相まって、2011年は「手ごろな価格で手に入れることができ、かつ娯楽性を含む」点がクローズアップされる。以下のリストは、外食に関わる注目すべきトレンドである。

  • 時間外ダイニング
    ランチとディナータイムの間に休憩を設けず、営業しているレストランのことで、ランチとディナーの狭間の時間帯にリーズナブルに食事をすることができる。例えば、オックスフォードにあるレストラン「ブランカ」では、ランチメニューを17時まで提供しており、顧客はうまく時間を調整できれば、空間・時間ともにゆったりと食事を楽しむことができる。

  • テイクアウトができるレストラン
    テイクアウトのサービスを始める高級レストランが増えている。例えば、モーカムにあるパブ「ヘスト・バンク・イン」ではフィッシュアンドチップスを、ミシュランで星を獲得したモダンなインド料理店「ベナレス」では「わさびマヨネーズ味のチキンティッカ、ラップ」を持ち帰ることができる。また、ロンドン・ノッティンガムにある人気のパブや、メディアでもお馴染みの有名シェフ、ジェイミー・オリヴァー氏によるバーベキューレストランでもテイクアウトを導入しており、今後一層の広がりが期待される。

  • ビールと味わうパブ料理
    パブでビールを飲みながら軽食を味わうという組み合わせが、注目されている。例えば、ガストロ・パブ(※1)としてエセックス州に店を構える「ザ・ブル」の軽食は、地元の新鮮な旬の食材を使って手作りすることを方針に掲げ、料理そのものに対するこだわりも強い。また、伝統的なビール、リアル・エールを支持する消費者市民団体CAMRA(※2)のお墨付きパブ「ブラック・ホース」では、「ヨークシャーチーズ」「ローカル・ゴーツミルク・アイスクリーム」など、地元の食材を取り入れた小皿メニューを用意しており、リアル・エールとともに堪能できる。いずれもレストランの食事よりもリーズナブルだが満足度が高いという点が鍵だ。

  • スコッチエッグの人気再到来
    古臭いイメージの強い英国料理の一つ、スコッチエッグ(※3)が復活の兆しを見せている。昔から家庭料理として、またピクニックの定番として親しまれてきたスコッチエッグは、今やスーパーの陳列棚に出来合いのものが並び、いつでも簡単に食べられる新鮮みのない料理としての認識が広がっている。しかし近年、一流レストランのメニューに続々と登場し始めている。

    2011年のミシュラン星を獲得した「ハインズ・ヘッド・イン・ブレイ」や、テレビタレント、マイケル・パーキソン氏が運営する「ザ・ロイヤル・オーク」のメニューに、スコッチエッグが加わっている。また、シェフのベン・ホールデン氏は、スコッチエッグの研究を重ね、漬け込んだ卵と黒プディング(※4)を用いたオリジナルの一品を作り上げて「マンチェスター・エッグ」と命名し、スコッチエッグに新たな解釈を加えて話題になっている。

※1, ガストロパブとは、美食(gastronomy)とパブ(pub)を合わせた造語であり、伝統的なパブに比べ、本格的な料理を提供する英国のモダンなパブを指す
※2, CAMRAとは、Campaign for Real Aleの略。伝統的なリアル・エールを促進するための消費者運動団体
※3, スコッチエッグとは、ゆで卵をひき肉で包み、パン粉をまぶして揚げた英国料理
※4, 黒プディングとは、家畜(一般的に豚)の血、豚の脂肪分、玉ねぎ、オート麦などを腸詰めにしたソーセージの一種

手の届く範囲で食事を楽しむめるかが2011年のキーポイント

上述のように、「時間外ダイニング」や「テイクアウト」など、顧客に対する選択肢が増えつつある。また、スコッチエッグやパブの軽食など、既存の料理やスタイルであっても、手作り、地元食材、有名レストランなど、こだわりのあるものが好まれ、見直される傾向にあるようだ。2011年は「支出はできるだけ抑えたいが、食事はしっかり楽しみたい」といった顧客に対するサービス形態の広がりが予想される。

(ロンドン・センター)