1. サイトトップ
  2. 国・地域別に見る
  3. 欧州
  4. 英国
  5. マーケティング情報
  6. 2011年、さらなる広がりを見せるアジア料理 ‐ 消費者のヘルシー志向、緩まない財布の紐がアジア料理に好機の予感
外食産業の動向

2011年、さらなる広がりを見せるアジア料理 ‐ 消費者のヘルシー志向、緩まない財布の紐がアジア料理に好機の予感

2011年1月
分野:食品・農林水産物

高まる健康への関心、長引く不況を背景に、英国では現在、お手頃感のあるあっさりしたヘルシーな食事が好まれる傾向にある。また、国民の好きな料理として、中華料理がインド料理に代わって外国料理のトップに躍り出た中で、今後、より多岐にわたるアジア料理に注目が集まることが予想されている。

2011年の食のトレンドを予想

英国のレストラン関係者向け月刊業界誌「ビッグホスピタリティ」に2011年1月10日付で発表された「食のトレンド2011」によると、国民の好きな料理として長く首位の座にあったインド料理が、2009年あたりから、よりヘルシーとされる中華料理に取って代わられたという。また、調査会社「アレグラ・ストラテジーズ」のレポートでも、2010年、英国人に人気の外食のジャンルで、イギリス料理に続いて中華料理が2位に上ったという。同社の担当者は、2011年の外食の傾向として、価格競争力があり、かつ健康に良いメニューを支持する人々の増加から「ヘルシーアジアン(ヘルシーなアジア料理)への需要が増える」と予想した。中でも、世界各国の屋台料理が引き続き人気であり、ハンバーガーのテイクアウトを行う「ザ・ミート・ワゴン」や、2010年10月に開催されたロンドン・フード・フェスティバルにて、有名シェフのジュン・タナカ氏がプロデュースしたような移動型の屋台食堂にも引き続き注目が集まるだろうと語った。

ちなみに、多くの英国民から高い支持を得ている中華料理ではあるが、ヘルシー志向の消費者からは、いため物や揚げ物など油をたっぷり利用する中華料理について疑問の声が上がりはじめているのも事実だ。2010年8月6日付の「インディペンデント」誌では、「テイクアウトの中華料理には、ワイングラス一杯のラードが含まれている」として、高カロリー食への危機意識を強く呼びかけている。

手軽に楽しめる「ヘルシーアジアン」が人気

上記のような流れのなか、「ヘルシーアジアン」をうたい文句に積極的に事業展開する店が増えている。ビッグホスピタリティ誌の2010年9月28日付記事では「魅力的かつヘルシーな東アジア料理を気軽に手早く楽しむ」をモットーにサービスを提供する「タンポポ」が6店舗目を開店することを取り上げた。アジアの屋台をコンセプトに据える同店は、タイやベトナムをはじめとする東アジアの料理として、焼き鳥、野菜天ぷら、みそ汁、漬物、ギョウザ、ラーメン、焼きうどんといった日本食を提供している。同店のウェブサイトでは、日本食について「香辛料はあまり利用せず、素材そのものの自然な味を引き出しており、海から採れた海藻、こんぶ、かつお節や、米から作られた酒やみりん、大豆から作られたみそ、豆腐やしょうゆを中心に調理することで、独特の味わいを醸し出している」とその特長を説明している。

また、2006年よりヘルシー・ファストフード・チェーンとして、8店舗を展開するレストラン、「ポッド」は、パッケージや空間を含めた総合的なプロデュースによる「グッドフード」というコンセプトを打ち出し、近年高まるエコ・エシカル(※1)への関心を背景に消費者から人気を得ている。その核となるのが、ヘルシーさを全面に打ち出したメニュー構成だ。今冬のメニューには「ホット・スティーミー・ソバ」「スーパーフード・ノリ・ラップス」など日本食材を強調したものが主要なランチメニューとして登場している。「ソバ」や「ノリ」といった食材名をあえて翻訳せずにそのまま使用することが、健康によい食材として消費者への啓蒙や意識向上に一役買っているようだ。「ヘルシーアジアン」というイメージの広がりは確実に日本食の可能性を後押ししてくれるものとなるだろう。

※1, エシカル(ethical):「道徳的な」「倫理的な」という意味だが、最近では「地球環境や社会に配慮している」といった意味で使われることが多い。ロンドンのトレンドの一つとして浸透しつつある。

2011年、広がりを見せるアジア料理

前述のレストランは、いずれも英国の消費者が解釈するアジア料理を手軽に提供するチェーン店であるが、同時に、本物志向の日本食レストランへの注目もさらに高まっている。ロンドンの夕刊紙「イブニング・スタンダード」のウェブサイト、2010年12月23日付記事に、ロンドンで新たにオープンした注目レストランの番外編として、すし&バー「ヤシン」と、うどん専門店「コヤ」が取り上げられた。「ヤシン」は、その名の通り新たなモダンずしに挑むレストランで「すしはしょうゆをつけて食べるもの」という固定概念を打ち砕き「しょうゆなしで食べるすし」というセンセーショナルなコンセプトを掲げ、ロンドンのタウン誌「タイムアウト」で5つ星の評価を受けた。「コヤ」の方は、ロンドン初の本格手打ちうどん店として、オープン以来、連日行列ができる店となっている。

このように、日本食を含めたアジア料理は、テイクアウトからチェーン店、レストランまで大きく広がりを見せている。続く経済不安から外食に価格以上の見返りを求める英国民を満足させるため、奮闘するアジア料理の動向に引き続き注目すべきである。

(ロンドン・センター)

ご相談・お問い合わせ

現地日系企業の皆様

最寄りのジェトロ事務所にご連絡ください。