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外食産業の動向

ポップアップ・レストラン急増中 ‐ 空き店舗を有効利用した新たなマーケティング手法

2010年10月
分野:食品・農林水産物

今、英国では、ポップアップ(Pop up = ひょっこり現れる)・レストランが急増している。不景気で目立つようになった空き店舗を有効活用し、若いシェフがリスクの少ない期間限定のレストランをオープンしたり、料理研究家がネットワークを広げるため、不定期にレストラン(サパー・クラブ)を開店したりする動きがあったが、最近では、企業がその影響力に着目し、新たなマーケティングの手段として利用しはじめている。その現状について調べてみた。

ポップアップ・レストランが生んだセレブリティ・シェフ

先日「オブザーバー紙」が選ぶ「ヤング・シェフ・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれたスティーヴィー・パール氏は、ロンドンの有名店、リバー・カフェ、ピーターシャム・ナーサリー、モロで修行を積み、メキシコ、インド、日本などの国々を渡り歩き経験を積んだ。若干25歳だが、書籍「マイ・キッチン」の刊行をはじめ、新聞、雑誌、テレビと引っ張りだこのセレブリティ・シェフである。彼の原点は、2009年に開店した「ムーヴァブル・キッチン」という名のポップアップ・レストラン。ロンドン市内の各所で不定期(月1~2回)に開店後、予約の取れないレストランとして話題を集め、2010年にはテムズ川の見える新開発ビルに「ドック・キッチン」という常設レストランを開店した。

イベントとテレビ番組のプロモーションを兼ねたポップアップ・レストランも登場している。2010年10月4~18日の15日間にわたり、ロンドンの外食業界を盛り上げるべく、約800軒のレストランが様々なイベントや特別メニューの提供をするロンドン・レストラン・フェスティバルが開催され、その一環で、BBC放送の番組「マスターシェフ」の名を冠したポップアップ・レストランが開店した。番組で決勝まで進んだ3人のシェフの料理が食べられるというもので、たった72時間で用意した料理はすべて完売したそうだ。場所は空き店舗ではなく、ウェストエンドにあるメイズ・レストランで、イベント、番組、レストランと三者の話題作りに役立った。レストラン業界の活性化にもポップアップのスタイルが大いに活用されている例だといえる。

企業がプロデュースするポップアップ・レストラン

フルーツジュースやスムージーのメーカー、イノセントは、5ポンドで5種類の野菜とフルーツが摂取できる「ファイブ・フォー・ファイブ・カフェ」を期間限定でオープンし、大盛況を得た。「ガーディアン紙」2010年10月12日付記事によれば、同社の担当は「綿密な企画は立てず、いつも商品を購入してくれる顧客と一緒にパーティを楽しむような気持ちでポップアップのカフェをやってみた。普段店舗をもっていないため、直接顧客とコミュニケーションをとることは難しいが、今回の試みで、リサーチ会社の調査では得られないような、顧客の年齢層や住んでいる場所、興味の対象など貴重なデータを得ることができた。対象の分母は小さくなるが、その分、顧客とより強い絆が生まれる。広告キャンペーンを展開するよりも費用対効果がある」と評価したという。

確かに、常設レストランは莫大な初期投資と運営費がかかるが、ポップアップなら、必要最小限の出費で、新商品や新サービスを直接消費者に試してもらうことができる。個人のニーズに合わせた商品開発やサービスが求められる昨今、消費者にどれだけ近づくことができるか、というのが企業側の求めるものなのかもしれない。

ブームの背景と今後の展望

このブームを支える要素のひとつは、SNSサイト(※1)だ。フェイスブック(※2)、ツイッター(※3)などを媒介にして、消費者に情報が素早く伝達されるおかげで、短期間であっても多くの人々に開店情報を知らせることができる。

また、前述の記事の中で、マネージメント・コンサルタント会社、アクセンチュアのステファン・ザットランド氏は「ブームは、ますます大きくなるだろう。将来的には、ポップアップ・レストランやショップの集合ビルの構想もあり得る。客も、頻繁に新しい店がオープンすれば、定期的に足を運ぶ気になる」とさらなる発展を予測した。

主催者と消費者、双方にとって有益に見えるポップアップ・レストランの今後の発展に注目していきたい。

※1, ソーシャルネットワーキングサイトの略。コミュニティ型のウェブサイトのことで、人のつながりをサポートする。
※2, アメリカで作られた、世界最大のSNSサイト。
※3, 140文字以内の短い文章を投稿して、人と共有するサービス。

(ロンドン・センター)

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