外資に関する奨励

最終更新日:2025年02月07日

奨励業種

農業と農産品加工、再生可能エネルギー、ITとイノベーション技術、製造業と工業団地、環境に優しい車両とその部品の製造

農業と農産物加工

ウクライナは、広大で肥沃な黒土地と世界の食料供給チェーンにおける戦略的な役割を活用し、農業生産、食品加工、関連セクターを積極的に促進している。農業生産者へのインセンティブには、補助金、土地賃料の軽減、輸出支援プログラムへの参加、近代化のための政府融資、農業用機械設備メーカーの研究開発などに対する付加価値税(VAT)の優遇措置などがある。対象となるには、農業生産、加工、または農産物の輸出に従事している必要がある。有機農業やハイテク農業企業には追加の支援が利用可能である。

再生可能エネルギー

ウクライナは、従来のエネルギー源への依存を減らすために、このセクターへの投資を積極的に促進している。再生エネルギーを生産する投資家は、「グリーン料金」での販売、電力販売契約の政府保証、設備輸入におけるVAT免除などのメリットを得ることができる。プロジェクトは環境基準を遵守し、太陽光、風力、バイオマスのような再生可能エネルギーのカテゴリーに該当する必要があり、国家エネルギー効率・省エネルギー庁の承認を得て進める必要がある。また、グリーン料金を取得するためには、発電所の設備の特定の部分がウクライナ製である必要がある。

ITとイノベーション技術

イノベーション、テクノロジー系スタートアップ、IT企業を育成することを目的とした特別な法的枠組みとして「Diia City」がある。「Diia City」の下では、調整後利益に対する標準法人税(CIT)の代わりに、みなし配当に対する9%の法人税率を適用する特別税制や、「ギグコントラクト」と呼ばれる契約形態下で働くITスペシャリストに対する5%の個人所得税(PIT)の適用など税負担の軽減などのメリットを得ることができる。「Diia City」の枠組みの対象となるには、ソフトウエア開発、ITサービスなど規定の活動に従事している必要がある。研究開発助成金やインキュベーションプログラムへの参加などの追加のメリットも利用できる。この制度は、テック分野におけるイノベーションと外国投資を促進しながら、ウクライナの世界的なテクノロジーハブとして地位向上を目的としている。

製造業と工業団地

ウクライナは、直接投資を誘致し、国内製造能力を高めるために、工業団地開発を積極的に促進している。登録された工業団地内で操業する企業は、CITの免除(申請から10年間)、新規設備および部品に対する輸入関税とVATの免除、優遇的な土地取得、製造施設の設立のための低利融資の利用などのインセンティブを得ることができる。これらのインセンティブの対象となるには、加工産業、産業廃棄物・一般廃棄物のリサイクル、研究開発、ITや電気通信の分野における経済活動に従事し、経済省に登録している必要がある。

環境に優しい車両とその部品の製造

ウクライナは環境に優しい輸送ソリューションを促進しており、2022年から以下のような税制上のインセンティブが設けられている。

  1. 電気モーター、リチウムイオン(リチウムポリマー)電池および充電装置、電気自動車、メタンガスまたはバイオガスを使用する輸送車両、路面電車および地下鉄車両の製造を行う企業に対する法人所得税(CIT)の一時的な免除(2035年末まで)
  2. 電気自動車およびメタンガスまたはバイオガス自動車の輸入と販売に対する一時的なVAT免除(2026年1月1日まで)
  3. 電気自動車、ガスまたはバイオガス自動車、路面電車、地下鉄車両の製造のための生産施設の所有、建設または近代化を行う企業による物品の輸入に対する一時的なVATと関税の免除(2031年1月1日まで)。

各種優遇措置

多額投資による投資プロジェクトの国による支援に関する法律

多額投資による投資プロジェクトの国による支援に関する法律は、多額投資による投資プロジェクトに対する国家支援を規定している。対象となるには、プロジェクトは以下の基準を満たしている必要がある。

投資額

プロジェクトには、資本投資として少なくとも1,200万ユーロが必要。

  1. 雇用創出
    当該産業の地域平均賃金を上回る賃金で、一定数の新規雇用を創出する必要がある。賃金要件は、創出する雇用数に応じて以下のとおり。
    • 10人以上の雇用創出の場合:地域平均賃金の50%増
    • 30人以上の雇用創出の場合:地域平均賃金の30%増
    • 50人以上の雇用創出の場合:地域平均賃金の15%増
  2. 実施期間
    プロジェクトの実施期間は5年を超えないこと。
  3. 対象セクター
    対象セクターには、製造業、運輸・物流、医療、教育・科学、観光、文化、スポーツ、バイオエネルギー生産、廃棄物管理などが含まれる。

主な政府支援

  1. 法人所得税(CIT)免除
    企業は5年間のCIT免除を受けられる(鉱物の更なる加工や濃縮のための採掘プロイジェクトは除外)。
  2. 付加価値税(VAT)免除
    輸入された設備・機械や部品に対するVAT免除(3年以内に製造された新品のものである場合)。
  3. 関税免除
    プロジェクトのために輸入される新規設備・機械や部品の輸入に対する関税免除(3年以内に製造された新品のものである場合)。
  4. インフラに対する政府資金援助
    政府によるプロジェクトに必要な道路、ユーティリティ設備、通信回線、エネルギー供給接続などのプロジェクトのインフラコストの最大30%の資金援助。
  5. 土地税または地代軽減
    地方自治体による国有地または市有地に対する土地税の部分的または完全免除。
  6. 土地取得手続きの簡素化
    プロジェクトのための簡易化された土地取得手続きの利用や、特別投資協定満了後に有利な条件で土地を購入する権利取得。
  7. インフラ接続コストの補償
    道路、公共ユーティリティ、通信など、必要なインフラへの接続コストの国家および地方予算による補償。

さらに、各投資家には、「投資担当官」が配置され、行政手続きやプロジェクトの実施を支援する。

その他

特になし。