外資に関する奨励
最終更新日:2023年11月17日
奨励業種
製造業、農産品加工、発電・熱エネルギー、エネルギー効率化・再生可能エネルギーに必要な設備、環境、情報科学・コミュニケーション、廃水管理、研究開発、雇用促進に資する活動。
コンピュータおよびシステム開発、ソフトウエア分野で、特定の条件を満たす被雇用者の給与にかかる所得税は、免税される(現在の根拠法はルーマニア税法2015年227号第60条2項および研究・イノベーション・デジタル化省令20463/2023となっており、後者は2023年6月1日から施行)。
建設分野においては、2019年1月から2028年12月31日まで、特定の条件を満たす場合に、所得税および法定の社会保険の免除が適用される(政府緊急政令2018年114号、ルーマニアの長期的な財政的持続可能性を確保するための予算財政上の措置に関する法律2023年296号により2023年10月30日に改正)。
各種優遇措置
外資のみを対象とした優遇措置はない。最恵国待遇の原則に従い、投資家は、あらゆる分野への投資の自由、投資方法と投資形態の自由、国営化や収用に対する保証、配当および外国為替通貨清算による金額を海外へ移転する権利(ルーマニアで適用される税金等の支払いを条件として)が保証される。また投資家は、国際仲裁(投資紛争解決国際センター(ICSID)、国際連合国際商取引委員会(UNICTRAL))もしくは国内裁判所のいずれかを選択する権利が保証される(直接投資に関する政府緊急政令1997年92号)。さらに、いかなる投資家も、優遇措置利用時の平等な扱い(優遇措置付与方法と申請基準を差別しないことを意味する)、透明性、効率性と資金調達源に関する機密性と適合基準が保証される(投資誘致に関する政府緊急政令2008年85号)。
以下の優遇措置は、ルーマニア国内に法人登記する全企業が対象となり、そこには外資も含まれる。
主な税制優遇措置
- 海外子会社のための配当金や利益などの海外送金は、金額に制限を設けない(ルーマニア中央銀行規制2005年4号)。
- 機械・機器、コンピュータなどの加速減価償却(税法2015年227号)。
- 欠損金の繰越期間は7年(税法2015年227号)。
- 利益を生産設備・機器などへ再投資(購入も含む)する際、当該利益を課税対象外とする(税法2015年227号)。
- 研究開発費の50%を税控除対象とする。また研究開発部門の設備および装置などは加速償却の対象とする(税法2015年227号)。
- 研究開発のみを行う企業は、公的支援スキームの遵守を条件として最初の10年間、法人税を免除する(税法2015年227号)。
- 年間の売上高が50万ユーロ以下の中小企業は優遇税率の適用対象とする(税法2015年227号、政府政令2022年16号および法令2023年296号により改正)。
国家予算からの補助金制度
新規雇用創出による地域開発を促進する国家補助(政令2014年332号、政府決定2020年598号および政府決定2022年1373号により修正)
最低100人を新規雇用する投資プロジェクトを実施する企業に対しては、新規雇用の従業員給与(ルーマニアの月額平均給与(グロス)が上限)の2年分に、一定の係数を乗じた金額を政府が補助金として交付する。
対象は、農業、製鉄、造船、輸送、エネルギーなどの一部分野を除くほとんどすべての産業。
管轄省庁:財務省(Ministerul Finanțelor)
- 受益条件
- 政府承認後(なおかつ投資完了から3年以内)に採用した最低100人の新規雇用分が対象。
- 本補助制度の申請書をルーマニア語で記入し、各募集期間内に財務省に郵送で提出すること(電子メールは不可)。
- 補助金の交付期間は、2015~2028年。補助金交付のための融資契約は、本助成用に割り当てられた年間予算の範囲内で、2023年12月31日まで発行することが可能。
- 制度概要
本補助制度の目的が地域開発の促進であることから、補助対象額に乗じる係数についても、開発が遅れた地域を優遇するものとなっている。係数は県ごとに決まっており、2022年から2023年の間に対象となる係数は欧州委員会が承認した地図に基づき決定される(政府決定2022年1373号)。
経済に大きな影響を与える投資を促すための国家補助(政令2014年807号、複数の政府決定により補足的変更)
既に開業済みの企業もしくは新しく起業する企業が実施する、有形および無形資産への初期投資を支援する。
対象は、農業、製鉄、造船、輸送、エネルギーなどの一部分野を除くほとんどすべての産業が対象。
管轄省庁:財務省(Ministerul Finanțelor)
- 受益条件
- 最小初期投資額は100万ユーロ(VAT除く)
- 補助金の交付期間は2015~2028年。2023年12月31日までに、財務省と受給企業との間で締結された資金調達契約に基づき、2028年までの間に交付される(ただし、当該補助のために割り当てられた予算内)。
- 制度概要
補助対象額に乗じる係数は、県ごとに決まっており、2021年から2023年の間に対象となる係数は欧州委員会が承認した地図に基づき決定される。
映像産業を支援するための国家による補助金制度(政府決定2018年421号、政府決定2020年712号および政府緊急政令2023年39号により変更)
管轄省庁:経済・起業・観光省(Ministerul Economiei, Antreprenoriatului și Turismului)
- 受益条件
- 法令2020年3555号とそのアネックスに定められる文化的作品の分野に含まれ、国、言語、法の支配、憲法の原則を誹謗中傷するものではなく、戦争、国家、人種、階級、宗教的憎悪を煽るものではなく、民族、宗教、性別、性的指向、領土分断等を理由とした差別を扇動する作品でないこと。
- プロジェクトの実現に関連する総費用が、少なくとも10万ユーロであること。
- 受益見込者は製作者でその上限は150人であること。
- 補助支給対象
対象映像製作費の45%まで補助される。 - 補助予算(2018~2025年):年間最大予算2億3,300万レイ(約5,000万ユーロ):年間最大予算に加え、前年度までに予算として設けられたものの未消化だった分についても繰り越して使用される。
スパリゾート開発および近代化のための投資プログラムへの資金調達に関するデ・ミニミス補助制度(政府決定2019年362号)
管轄省庁:国家未来戦略委員会(National Commission for Strategy and Prognosis / Comisia Nationala de Strategie si Prognoza)
- 受益条件
本補助はルーマニアのスパリゾートの開発および近代化のための投資計画をサポートすることを目的としており、2020年12月31日まで申請可能で2022年12月31日まで延長したが、さらに2024年12月31日まで延長した。- ルーマニア会社法に基づいて設立され国立商業登記所に登記された会社で、会社登記住所もしくは活動する事業所の一つが特定の地域やエリアにあること。
- 適格対象となる欧州共同体経済活動統計分類(NACE)コードを持っていること。本補助の申請は単一のNACEコードで行われる。
- 3暦年の会計年度でデ・ミニミス補助の上限である20万ユーロを超えないこと、第三者に代わりもしくは有償で輸送事業を行う会社の場合はそれぞれ10万ユーロ。
- 会社が解散、法的再編、清算、強制執行、業務閉鎖、債務超過、破産または一部事業が停止状態にない。
- 欧州委員会/他の公的補助金提供者/競争評議会等から補助金返還の決定を受けていない。または、そのような決定の対象となっている場合は既に返済を終了しており、違反金が伴う場合にはそれも併せて支払い完了している。
- 不動産に対する正当な権利(所有権、リース、長期使用許可等)を保有している。
- 投資総額の少なくとも50%以上の共同出資源を保有していることの証明。
- 補助予算:1億3,000万ユーロのレイ相当額
- 対象投資適格費用の最大50%が各受益者に割り当てられることが可能(受け取りは、支払い日時点のレートが適用されたレイ払い)。つまり、最大で20万ユーロの無償資金協力であり、輸送事業を行う会社には10万ユーロとなる。
- 予想される受益企業の最小数は1,300社。
- 本デ・ミニミス制度補助金受給のために、申請企業は国家未来戦略委員会からの承認を要する。
スパリゾート開発および近代化のための投資プログラムへの資金調達に関するデ・ミニミス補助制度(省令2023年181号)
経済・起業・観光省省令2023年181号により、温泉や保養地の経済事業者を刺激し、観光、保養、文化、スポーツ、レジャー関連のインフラへの投資を促し、観光地における観光と関連サービスの多様化と質の向上を図ること、および、ホスピタリティ産業(HORECA)に従事するスタッフの専門的な研修にかかる費用を補助することを目的とした新しいデ・ミニミス補助制度が承認され2023年8月2日より開始された。本補助金制度適用のための契約締結は2023年12月31日までに経済・起業・観光省の2023年度予算内で本補助金用に承認されたコミットメント・クレジットの範囲内でなされ、交付期間は2026年12月31日まで。
管轄省庁:経済・起業・観光省(Ministerul Economiei, Antreprenoriatului și Turismului)
- 受益条件
- 国立商業登記所に登録された会社で、会社登記住所もしくは活動する事業所の一つが自然治癒要素を有する特定の地域やエリア内で融資を必要とする事業活動を行っていること。
- 中小企業であること(具体的には、従業員数が250人未満、年間売上高が5,000万ユーロ相当額以下、または総資産が4,300万ユーロ相当額以下)。
- 3暦年の会計年度でデ・ミニミス補助を含めた公的補助金の合計受給額が上限である20万ユーロを超えないこと。
- 会社が解散、法的再編、清算、強制執行、業務閉鎖、債務超過、破産または一部事業が停止状態にない。
- 会社の連結一般会計予算の構成予算において債務残高を計上していない。
- 欧州委員会/他の公的補助金提供者/競争評議会等から補助金返還の決定を受けていない。また、そのような決定の対象となっている場合は既に返済を終了しており、違反金が伴う場合にはそれもあわせて支払いが完了してる。
- 過去3年の会計年度中、少なくとも1年は、売上高に対する利益があること。
- 本補助制度の申請から契約終了までの期間中、季節労働者および/または日雇い労働者について個別の雇用契約が締結されている場合を除き、補助対象となる活動、および本補助申請時の従業員数と少なくとも同数の年間平均従業員数を維持すること。
- 不動産に対する正当な権利を有している(所有権、リースや長期使用許可等の場合は最低10年間)。
- 本補助金制度の対象となるプロジェクトの共同出資源を保有していることの証明。
これら条件に加え、融資内容よって追加の適格基準が適用される。
なお、次のカテゴリーの活動をする企業は本補助制度の適用除外となる可能性がある。- 欧州連合・共通漁業政策に関する2013年12月11日付欧州議会および理事会規則(No. 1380/2013)が適用される漁業および養殖業
- 第一次産業の農作物
- 農作物の加工および販売
- 一次生産者から購入された、または各企業によって市場に導入された当該製品の価格または数量に基づいて補助額が設定されている場合
- 補助の一部または全部を一次生産者に移転することを条件としている場合
- 第三国または他のEU加盟国への輸出、それぞれ輸出量に直接関連する補助やその流通網の確立と運営を目的とする補助、または輸出活動に関連するその他の経常経費を目的とする補助
- 輸入品よりも国産品を優先的に使用
- 補助予算:2023年は1億5,000万レイ。2024年以降は予算に基づき承認される予算およびコミットメント・クレジットの範囲内で経済・起業・観光省を通じて国家予算から割り当てられる。
- 対象投資適格費用の最大50%が各受益者に割り当てられることが可能(受け取りは、支払い日時点のレートが適用されたレイ払い)。つまり、最大で20万ユーロの無償資金協力である。
中堅時価総額の中小企業支援プログラム/IMM投資プログラム(政府緊急令2017年110号、政府緊急令2021年67号により変更)
本補助制度の目的は、信用機関が中堅時価総額の中小企業に融資を行う際に、透明性があり差別のない形で国から保証を提供することである。
管轄省庁:財務省および中小企業向け融資保証基金(FNGCIMM)
- 受益条件
本補助は一部の例外(賭博、武器、爆薬、爆発物、たばこ、アルコール、国の管理下にある物質、植物、薬物、麻薬、向精神薬の調合物、調査、セキュリティや警備活動)を除いた、あらゆる事業活動を行う企業が利用可能。- 会社、事業体、フリーランス、家族経営、共同組合、スタートアップ企業であり、中小企業として区分されている。
- 欧州委員会の規制に従い問題がない。
- 本プログラムで保証を提供している信用機関、または財務省に訴えられて係争中でない。
- 本プログラム申請時にローン返済(リースを含む)の遅滞がない。遅滞がある場合は、信用リスクセンターのデータベースでカテゴリーA、BもしくはCに分類されている。
- 小切手の発行が融資承認時に禁止されておらず、信用リスクセンターのデータベースにおいて本プログラム申請時から遡って6カ月以内に約束手形の不渡りがない。
- 破産手続き中ではない。
- 融資信用機関に担保を提供し適格基準を満たしている。投資用融資の場合、国からの保証と信用から融資された資産としての不動産または動産の法的抵当権を合計して、融資額の少なくとも100%をカバーする担保保証を融資信用機関に提示する。運転資金を調達するためのクレジットや融資限度額のため、受益者が融資信用機関に開設したすべての口座の預金残高に対する法的な動産担保を国からの保証とともに、クレジットに関する保証の構造に含めることが可能。
- ルーマニア国立銀行の規制に基づき適格性がある。
- 国に対して未払いの税金がない、または本プログラムにより付与された融資で当該未払いを返済していない。
なお、借入期間は72カ月を超えることはできないが、運転資金貸付はまず36カ月間で、さらに36カ月間の延長の可能性がある。
- 補助支給対象
支給対象者は、最大1,000万レイの融資を受けることができ、中堅企業の場合は80%、零細・小企業の場合は90%の元本保証を国が提供し、利息や証券代行手数料を含む一定の手数料が補助される。- 零細企業および小企業に対しては、運転資金融資のための国の保証が提供されるが、利子、手数料等を除いた元本の90%を上限とし、零細企業の場合は元本が50万レイ、小企業の場合は100万レイを超えないことを条件とし、さらに以下のうちいずれかの高い方を超えないものとする。
- 2019年に計上された従業員への給与費用(社会保険料を含む)の2倍の金額(2019年1月1日以降に設立された会社の場合は、最初の2年間に支払いが予定される給与費用)
- 2019年度の純売上高の25%、それぞれ独立した活動から収入を得ている個人の場合は2019年度の総収入または年収基準の25%
- 融資実行日時点から次の18カ月間に予測される、実証資料に基づく流動的必要性を試算した見積り額(運転資金および投資費用を含む)
- 中堅企業に対しては、投資や運転資金の資金調達を目的とした融資に対して、利息、手数料等を除いた元本の80%を上限として次の範囲内で保証する。
- 運転資金融資の場合には500万レイ
- 投資ローンの場合には1,000万レイ
これらいずれの場合にも、以下のうちのいずれかの高い方を超えないものとする。
- 2019年に計上された従業員への給与費用(社会保険料を含む)の2倍の金額(2019年1月1日以降に設立された会社の場合は、最初の2年間に支払いが予定される給与費用額)
- 2019年度の純売上高の25%、それぞれ独立した活動から収入を得ている個人の場合は2019度の総収入または年収基準の25%
- 融資実行日時点から次の18カ月間に予測される、実証資料に基づく流動的必要性を試算した見積り額(運転資金および投資費用を含む)
- 零細企業および小企業に対しては、運転資金融資のための国の保証が提供されるが、利子、手数料等を除いた元本の90%を上限とし、零細企業の場合は元本が50万レイ、小企業の場合は100万レイを超えないことを条件とし、さらに以下のうちいずれかの高い方を超えないものとする。
IMM投資プラス・プログラム
さらに、2022年のウクライナ侵攻により経済活動に影響を受けた企業や建設部門で投資プロジェクトを実施する中小企業を支援するため、IMM投資プログラムと主に同様の適格基準を満たすIMM投資プラス・プログラムという追加支援スキームが、政府緊急指令2022年99号により決定された。本スキームでは、次のカテゴリーに対しての補助が認められている。
- 融資期間を最長36カ月とする運転資金融資の場合は最大500万レイ、最長72カ月とする投資資金融資(例外あり)の場合は最大1,000万レイの融資額に対して融資額の90%を上限とする保証の形で、次の額を超えないものとする。
- 過去3暦年の会計年度の平均売上高および各年度の総所得額の15%、独立した活動から所得を得る自然人の場合は年間所得基準額の15%。過去3暦年分の会計記録がない新設企業の場合、本プログラムへの申請提出時の操業期間に基づいて基準額を算出する。
- プログラム申請前の過去12カ月間の電気、熱エネルギー、天然ガス費用の50%。プログラム申請前の12カ月間の完全な記録がない新設企業の場合、本プログラムへの申請提出時の操業期間に基づいて基準額を算出する。
- 前記i.およびii.に規定された限度額をもってしても流動的必要性の額を算定できない場合、プログラム申請者が正当な理由を立証することにより、融資額を、中小企業の場合は融資実行時点から今後12カ月間、大企業、時価総額が中程度の中小企業および建設部門の投資プロジェクトを実施する企業の場合は今後6カ月間の流動的必要性を試算した見積額に設定することができる。
正当な理由とは、プログラムの受益者が、EUおよびその国際的パートナーによって課された制裁措置やロシアによる対抗措置など、ウクライナ侵攻により直接的または間接的な影響を受ける部門において活動を行っていることにある。こうした影響には、ロシアやウクライナからのサプライ・チェーンの混乱や支払いの延滞、サイバー攻撃リスクの増大、現在の危機の影響を受けた特定の生産要素や特定の原材料の価格上昇などが含まれる可能性がある。特に影響を受ける部門は、本国家補助スキームによる融資の対象となる。
流動的必要性には、受益者が裏付け書類を提示できれば、運転費用および投資費用の双方を含めることができる。IMM投資プログラムと関連するサブプログラム(AGRO IMM INVEST、IMM PROD、GARANT CONSTRUCT、RURAL INVEST等)、または新型コロナウイルス感染拡大に関する国家補助の暫定的枠組みに基づき策定された国家補助スキームに基づいて交付された他の援助により流動的必要性を調達した受益者については、先のプロジェクトにおいて一部が資金不足に陥らない限り、本スキームによる支援の恩恵を受けることはできない。
- 前記により保証された投資ローンおよび/または運転資金融資、クレジットラインを契約した受益者に対し、保証の全有効期間にわたり、保証に関連するリスク手数料、管理手数料、およびローン/クレジットラインに関連する利息の合計額を限度として付与される助成金の形での国家補助。
ただし、1企業あたり200万ユーロのレイ相当額、第一次農業分野の受益者の場合は1企業あたり25万ユーロのレイ相当額、漁業・養殖業分野の受益者の場合は1企業あたり30万ユーロのレイ相当額を上限とする(例外あり)。
製造業への投資に対する国家による補助金制度(政府決定2022年959号)
本補助制度の目的は、製造業の特定のセクターに対する初期投資または新しい経済活動への投資に対する補助を提供することで、2022年9月1日に発効した。対象となるセクターには、飲料の製造、繊維製品の製造、衣服の製造、皮革のなめしおよび仕上げ、旅行用および革製品、装具および履物の製造、毛皮の準備および染色、木材加工、木材およびコルク製品の製造(家具を除く)、藁およびその他の植物性織物からの製品の製造、紙および紙製品の製造、コークス炉製品および原油処理製品の製造、化学物質および製品の製造、基礎医薬品および医薬品製剤の製造、ゴムおよびプラスチック製品の製造、その他の非金属鉱物製品の製造、金属構造物および金属製品の製造業(機械・装置・設備を除く)、コンピュータおよび電子・光学製品の製造、電気機器の製造、機械・設備の製造、道路運送車両・トレーラー・セミトレーラーの製造、その他の運送手段の製造、家具の製造、その他の産業活動、機械・装置の修理・保守・設置、廃棄物の収集・処理・廃棄、リサイクル可能な材料の回収活動がある。本補助制度に基づく融資承認は2023年12月31日まで発行されることが可能で、当該補助金の支払いは2022年から2027年の間に、発行された融資承認に基づき、本制度のために割り当てられた予算の範囲内で行われる。
管轄省庁:経済・起業・観光省(Ministerul Economiei, Antreprenoriatului și Turismului)
- 受益条件
- ルーマニア会社法に基づき設立され国立商業登記所に登記された会社であること
- 会社の連結一般会計予算の構成予算において債務残高を計上していない
- 政府決定2022年959号で定義される「困難な状況にある企業(ルーマニア語でintreprinderi in dificultate)」に該当していないこと。例外として、2019年12月31日の時点では困難でなかった企業が2020年1月1日から2021年12月31日の間に困難な状況にある企業となった場合については、本制度の適用を受けることが可能。
- 会社が解散、法的再編、清算、強制執行、業務閉鎖、債務超過、破産または一部事業が停止状態にない
- 他の公的補助金提供者から補助金返還の決定を受けていない。または、そのような決定の対象となっている場合は既に返済を終了しており、違反金が伴う場合にはそれも併せて支払い完了している。
- プロジェクト総額の最低10%をグリーン投資が占めること
- 他の公的支援を受けない形で、自己資金または外部資金により、投資適格費用の少なくとも25%以上を出資すること
- 本プログラム申請前の2年間に本補助の申請対象となる初期投資が行われるユニットへの移転が行われておらず、国家補助の申請対象となる初期投資を行った後2年以内に移転を行わないことを確約すること
これら条件に加え、活動中の企業は以下a.~d.の条件を満たす必要がある。
- 過去3年の会計年度中、少なくとも1年は、売上高に対する利益率が0%以上であること
- 直近の会計年度において自己資本がプラスであること
- 有効な法律に準拠した形で支払われた、最低10万レイの引受株式資本があること
- 投資額が少なくとも300万ユーロのレイ相当額であること
- 補助支給対象
投資適格費用の対象となるものには以下a.~c.が含まれる。
- 有形および無形固定資産に対する投資費用
- 投資後の雇用創出により発生する従業員の給与2年分の概算額
- a.またはb.のどちらか大きい方の金額を超えない範囲でa.とb.を組み合わせた額
投資適格費用を推定される従業員の給与額によって算出する場合、前述の雇用創出により連続した2暦年に登録された給料額に加えて、以下a.~c.の条件もあわせて満たす場合に投資適格費用とみなされる。
- 本プロジェクトにより投資対象のユニットの従業員数が、過去12カ月の平均と比較して純増している(つまり、当該期間内に失われた雇用がある場合は創出されたとされる雇用数から差し引かれる)
- 各雇用が投資完了から3年以内に埋まること
- 本プロジェクトによって創出された各雇用が投資が行われた地域で少なくとも5年間、中小企業の場合は創出された雇用に人が初めて就いた日から少なくとも3年間、維持されること(ただし、2020年1月1日から2021年6月30日の間に失われた雇用については除外)。
本補助の最大予算は3億ユーロのレイ相当額、最大年間平均予算は1億5,000万ユーロのレイ相当額。本補助の支給対象となる企業数は最大30社と見込まれている。
本プログラムによる補助を希望する企業は、経済大臣から融資承認を受ける必要がある。そのための申請書の登録受付は30営業日単位で行われ、受付開始日の少なくとも30営業日前までに経済・起業・観光省のウェブサイト上で発表される。申請企業が融資の承認を得るためには法律により定められている様々な書類を経済・起業・観光省へ提出する必要がある。
経済・起業・観光省は、これら書類がすべて揃ったとみなされた日から30営業日以内に審査を完了する。
融資の承認を受けた企業は、融資承認が発行された日から6カ月以内に本投資を開始しなければならず、その旨を経済大臣に報告する必要がある。また本プロジェクト完了後、少なくとも5年間、中小企業の場合は3年間、受益地域における投資を維持しなければならない。この条件は当該期間に劣化または破損した設備や機械の交換などを妨げることは意図しておらず、当該地域での経済活動を維持する最低期間を示しているにすぎない。
その他
特になし。