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市場・トレンド情報

報道等にみられる食に関する消費動向・トレンド

2011年2月
分野:食品・農林水産物

食料品価格を巡る論争の解決に政府が着手 ‐ 食料品のマージン構成を把握する観察局を設置

フランス政府は2010年10月12日、「価格・マージン観察局」(Observatoire de la formation des prix et des marges des produits alimentaires)を設置した。 論争の対象となっている食料品のマージン構成に関する調査を実施、その結果を毎月公表することを目的としている。パリ第9大学のシャルマン教授が局長を務め、毎年報告書を国会に提出、必要な法改正を勧告する役割も担う。

食料品の価格を巡っては、生産者側が流通業者らによる不当な利益獲得を糾弾するなど、論争が絶えない。政府は、客観的なデータをもとにこの問題について検討する目的で、新機関の設置を約束していた。新機関は既に豚肉や乳製品、青果を対象にした調査結果を発表している。正式発足を経て、生産者、食品メーカー、流通業者間の利益分配の在り方にメスが入ることが期待される。

フランス牛肉小売価格上昇に関する報告書が発表に

2011年1月、食品価格・マージン観測所は、この10年間で24%上昇した牛肉の小売価格に関する調査を実施し、2011年1月初頭に暫定報告を提出した。2011年1月7日付けのフランス経済日刊紙「レゼコー」によると、この報告書の中で、牛肉商品の店頭価格上昇分は、牛肉加工メーカーおよび大型小売店の懐にそのまま入った訳ではなく、種々のコストが拡大したためとの結論が出された。上昇分の60%は、BSE発生後の衛生基準強化に伴う措置が原因、残りの40%はその他のコスト上昇(店頭でのパッケージ詰め牛肉の販売増加、週35時間労働制の導入、水/エネルギー価格の上昇)によるものと分析された。

一方で、メーカーおよび販売業者がコスト増を販売価格に転嫁できたのに対し、牛肉生産者には不可能だったことも明らかになった。なお、牛肉生産業者は2010年11月、1キロ当たり60ユーロセントの買い取り価格引き上げを求め、食肉加工大手ビガール(と畜場のシェア42%)のと畜場を実力封鎖する抗議行動を行ったが、実際には2~5ユーロセントの引き上げが実現したに過ぎない。

フランスでは、2010年夏に牛乳生産者が乳製品メーカーに対する大々的な抗議行動を行ったことも記憶に新しい。牛乳買い取り価格が低すぎることに対する抗議であったが、買い取り価格を巡る両者の対立は根が深い。不買運動などを展開し、最終的には8月12日にメーカー側が10%の買い取り価格引き上げを承認して決着がついた 。

クリスマス向け食品事情 ‐ 2010年のトピック

クリスマス期、フランスでは伝統的にフォアグラ、かき、ワイン、チョコレート、マロングラッセなどが消費される。以下では、フランスの典型的なクリスマス食材に関して、2010年のトピックを追う。

フランス人の自宅でのフォアグラ消費、年初来で19%増加

フォアグラの業界団体CIFOGの調査を引用した2010年10月21日付けフランス経済日刊紙「レゼコー」によると、フランス人のフォワグラ購入量が2010年1~9月の間で、1,869トンと前年同期比で19%増加した。またフォワグラを購入した家庭は全体の14.1%と前年同期(12.4%)に比べて1.7ポイント増えた。同紙は、クリスマスに偏りがちなフォアグラの消費を通年消費にするために、生産業者はあれこれと工夫をしているという。具体的には、少量のパッケージ商品、手ごろな価格のプライベート・ブランドなどを強化しており、このような努力が売上増の成果をもたらした。2010年1~6月の輸出については、前年同期に比べて生フォアグラが17%、加工済みフォアグラが11%増え、輸入が激減したこともあってフォアグラの貿易黒字は前年同期の12万3,000ユーロから1,240万ユーロへと急増した。

フォアグラ、ワイン、チョコ等の製造方法を中国企業が取得

フランス経済日刊紙「ラトリビューン」は2010年12月15日付けで、フランスでクリスマス期に大量に消費されるフォアグラ、ワイン、チョコレートなどの食品について、中国企業によるノウハウ取得が進んでいると報じている。食品大手のフランスEuralis社は、中国で農家と契約してフォアグラの材料となる鴨、ガチョウを飼育し、中国産フォアグラを「ルージエ」ブランドとして世界の高級飲食店に販売している。ただし、フォアグラ市場ではEuralis社は、中国のSan Rougey 、Jilin Zhengfangに追い越されている。中国企業がフランスのノウハウを取得して大手に成長した例としてJilin Zhengfangがあげられる。Jilin Zhengfangは2006年にフランスVAL DE LUCE社と提携して、「デリス・デュ・ペリゴー」ブランドを開始、今ではフォアグラで世界2位に躍進。チョコレートについては、リンツ、ヴァローナ、バリー・カルボーなどがチョコ市場をおさえているものの、これらブランドもチュコレート製造に関するノウハウを中国人シェフに伝授しているという。ワインについては、中国ワイン生産の半分を担うChangyuは、当初、フランスのカステル社と提携していた。

しかし同紙によると、中国企業は、ノウハウを取得し、生産機器を購入した後に、提携していたフランス企業と袂を分かつことが多く、また品質も悪化する傾向にあるという。OIV(国際ブドウ・ワイン機構)のベナール会長は、中国はチリ、アルゼンチン、東欧諸国からワインを輸入し、地元ワインと混ぜていると批判している。これらの食品は今のところ中国市場でしか販売されていないが、中国国内での需要は急増しており、チョコレートの1人当たりの年間消費は上海で700グラムから1.8キロへ、年間消費が200トンにとどまるフォアグラは年20%増えており、1人当たり年間2分の1本にとどまるワインの消費も急増する可能性がある。

かきの価格、大量死による品不足で高騰

各家庭のクリスマス食材として欠かせないかきの価格が10年は急騰した。フランスでは2008年から、かきの稚貝がウイルス、バクテリアにより大量死しているため、品不足が起こり、これが価格を押し上げている。

2010年10月12日付け「レゼコー」 は、この品不足を補うために日本産かき約50個がフランスで成長できるかテストが行われていると報じた。フランスのかきは幼時(稚貝)の死亡率が高いため、もし日本産かきがフランスの風土に適応するのであれば、これをフランスで養殖したい考えだ。ただし日本産かきのフランスでの養殖が可能な場合、商品化が可能な大きさのかきを出荷できるまでには5年が必要とされる。

また2010年12月24日の「レゼコー」では 、9月以来、かきの価格が20~25%値上がりしており、2010年12月末のかき12個の価格は最低でも5~6ユーロとなる、とブルターニュ地方のかきの養殖業者団体の見解を紹介している。同記事によると、ブリューノ・ル・メール食料農漁業相は2010年10月に、大量死による養殖業者の損失を埋め合わせるために8,500万ユーロの補助を発表した。

そうした一方で、先に紹介した日本産かきのテストをはじめとして、大量死問題の解決を図るためにさまざまな試みがなされている。ただしフランス国立海洋開発研究所(IFREMER)による基礎研究の成果が出るまでには数年かかる。この12月末の「レゼコー」記事の中でも、抵抗性の強いかきを求めて IFREMER が日本へ作業グループを派遣したが、行政・衛生手続きに数年かかると述べている。

ちなみにこの記事の中では、フォアグラ、シャンパン、スモークサーモンなどのそのほかの食材については経済危機を背景とする購買力低下もあって、価格上昇は緩慢に抑えられているとされた。品質、重量を変えた多様な商品の販売で、各家庭が財布に合わせて手ごろな価格の商品を購入できるという。

食料品輸出振興の動向 ‐ 健康への影響が懸念される食品関連データが発表に

ユネスコの無形文化遺産にフランス料理が登録されたことをきっかけに、フランス政府は食品関連の輸出振興に注力している。一方で、食品に含まれる化学物質や食塩摂取量といった健康に影響を及ぼすデータが発表され、食の安全性にも注目が集まっている。

フランス政府、食料品輸出振興策を準備

ブリューノ・ル・メール農相とルルーシュ貿易相は2010年12月22日、クリスマス直前の繁盛期、にぎわうパリ郊外のランジス食品卸売市場を訪問した、とフランス日刊紙「フィガロ」が報じている。貿易相はこの機会に、フランス食品関連の輸出振興を図る目的で、2011年にキャンペーンを実施する方針を明らかにした。貿易相は、2010年11月にユネスコの無形文化遺産にフランス料理が登録されたことを足がかりに、テーブルウェアから食料品に至る関連製品の輸出促進を図ると説明。具体的には、「フランス美食週間」の催しを世界で開催するなどの取り組みを進める。

政府は有望な輸出先市場として12カ国を選定。米独などの成熟市場に加えて、中国、シンガポール、インドなどの新興国も重点市場に選んだ。ちなみに、フランス食料品輸出は、対中国では48.7%、対シンガポールでは37.7%の大幅増を記録している(2009年実績)。その一方で、欧州市場においては、フランス食料品輸出はドイツに市場シェアを奪われている。輸出に占めるシェアは、2000年の9%に対して、2009年は6.4%まで低下。逆にドイツは2009年に7%を確保、最大の輸出国の地位をフランスから奪った。なお、2010年1 ~9月では、フランスの輸出は8%を超える増加を記録している。

「化学物質いっぱい」の子供の食事

市民運動「未来の世代」が、フランスで10歳前後の児童の「平均的食事」の内容を調査したところ、128種の化学物質が検出された。うち47種は発がん性の可能性があり、36種は農薬が含まれていた。食品は、公的機関が推奨する「毎日、5種類の野菜/果物、3種類の乳製品を食べるのが望ましい」とのキャンペーンも考慮して選定。調査対象となった食品は2010年7月から9月にかけてウワーズ県、およびパリのスーパーで購入された。

朝食だけを見ても、ミルクティーからPCB7種類とプラスチック添加物1種類が検出され、パンからは農薬2種、バターからはダイオキシン6種、PCB9種、ぶどうジュースからは農薬2種、りんごから農薬6種が検出された。化学物質が「最も豊かな食品」は鮭(ダイオキシン7種、PCB12種、重金属1種、その他の化学物質11種)。ほとんどの場合、含有量は許容量を下回っているものの、少量ずつでも365日毎日摂取した際の影響は不明である。また野菜や果物は洗っても必ずしも化学物質が除去されるとは限らない。ちなみにINSERM(フランス国立医学衛生研究所)は2011年に大人8,000人、生後6カ月から1年の乳児2万人を対象に、頭髪や尿を分析することで、体内に残存する化学物質に関する疫学調査を予定している。

世界の先進国では有機食材が大ブームだが、本当に「安全な」食べ物だけを口にできるわけではない。特に食べるものを選択できない子供は、知らないうちに化学物質の入った食べ物を摂っていることも多い。

フランス人の平均食塩摂取量、1日に8.4グラム

2011年1月22日発表の調査(NutriNet-Sante)によると、フランス人の食塩摂取量は依然、多すぎることが判明した。食事に関する調査14万件を分析した結果を元にした調査結果から明らかになった。フランス人の1日当たりの平均食塩摂取量は8.4グラムで、男性の平均摂取量(9.2グラム)の方が女性(7.6グラム)より多い。欧州各国では、心臓血管系統の病気を予防するために1日当たりの食塩摂取量を「6グラム以下」に抑制するのが妥当と考えているが、フランス女性の82%、男性の95%が6グラム以上の食塩を摂取している。一方、フランスは2008年までに1日当たりの食塩最高摂取量を「8グラム以下」に抑制する目標を設定したが、女性の36%、男性の67%が8グラム以上の食塩を摂取。摂取する食塩の4分の3はもとから食料に含まれており、残りは調理、または食事に際して加えられている。食塩摂取の原因となっている食品のトップはビスコット/パン(24.1%)、次いでハム/ソーセージ類(12.5%)、チーズ(8.1%)。

ちなみに2009年5月にスタートした NutriNet-Sante 調査では、5年間にわたり調査参加を承諾するインターネット利用者50万人に呼びかけ、各自の食事の内容、スポーツ、体重、健康状態について情報を提供してもらう。すでに16万人が登録して調査に協力している。

日本人の塩分摂取量の高さも有名だ。日本の厚生労働省によると、現在の日本人の平均食塩摂取量は1日に11グラム前後。1980年代の13グラム平均からすると随分と減ったが、それでもフランスと比較してもかなり多い。厚生省が目標とする1日の食塩摂取量は1日10グラムだそうで、こちらもフランスのケースよりも随分と寛容である。塩分の過剰摂取を控えるためには、薄味に慣れる、しょうゆやソースなどは「かけて食べる」よりも「つけて食べる」ことを習慣とするといった対策があるようだが、酸味を上手に使うという方法もあるようだ。著名な日本人料理人が「日本人は酸味の使い方に弱い。欧米並みに酸味に慣れて、酸味を有効利用すると日本人の味覚はさらに広がる」とっていたことを思い出す。

(パリ・センター)

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