1. サイトトップ
  2. 国・地域別に見る
  3. 欧州
  4. フランス
  5. マーケティング情報
  6. 日本産および日系企業現地生産品小売での販売動向 ‐ アジア系食材店で増える日本食材
市場・トレンド情報

日本産および日系企業現地生産品小売での販売動向 ‐ アジア系食材店で増える日本食材

2010年12月
分野:食品・農林水産物

フランスでは、2000年以降日本食レストラン数が急増し、一般市民の間で日本食が広く浸透してきた。これに伴い、日本食材を扱う小売店も増加している。こうした中、本レポートでは、数年前より日本食材販売を拡充させている、中国系オーナーが経営するアジア系食材専門店に着目する。

多様化する日本食材店

フランスで、日本食材を扱う小売業界(ネット販売特化企業を除く)を細分化すると表1のようになる。一つは、日本食材専門店(日本人オーナーによる経営)、二つ目は、アジア食材専門店(主に中国系または韓国系オーナーによる経営)、三つ目は、地元フランスの小売企業(一般スーパー、ハイパーマーケット、オーガニック商品専門店)になる。

表1:日本食材を扱う小売業界分類
業態分類 代表例(国内店舗数) 取扱い日本食材に関する特徴
日本食材専門店 京子食品(1)
十時や(2)
Workshop ISSE
企業数も店舗数も少ないが、日本産食材(日系メーカー商品)の品ぞろえが豊富。
アジア食材専門店
(中国系)
TANG FRERES(8)
PARIS STORE(21)
BIG STORE(3)
食材の輸入・卸売に加え、小売(複数の店舗展開)を行う。客層は主にアジア系住民および地元フランス人消費者層。商品の種類は限定されるが日本食材(日系メーカー商品と非日系メーカー商品)を扱う。日系メーカー商品は、日本食材専門店で扱う同一商品に比べると、一般的に低価格。
アジア食材専門店
(韓国系)
ACE MART(1)
K MART(2)
韓国食材と日本食材を中心に販売。
中国系アジア食材専門店に比べ、扱う日本食材(日系メーカー商品と非日系メーカー商品)の品ぞろえも豊富。
フランス系
小売スーパー・ハイパーチェーン
MONOPRIX(300)
CARREFOUR(231)
品ぞろえは限られる(のり、すし酢、しょうゆ、みそ、一部の店でラーメン等)。その半面、国内全域を網羅する多店舗展開により、これら食品購入者のすそ野を拡大。
フランス系
オーガニック商品専門店
NATURALIA(48)
BIOCOOP(322)
日本食材の中でも、オーガニック食品を扱う(のり、米酢、しょうゆ、みそ、麺類、豆腐等)。ただし、これらはフランスその他の欧米産が主流。

中国系アジア食材専門店、日本食材を拡充

現在フランスに居住する中国系住民の数(フランス国籍取得者および不法滞在者を含む)を示す公式統計はないが、少なく見積もっても20万~30万人、もしくは80万人いるともいわれている( Desir Asie )。これに加え、ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ系の住民を中心にその他のアジア系住民が数10万人いるといわれている。

この膨大なアジア系住民を主な顧客としているのが、中国系オーナーが経営するアジア食材専門店で、これらはパリ市内2カ所の中華街に集中している。その多くは中国や東南アジア系食材を主に扱っていたが、数年前より、日本食材の取り扱いを拡充させてきている。一部の日本食材輸入卸業者によると、近年、日系やフランス系の小売店よりも、この中華系アジア食材専門店が最も日本食ブームの波に敏感に対応し、その販売拡大に積極的に取り組んでいるという。中国系アジア食材専門店は、フランス系の小売スーパーに比べ店舗数は少ないが、アジア食材全般を扱うためアジア系の客はもちろんのこと、最近はフランス人客も急増しているという(複数小売店員へのヒアリングによる)。

この中国系アジア食材専門店の代表例としてあげられるのが、店舗面積、商品数、客数において欧州でも最大規模を誇るといわれるTANG FRERESとPARIS STORE、また、規模こそ比較的小さいが、日本食材(日系メーカー商品)の品ぞろえが最も豊富とみられるBIG STOREである。これら3店ともパリ市内13区の中華街に本店を構えている。

表2:中国系アジア食材専門大手3社の概要
店舗名
(企業名)
TANG FRERES
(TANG FRERES INTERNATIONAL)
PARIS STORE
(PARIS STORE)
BIG STORE
(TSBV)
設立 1981年 1977年 1990年
創立・経営 Rattanavan家
(ラオス出身中国系移民)
TrinhとGiang家
(カンボジア出身中国系移民)
Lu家
(カンボジア出身中国系移民)
事業内容 アジア系食品の輸出入・卸・小売、レストラン業、メディア事業 アジア系食品の輸出入・卸・小売 アジア系食品の輸出入・卸・小売
年間売り上げ 1億5,000万ユーロ
(2008年食品卸・小売部門)
2億ユーロ  1,500万ユーロ
(2009年食品卸部門)
従業員数 400人(2008年) 700人 50人(2009年)
店舗数 11店(パリ市内・近郊に8店、ラオスに3店) 21店(パリ市内・近郊に12店、地方に8店) 3店(パリ市内)

(出所)公開財務データ、各社ホームページ、面談ヒアリング

BIG STOREを経営するTSBV社は、製造元または輸入業者から日本食材を買い付け、日本食レストランへ卸すとともに、BIG STOREを含む3つの直営店舗で小売販売を行っている。同社のLU MYLAN営業責任者によると、数年前までは卸・小売とも日本食材の扱いは少なかったが、2年前から急増し、現在は同社の事業全体に占める日本食材の割合が、取扱品目数で20~30%、年間売り上げでは70%に達するという(日本食材、特に日系メーカー商品は、ほかのアジア系食品に比べ単価が高いため、品目数比率よりも売上比率が高まる)。同社で最も販売量が多い日本食材は、日本食レストランへの卸売部門では、すし・刺身関連食材である米、すし酢、しょうゆ、わさび、みそ等という。一方、小売店舗では、しょうゆやみそも多いが、菓子・スナック類(わさび豆、和菓子、カステラ等)が伸びているという。

参考までに、このBIG STOREや前述のTANG FRERES、PARIS STOREで販売される日本食材を表3に示す(なお、表中に示す商品種別は店内観察調査によるもので、実際に販売されるすべての商品が網羅されているとは限らない)。

表3:中国系アジア食材専門大手3社で販売される日本食材(店内観察調査2010年11月)
商品分類 商品種別 日系メーカー商品
(日本産)
非日本産商品の産地
米・
すし・
みそ汁類
米(短粒種) イタリア、米国
すし酢
米酢
わさび 韓国
ちらしずしの素
いなりずし用油揚げ フランス
しょうが 中国、ベトナム、韓国、タイ
みそ
インスタントみそ汁
調味料・
ソース・
たれ類
しょうゆ 中国、台湾、韓国
みりん
うまみ調味料
トンカツソース
焼きそばソース
照り焼きソース
カレールー
焼き肉のたれ タイ
すき焼きのたれ
ギョウザのたれ
焼き鳥のたれ
ドレッシング(ごま等)
マヨネーズ
ごま油 台湾
唐がらし
ポン酢
麺つゆ(そば、ソーメン)
浅漬けの素
麺類 焼きそば
インスタントラーメン 中国、韓国
カップラーメン 中国、韓国
そば 中国、韓国
うどん 中国、韓国
そうめん
海藻類 のり 韓国
わかめ(生・乾燥) 韓国、中国、フランス
菓子類 スナック類(柿の種等)
あめ類
和菓子類(どら焼き等)
その他 しいたけ(生、乾燥) フランス、中国、タイ
えのき 韓国、タイ
しめじ タイ
各種漬物
たくあん 韓国
納豆
冷凍唐揚げ タイ
冷凍ギョウザ 中国、韓国
冷凍焼き鳥・手羽先 タイ
ふりかけ
豆腐 フランス、シンガポール、米国、中国
こんにゃく
しらたき

中国系アジア食材専門店で扱われる非日本産商品メーカー

表3に掲げる中国系アジア食材専門店大手3社では、調味料・ソース・たれ類と菓子類は日系メーカーの商品が中心であるが、その他商品群では、アジア系メーカーの商品(一部、在フランス中国系製造者)が多く扱われている。

次に一部ではあるがその製造元例を示す。

  • SAMJIN G.F社 (韓国) ‐ うどん、のり、たくあん(ブランド名:SUKINA)、そば(ブランド名:WANG)
  • OKF社 (韓国) ‐ うどん、のり、ギョウザ、たくあん
  • GREEN PEACE社 (韓国) ‐ えのき
  • ENPIO FOOD社 S(韓国) ‐ しょうゆ
  • CPF FOOD PRODUCTS社(タイ)~冷凍唐揚げ、冷凍焼き鳥
  • EXIM ASIA社 (タイ) ‐ すき焼きソース(ブランド名:UKO)
  • VE WONG社 (台湾) ‐ しょうゆ、ごま油(ブランド名:Kim Ve Wong)
  • UNITED MASHROOM CENTER社(タイ) ‐ えのき(ブランド名:清州)
  • EVER THAI AGRI-PRODUCT 社(タイ) ‐ えのき、しめじ
  • BEVATO 社(フランス‐中国系経営者) ‐ 豆腐、もやし
  • AGRO YOUNG社(フランス‐中国系経営者) ‐ 豆腐、油揚げ
  • その他製造者およびブランド名が記されていない中国産商品が、複数の商品種別でみられる。

韓国産そば・わさび

中国産豆腐

(パリ・センター)

ご相談・お問い合わせ

現地日系企業の皆様

最寄りのジェトロ事務所にご連絡ください。