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市場・トレンド情報

円高等による食品輸出への影響
‐調達先変更で対応‐在フランス企業は円高によるコスト増加を価格に上乗せ

2010年12月
分野:食品・農林水産物

昨今の円高によって、日本の輸出企業は大きく影響を受けているといわれている。日本からフランスに輸入される食品について、どのような影響があるのか、フランスの輸入統計(※)および在フランス企業からの聞き取りにより、その状況を調査した。
※ フランス税関データに基づく

加速する円高ユーロ安

円安基調で推移していたユーロの対円相場は、2008年7月から8月にかけて1ユーロ169円台まで上昇して以来一転、円高基調で推移している。2009年後半は130円台を推移していたが、2010年に入ると110円台を割り込み(図1)、日本から欧州に輸出する際には、大きな影響が懸念されている。

図1:為替相場の推移(対ユーロ)

出所:日本経済新聞

他方、フランス国内経済に目を向けると、GDP実質成長率はプラスで推移しており、2010年第3四半期の実質GDP成長率は前期比0.4%増となっている。特に、個人消費は0.6%増と好調で、フランス経済を牽引している(※)。
※ フランス国立統計経済研究所(INSEE)2010年11月12日発表による

品目で異なる円高の影響

品目によって円高の影響の受け方も異なるが、2010年7月以降も円高ユーロ安が進んでいるにもかかわらず、多くの主要品目では、日本からフランスへの輸入量が増加傾向にある。以下に貿易統計をもとに、品目別の動向を概括する。

緑茶

フランスでは緑茶の人気が続いているが、輸入量は不安定な動きとなっている(表1)。

2009年9月から2010年9月までの輸入量をみると、日本からの輸入量は2010年初めおよび7月にやや減少したが、必ずしも円高=輸出減少とはなっていない。なお、フランスにおける緑茶の総輸入量に占める日本からの輸入の割合は、数量・金額ともに増加傾向で推移している。日本以外の国ではチェコ、ドイツ、ベルギー、英国などからの輸入量が多いが、これらの国は緑茶生産国ではないことから、日本産の緑茶が第三国を経由してフランスに輸入されている可能性がある。

表1:フランスへの緑茶の主な国別輸入量及び日本からの輸入の割合

表1を拡大する
※ 内容量が3kg以下および3kg以上の合計。

日本酒

ワイン文化のフランスにあって、日本酒は一般にはほとんど普及していないが、在フランス日系企業の宣伝努力などにより、少しずつ広がっていると見られる。これを統計でみると、日本酒の輸入額は2010年2月および5月に落ち込みが見られる(図2)が、6月以降、ユーロ安に反して輸入額は増加傾向にある。

図2:日本酒の輸入量の推移

※ 非発泡性の醸造酒のHSコードを適用しているため、必ずしもすべて日本酒とは限らない。
※ 容量データが入手できないため、金額ベースとなっている。

しょうゆ

しょうゆについては、輸入量をみると、2月にいったん落ち込んだ後回復し、また5月以降に減少傾向で推移しているが、9月には前年同月比67.5%増と大幅に伸長している(図3)。他方、輸入額をみると、同14.9%増にとどまっている。

図3:しょうゆの輸入量の推移

みそ

みそについては、そもそも単独の関税コードがないことから、他の産品との合計金額ベースでしかその動向は把握できない。しかし、日本からの当該コード(21039090)での輸出はみそが多いと仮定すれば、金額ベースでは、1月、3月、6月から8月にかけて落ち込んでいる。ただし、2010年9月には一転、前年同月比168.5%増、前月比46.5%増と伸長している。

麺類

麺類の輸入量は、2010年1月をピークに、2月、5月、7月にいずれも前月の反動の影響も含め、相当な落ち込みがみられる。一方、9月を見ると、前年同月比ではほぼ2倍増となっている。他方、日本産麺類にとっては競合相手と考えられる中国からフランスへの輸入量も、2月および5月に激しい落ち込みがみられる。さらに、日本からの輸入量が7月を底に増加しているのに対し、中国からの輸入量は7月を頭に減少している。

ほたて貝

ほたて貝は日本からフランスへの主力輸入商品であるが、輸入額でみると安価な他国産との競争や、在庫調整などにより、月ごとの変動が激しい(表2)。2010年に入ってからは、3月、5月、9月でほとんど輸入がないに等しい状態である。

表2:フランスのほたて貝の輸入量の推移

表1を拡大する
※ 生鮮・冷蔵・冷凍・塩蔵等を含む

在フランス企業は円高によるコスト増加を価格に上乗せ

日本から食品を仕入れる在フランスの卸売業者の場合、ほとんどが円建て決済となることから、円高の影響を受けざるを得ない。ただし、扱う商品によって影響の受け方は異なる。たとえば、粗利益が大きい商品を中心に扱う場合には、ある程度円高の影響の吸収が可能となるが、逆に粗利益が小さい商品を多く扱う場合には、円高の影響を強く受けることとなる。また、高級食品を少量仕入れる場合、費用に占める運賃の割合が高くなるが、この場合には為替変動要因は比較的小さいといえる。

しかし、今回の聞き取りによると、いずれのケースも円高の影響は強く受けているというのが一般的である。特に、大量に食品を輸入する卸売業者は、2010年6月頃から、円高部分を卸売価格に上乗せしている。

他方、高級食材を少量販売する企業では、円高の影響を他のコスト削減で吸収し、競争力維持に努めているところもある。ただし、1ユーロ135円程度でなければ、このまま持ちこたえていくのは非常に厳しいとのコメントがあった。

また、円高対策として、一部の日本産品目を韓国産や中国産のものに切り替え始めた企業もある。一部のしょうゆなど代替が可能な商品の場合は、為替が130円台に戻っても、切り替えを行った企業が、以前仕入れていた日本産商品に戻すかどうかは不透明である。

さらに、ユーロ安以上に円高ドル安が進行しており、これによる影響も出ている。例えば、商品の取扱量が比較的少ない場合には、ドル建て決済が可能な第三国を通してコンテナ混載で運ぶなど、流通ルート自体に変化が見られている。ただし、ある卸売企業によると、フランスの日本食マーケットは地方を中心に伸びていることから、円高分を卸売価格に上乗せしても、取扱量はあまり減らないとのことであった。

(パリ・センター)

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