1. サイトトップ
  2. 国・地域別に見る
  3. 欧州
  4. フランス
  5. マーケティング情報
  6. 一般市民に浸透する日本食材 ‐ 日本食材、原産国の多様化が進む
日本食品の輸入動向

一般市民に浸透する日本食材 ‐ 日本食材、原産国の多様化が進む

2010年11月
分野:食品・農林水産物

日本からフランスへ輸入される日本食材のうち、量・額ともに大きな割合を占めるのは、すし関連食材である。これに加え、冷凍食品、乾燥食品、インスタント食品の輸入も拡大している。一方、非日本産の競合食材も増え、日本食市場は、日本産、アジア産、欧米産の食材が入り混じり、多様化が進んでいる。

日本人からフランス人市場へシフト

フランスでは、2000年代に入り急激に日本食材が一般市民の間に浸透し始めた。その最大の理由として、日本食レストラン数の増加とともに、日本人中心であった客層がフランス人中心へとシフトしたことがあげられる。

1990年代半ばまで、日本食レストランに通うフランス人の多くは在日または訪日経験者という傾向が見られた。当時、日本食レストランの数はパリ市内を中心に数十軒程度であったが、その多くが日本人経営で客も日本人が大多数であった。つまり多く見積もっても約3万3,000人(在フランス日本大使館、日本政府観光局データを参考に、在仏日本人数を3万人、1日平均訪仏日本人旅行客を3,000人と算出)という小規模市場に対し、接待向けレストラン(駐在員およびその家族、日本からの出張者を中心顧客とする高価格帯レストラン)とラーメン中心のレストラン(日本人観光客と在仏日本人を中心顧客とする大衆型レストラン)が競り合う構図となっていた。また、スーパーなど小売において販売される日本食材の買い手の大半は日本人であった。

ところが、1990年代後半以降、健康志向と日本のサブカルチャーへの関心の高まりもあり、パリやリヨンなど一部の地方都市を中心に日本食レストランが急増。その数は現在フランス全国で約1,500件近くといわれるまでになった。こうしてパリ市内に限ってみると、日本食レストランはわずか10年の間に、1)フランス料理、2)ファストフード(サンドイッチ・ピザ等の軽食を扱う地元系、ケバブ等を扱う西アジア・中東系、ハンバーガー等を扱う米国系)、3)イタリア料理、4)中華レストランに並び、5大勢力としての地位を確立したといえる。これに伴い、アッパーミドルおよび若年層を中心にフランス人が日本食と接する機会が急増し、小売においても、日本食材を求める客層が、日本人中心からフランス人中心にシフトし始めた。

拡大する「すし関連食材」市場

フランス税関データによると、日本からフランスへ輸入される食材のうち、すし関連食品(※1)は、金額ベースで全体の49%を占める(2010年1~9月の月平均)。(※2)

また、これらすし関連食品は、複数の在仏食品輸入卸業者・小売店数社によると近年着実に輸入額が増えており、グラフ1で示すように、2010年に入っても拡大傾向にある。

グラフ1:日本からのしょうゆ・みそ・わさび・その他調味料の輸入金額推移(2010年)

注:フランス税関コード21031000、21033090、21039090、21041000、21069092、21069098、22090091、22090099のデータ計
(出所:フランス税関統計)

※1, 統計データの制約上、ここでは便宜的にしょうゆ・みそ・わさび・その他調味料とする
※2, ただし、ここでは、魚(フランスまたは欧州産を使用)、米(イタリア米など非日本産が市場を占め、米輸入総額の中で日本からの輸入米は1%に満たない−フランス税関2010年1~9月統計)、のり(フランス税関の統計で数値特定が困難)を除く。

すし関連食材のけん引役「非日系日本食レストラン」

すし関連食材のフランス人市場への浸透を促したけん引役として、在仏日本食レストランの9割以上を占める非日系による次の2タイプのレストランが挙げられる。一つは、中国人などアジア系移民が経営する旧中華系レストラン業態で、以前は中華レストランであったが日本料理に転身したものだ。二つ目は、フランス企業が次々に事業を開始したカジュアルすし系レストランで、モダンなフランス風食材や店舗コンセプトを取り入れ、店内飲食、テイクアウト、宅配の3つのサービスを提供する業態だ。いずれも「すし・刺身・焼鳥」の3分野に絞った商品戦略で、2000年以降急速に店舗数を拡大し、これら3分野の日本食材をフランス人市場に浸透させた。これに伴い、小売でも、日本食材専門店やアジア系食材専門店はもとより、MONOPRIX 等の一般スーパーやNATURALIA等一部のオーガニック製品専門店も、しょうゆ、みそ、わさび、すし酢、しょうが、豆腐などのすし関連食材を扱うようになった。

「庶民派食材」が浸透

「すし関連食材」に追従し売り上げを伸ばすのは、調理が簡単で手ごろな価格帯の「庶民派食材」である。特に麺類(インスタントラーメン、カップラーメン、焼きそば、うどん、そば、そうめん等)は、フランス税関2010年度1~9月期統計でも、日本からの輸入額が、この9カ月間着実に伸びている(グラフ2)。

グラフ2:日本からの麺類の輸入金額推移(2010年)

注:フランス税関コード 19021910、19021990、19023010,19023010、19023090のデータ計
(出所:フランス税関統計)

在仏食品輸入卸業者および小売店数社へのインタビューによると、麺類に加え、その他の保存加工食品(インスタントみそ汁、カレールウ、各種冷凍食品(餃子・コロッケ・えびフライ・トンカツ・鶏のから揚げ等)、冷凍食品の味付けに必要なソース等の調味料も売り上げを伸ばしている。

庶民派食材がフランス市場へ浸透する背景には、これらを提供する次の3タイプのレストランで食事体験するフランス人の数が増えてきたことがあげられる(日本食材専門卸業社)。一つは、前述のラーメン中心系(日系・アジア系オーナー)、二つ目は、2000年以降徐々に増加する日系のスペシャリスト系(とんかつ、串揚げ、そば、うどん、お好み焼き等の専門店)、三つ目は、日系のエリア密着型だ(パリの中心から少し外れた住宅地域や近隣都市に立地し、店の周辺で勤めているか住んでいる常連客を中心に展開)。

特に、8~15ユーロで、各種ラーメンはもとより、餃子、焼きそば、うどん、丼物、カレーライス、コロッケ、トンカツ、焼き魚定食等の幅広い庶民派メニューを提供する多くのラーメン中心系レストランは、若者も含め一般中間層のフランス人市場へこれら食材を浸透させるための大きな役割を果たしている。一方、小売部門でも、1990年以前からこうした庶民派食材を販売していた日本食材専門店やアジア系食材専門店が、取扱商品の種類と量を増やし、近年では、MONOPRIX等の一般スーパーが、麺類(ラーメン、カップ麺、うどん等)やインスタントみそ汁などを販売するようになった。

非日本産の競合商品も増加

「すし関連」と「庶民派」の2分野の日本食材の輸入・流通が拡大する一方で、これらと直接または間接的に競合する非日本産食材も増えている。日系食品メーカーが海外で製造しフランスに輸入するものを除き、最も多く流通しているのが中国、韓国、タイ、ベトナムといった国の「アジア系食材」となる。その多くは、アジアまたはフランス系の輸入卸業者を通じてフランスに輸入され、日本食レストラン(業務用)、アジア系食材店や一般スーパー(小売用)に卸される。例えば、食材別に産地またはメーカー所在地をあげると、しょうゆ(台湾、中国)、のり・こんぶ(韓国)、豆腐(シンガポール)、しょうが(中国、韓国、タイ、ベトナム)、わさび(韓国、タイ)、冷凍焼鳥(タイ)、冷凍餃子(中国、韓国)、冷凍唐揚げ・えびフライ(タイ)、ラーメン(韓国、中国等)、うどん(韓国、中国等)、そば(韓国、中国)などがある(小売複数店舗フィールド調査)。

一方、フランス系の日本食ブランドが、これらアジア産食材を取り入れた商品を、MONOPRIX等の一般スーパーで販売している。例えば、フランスのDISTRIBORG社が、2008年に企画・販売を始めた日本食ブランド TANOSHI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます は、米、のり、米酢、わさび、しょうが、豆腐、しょうゆ、照り焼きソース、麺類(ラーメン、そば、うどん、カップ麺)、インスタントみそ汁、菓子(わさび豆、わさびチップス)などの商品をそろえているが、使われる食材は、豆腐、そばは日本製、ラーメン、しょうがはアジア製など、商品により日本産とアジア産のものを使い分けている。

中国製のうどん

韓国製のラーメン

日本食市場に次々に参入するオーガニックブランド

「ABラベル」

ここ数年オーガニック食材に特化する欧米系のブランドが次々と日本食市場に参入している。代表例として、 LIMA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます があげられる。これは、米国ニューヨーク州のThe Hain Celestial Group(ナスダック上場)の欧州子会社LIMA FOODのオーガニック食品ブランドだ。約250種類の製品の中で、日本食関連の製品は、米、しょうゆ、みそ、米酢、のり、豆腐、わかめ、ラーメン、そば、うどん、そうめん、ごま塩、梅干し、しいたけ、大豆飲料、米飲料、枝豆スープ、豆腐加工製品など幅が広い。すべての商品パッケージには、フランスにおける有機農産物認定(Certifie Agriculture Biologique)を受けた証である「ABラベル」が表示されている。これら商品を、フランス、ドイツ、ベルギーなどのオーガニック製品専門小売チェーンを通じ20カ国で販売する。LIMA以外のブランドとしては、フランスNutrition & Soja社が、「豆腐100種の調理法」を標語に、豆腐ハンバーグ、豆腐のマリネ、豆腐クレープ、豆腐ソーセージ等と数多くの豆腐素材食品をそろえる SOY外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます があげられる。

(パリ・センター)

ご相談・お問い合わせ

現地日系企業の皆様

最寄りのジェトロ事務所にご連絡ください。