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市場・トレンド情報

報道等にみられる食に関するトレンド報告

2010年10月
分野:食品・農林水産物

フランス人の食肉消費、10年間で減少

農産物・海産物業界の支援を行う公的機関FranceAgriMerは2010年9月24日、フランス人の食肉消費に関する調査を発表した。牛、豚、羊、鶏などのすべての食肉(生肉、冷凍肉を含む)の一人当たりの年間消費量(食肉専門店および大型小売店)は1970年には77.6キログラムだった(重量の20~25%を占める骨および脂身を含む。除外すると肉自体の消費量は56キログラムと推定される)。食肉の消費は1998年には94.5キログラムに上昇したが、2009年には87.8キログラムへと減少した。1970年から2009年の間に消費量は13%増えたが、この10年来では減少したことが確認された。調査は40年間のタイプ別食肉の消費動向を追跡しており、馬肉消費の減少(2009年で全食肉の1%未満)、牛肉消費の減少(1970年の39%から2009年には29%へ減少)、豚肉消費の増加、鶏肉消費の急増(1970年の16%から2009年の28%へ増加)などの点が明らかにされた。FranceAgriMerは、「価格が安い鶏肉の消費が増えた」と述べている。2009年の平均価格は、鶏肉が5.9ユーロ/キログラムであるのに対して、牛肉は12.4ユーロ/キログラム、子牛肉14.4ユーロ/キログラムとなっている。特にこの3~4年に食肉消費が目立って減少したのは、経済危機を背景に消費者が購入量を減らしたことが挙げられる。子牛肉の購入者数は減っていないが、消費量は減っている。一方、子牛肉以外の牛肉については購入者は減ったが、消費量は横ばいとなっている。また食肉消費減少のもう一つの理由として、健康面に配慮して、脂身の少ない赤身の肉を好むようになったり、食べる量を減らしたり、肉を食べない日を設けたりする人が増えたことがあげられる。

ムスリム系移民の増加によるハラル食品利用の増加

フランスのムスリム系人口は800万人と推定され、ハラル食品(イスラム教の教えに則った認可食品)市場の規模は50億ユーロに達し、年間15%の急成長を遂げている。また欧州のハラル食品市場の規模は150億ユーロと見積もられている。宗教色の薄い日本では、あまりなじみのないハラル食品であるが、欧州でのムスリム系移民の増加を背景に、同市場は有望とみなされ、既にネスレ、フルリミション、LDC、パンザーニなどの大手食品メーカーが参入済みである。

フランス経済紙「レゼコー」は、フランス食品大手「ピエール・マルティネ」もハラル食品の販売を開始すると報道した(2010年4月22日)。 ピエール・マルティネはカルフールやオーシャンなどの、ハイパーマーケットでハラル食品の販売を開始し、反響が良好なら、ベルギーやドイツにもノウハウを輸出することを期待している。

同社の経営者ピエール・マルティネ氏の夫人、ヌルダンさんはトルコ系で、ハラル食品は「ヌルダンのレシピ」のブランド名で売り出されている。価格は同社の既存製品と比較して2割から3割高めとなっている。

またフランス「ルモンド」紙は、ファストフード大手のクイックによるハラル食品試験導入措置を紹介した(2010年2月22日)。クイックチェーンのうち7店舗が、ハラル対応に即して豚肉を完全に排除するため、ベーコン入りの「バーガー・ストロング・ベーコン」の取り扱いを終了。ムスリム系顧客はこのクイックの対応を歓迎した。

一方、ハラル食品の試験導入が行われた店舗のうち、ルーベー市(北部ノール県)のショッピングセンター内の店舗では、同市のバンディレンドンク市長(社会党)が、豚肉製品の完全除外は差別に相当すると主張。ハラル製品を置くことには賛成するが、完全除外には反対するとして、クイックに改善を申し入れるという騒動も持ち上がった。ちなみに2010年9月にクイックは、ハラル対応店舗の数を20店舗以上に増やしている。

フランス人の脂肪分摂取の方法が10年間で変化

食料・農業・漁業省(Ministère de l'alimentation, de l'agriculture et de la pêche)の2010年3月発行の報告書「Analyse N°12」によると、過去10年で国民の油脂類の取り方に変化が現れている。同報告書によると、フランス国民が 摂取する油脂類の量に変化はないが、直接的な摂取(バター、マーガリン、液体油脂を調理に使ったり、肉やパンにつけたりする摂取方法)が減少し、加工食品の中での摂取が増加した。また動物性脂肪の摂取は減少し、植物性脂肪の摂取が増加した。

2006~2007年の直接的な脂肪摂取は全体の24%を占め、肉(豚肉以外)の中の脂肪分の摂取は9%、牛乳やチーズからの摂取は11%となった。1960年の消費動向と比較すると、バター・肉・液体油脂・マーガリンの消費量は横ばいだが、肉加工製品や乳製品は4倍に増え、調味料・ソースなどの加工食品の消費量は6倍に増えており、こういった加工食品からの脂肪分摂取の割合が増加していることがわかる。(図1)また、1970年代からチーズ消費量が増加した(1960年を100とすると2007年に366.5)ほか、ヨーグルトや乳製デザートが激増(同2,009.2)、アイスクリーム・シャーベット(同1,469.8)やクリーム(同1,196.8)も大幅に増加している。一方、バター消費量は減少(同97.1(図1))。同時に乳製品からの脂肪摂取は1990年代後半から2000年代後半にかけて、国民一人当たり年間16キロから15キロへと減少しており、乳製品摂取が増加した割には、そこからの脂肪分摂取は減ったことがわかる。

図1:フランス人の食品消費の変化

縦軸:1960年を基準年として100とした場合1人当たりの購入量
(凡例)
Condiments et assaisonnements:調味料・ソース
Préparation à base de viande:肉加工食品
Produits laitiers hors beurre:バター以外の乳製品
Pâtisserie et biscuiterie:菓子類
Viande:肉
Beurre:バター
Huiles et margarine:オイルとマーガリン

安全な食品・健康食品・有機食品への関心

フランスジビジネス誌の「ロントロプリーズ」は、2010年初頭に今年の消費動向のキーワードとして「有機」「フェアトレード」などを挙げた。消費はより環境・エコロジー重視となり、個人の責任ある購買がますます関心を集めるようになるという。欧州では狂牛病・口蹄疫の脅威を経て、食料安全への意識も非常に高まっている。食品・外食産業各社は、「有機・健康・安全」を売り文句にした新製品を売り出している。

EUの食品安全リスク、警告数が過去最高に

フランスAFP通信が2010年9月13日に報じたところによると、2009年にEU食品・飼料緊急警告システム(RASFF)が食品安全リスクに関して発した警告の数が8,000件弱に達し、前年比で12%増加して過去最高を記録した。このうち、4割以上のケースでは製品が国境の検疫で差し押さえられ、域内市場には入らなかった。市場に流通済みの食品で重大なリスクがあると判定されたケースは557件で、前年より微増したという。

クイック、有機食材を使ったチーズバーガーを販売

同じくフランスAFP通信は、ファストフードのクイックが、100%有機農法で栽培された食材(パン、肉、チーズ、ソースなど)を使用したチーズバーガーを2010年9月21日から全国で2カ月間限定販売するというニュースを伝えた。有機チーズバーガーはパンおよび肉が四角形をしており、見た目から通常のチーズバーガーとの違いを強調。有機チーズバーガーの原価が従来品よりも70~80%高いため、販売価格は通常の1.75ユーロよりも43%高い2.5ユーロに設定される。2カ月という限定販売になった理由としては、食材の調達が難しいためで、有機チーズバーガー販売終了後の11月末からは、有機農作物を使ったトマトとモッツァレラのクラブサンドイッチを市場に出すという。なおすべての食材は欧州市場で調達される。ちなみにファストフードが有機食品を販売するのは初めではない。フランス市場の代表的ファストフードチェーンであるマクドナルド(1,160店)とクイック(366店)は、すでにチャイルドメニュー内のジュース、ヨーグルトなどに有機食品を取り扱っている。

「体に悪い」というイメージが伴うファストフードのチェーン店で、こういった試みが行なわれるようになったのも、昨今の「安全志向」によるところが大きいといえる。

ダノン、骨に良いヨーグルト「Densia」のフランス販売を断念

健康に良い食品がブームであることは確かだが、堅実なフランス人相手には「健康に良い」ことが即、販売上昇につながるわけでもないようだ。フランス食品大手の「ダノン」が2010年9月11日、骨の硬さを維持するのに有効という同社のヨーグルト「Densia」をフランスで販売する計画を断念したと、フランス経済紙「レゼコー」が報じた。「Densia」は、従来のヨーグルトに比べてカルシウムとビタミンDの含有量を増やしており、骨粗しょう症にかかる可能性のある更年期の女性をターゲットに据えている。すでにイタリア、スペインで発売されているが、フランスでは販売計画が取り下げられた。理由は、2009年12月に同社が実施した調査において、新鮮な乳製品を普段からたくさん取っていることの多いフランス人女性はカルシウム含有量の多いヨーグルトの必要性を感じていないとの結果が出たためだ。「Densia」は健康に良いことを前面に押し出している「Actimel」「 Activia」と同系統の商品。なおダノンは2009年に美容効果があるとうたったヨーグルト「Essensis」の販売を停止した。発売当初は爆発的な売り上げを記録したが、経済危機の開始で売り上げが落ちるとともに、購入者層を安定維持できなかったことが販売停止の理由に挙げられている。

ネスレ、ヘルス・サイエンス部門を新設

スイスの食品大手ネスレは2010年9月27日、新たに健康食品部門ネスレ・ヘルス・サイエンスを新設すると発表した。これもフランス経済紙「レゼコー」が報じている。市場規模が拡大し、高収益が見込まれる新部門には、2009年総売上高の16%に相当する16億スイス・フランを上げたベビーフード、病人食、減量食などの既存事業を移す。ライセンスおよび特許を買い取り、スタートアップ企業と提携し、またネスレグループが保有する技術力なども活用して、同部門発展のために5年間で5億スイス・フラン(3億7,700万ユーロ)を投資することを予定している。肥満症、糖尿病、アルツハイマーなどの疾患に対する薬物治療の代替となる、健康、栄養食品の開発を目指しているという。

フランス国民の84%が「自炊派」

家電メーカーの業界団体GIFAMは2010年6月10日、フランス国民の自炊状況に関する調査結果を発表した(調査は民間調査会社のTNSソフレスが実施)。これによると、国民の84%が自分で調理をすると回答。「料理をしない」と回答した16%は、ほぼ全員が男性で、50歳超のシニア層と若者に多い。理由としては、「時間がない」「独身者だから」という答えが多かった。自分で調理をする人にその理由を尋ねたところ(複数回答可)、「食事のコントロールと健康増進」(74%)、「楽しいから」(73%)、「節約のため」(45%)などが挙がった。内容としては、「主菜」が85%、「スープ・ピューレ」が76%、「ケーキ・菓子」が65%となり、これに加えて、過去2年間で関連の調理器がよく売れたことを背景に、「フルーツジュース」(23%)と「パン・ブリオッシュ」(21%)も多かった。GIFAMはこの結果について、手作り指向は経済危機を背景とした一時の流行ではなく、持続的なトレンドになっていると分析。なお、2009年3月までの1年間で、各種の調理器の販売は前年比で19%増加、調理器を含めた小型家電の販売は同じ時期に5%増となっており、特に調理器の販売が大きく伸びていることが分かる。

SIAL(国際食品見本市)、10月17~21日に開催

SIAL(国際食品見本市)が2010年10月17日から21日まで、パリ郊外ビルパントの見本市会場で開かれた。今年は5,700社が出展、うち8割は外国企業が占めた。106カ国からの出展参加を集め、うち12カ国は今年初の参加で同見本市は国際色をますます豊かにしたようだ。今年の見本市には13万3,500人が入場し、数としては昨年の14万7,860人を下回った。主催者は、経済危機による貿易の減少を考えれば当然の結果と分析している。

経済紙「ラトリビューン」の記事によると、フランス食品最大手のダノンは、自らは出展しないものの100人強を会場に派遣し、新製品の動向を物色したようだ。SIALのイノベーション部門担当テルレ氏によれば、現在販売されている食品の半数は発売から5年以内の製品で、商品刷新のペースは早く、メーカー側もイノベーション努力を求められる。今回の見本市でも、トウモロコシを原料とするボトル(生分解可能)を採用したレモンジュースといった環境配慮型製品や、南フランス名菓カリソン(アーモンド菓子)の「アペリティブ(食前酒の供)」版(ラタトゥイユ・黒オリーブ味)などユニークな新製品が多数紹介された。フランスでは折しも、リアリティTV(注)系の料理番組が人気を博しており、「シェフの料理」風の新製品も注目されている。

「ラトリビューン」はさらに、見本市は中小企業を外国企業が見てまわる機会でもある、と続けている。サントリーによるシュウェップス・オランジーナの買収をはじめとして、フランス系の中小企業が買収の対象となるケースが最近特に目立つという。フランス企業は規模が比較的に小さいことから買収が容易で、また「フランス」のブランド力も外国企業にとっては魅力的だからである。

(注)リアリティTVとは、素人が演技をせずに直面する日常や、冒険などの非日常を体験する様子を、そのまま番組にしている番組。

欧州でのくろまぐろ問題

世界のくろまぐろの8割は日本で消費されるといわれ、フランス産のくろまぐろも8割以上が日本に輸出されている(2010年2月4日「レゼコー紙」より)。

2010年3月13日から25日にドーハで開かれたワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、CITES)の締結国会合で、くろまぐろの国際取引禁止がモナコから提案された。最終的にはこのくろまぐろ禁輸案は否決されたが、その後もくろまぐろを巡る論争は続いている。

くろまぐろ禁輸の動きに揺れるフランス寿司業界

「スシ・ショップ」の広告キャンペーン
「これはくろまぐろではありません」とのコピーが入る

フランス日刊紙の「ルモンド」は2月27日付で、くろまぐろ禁輸の動きに揺れるフランス国内のすし業界について報じた。調査会社のGfKがすしチェーンのマルコポーロ・フーズの依頼で行った調査によると、フランス国民の35%がすしを食べると回答、特に50歳未満の都市部に住む管理職に愛好者が多い。

環境保護への関心が顧客の間で高まっていることに配慮し、フランス大手すしチェーン「スシ・ショップ」では、自社ではくろまぐろではなく、絶滅の懸念が取り沙汰されていない、きはだまぐろを使用していることを強調する広告キャンペーンを展開した。卸売価格はくろまぐろがキロ当たり20~35ユーロ、きはだが15~18ユーロと安く、従来は各社とも、低級品を扱っていることをあえて明確にしていなかったが、「今やきはだはマーケティング上の切り札として浮上した」と「ルモンド」は説明している。また「フランス国内のくろまぐろ消費は年間500トンとさほど多くなく、環境保護団体のグリーンピースでさえ、すしを含めたフランス国内の消費がくろまぐろを絶滅に追いやることはないと述べている」という。

(パリ・センター)

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