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2013年1~9月のフランスの音楽市場は前年同期比7.2%増

2014年1月
分野:音楽

全国音楽出版組合(SNEP)によれば、2013年1~9月のフランスの音楽市場はアルバム販売とストリーミング配信が好調で前年同期比7.2%増となった。SNEPのルブラン会長はこれを特例のこととして冷静に捉え、市場の構造的な成長には有料ストリーミング配信の成熟が欠かせないと語った。

アルバムとストリーミング配信が市場を牽引

全国音楽出版組合(SNEP)は2013年11月14日に2013年第3四半期のフランス音楽市場についての記者発表を行った。同組合のギヨーム・ルブラン会長とアントニ・カルティエ経済担当ディレクターに11月27日、発表の詳細とフランス音楽市場の展望について聞いた。

2013年1~9月のフランス音楽市場での売上高は3億1,690万ユーロに達し、前年同期比で7.2%増となった。販売形態別にみても、音楽市場全体の約7割を占めるパッケージソフトは前年同期比で8.2%増、約3割を占めるデジタル配信が4.9%増と、プラス成長となった(表1~2参照)。

この伸びに貢献したのは、(1)アルバムの売上高増(パッケージソフトで前年同期比9.2%増、デジタル配信で12.9%増)と(2)ストリーミング配信の売上高増(前年同期比13.2%)であった。

ルブラン会長は、約10年ぶりというこの市場拡大を「吉報」としつつも、「音楽ファンが待望していた、ストロマエやダフト・パンクとなどフランスの人気アーティストのアルバム発売が重なったため。過去10年の売上高減少傾向から見ても今回の伸びは異例であり、2013年通年の最終結果もプラスになればそれに越した事は無いが、期待はできない。」と冷静に分析した。

表:フランスにおける音楽パッケージソフトの売上高(単位:1,000ユーロ)
  2012年1~9月 2013年1~9月 前年同期比
シングル 972 460 -52.2%
アルバム 192,500 210,200 9.2%
DVD 12,600 12,340 -1.8%
206,072 223,000 8.2%

出所:全国音楽出版組合(SNEP)

表:フランスにおけるデジタル音楽配信の売上高(単位:1,000ユーロ)
  2012年1~9月 2013年1~9月 前年同期比
(a)インターネットからのダウンロード 47,622 47,002 -1.3%
楽曲 21,501 20,081 -6.6%
アルバム 22,499 25,402 12.9%
ミュージック・ビデオ 341 199 -41.6%
その他 3,281 1,320 -59.8%
(b)携帯電話からのダウンロード 6,838 7,185 5.1%
携帯着信音 2,393 1,771 -26.0%
楽曲 2,491 1,591 -36.1%
ミュージック・ビデオ 92 63 -31.5%
その他 1,862 3,760 101.9%
(a+b) ダウンロード 54,460 54,187 -0.5%
(C)契約によるストリーミング 22,955 26,541 15.6%
音楽 21,205 25,597 20.7%
ビデオ 1,750 944 -46.1%
(d)広告収入によるストリーミング 12,120 13,165 8.6%
音楽 8,686 8,073 -7.1%
ビデオ 3,434 5,092 48.3%
(c+d)ストリーミング 35,075 39,706 13.2%
(a+b+c+d)計 89,535 93,893 4.9%

出所:全国音楽出版組合(SNEP)

成長の余地残るデジタル配信

フランスにおける2013年1~9月のデジタル配信による売上高は契約によるストリーミングを中心に伸びた(前年同期比15.6%増、表2参照)。デジタル配信の音楽市場全体における市場占有率は、過去には伸びてきたが今回は前年同期と変わらず30%を維持するに留まった。

ルブラン会長は「この30%という市場占有率は、ドイツ・日本を上回るものの英国・米国よりは低く、フランスにおいてデジタル配信市場は期待されていた程は成長していない。フランスでは現在30を超えるダウンロードサイトやストリーミングなどのデジタル配信のプラットフォームが存在し、インターネット上で合法的に2,000万以上の楽曲へ容易にアクセスすることが出来るにも関らずだ。」と語った。

ルブラン会長はその理由を、「(1)フランスでは依然、 CDやDVDなどパッケージソフトを専門的に取り扱う小売店(フナック、エスパス・キュルチュール・ルクレール、キュルチュラ)やスーパー・マーケットでパッケージソフトが購入可能(注1)、であり、入手しやすい環境にあること、(2)違法コピーの存在、(3)ダウンロードサービスを侵食しつつあるストリーミングサービス(注2)の事業者による収益確保が不十分であるため。」と分析。さらに、「パッケージソフト市場が健在であることは素晴らしいが、残る2点が課題だ。」と述べた。

(注1)SNEPの両氏は「大手スーパー・マーケットが取り扱うCDをランキング上位 10~20点に限定する等して品揃えを縮小し、ヴァージン・メガストアが昨夏フランスの全店舗を閉鎖した、といった動向はあるものの、パッケージソフトの市場占有率は未だ高い。」と指摘。

(注2)カルティエ経済担当ディレクターによると「ストリーミングサービスがダウン ロードサービスを侵食しつつある傾向は、英国、米国、ドイツにおいてもみられる。ストリーミングサービスを利用開始すると、大量の楽曲を試聴し放題となりダウンロードをする必要が無くなるため。しかし、2012年のフランス人1人あたりの年間平均CD購入枚数は2枚を下回り、2012年におけるアルバムCDの平均価格は税込みで12.79ユーロである一方で、、ストリーミング有料契約は月10ユーロ前後であるため、年間120ユーロ以上を音楽CDに投資するある程度のヘビーリスナーでないと、有料ストリーミング契約によって元を取れず有料契約に至る動機を欠く。また、ストリーミングは音楽ファイルを所有するものでは無く契約を終了した時点で試聴できなくなるため、契約を継続する必要がある。」

収益性の高い有料契約への誘導が鍵

課題の克服方法について、ルブラン会長は次のように語った。「欧州債務危機を経て消費者が娯楽への投資に対してシビアになっている中、違法コピーとの戦いにおいて、広告収入による無料ストリーミングサービスを提供するという試みが、すでにオンラインプラットフォームによって行われてきた。広告収入による無料サービスという手法は、サービス開始時に消費者を惹きつける段階では有効に機能したが、収益性が低いため、今後はより多くの利用者をいかにして収益性の高い有料契約へ誘導できるかが鍵だ。」

カルティエ経済担当ディレクターは「現状、広告付きの無料ストリーミングサービスで十分だと満足している消費者が多い。」と指摘する。このためルブラン会長は「時間も投資も必要であり容易ではないだろうが、消費者の期待により一層応え得る、これまでとは異なる、付加価値のある洗練された有料サービスを提供することが重要だ。例えば、家族向け割引サービスなどが考えられるだろう。」と述べた。

さらにルブラン会長は「ストリーミングのプラットフォーム事業者が携帯通信会社と結んだパートナー関係により、携帯電話の契約者は通話プランの内容次第ではプランの一部としてストリーミングを利用可能であるにも関らず、契約者の理解が不十分なため起動・登録しない場合が多い。携帯電話の契約者の総数から考えれば、ストリーミングサービスの利用者数拡大の余地が相当にあるはずだ。そのためにはストリーミング自体についての理解度、サービス事業者の認知度を高めることも重要だ。」と述べた。

写真:SNEPのルブラン会長(左)とカルティエ経済担当ディレクター(右)
※許可を得て筆者撮影。

SNEPのルブラン会長(左)とカルティエ経済担当ディレクター(右)

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